表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

124/2030

124.パズスとラマシュトゥ

 距離を詰める事も無く、只々お互いに間合いを探り合う(せめ)ぎ合いの中、ジローの中で声が静かに響いた、


『ジロー! すまん、代わってくれぬか?』


『え、うん、分かったよ』


 一拍遅れて、ユイにも同じく声が届いた、


『ごめんねぇ、ユイちゃ、あたしがでるよおぉ、んね♪』


『え、あ、うん、分かったけど、ダイジョウブ?』


『ウン、ダイジョブダイジョブ! チット休んでてねん!』


 了承した途端に二頭の体は元のエンジ色に戻り、代わりにオレンジ、ピンクのオーラが色濃くその身を包んだのであった。

 軽くメタモルフォーゼを果たした二体の内、雄の方、ジローが(おもむろ)に口を開いた、


『ふふふふ、聖女か? 今はガタコロナと名乗っているようだな…… 我が名は『パズス』、『鉄壁(スクリラ)(トウ)パズス(パズス)』である』


『テラペイア トウ ラマシュトゥ、私は癒しの御手(みて)、『改癒(かいゆ)のラマシュトゥ』と申します。以後お見知りおきを…… クフフ』


 最悪の超防御特化兄妹が正しく顕現した瞬間であった。

 割かし丁寧目な自己紹介を受けたコユキは、戸惑いながらも礼には礼を持って返した。


「あ、どうも、えと、アタシはコユキ、御紹介の通り『聖女』みたいです…… それから? あ、そうだ、アタシは茶糖コユキ、『サトウケ(家族) ノゥ() コユキ(足手纏い)』です」


 咄嗟(とっさ)に同じパターンで自分をアピール出来る辺り、コユキのあり余る贅肉、いや、才能の片鱗が見える。

 パズスにもそれが分かったのか、次に話し掛けた口調は、先程ほど尊大では無かった。


『コユキ、いや、ガタコロナ殿か、会えて光栄に存ずる。 先程より、貴殿の中から我等の兄、『オルクス』と『モラクス』の気配を感じているのだが、それは? 既に貴殿の『聖核』に取り込まれてしまったと言う認識で間違い無いのであろうか?』


 この問い掛けを聞いたコユキは内心でガッツポーズを決めていた。


――――あれれ、この子達全然『馬鹿』じゃ無いじゃん! これならちゃんと、オルモラは別の場所で無事だって事を伝えれば、戦い回避出来るっしょ! なるほど、運営さんて流石だネェ~、こう持ってくるかぁ~、良かったぁ~、そりゃそうか? ゴリゴリのバトル物じゃないんだからねぇ~、良し!!


「心配しなくて良いわ、『聖核』? ってのが何なのかは良く分かんないけど、オルクスとモラクスだったら、ちゃんと別の場所に――――」


『ガアァッハハハアァッ!! 別個の存在として残しているとは愚かな! ならば、その身を切り刻んで二人を取り戻すまでよ! グゥエヒャヒャヒャヒャっ!!』


「えっ?」


『取り込んでいなかった己の愚を噛み締めて、(こま)切れになりなさい。 その汚らしい肉は私の力で、(うじ)にでも改癒して差し上げるわ! クフフ、キュヒェヒェヒェヒェっ!!』


「…………」


 残念な事に、揃って『馬鹿』、それどころか『大馬鹿』である事があっさりと証明されてしまった。

 ガッカリと肩を落としたコユキではあったが、何故か運営さんに対する怒りだけは、湧いて来なかったのが摩訶不思議であった。


 狙い通り話し合いでの解決は出来なかったが、当初の想定に戻っただけだと、瞬時に気持ちを切り替えると、小刻みなステップを踏み始めるコユキ。


「ススススススススス」


 例によって全身の肉は激しく蠢きまくり、あっと言う間に戦闘準備が完了した。

 目の前の二体のどちらから、更にはどういった種類の攻撃が繰り出されようとも、回避して見せる、そう自然に思える位には、コユキの実力は上がっていた。


 やる事は分かっている、昨夜決めた方針通り、回避によって撹乱(かくらん)し、相手が隙を見せた時に、新たに手に入れた攻撃を叩きこんで、一体づつ(はら)ってやるだけだ。


 茶糖家で毎年夏場に行われてきた恒例行事、『お盆にバーベキュー・罰当たりパーティー』で、数に限りがある、焼き上がったお肉を奪い合う醜い戦いに()いて、無敗のチャンプとして君臨し続けたコユキ。

 その戦いが、今ここで再現されたのかと見紛う程の、有り得ない集中力で悪魔達の行動を注視し続けるコユキの前で、二体は同時にのっそりと行動を開始した。


「ん? のっそり?」

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=140564926&size=200



fw2razgu4upfkla8gpm8kotvd1hy_1365_xc_ir_92ne.jpg
にくい、あんちきしょう…… ~食パンダッシュから始まる運命の恋~ は↑からどうぞ



eitdl1qu6rl9dw0pdminguyym7no_l63_h3_7h_23ex.jpg
3人共同制作の現場 小説創作の日常を描いた四コマ漫画 は↑からどうぞ



l7mi5f3nm5azilxhlieiu3mheqw_qn1_1kv_147_p1vu.jpg
侯爵令嬢、冒険者になる は↑からどうぞ
~王太子との婚約を一方的に破棄された令嬢はセカンドキャリアに冒険者を選ぶようです~ 



jvan90b61gbv4l7x89nz3akjuj8_op1_1hc_u0_dhig.jpg
見つからない場所 初挑戦したホラー短編 は↑からどうぞ



異世界転生モノ 短編です
8agz2quq44jc8ccv720aga36ljo7_c1g_xc_ir_97jo.jpg
【挿絵あり】脇役だって主役です ~転生を繰り返したサブキャストは結末を知りたい~ は↑からどうぞ



小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[良い点] 素晴らしい豹変、ナイスでした。とても面白かったです。まさかの交代とは(汗)そして随所にあふれる贅肉が爆ぜるバトルの予感もあり、この後が楽しみです。肉肉しい絵面ですね。本当に。 [一言] の…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ