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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)

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132/2035

132.魔力?

 その後、善悪は四人分の煎茶をペットボトルの蓋に淹れてやると、それぞれその前に並んで座ってティータイムのスタートとなった。

 皆でお菓子を食べながらのまったりとした空気の中で、一人オルクスだけがひよこに頭を突っ込んでガツガツ味わっている。

 その様子を微笑んで眺めながら、コユキが話し出した。


「でも、モラクス君の時もだけど、今回は本当に、心の底から思ったわ」


「ん、何をでござるか?」


「ほら、皆が使ってるスキルっていうか魔法みたいなやつ、善悪も使えるし良いわよねぇ、あれ、ファンタジー感溢れてて」


「あれ? コユキ殿だって使っているではござらぬか、攻守に渡って良いバランスだと思うのでござるが……」


「えー、アタシだけ、自分のお肉で動いてるだけだもん! なんか疎外感(そがいかん)を感じちゃうわよ…… コドック(孤独)だわ」


「「「「!」」」」


「仰る通り、コユキ様はここまで、ご自分の肉体を使うだけで、魔力の使用は一切しておりません」


「「あ」」


 モラクスの説明に、善悪とオルクスの二人が、今までの訓練や戦いを思い出して、唖然とした表情を浮かべた。

 二人は同時に戦慄していた。

 ウッカリ見逃していたが、オルクスとの出会いを始め、善悪やオールスターズとの訓練、松阪遠征や今回の上野動物園でも、コユキが魔力を使用した事は無かった。


 逆に言えば、それらの戦いの全てを、自分の肉体と、頭脳による駆け引きだけで勝ち抜いて来たという事であり、これには今日戦ったばかりのパズスとラマシュトゥも、目を剥いて驚くのであった。


 ラマシュトゥが驚いた表情から、不思議そうな顔に変えてコユキに聞いた。


「でも、コユキ様は何故そのような真似をなさっているのですか? 魔力を使わないと何か良い事でもございますの?」


 コユキが苦笑いを浮かべながら答えた。


「ううん、使わないじゃなくて使えないのよ、皆と違って魔力自体無いし、善悪みたいな坊主じゃないから法力? ってのも使えないしねぇ、ね、善悪」


「ん? 使えるでござるよ」


「へ?」


 コユキが拍子抜けした様な声を出して周りを見回すと、皆一様に頷きを返すのだった。

 グルリと確認したコユキは最後に善悪の顔を見つめて、改めて聞いた。


「使えるの? アタシも?」


「うん、聖女だからね、ちな僕ちんが使っているのも、法力じゃなくて聖戦士の力、聖魔力を使っているのでござる」


 びっくり仰天じゃないか、そんなちゃんとしたファンタジーっぽい設定が有ったとは驚きであった。

 (しか)し、コユキはまだ納得が行かない様子で、善悪に聞いた。


「聖魔力、って、何でそんなの知ってるのよ、今まで言わなかったじゃない?」


 その言葉に善悪は作務衣(さむえ)の腰に挿してあった和()じの古惚けた書物を取り出した。

 確か、家族が『馬鹿』のオルクスに襲われた次の日に、善悪が持っていた本だと記憶している。


「ここに書いてあったのでござるよ、毛筆の草書で最初あんまり読めなかったのでござるが、法事に呼ばれた時、檀家の爺さんに読んで貰ったら、聖魔力の事が詳しく書いてあったのでござる」


「なっ! 何でアタシに教えなかったのよ!」


「え、聞かなかったであろ?」


「くっ! この馬鹿! ホウ・レン・ソウっ!!」


 コユキの掌打(しょうだ)が善悪の顎を的確に捉え、ご自慢の聖魔力によるエクス・プライムを展開する間も無く昏倒(こんとう)する善悪であった。



 意識を失った善悪に、熱々の煎茶をぶっ掛けて起こしたコユキと一同は、場所を本堂に移して、早速コユキに聖魔力の使い方をレクチャーする事にした。


 勝手なイメージで、腹式呼吸を始めるコユキに善悪が言った。


「違う違う丹田(たんでん)に気を感じるとか、それ法力の方であろ? 丹田は丹田でも先ずは中丹田(なかたんでん)を意識するのでござるよ、おっぱいの下辺りね」


 善悪の言葉に多少、セクハラ~とか感じながらも、言われた通り胸のやや下辺りに聖魔力の存在を探ってみる。

 モラクスがアドバイスを出す。


「魔力自体を探るのではなく、常に不形に変化を続ける力の動きを捉える方が容易でしょう」


「うん」


 素直に聖魔力の動きを感じようとしていると、今度はラマシュトゥがコツを教えてくれた。


「魔力はイメージです、人間の体の中に本来存在しても意識しなければ一生気が付かない場合が多いものです。 ですから意図的に異物の様なイメージ、例えばビビットな紫色の力を探って見ては如何かしら」


「なるほど」


 紫色、というか異物感を探っていると、今度はパズスが口を挟んできた。


「コユキ様、魔力とは物質に働きかけ、現象を(もたら)すものです。 最初の内は、そうですな、ご自信の中丹田(なかたんでん)の中で冷たく感じる部分を探されては?」


「チガウヨ、アツイ、ヤツダ、ヨ」


 そこからは早かった、なにやら興奮し始めた四人が、それぞれ自分なりの教え方を一歩も譲らず、例のやつを始めてしまった。


 オルクスがガラーンガラーン

 モラクスがゴーンゴーン

 パズスがジャーンジャーン

 ラマシュトゥがシャリーンシャリーン

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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[良い点] マスコットが4人に増えて、さらなる混沌が生まれたのですね。とても面白かったです。善悪も今回は、ボウフラ入のお水じゃなくて良かったですね。起こされるの。そして、魔力あった!コユキがいかなる魔…
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