ふたりの たからさがし 〜牛乳色の街で〜
冬童話2021投稿作品です。
雪で牛乳色に染まった街で、宝探しをする二人の子どもの小さな冒険をお楽しみください。
ねんまつは どこも おおいそがし。
「ちぇ、『おおそうじの じゃまだから そとであそんでこい』って」
おとこのこは ぐちを いいました。
「いつもは『おてつだい しなさい』って いうのに おとなって かってだよな」
「うちも そうだよ。しないと おこるのに しても おこるの ずるい」
おんなのこも うなずきました。
「しょうがねぇから なんかして あそぶか」
「なにする?」
「ゆきで あそぶのも あきたな」
「じゃあ」
おんなのこは ポケットから かみを とりだしました。
「たからさがし しよ」
【ふたりの たからさがし】
「たからの ちず? かして!」
「だめ。かすと ひとりで いっちゃうもん」
「おまえ あし おそいんだもん」
「このたからものはね ふたりじゃないと みつけられないんだよ」
「そうなのか」
「だから いっしょに いこ」
「うん」
ふたりは ゆきのまちを あるきだしました。
「どこに いくんだ」
「まずは まっすぐ」
「つきあたりだな」
「ここは みぎ」
「オレにも みせろよ」
「だめ。ここは ひだり」
「あれ? ここって」
「この かいだんを のぼる」
ふたりが ついたのは おかのうえの こうえんでした。
「ここに たからが あるのか」
「こっち」
おんなのこの あんないに おとこのこが ついていきます。
「ブランコ?」
「まずは これで あそびます」
「なんで?」
「じゃないと たからが みつからないの」
「つぎは すべりだい」
「オレ いっちばーん」
「すなばで やまと トンネルを つくります」
「みず くむやつ さがしてくる」
「てつぼう」
「これの あそびかた よく わかんねぇ」
だんだんと ひが くれて きました。
「もう ぜんぶ あそんだぞ。たからは どこだ?」
「こっち」
ふたりが きたのは、まちが みえる がけのうえ。
「わ……」
ゆうやけの オレンジが まちの ゆきに はんしゃして きらきら しています。
「まちが きんいろだ」
「きれいでしょ。まえに パパと みつけたんだ」
おとこのこは だまって まちを みました。
「ごめんね」
おんなのこの ことばに おとこのこは ふりかえりました。
「なにが?」
「おこってる、でしょ?」
なきそうな かおで おんなのこは いいました。
「たからものって うそついて」
「うそ?」
「これを いっしょに みたかったの。でも やだって いわれたら どうしようって おもったから うそついたの」
「うそじゃないよ」
おとこのこは にっこり わらいました。
「こんな すげぇ たからもの みたこと ないよ! ありがとう!」
「ほんと? えへへ うれしいな」
おんなのこも にっこり わらいました。
てを つないだ ふたりを ゆうひが やさしく てらしていました。
読了ありがとうございました。
童話と呼べるかはいささか自信が無いですが、子どもが読んでも害はなく、大人が読んだら萌えられる。これぞ全年齢対象作品ではないでしょうか!(暴論)
字数がうまく収まったので、なろうラジオ大賞2にも投稿してみました。一粒で二度美味しい。
それではまた次回作でお会いしましょう。