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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)
116/1849

116.sweet time ① (挿絵あり)

 今日のランチメニューは夏場の定番、『冷やし中華』であった。


 両手を合わして、


 パンッ!!


「「いただきますっ!!」」


 目の前の座卓に置かれた、古伊万里(こいまり)の大皿に盛られた茹で中華麺を中心にして、周囲に配置された、錦糸卵、細切りハム、ツナ、トメイト、茹で上げた刻み木耳(きくらげ)、塩に揉まれてシオシオノパーになっているヤワヤワ胡瓜、紅生姜に刻み海苔、たっぷりの和芥子(わからし)と、甘辛酸っぱい中華ダレが脇役を彩った夏の御馳走であった。


 コユキはウマウマと思いつつ、五人前平らげた後、いつもの様に善悪へと告げた。


「善悪! 今日も美味しーいよー! お代わりっ!!」


 (しか)し、善悪は信じられない言葉を口にしたのである。


「ごめんでござる、冷やし中華はこれで終わりでござるよ…… ごめんね! コユキちゃん…… (ニヤリ)」


「えっ? 嘘でしょ? 善悪…… ま、だ……  半分も、食べて、無い、の、 に?」


 絶望をその顔に浮かべるコユキの声に答える事も無く、無表情のまま台所に姿を消した善悪が、再び姿を現したとき……

 我等がツルギ、王国の誇る、真紅の簒奪者(さんだつしゃ)がその両手に提げていたものは、


「ジャ――――ン!! ホットケイク祭りでござるよーん♪」


色目も鮮やかなホットケイク、所謂(いわゆる)ホットケーキの山が盛られた超大皿古伊万里皿であった。

 つるつるで、結構肉体パンパンなくせに、何てステキなサプライズ……

 小憎らしいな、こんちくしょう! である。


「オゥ、リアリィ?」


 コユキも思わずその色目に捕らわれてしまった、見目美しい王女様ぶりに答えて言った。


「貴方は何てステキな驚きを与えてくれるのでしょうか? ワタクシの心はこのカスタードクリームの輝きに捕らえられ、もう離れられません!」


 毎年互いのゲーム内キャラクターによって行われてきた、誕生日の度に繰り広げられる、下らない寸劇であったが、初めて目にした、オルモラの二人には、コユキと善悪が狂ってしまったとしか思えなかった。


「エ? ツルギ、サンセンチ? エ? ダイジョブ? ナノ?」


「兄者、こ、これは? 我が主様達は…… 一体……」


 オルモラの心配を一切気にする事も無く、コユキは満面の笑顔で言った。


「うほぉ! 善悪のカスタードクリームじゃん! なに? アンタ? 空気読んじゃってんの~? こりゃ頑張るしかないねぇ!」


 メインのカスタードに加えて、味変用のアイテム、メープルシロップ、蜂蜜、ジャム、バター、様々な季節のフルーツもササッと座卓に並べられていく。


挿絵(By みてみん)


 コユキの眼はすっかりハートマークになり、目の前のホットケイク(善悪曰く)しか映して居らず、折角いいムードになりかけた二人の関係は、これ以上進展しそうには見えなかった。

 『ツンデブ』効果の検証は、次回以降に持ち越されたのであった、残念至極。


 山の様に積み上げられた筈の手作りスイーツは、コユキの化け物じみた食欲の前に見る見る減って行った。

 満足そうにそれを見守りつつ、自分も食べ始めた善悪の頬にも、カスタードが付いたままだ。

 夢中でハグハグ食べているコユキに刺激されたのか、本来飲み食いの必要が無いオルモラまで、


「ムホー!」


「むうぅ、これは……」


と唸りながら、恐らく初めてであろうクリームの甘みを堪能していた。

 

 オルモラが心奪われるのも無理の無い話しであった。

 善悪の作る食べ物は、基本的にめちゃくちゃ美味しいのだ。

 その証拠に、この十日余りのお呼ばれのお蔭で、コユキの体重はいい感じで増え、当初二十二貫だった体重は二十四貫、およそ九十キロに迄達している。

 この調子であれば、夢の三桁もそう遠く無い未来には到達出来る事だろう、良かった、良かった。


「ゲェープッ! 御馳走様でした~! もう、お腹パンパンよぉ」


 四人揃って食べ終えて、大満足の中、恒例の食後のトークタイムに入って行く。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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― 新着の感想 ―
[良い点] ホットケーキで一話出来上がるなんて、感服でございます。なんかもう、流石です。冷やし中華だけでもすごい量なのに。この、食への執着が素晴らしいですね。 [一言] 皿が可哀想で、大爆笑です。古伊…
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