木崎灰 3
換金所?確か向こうの世界の通貨、例えば日本円とかをこっちの世界の通貨であるGに替えてくれる場所だったよな?
そんなところと向こうの世界に行く方法に一体何の関係があるって言うんだ?
「クライス?換金所に何の用があるって言うんだ?」
「え?あっちの世界に帰る方法を知ってる人でしょ?」
クライスはさも当然のことかのように聞き返してくる。
「いやいや分かってるのか?あそこは換金所であって情報屋じゃないんだぞ?そんなとこ行ったって向こうに行く方法なんて...」
と、そこまで言って僕は1つの考えに辿り着いた。
「換金所は向こうの通貨なんて集めてどんな得があるんだ?」
そうだ、こっちの世界じゃ使えない通貨を集める必要なんて普通ならあるはずがない。
だが向こうの世界に戻る方法があってその方法を換金所の人が知っているのなら話は別だ。
「そうなると問題はどうやって方法を聞き出すかだな」
「何を悩んでるの?直接聞けばいいんでしょ?」
「え?...っておい!」
クライスはキョトンとした顔でそう言い放ち換金所の方へ行ってしまい僕はそれをただ追いかけるしかなかった。
「すみませーん!」
「ん?なんだいお嬢ちゃん、どこの通貨を換金して欲しいんだい?」
「ううん、そうじゃなくてね、アタシたちがあっちの世界に帰るための方法を教えて欲しいの!」
クライスがそう言うとそれまで朗らかだった店員の表情が一気に暗くなった。
「そんなもん知らねぇよ、他に用がねぇならさっさと帰れ」
それきりその店員は口を聞いてくれなくなってしまった。
「おっかしいなぁ、アタシのセンサーが間違えるなんてないはずなのに...」
クライスは心底ガッカリした様子でそんなことを言っている、が、僕はクライストは違いこの結果に少し満足していた。
「灰お兄ちゃん?どうしたの?なんか嬉しそう」
どうやら顔に出てしまっていたようだ。
「いや、あの店員が嘘をついてることがわかったからな、秘密にしておきたいような情報ということはかなり信憑性が高い情報とも言えるだろ?」
「え?うん、まあそれはそうだけど...なんであの人が嘘をついてるってわかったの?」
あれ?まだ言ってなかったっけ?まあいいか
「僕のスキルに嘘発見器ってのがあるんだけどこのスキルがかなり便利で相手の言ったことに嘘が混ざっているか、書いてあることに嘘が含まれているかがわかるんだ。」
まあ相手が本当のことだと信じ込んでいた場合は感知できないんだけど。ここまで教える必要は無いだろう。
「へー...あ!だからアタシが言ったこともすぐ信じてくれたんだ!」
「そういうことだ」
「まあとにかくこれであの店員が向こうの世界に移動する方法かそれに関する情報を持っていることはほぼ間違いない」
「そうだね、でもあの人教えてくれなさそうだったよ?」
「ああ、だから無理やり聞き出す。」
「ん?どうやって?」
「こっそり後ろから近づいて捕らえて脅すんだよ」
「おおー!って、え?そんなに上手くいくの?」
「そりゃただ近づくんじゃダメだろうよ、だからまずはステルスを手に入れる」
そう、少し前に獲得するスキルを選ぼうと一覧を見てた時に見つけたスキル、名前から察するに不可視になるスキルだろう。もともと隠密系のスキルは欲しかったし早めに入手しておいて損は無いだろう。
「わかった!じゃあそのためにSP稼ぎ、レベル上げだね!」