青山聖也 3
さっきの会話でわかったことが一つ。俺が行動を変えることで周りの人の行動も変わる、つまり俺が同じ行動をすれば周りの人も同じ行動をするということだ。
と、なれば俺のするべきことは決まった。
窓から逃げる、だ。
「よう、窓から出てどこに行くつもりだ?」
ミハイルさんの声が聞こえてきた。ここで返事をするという選択肢もあるけどそんなことをしたらその先の展開がわからなくなってしまう。だからここはもう一度逃げる!!!
「おい!!逃げようとするじゃねぇ!」
よし、さっきと同じように追ってきた!で、このタイミングで...!
「"刺突"!!」
ミハイルさんが叫ぶと同時に俺は大きく左に飛んだ。途端、俺の右側を風が通り過ぎていった。
よし!上手くかわせた!けどこの先の展開は分からないから...とにかく逃げる!
そこから先は俺はとにかく無我夢中で走り続けた。いつの間にかミハイルさんは追うのをやめていたらしい。
この世界に来た何も理解してない獲物を殺して経験値を稼ぐことをするようになって獲物に逃げられたのは初めての経験だった。
「あ、おかえりなさい。...どうしたんすか?なんか嬉しそうですね!」
けど嫌な気分じゃない。子供の頃新しい玩具を買ってもらった時のような、そんな気分だ。
「ところであいつらは?いつ殺します?」
「好きにしろ。俺はもうこの暮らし方はやめる。」
「え?急にどうしたんですか?」
「こんなのよりもよっぽど面白そうなもんを見つけたからな、お前らともここでお別れだ。じゃあな。」
そう告げてかつての仲間たちに背を向け歩き出す。
「またすぐ会おうね、青山聖也くん。大丈夫、僕は君と運命で繋がっているんだから。」
プロローグ終了です。