表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

冬童話2021投稿作品

ふたりの たからさがし 〜牛乳色の街で〜

作者: 衣谷強

冬童話2021投稿作品です。

雪で牛乳色に染まった街で、宝探しをする二人の子どもの小さな冒険をお楽しみください。

 ねんまつは どこも おおいそがし。


「ちぇ、『おおそうじの じゃまだから そとであそんでこい』って」


 おとこのこは ぐちを いいました。


「いつもは『おてつだい しなさい』って いうのに おとなって かってだよな」

「うちも そうだよ。しないと おこるのに しても おこるの ずるい」


 おんなのこも うなずきました。


「しょうがねぇから なんかして あそぶか」

「なにする?」

「ゆきで あそぶのも あきたな」

「じゃあ」


 おんなのこは ポケットから かみを とりだしました。


「たからさがし しよ」




   【ふたりの たからさがし】




「たからの ちず? かして!」

「だめ。かすと ひとりで いっちゃうもん」

「おまえ あし おそいんだもん」

「このたからものはね ふたりじゃないと みつけられないんだよ」

「そうなのか」

「だから いっしょに いこ」

「うん」


 ふたりは ゆきのまちを あるきだしました。


「どこに いくんだ」

「まずは まっすぐ」


「つきあたりだな」

「ここは みぎ」


「オレにも みせろよ」

「だめ。ここは ひだり」


「あれ? ここって」

「この かいだんを のぼる」


 ふたりが ついたのは おかのうえの こうえんでした。


「ここに たからが あるのか」

「こっち」


 おんなのこの あんないに おとこのこが ついていきます。


「ブランコ?」

「まずは これで あそびます」

「なんで?」

「じゃないと たからが みつからないの」


「つぎは すべりだい」

「オレ いっちばーん」


「すなばで やまと トンネルを つくります」

「みず くむやつ さがしてくる」


「てつぼう」

「これの あそびかた よく わかんねぇ」


 だんだんと ひが くれて きました。


「もう ぜんぶ あそんだぞ。たからは どこだ?」

「こっち」


 ふたりが きたのは、まちが みえる がけのうえ。


「わ……」


 ゆうやけの オレンジが まちの ゆきに はんしゃして きらきら しています。


「まちが きんいろだ」

「きれいでしょ。まえに パパと みつけたんだ」


 おとこのこは だまって まちを みました。


「ごめんね」


 おんなのこの ことばに おとこのこは ふりかえりました。


「なにが?」

「おこってる、でしょ?」


 なきそうな かおで おんなのこは いいました。


「たからものって うそついて」

「うそ?」

「これを いっしょに みたかったの。でも やだって いわれたら どうしようって おもったから うそついたの」

「うそじゃないよ」


 おとこのこは にっこり わらいました。


「こんな すげぇ たからもの みたこと ないよ! ありがとう!」

「ほんと? えへへ うれしいな」


 おんなのこも にっこり わらいました。


 てを つないだ ふたりを ゆうひが やさしく てらしていました。

読了ありがとうございました。

童話と呼べるかはいささか自信が無いですが、子どもが読んでも害はなく、大人が読んだら萌えられる。これぞ全年齢対象作品ではないでしょうか!(暴論)

字数がうまく収まったので、なろうラジオ大賞2にも投稿してみました。一粒で二度美味しい。

それではまた次回作でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] こんばんは! 私、サファイアの涙と申します。 初めまして。 とっても素敵な童話ですよねぇ・・・。 ほっこり心があったまりました。 私ですね・・・衣谷強様の物語のような、心が洗われる…
[良い点] 「わにのおじいさんのたからもの」 を思い出しました~!宝物を探しに行ったら素晴らしい夕日を見つけて、それが宝物なんだって思い込む鬼の子どものお話。それは本当は足元に宝物が埋まってたんだけど…
[良い点] このまま二人一緒に過ごしたら、男の子は女の子に手玉に取られてそうなところ。 しかもそれを全く男の子に気づかせない、寧ろリードさせてると勘違いさせて……恐ろしいものです。 [気になる点] て…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ