CASE3『謎のガスマスク』
まだ薄暗い明け方の空の下。街は徐々に目を覚まし、少ないながらも人が出てきている。
路地裏を歩く骸骨男の背中を追う未来は、ジッと骸骨男を見つめた。
黒いトレンチコートと黒いソフト帽、赤いマフラーという姿の骸骨男は、二メートル近い体格もあって、かなり目を引くだろう。
だからこそ、人目のつかない路地裏を歩いているのだろうが、もしも街を普通に歩いていたら警察の職務質問されることは間違いない。
だけど、未来の情報には骸骨男らしい情報は入ってきていなかった。それだけ警戒して街に住んでいるんだろうけど、ここまで情報がないのは少し不可解でもある。
もしかしたら、骸骨男__不死人狩りの情報は、誰かによって意図的に隠されているのかもしれない。
思考を巡らせていた未来は、立ち止まった骸骨男に気付かずに背中にぶつかる。
ぶつけた鼻をさすりながら文句を言いたげに骸骨男を睨んでいると、骸骨男は黒い手袋をはめた指である店を指さした。
「ここだ。入るぞ」
そう言って骸骨男はその店__古ぼけた外観のバーに入っていく。
路地裏にひっそりと佇むバーの扉の上には、<NO NAME>と書かれていた。
「店名が名無しって……変なの」
そんな感想を漏らしながら未来もバーに入ると店内は薄暗く、客の一人もいない。
そして、バーカウンターにいた暇そうに頬杖をついている金髪の外国人らしい彫りの深い顔立ちをした男に骸骨男が話しかけた。
「よう、ジョン。調子はどうだ?」
「ご覧の通り忙しいぜ。骸骨の男が訪れるぐらいな」
ジョンと呼ばれた男が軽口で返すと、骸骨男は顎骨をカタカタと鳴らして笑い、カウンターの前に置いてあった丸椅子に腰掛ける。
「いらっしゃい、スカルヘッド。何か飲むか?」
「ならいつものをくれ。嬢ちゃん、お前も座りな」
ジョンは未来に気付くと、ニヤリと笑いながら丸椅子に向かって手を差し向けた。
「おやおや、これは可愛らしいお客様だ。こちらにどうぞ、フロイライン」
「あ、ありがとうございます……」
未来が丸椅子に座ると、ジョンは貴族を演じるようにボウ・アンド・スクレープで頭を下げると、口角を上げて笑う。
「私の名はジョン・ドゥ。しがないバーのマスターをしております。ちなみに、偽名ですので」
「あ、はい。私は早川未来……って、え? 偽名?」
さらっと偽名だと言われて未来は呆気に取られていると、骸骨男がため息を漏らす。
「店名を見ただろ? そういうことだ」
「__あ、なるほど。名無しってことね」
未来は<NO NAME>……名無しという意味の店名からジョン・ドゥは日本で言うナナシの権兵衛だと思い出し、納得した。
すると、ジョンは感心するように口笛を鳴らす。
「へぇ、お嬢ちゃん中々物知りだな」
「これでもジャーナリスト志望なんで」
未来の夢がジャーナリストだと知ったジョンは、カラカラと笑った。
「ハッハッハ! そいつはいいな! 俺と気が合いそうだ!」
「白骨さんから聞いたけど、ジョンさんは情報屋なんですよね?」
「白骨さん? なんだ、スカルヘッド。そう呼ばせてるのか?」
「……勝手にそう呼ばれてるだけだ」
骸骨男は面倒臭そうにソフト帽を被り直しながらため息を吐く。ジョンは骸骨男のことをスカルヘッド……骸骨頭と呼んでいるらしい。
なんとも安直だが、自分もそうかと未来が苦笑していると、ジョンは骸骨男の前にマグカップを置いた。
「はいよ、いつもの」
「……それって、牛乳?」
マグカップに入っていたのは、牛乳だ。いつもの、と頼んでいたから骸骨男の愛飲しているものなんだろう。
とは言え、こんなバーに来て牛乳を飲むなんて格好がつかないな、と未来が思っていると察したのか骸骨男はカタカタと顎骨を鳴らす。
「飲んでる物が男を決めるんじゃねぇ。いい男が飲めば、牛乳もバーボンになるんだ」
「……まぁ、別にどうでもいいけど」
物は言いようだ、と肩を竦める未来にジョンはカラカラと笑う。
そして、牛乳を一口飲んだ骸骨男は本題に入った。
「ジョン、夜にグリーンを狩った」
「知ってるよ」
骸骨男が言うグリーン、それは未来を襲った不死人のことだ。だが、ジョンは骸骨男が伝えるよりも先に情報を得ていたようで、退屈そうに欠伸を漏らす。
「なんだ、それだけのために来たのか?」
「いいや、違う。買い物をしに来たんだ」
「__ほう? 買い物か」
買い物、と聞いてジョンの顔が真剣な表情に変わった。それはバーのマスターではなく、情報屋としての顔なんだろう。
「何をお求めで?」
「ある人物を探している。嬢ちゃん、お前の探している奴の名前は?」
「えっと、日向愛子よ。私と同じ女子校に通っている、高校二年生。私の親友で、五日前から行方不明になっているの」
ジョンは顎に手を置いて考え事を始め、ブツブツと日向愛子の名前を呟く。
すると、ニヤリと笑って口を開いた。
「一つ、あるな」
「いくらだ?」
「そうだな……確か、未来ちゃんだったよな?」
一つだけ情報があったようですぐに骸骨男が値段を聞くと、ジョンは少し考えてから未来をチラッと見る。
名前を確認された未来は戸惑いながら頷くと、ジョンは頬を緩ませた。
「可愛らしいお客さんの初来店だ、今回は特別サービスでタダにしてやるよ」
「本当!? ありがとう、ジョンさん!」
「ハッハッハ! ジョンでいいぜ」
無料で情報を提供すると言ったジョンに未来はパァッと明るい笑顔を向けていると、骸骨男は逆に訝しげに伽藍堂の目をジョンに向ける。
「……何が目的だ?」
「おいおい、スカルヘッド。まるで俺が金の亡者のように言いたげだな」
「事実だろう」
「ま、白状すると金を取るほどの情報ではないんだ」
ジョンはやれやれと肩を竦めながら、日向愛子についての情報を話す。
「ここ最近、警察が捜索している失踪者の中に、日向愛子という名前があった。だけど、捜査は難航してて、どこにいるのかはまだ分かっていない」
「そんな……まさか、愛子も不死人に……?」
「その可能性はある。が、今のところ女子高生の不死人は見つかってない。死体もな」
ショックを受けている未来にジョンが言うと、骸骨男はカタッと骨を鳴らしながら口を開いた。
「五日も経っているのに、死体も見つかってないだと?」
「そうだ。不死人になるのは罹患して二日後。五日も行方不明なら死体として見つかっててもおかしくない。だが、死体どころか不死人の姿ですら見つかってない」
「……妙だな。これだけの日数が経過しているのにお前が把握していないなんて」
情報屋としてあらゆる情報を集めているジョンですら、日向愛子の動向が掴めていないことに違和感を覚える骸骨男。
ジョンも同意見なのか、短く切り揃えた金色の髪をガシガシと掻いて頷く。
「そこなんだよ、俺の情報網に引っかからないなんて普通じゃありえねぇ」
「__何か、ありそうだな」
二人の会話を聞いていた未来は、話の内容を理解していた。
もしも愛子が不死人になっていれば、ジョンにその情報が入っているはず。それなのに、不死人どころか死体としてもまだ見つかっていない。
それが導き出す答えは__。
「__第三者による犯行」
ボソッと未来が呟くと、ジョンは感心したようにニヤリと笑う。
「やるな、未来ちゃん。将来、探て……」
「探偵になるつもりはないわ」
言われる前に否定されたジョンはチラッと骸骨男を見ると、肩を竦めてカタカタと顎骨を鳴らして笑って返される。
未来は顎に手を当てながら、頭の中に詰め込んだ情報を検索し始めた。
「愛子が第三者によって誘拐されたとすると、どこかにそいつがいる。不審な奴や怪しい建物、乗り物……誘拐するなら車ね。今のところ、私にはその情報が入っていないわ」
「__面白い。未来ちゃん、面白いぞ」
ブツブツと独り言を呟いていた未来に、ジョンは楽しそうに笑みを深める。
「なぁ、スカルヘッド。この子、俺にくれないか? 育て上げて右腕にしてぇ」
「俺に許可を求めるな。嬢ちゃんに聞きな」
「それもそうだな。で、どうだい未来ちゃん? 俺に弟子入りしない?」
「……考えておくわ。ねぇ、ジョンさん」
ジョンからの弟子入りの提案を軽く流した未来は、真剣な眼差しでジョンを見つめた。
「__私も買い物がしたい」
「……ハッハッハッハッハ!」
未来も買い物……情報を買いたいと言われたジョンは、とうとう腹を抱えて笑う。
目に涙を浮かべながら爆笑したジョンは、カウンターをバンッと叩いた。
「いいぜ、未来ちゃん! 出血大サービスだ! 今回は無料で情報を提供しよう!」
「おい、ジョン」
「いいんだよ、スカルヘッド! これは先行投資だ! 未来ちゃんがこの事件をどう解決するのか、興味が湧いた!」
窘めようとする骸骨男にジョンは興奮しながらニヤリと笑う。
そして、ジョンはニヤニヤと笑みを浮かべたまま未来に言い放った。
「どんな情報がお望みだ?」
「……ここ最近で不審な奴や車の情報はある?」
「あるぜ。二ヶ月前だが、街に黒いワゴン車が街を徘徊しているらしい。それだけなら特に気にすることはないだろうが……そのワゴン車は不死人が発見された現場によく現れているんだ」
不死人が発見された現場を回る黒いワゴン車。確かに、不死人の存在を知っている者なら不審に思うだろう。
何か目的があって徘徊している黒いワゴン車について、ジョンは話を続ける。
「黒いワゴン車のナンバーはその日によって違うらしい。だが、同一の物のようだ。偽装したナンバープレートを逐一変えて、身バレを防いでいるんだろう。スモークで中が見えず、誰が乗っているのか、何人いるのかも不明だ」
「でも、必ず本拠地に戻るはず。その情報は?」
「……確かに、そのワゴン車が止まっていた場所はある。だが、それもその日によって違っているから、どれが本拠地なのかは分からないな」
「その数は?」
「__十五件だ」
居場所がバレないように一五件の拠点を回っているらしい。かなり用心深いのは間違いなかった。
十五件も回るのは厳しく、いずれ不審に思った犯人が姿を眩ませる可能性があるだろう。
調査は難しそうだ、と未来が顔をしかめると骸骨男が話に入ってきた。
「別に拠点を探す必要はないだろう」
「なんでよ?」
「さっきもジョンが言っていたが……そいつらは不死人が現れた場所を回っているんだろう? ここ最近で不死人が見つかった場所と言えば?」
骸骨男の言葉に、未来はハッと目を見開いて気付く。
「そっか! 私が襲われた路地裏!」
「何を目的にしているかは知らんが、不死人が発見された現場を回ってるなら間違いなく路地裏にも現れるはず」
「……そこで犯人をとっ捕まえる!」
今後の方針が決まり、未来は嬉しそうに笑った。
すると、骸骨男は牛乳を飲み干して立ち上がる。
「ジョン、黒いワゴン車が街を徘徊している時間帯は?」
「__五万だ」
「……嬢ちゃん」
「ジョンさん、その時間帯は?」
「大体早朝だな。今ぐらいの時間が多い」
骸骨男が聞けば料金が発生するらしい。呆れる骸骨男の代わりに未来が聞くと、ジョンは快く答えた。
そして、早朝の今ぐらいの時間に黒いワゴン車が徘徊しているらしい。
それを聞いた骸骨男は素早くバーの出口に走る。
「そうなるともう来ているはずだ。急ぐぞ、嬢ちゃん」
「え!? ちょ、待って!」
骸骨男を追って慌てて走り出す未来に、ジョンは手を振りながら見送った。
「未来ちゃーん! またおいで! いつでもこの店は開いてるからさー!」
「分かりましたぁ! ありがとうございます!」
未来が外に出ると、骸骨男の背中はもう遠くなっている。
出遅れた未来は必死に足を動かし、骸骨男を追った。
「はぁ、はぁ……は、速すぎだって……ッ!」
曲がりくねった路地裏を颯爽と走っていく骸骨男に、未来は追いつけていない。
呼吸を荒げながら走り続ける未来が路地裏を曲がると、そこには骸骨男が足を止めて立ち尽くしていた。
急に止まれずに未来は骸骨男の背中にぶつかり、尻餅を着く。
「いたた……ちょっと! 何をして」
文句を言おうとした未来に、骸骨男は無言で手を向けて黙らせる。
言いようのない雰囲気を感じた未来が黙り込むと、骸骨男はホルスターからリボルバーを抜いて、小声で声をかけた。
「__いる」
そのまま骸骨男は足音を殺しながら、路地裏を進む。
そして、次の曲がり角の手前で止まると、こっそりと角の先を覗き込んだ。
未来も同じように顔を出すと、そこには二人の男が立っていた。
「……あれって」
「あぁ。恐らくな」
小声で話していると、二人の男は地面__未来を襲った不死人が消えた場所で何かを探している様子だ。
一人の男は筋骨隆々で長身。黒いサングラスにスーツという姿で、見た感じボディガードのように見える。
そして、もう一人の男は白いスーツに白いソフト帽。ヒョロっとした痩せ型の男で、一番の特徴は顔につけている物。
それは、ガスマスクだ。
明らかに怪しいガスマスクの男は、不死人が消えた地面に手を触れるとクツクツと肩を揺らして笑っている。
「__ここだ。間違いない」
ガスマスク越しのぐぐもった声で笑うと、ガスマスクの男はポケットから小瓶を取り出して栓を抜く。
そして、その小瓶を地面に置くと中にどんどん黒い砂のような物が集まり出していた。
半分近くまで黒い砂を集めたガスマスクの男は、すぐに小瓶に栓をして中身を確認する。
「……これだけあれば、充分だ。行くぞ」
ガスマスクの男はスーツ姿の男に目を向けてから、その場を立ち去ろうとしていた。
ここで逃す訳にはいかない、と未来が飛び出す前に__骸骨男が靴音を鳴らしながら悠々と角から姿を表す。
「おいおい、そこの二人。そこで何をしてるんだ? 砂遊びしたいなら公園でやるんだな」
「__誰だ!」
突然現れた骸骨男に、ガスマスクの男は振り返って叫んだ。
すると、骸骨男は両手を上げて肩を竦める。
「そんなに怒鳴らなくてもいいだろ? お前たちが変なことをしてるから、声をかけただけだ」
距離があり、帽子とマフラーで隠しているから、相手からは骸骨男の骨の体は見えていないだろう。
それでも、トレンチコートを着た変な男の登場に、ガスマスクの男たちは警戒している。
「……私たちはこの辺りの地質調査をしているだけだ。特に怪しくはないぞ?」
「フンッ、そんなガスマスクを付けて怪しくないってことはないだろ。そもそも、地質調査? 嘘だな」
「どうして嘘と?」
骸骨男はガスマスクの男が嘘を吐いていると断定し、はっきりと言い放った。
「お前たちが集めてるのは……不死人の残骸だろうが」
「__殺せ!」
ガスマスクの男が小瓶に集めていた黒い砂のような物。それは、不死人の残骸だった。
不死人、と聞いたガスマスクの男はすぐに隣にいたスーツの男に命令する。
スーツの男が懐から銃を抜いた瞬間、銃声が響き渡った。
「ぐ、あぁッ!?」
スーツの男は小さく呻きながら手を押さえる。手に持っていた銃は地面を転がっていた。
そして、骸骨男はいつの間にか抜いていた銃口から硝煙が上がっているリボルバーを構え、カタカタと顎骨を鳴らして笑う。
「いきなり殺そうなんて、物騒だな。少しは話し合いで解決しようとは思わないのか?」
「貴様、いつの間に……!」
「それで? お前たちは何者だ? どうして不死人の残骸を集めている?」
骸骨男の早撃ちに驚くガスマスクの男。
そして、骸骨男は銃口を向けながら、引き金に指をかける。
「__全て話して貰おうか。黙秘権はないからな? 話さないと、そのガスマスクが無意味になるぜ」
話さなければガスマスクに風穴を開ける、と暗に言い放つ骸骨男。
すると、ガスマスクの男は肩を揺らしながら笑い始めた。
「ククク、そうか。なら、仕方ないな……」
そう言ってガスマスクの男はポケットから何かを取り出す。
それは、血のように赤い液体が入った注射器だった。
そして、ガスマスクの男は注射器を蹲っているスーツの男に突き立てる。
「が、あ、あぁ……」
「おい、何をしている? 何を打ち込んだ?」
「__楽しい楽しい、お薬だ」
注射器を打ち込まれた男は苦しそうにのたうち回っている。それをガスマスクの男はケラケラと楽しそうに笑って見下していた。
様子のおかしい男に骸骨男は銃口を向けていると__。
「……ぐ、ル、ルル、ルォォォォォォォォッ!」
男はまるで獣のような咆哮を空に向かって放つ。
そして、かけていたサングラスが地面に落ちると__露わになった瞳は、赤く染まっていた。
それを見た骸骨男は、唖然としながら呟く。
「不死人、だと……ッ!?」
不死人に成り果てた男は、獣のように四つん這いになりながら喉を鳴らして威嚇している。
ガスマスクの男は高笑いしながら不死人の背中を叩いた。
「奴は獲物だ。奴を殺せ。脳を喰らえ__行け!」
「グルアァァァァァッ!」
ガスマスクの男の指示を聞いて、不死人になった男が駆け出す。
飛びかかってきた不死人をサッと躱した骸骨男は、リボルバーを向けた。
「人工的に不死人を作り出すだと? そんなこと、出来るはずが……」
「それが可能になったんだよ、私の手によってな」
骸骨男の疑問に答えるように、ガスマスクの男が自慢げに話す。
「もうすぐ我が宿願が叶う……邪魔はさせない」
「待て! くっ!」
立ち去ろうとするガスマスクの男を止めようとリボルバーを構える骸骨男は、邪魔はさせないとばかりに襲ってくる不死人の対応に追われて止めることが出来ない。
そして、ガスマスクの男は背中越しに振り返ると、クツクツと笑った。
「さらばだ。二度と会うことはないだろうがな」
それだけ言い残すと、ガスマスクの男は路地裏から出ていく。
残された骸骨男は、面倒臭そうにため息を吐いてガスマスクの男が去っていった方向を見つめた。
「ったく、面倒なことに巻き込まれたな」
「__グルアァァァッ!」
隙を見せた骸骨男の背中を襲おうと飛びかかった不死人。
だが、骸骨男は背中を向けたままリボルバーを構え、ノールックで引き金を引く。
路地裏に銃声が轟くと、銃弾は不死人の額を正確に撃ち抜き、黒い砂になって消えていった。
骸骨男はリボルバーをホルスターに仕舞うと、ソフト帽を被り直す。
「だが、これで俺にもあいつらを追う理由が出来た。人工的に不死人を作るなんて、見過ごせねぇ」
謎のガスマスクの男。人工的に不死人に変えられたスーツの男。
ただの人探しの依頼は、この瞬間その色を変える。
謎のガスマスクの男の捜索と、目的の阻止に。
お読み頂きありがとうございました!
異世界×ロックバンドの転移もの作品!
『漂流ロックバンドの異世界ライブ!〜このくだらない戦争に音楽を〜』
も、よろしければお読み下さると嬉しいです!
では、また来週〜。