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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)

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141/2030

141.ご当地力士

「おら! まだまだ、ほい! 立て!」


 コユキの言葉にヨロヨロと立ち上がった一体が、槍を投げ捨てて、今までに無く鋭い立会いから突進して来た。

 踏み出しも、体勢の低さも、これまでで一番気合の篭った『ぶつかり』と言えるだろう。


 裂帛(れっぱく)の気合に答えるかのように、コユキは避ける事無く、真直ぐに受け止めた。

 ゴツっ! という強烈な衝突音が響き、緑竜とコユキの額に衝撃が走った。

 思わず座り込みたくなる程の痛みに耐えながら、コユキは素早く左手を相手の腰に回し、そこに有った鱗を確り(しっかり)と掴んだ。


 所謂(いわゆる)、左下手を取った形になったコユキは、その左手を素早く捻り体勢を崩した緑竜の左手越しにがら空きになった右上手(に当たる鱗)を取る。

 この形は例の県民に愛されてる『萩原君』の無敵の取り口、左四つ右上手である。


 磐石(ばんじゃく)の体勢でズリズリと押し続けたコユキは、緑竜を境川の瀬に辿り着かせると、


「はい、ここが俵の外ね」


と言いながら腰を深く落とし、鱗を掴んでいた手から力を抜こうとした。

 誰の目にも勝敗は明らかだった、この場に第四十一代式守伊之助(しきもりいのすけ)の今岡さんが居れば、迷う事無くコユキに軍配を上げていたであろう。


 しかし、『馬鹿』の悲しさか、緑竜は力を弱めたコユキに対して禁じ手を使おうとしたのである、具体的には三本の頭を使っての『噛み付き』を試みたのである。

 その動きに素早く気付いたコユキは咄嗟(とっさ)に下手を離し、半歩下がる事で体を開いて三つの口を避け、その型のまま、強引に上手投げを仕掛ける。

 右手の骨も(きし)む程の、重量に顔を僅か(わずか)に歪めながらも、渾身の力を込めると共に叫ぶのだった。


「う! 牛久! 又は! 龍ヶ崎!」(※出生地は芦屋です)


 全力の投げを打たれた緑竜は、引っ繰り返って飛んで行き、残る二体に激突して共に動きを止めたのであった。

 再びコユキは近付いてプスップスップスッとやったのだが、出てきた石は先程と同じ様に透明でガラスみたいだった。


「ふむ、なんだろうね?」


 言いながら、何気なく周囲を見渡すと、川の対岸からボ――っとこちらを見てる人影に気が付いた。

 長い髪をドレッドっぽくして、同じく無造作に生やした髭を首元まで垂らした、何と言うかレゲエ的なおっさんが、(ほお)けた様な無表情でこちらを向いていた。

 日焼けした顔と、背後に置かれた自転車に積まれた、色鮮やかな空き缶がジャマイカっぽさを演出している。


――――ラリってんのかな?


 コユキが心の中で思った瞬間、オッサンの目が緑色に発光し、直後、コユキの前には先程同様に、新たな緑竜三体が姿を現し、即座に襲いかかってきたのだ。

 不意打ちに近い攻撃を、避ける事は不可能だと判断したコユキは、一番近くに居た緑竜に向かって、鋭く踏み出して体当たりと同時にカチ上げ気味に叩き上げた。


「土浦!」(歌メッチャ上手い)


 ドウ! と仰向けに倒れ、痙攣(けいれん)を始めた個体には目もくれず、次に迫った竜の三つの顔に小刻みな突っ張りを入れて動きを止め、次の瞬間、引きからのハタキを叩き付けて、顔面から河原に突き伏せさせた。


「ふうぅ、水戸……」(二十世紀最後の怪物)


 残りの一匹はすぐ横まで迫っており、今から対応したのでは間に合わないと判断したコユキは、その場で素早く地面を転がり、距離を開けた。

 すぐさま立ち上がると、転がりながら広い集めたのだろう、泥交じりの河原の砂利を、まるで土俵に大量の塩を撒くかのように、緑竜の目に向けて投げたのである。


「水戸」(たぶん、この水戸の奥様、女将さんもディーヴァ(歌姫?)なのだと思う、そんな気がする)


 目を閉じ、ドタバタしている緑竜に向けて、先程とは打って変わって、一発ごとに確り体重を掛けたツッパリを連続で叩きつけ、グラリと膝が落ちた所に、強烈な頭突きを入れて止めとした。


「み、水戸」(スキンヘッド似合う)


 先程ハタイた一体がヨロヨロと立ち上がってきたのを目にしたコユキは、すかさず懐に入って強烈な押しを続けたが、途中緑竜が大きめの石を拠り所にして、動きを止められた時は、思わず二丁投げが出そうになったが、必死に堪えて押し続け、一転引いて、先程の石に向けて、強烈なハタキを叩きつけ、緑竜の体を粉砕した。


「はぁはぁ、お、大洗」(元豊乃浪、今の『君の四股名(しこな)は。』)


 流石(さすが)のコユキも疲れを表にし、プスリと行く前に呼吸を整える事にした。

~お知らせ~


お読み頂きましてありがとうございました!

お相撲ファンの方、初心者の方も楽しめて頂けましたでしょうか?

今回は茨城県出身力士、親方達の事を考えながらコユキは戦っています!


頑張れ! 頑張れ! 天空海関‼

頑張れ! 頑張れ! 明生関‼ 

頑張れ! 頑張れ! 豊昇龍関‼

頑張れ! 頑張れ! 立浪部屋三銃士‼


相撲初心者も覚えましたか? いや覚えて下さい!

何回でも言いますよ!


キースタは天空海関が大好きです!(キリッ)


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[良い点] まさかの相撲回!面白かったです!そして、肉と鱗のぶつかり合い、素晴らしかったと思います。そして謎のおっさんがとても気になります。アジ・ダハーカの謎にも迫る端緒になりそうですね。 [一言] …
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