木崎灰 2
「んで?一体どうやって僕の復讐相手を探すつもりなんだ?」
「え?ああ!うん、探す方法ね!それはね、私のセンサー!」
「センサー?あぁ、お前のスキルだっけ?」
そう聞きながら彼女の方を見ると何故か不満そうな顔をしていた。
「どうした?」
「もー!どうした?じゃない!言ったでしょ!お前じゃない!ク・ラ・イ・ス!ちゃんとそう呼んで!」
「お、おう分かった...クライス」
そう呼ぶとクライスは途端に満足げな表情になった。
「うん!灰お兄ちゃん!」
......なんだこれ
「で、クライスのスキルの...なんだっけ?センサー?でどうやって探すんだ?」
「えっとねーアタシのセンサーはアタシが探したいものの方向を教えてくれるの!」
なんだその便利スキル、正直めっちゃ欲しい
「だからね!アタシが灰お兄ちゃんの復讐相手を探したい!ってセンサーにお願いすれば...」
そう言うとクライスは難しい顔をし始めた。
「あれ?おっかしいなぁなんでだろ?」
「どうしたんだ?」
「センサーがね、反応しないの。こんなこと初めてだからなんでかわかんない」
「まあそうなるわな」
「え?なんでそうなるって分かってたの?」
「なんでってそもそも僕の復讐相手はこの世界にはいないからな」
「??なにそれ?哲学?」
「なんでそうなるんだ...そんなに難しいことじゃないだろ、クライスだって別にこの世界で生まれたわけじゃないだろ?」
「あ!そっか!じゃあ灰お兄ちゃんの復讐相手はアタシ達が元々いた世界にいるってことだ!だからこの世界にはいなくてアタシのセンサーが反応しなかったんだ!」
「まあそういうことだ。で?どうやって探すんだ?」
僕が煽るようにそう言うとクライスは少し慌てたような表情をし、
「え!?えっとねー、待ってね今考えるから」
と言って今度は難しい顔をし始めた。
「ん?待って、灰お兄ちゃん、いっこ聞いていい?」
「なんだ?」
「なんで灰お兄ちゃんはこっちの世界に来たの?」
!?
「元々いた世界の方に復讐相手がいるんだよね?だったらどうして?それって怖がりが混ざってたのと関係あるの?」
くっ...やっぱりそこ聞くよな...あまり答えたくはなかったけど仕方ない、ここで言わないでいてもいつか言わなきゃいけないだろうし
「...逃げてきたんだよ」
「逃げてきた?どうして?」
「...僕さ、向こうではサッカー部だったんだ。まあ別に上手かった訳じゃないから試合もほとんど出たことなかったんだけど」
クライスは黙って真剣に僕の話を聞いてくれている、良かった。
「でも僕ってみんなの中心でいたいわけ、だから積極的に発言もしたし自分が違うと思ったら反論もたくさんした。
けどそれが気に食わなかったヤツらがいたみたいでね...だんだんいじめられるようになったんだ。
最初は練習中に僕の発言だけ無視されるとか僕にだけ連絡事項を伝えてくれないとかそういう軽めのものだけだったんだけど、どんどんエスカレートしてって、最終的には教室の真ん中で服脱がされて土下座させられるようになっちゃったんだ。
しかもそこにいたクラスメイトも一緒になって笑ってるか見て見ぬふりをしてるわけ、
それでもう誰も助けてくれる人はいないんだって思ったら怖くなっちゃって学校にも行けなくなってもういっそ死のうかなとか考えてた...
そしたら丁度そのタイミングでネットで異世界転移したくないか、みたいな記事見つけてね、それでこっちに逃げてきたんだ。
だけどこっち来てスキル手に入れたりレベル上げたりして強くなったと思ったらどんどん僕をいじめてきたヤツらにやり返したいって気持ちが強くなってきたってわけ」
いじめられるのが怖くて逃げてきたくせにちょっと力を手に入れたらやり返したいとか思い始める、我ながら自分勝手にも程があると思う。
「そっか、じゃあ元の世界に帰る方法を探すってことだね!」
「え?」
「え?違うの?元の世界に戻っていじめてきた人たちを殺したいってことでしょ?」
クライスが心底不思議そうに聞いてくる。
「いや、そうじゃなくてこんな話聞いてまだ手伝うって言うのか?」
「だって灰お兄ちゃんがなんで復讐したいとかそういうのどうでもいいし!アタシはただ復讐を見たいだけだもん!」
「そうなのか...」
正直意外だった。くだらない、自分勝手だ、と言われても仕方がないと思っていた。
「じゃあ改めてクライス、僕の復讐の手伝いをしてくれるか?」
そう聞くとクライスは満面の笑みで答えてくれた。
「もっちろん!」
「それじゃあ元の世界に戻る方法を探そう!」
「いや、探してくれるのはありがたいけどそもそもそんな方法ないだろ...」
「なんで?行けるんだから帰れるでしょ?」
...まあ、確かにそうとも考えられるか.....
「けどそもそもどうやって探すんだよ、クライスのセンサーじゃ方法なんて探せないだろ?」
「うーん...あ!じゃあ方法を知ってる人を探して教えてもらおうよ!待ってね...」
「...そんな人すぐに見つかるわけ...」
「あ、反応した!」
「はぁ!?」
センサーの示したという方向に行ってみると換金所にたどり着いた。