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いわゆる異世界転移をする話  作者: 黒岩かなで(K。)
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青山聖也 1

次に目を開けるとそこはいかにもな感じの草原だった。どうやら本当に異世界に移動したらしい。


「とりあえずどこか人の居そうなところに移動しないか?」


さっきもスーツの男に質問をしていた高校生の提案に全員が賛成し人を探すことになった。




勘を頼りに歩くこと数十分。やっと人に出会うことが出来た。歳は30後半と言ったところだろうか、かなり屈強な男だ。


「ん?お前ら、見ねぇ顔だなぁ、どこの出身だ?」


どこ、と答えるべきなのだろうか。ここは異世界なのだから東京や日本と答えても伝わらない気がする。


「遠い東の国です。」


小説とかで呼んだ知識ならこの返答が正解だろう。そう思い俺がそう答えると男は不思議そうな表情になった。


「東の国?...あぁニッポンの事か、ニッポンからの移動者はかなり久しぶりだなぁ」


「久しぶりってこの世界では移動者は珍しくはないのか?」


高校生...確か木崎くん(歩きながら全員軽い自己紹介をした)が尋ねると男は笑いながら答えた。


「移動者が珍しい?そんなわけがねぇだろ!この世界の住民全員がそれぞれの国からの移動者だよ」


「全員が、ということはあんたも移動者ってことか?」


「おぅ、俺はロシアから来たミハイルってんだ、よろしくな!」


なんとも気の良さそうな人だ。ミハイルさんね、覚えておこう。


「そういえばお前ら、スキルはどんなもん持ってるんだ?」


スキルの存在も知ってるのか?


「質問に質問で返して悪いんだが、なぜ僕らがスキルを持っていると思った?」


「ん?世界線移動の時に全員渡されるからだが?まさか貰ってないのか?」


なんということだ...特別にスキルをプレゼントすると言っていたからてっきり俺たちだけ持ってるもんだと思っていたのに...特別でもなんでもないじゃないか。


「私は治癒Ⅳです。」


「僕はアンデット特攻Ⅲと風魔法Ⅱを持ってるよ!」


「俺は虫特攻Ⅲと火魔法Ⅱだ!」


え?これ全員言わなきゃいけない流れになってない?俺のスキル強いのか弱いのかどころかどうやって使うのかすら分からないからあんまり言いたくないんだけど...


「言いたくない。」


「ん?まあそういうやつもいるか。俺は持ってないが相手のスキル名,内容を聞くことで発動条件を満たすスキルも中にはあるからな、警戒するに越したことはねぇな」


木崎くんナイス!これで言わなくても何とかなりそうな空気になった!




「それにしても特攻に治癒に魔法か...お前ら他に選択肢なかったのか?運のねぇヤツらだな」


「どういうことですか?私たちに説明してくれた人はスキルはその人の持つ素質によって決まって、私たちには素質があるって言ってくれましたよ?」


「は?おいおいお前たちの案内人は随分と適当なやつなんだな。いいか?少なくもと初期スキルってのは本人の素質なんて全く関係ねぇ、完全な運で決まるんだ。」


なんだと?ということは俺が素質だと思ってとったこのスキルはただ俺の運によって選択肢に入ってきたスキルだったってことか?


「そういうあんたはどんなスキルを持ってるんだ?」


木崎くんが話題を逸らしてくれた。助かったこれ以上知りたくなかったことを知らされていたら死にたくなっていたところだった。


「ああ、そうだな、この世界に長くいる分持ってるスキルの種類も多いが、俺の初期スキルは変装ってスキルだ」


そう言うや否やミハイルさんの姿が高校生くらいの見た目、というか木崎くんの姿に変わっていた。


「これは1度見た人間の姿になれるってスキルだ、しっかりとした顔のイメージが必要だから流石にすれ違ったくらいの人の姿にはなれねぇがな。それに変えれられるのは見た目と声だけで運動神経やらスキルやらは変わらないから強いかってなると微妙なんだけどな」


いやいや、見た目だけでも十分過ぎるくらい便利なスキルじゃないか。使い方次第でなんでも出来そうだし。




「さて、お前ら今日寝泊まりする場所は決まってんのか?決まってねぇなら俺たちが拠点にしてる場所に案内するぜ?1泊くらいならさせてやる」


それはありがたい。正直野宿になりそうで嫌だったんだ、ここ寒いし。異世界なら魔物とか出そうだし。


満場一致でお世話になることにした俺たちはミハイルさんの拠点に案内してもらうことになった。




「さて、ここが俺たちの拠点だ」


案内された場所はいかにも民家と言った感じの建物だった。いや、不満があるわけじゃないよ?ただもっと荒んでいるというか山賊とかが住んでいそうな建物を想像していたため正直とてもほっとした。


「もう日も暮れてるしさっさと飯食って寝ちまえ!」


そう言うとミハイルさんとその仲間らしき人たち数名が食事を用意してくれた。


「美味い!」


なんだこれは、鶏肉の見た目に魚みたいな食感だけど牛肉のステーキみたいな味がする。なんとも不思議な感覚だ。一体何の肉なんだ!


「そいつはバードフロッグっていう羽の生えたカエルの肉さ。ここら辺でいくらでもいるから気に入ったんなら好きなだけ狩って食えるぜ。」


カエルだった。けどこれだけ美味いとまた食べたくもなる。頑張って狩れるようになるかぁ。


カレルの肉以外にもミハイルさんたちは様々な料理を振舞ってくれた。


お腹が満たされ安心したからだろうか、俺たちは食事を終えると全員糸が切れたように眠りについた。




いつもの事だが、俺は自宅以外で寝た時は夜が明ける前に何度か目が覚めてしまう。...最後に自宅で寝たのって何週間前だっけ.....。今回も例外ではなく目を覚ました時には時計の針は2時15分を指していた。


せっかく知らない世界で早くに目が覚めたんだ、少し散歩でもしよう。そう考えた俺は用意してもらった部屋を出て外に出ようとしていた。


と、食事を出してもらった部屋を通り過ぎようとした時、


「あいつら簡単に眠りやしたね」


ミハイルさんの仲間の声が聞こえた。


「あぁ、これでまた経験値が手に入る、これだから初心者狩りはやめられねぇ」


初心者狩り?初心者っていうのはこの世界に来たばかりの俺たちのことだろうか。


「眠らせたあとはヤツらを殺すだけですもんね、ミハイルさん今回は俺にも何人か分の経験値くださいよ?」


は.......?

やばいやばいやばい!殺すとか言ってるよあの人たち!こんなとこからさっさと逃げなくちゃ!早くに目が覚める体質でよかった!と、その場を離れようとした瞬間、


「誰だ!?」


気配に気づいて後ろを向いたミハイルさんとばっちり目が合ってしまった。


「お前、こんな時間に何の用だ?今の会話聞いてたのか?」


「会話?なんのことですか?俺はただ散歩に行こうとしてただけですよ?」


「嘘はいけねぇな、聞いてたんならわかってるとは思うが今からお前には死んでもらう」


あ、終わった。それでもなんとか逃げようとしてみたが、死への恐怖からだろうか体がうまく動かない。こういう時って体が言うこと聞かないんだなぁ。そんなことを感じているうちに俺の体はミハイルさんがどこからか取り出した剣によって貫かれていた。


「安心しな、寂しくないようにすぐにお友達もそっちに送ってやるからよ」


ミハイルさんのそんなセリフを最後に俺の意識は遠のいていった。



.......


「リトライを使用しますか?」


...誰が喋っているんだ?というか俺はまだ生きているのか?


「リトライを使用しますか?」


でも確かに俺はミハイルさんに刺されて死んだよな、そういえば木崎くんたちは無事だろうか、あの後やっぱり殺されてしまったんだろうか


「リトライを使用しますか?」


ずっと頭に響いてくる。おかげで思考がまとまらない。


「リトライを使用しますか?」


うるせぇ!!よく分からないことの連続でまだ理解が追いついてないからちょっと黙れ!


「リトライを使用しますか?」


黙れって言ってんだろ!何?リトライを使用するか?結局リトライってなんだったんだよ!使わずに死んだよ!


「だからそれを今から使うかって聞いてんだよ!!!!」


返事が返ってきた。しかも相当怒ってるらしい。


「別に怒ってないですけど!?」


それは怒ってる人のセリフなんだよ。で?リトライってどんなスキルってことなの?


「リトライを使用しますか?」


答えろよ。


「ねぇ、流石にしつこいって言われちゃうから早く使用するを選択してくれない?」


誰に言われるんだよ。...けどまあ分かった、使用するよ。




目を覚ますと真夜中だった。時計を見ると時間は2時15分。さっきのは夢?いや、流石に夢にしてはよく出来すぎだろう。それにそういうスキル内容なのであればスキル名からも納得がいく。



どうやら俺の持つスキル『リトライ』は俗に言う死に戻りがを可能にするスキル、ということらしい。

聖也のスキル内容判明をもっと早くにさせたかったのにかなり長くなっちゃいました。

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