青山聖也 4
ミハイルさんから逃げようととにかく走り続けていた俺はいつの間にか街っぽいところにたどり着いていた。
さて、異世界に来たからには魔物を狩ったりしたいところではあるのだがそれよりもまずやるべきことが一つ。
生きることだ。そしてそのためには金が必要だった。一応ポケットの中にはスマホと財布は入っている、が、財布の中にある金はもちろん日本円。この世界の通貨は途中通り過ぎた店を見る限りG(ゴールドだろうか、いかにもって感じで助かる)のため使えず、スマホは当然のように圏外なので使い物にならない。
いや待てよ?こういう時ってだいたい元いた世界のものがこっちじゃ滅茶苦茶めずらしいもので高値で売れるってのがセオリーじゃないか?となれば使い物にならないスマホをどこかで売ってしまおう!
そう考え買取をしてそうな店を探して歩くこと十数分、それっぽい建物を見つけることができた。
「ん?なに?スマホを売りたい?いいけど大した額にはならないよ?」
「え?何故ですか?」
「何故って言われても...この世界じゃスマホなんて使えないんだからただの鉄の板なんだよ?逆になんで高く売れると思ったんだい?」
「こういう電子機器は珍しいってのがお決まりじゃないですか!」
「なんでスマホが珍しいんだい...こんなもん今時誰でも持ってるでしょうに」
そうだった。ここは異世界転移者だらけの世界なんだった。そりゃスマホが珍しい訳が無い、スマホに対する価値観は全員俺と同じなのだった。
「というかなんでスマホなんて売ろうとしたんだい?」
「使えないから要らなかったってのもありますけど一番は金欠で死にそうだからです。」
「金持って無いのかい?」
「日本円なら持ってるんですけどね、ここじゃただの紙切れでしょうから」
「?元いた世界の金があるなら換金所に行けばいいじゃないか、なんでそれをしないんだい?」
「換金所があるんですか!?」
「全員が移動者なんだから換金所くらいあるに決まってるだろ」
初めて異世界に移動者が沢山いて嬉しいと思えた。
換金所の場所を教えてもらい無事換金を終えることができた。これでとりあえずは金がなくて死ぬことは無くなった...はずだ。
元いた世界の金を今いる世界の金に変えてくれる換金所。利用者にとってはありがたいことこの上ない場所ですが店側は一体なんのためにそんなシステムを用意しているんでしょうね。ただの慈善事業か、それとも...。
異世界転移は片道切符。乗客に復路はありませんが運転手には...?