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ワールド・ブラインド   作者: 宝の飴
第三章 「」
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第四話 身近な暗闇

「何があるとも思いませんねぇ、こんなところ」


 クリスの蹴った小石が廉太郎の足に当たり、いかに退屈なのかを伝えてくる。もはや懐かしくすらあるいつかの洞窟の中、確かに目ぼしいものは何もない。


「あと少しでいいから、付き合ってくれ」

「はいはい」


 廉太郎にとっての始まりの洞窟。元の世界への帰還の手がかりを探すための探索だが、無意味だと分かっていたかのようにクリスは初めから乗り気でない。しかし文句を言いながらも、その足取りを合わせようとしてくれてはいる。

 見た目にはすっかり分からなくなっているが、まだ怪我が治りきっていないクリスが歩くには不安定な地面。それでも手さえ引かれたがらない彼女には、なにやらあの日のユーリアを思い出させられてしまう。

 クリスの場合、単に強がっているだけなのだが。


「何だか疲れてきましたね。主に心労のせいですが」

「心労……?」

「こっちの話です」


 何のことかと目を向けるも、その表情に変わりはない。またぞろ冗談か何かか、しかし伝わらなければ独り言同然だというのに。

 いきなり暗闇に放り込まれた前回とは異なり、当然灯りは用意してある。

 キャンプの経験もなく、不便さという道具に凝ることもなかった廉太郎にとっては馴染みのない、手提げの灯り。ガラスが火を囲むその灯りは、分類的には洋灯。ランタンに当たるもの。

 燃料は油。電気でも魔力でもなく。

 照明家具や街灯としてのそれには広く燃料魔力が使われているが、小型で携帯のできる物へ落とし込めるほど、取り回しのいい燃料ではない。

 何にせよ、懐中電灯以外で暗闇を照らすのは風情がある。指向性のない火の灯りはまんべんなく周囲へと広がり、洞窟の岩壁に二人の人影を揺らしている。


「確かに手がかりなんて何も見つかりそうにないけど、つまらなくはないだろ」

「洞窟が?」

「あぁ。洞窟だからな」

「……あなたにとってはそりゃ思い出深いんでしょうけど、私にとってはただの穴なんでね」


 この場に、ユーリアは同行させなかった。

 彼女と出会った場でもあるが、あの日起きたことを思えば彼女にとって気分のいい場所ではないだろう。

 寝込んでいるロゼを見舞ってから目に見えて気落ちしていたこともあり、廉太郎は――クリスはいるが――単独行動を申し出たのだ。

 昨晩には今まで以上に力になりたいと言ってくれていた手前最後まで渋っていたが、そんなユーリアは一人図書館に向かわせておいた。未だその回復を確認していないトリカの様子が、気になっていないはずがないと思ったのだ。どころか本心では、気が気でさえないのだろうし、彼女にとって最も大事なものを優先して欲しい。

 廉太郎が図書館から出禁を食らっている現状、タイミングが良かったとも言える。

 しかし――


「駄目で元々だったけど、やっぱり何もないとなると……結構きついものがあるな」


 すでにあのとき、周囲は探索して何もないと知っていた。

 だが廉太郎の頭で思いつく限り、帰れる可能性があるのは迷い込んだ自分を自覚したこの場だけ。他には何も案がない以上、少ない希望が絶たれたようで階段から落ちたような精神の浮遊感に襲われてしまう。

 それこそ、とてもつまらないなどと思っている余裕がないほどにだ。

 自嘲するような笑みが口元に浮かび、他愛のない話がクリスへと向かう。気づけば縋るように、


「映画とか、怪談とかでは鉄板なんだけど――」

「えい――怪談……?」


 何の気なしに零れた言葉。それに何かが引っかかったのか、クリスは怪訝そうに眉をひそめこちらを見上げた。

 言わずとも伝わると思っていただけに、見解がすれ違ったような手ごたえのなさを覚えてしまう。


「異界への入り口って、そのまま出口になっていたりするから」


 トンネルやら、マンホールやら。

 鳥居だったり、門だったり、果てはエレベーターの存在しない階の扉だったりもする。

 この場合の洞窟も、『闇』と『穴』という点で見ればいかにもという話だ。ぼんやりと、同じ類いの話を聞きかじったことがある――ような気がしないでもない。

 それら怪異譚では往々にして、次元の歪む場所が固定であり、そこから逃げられたりもするものだ。しかし、現実として起きてしまったこのケース、どうにも入り口は閉ざされ別口を探し回らねばならないパターンであるらしい。

 帰還できなければ怪談にもならない。本当にあったという体で語られる性質上、創作の上では帰還方法が必ずあるというもの。ところが現実の上では、帰れなかったとしても行方不明の一言で辻褄があってしまうのか。笑えない話だ。


「えっと、それってつまり……」


 クリスの声が、何やら衝撃を受けたように震えている。そうして足を止めたかと思えば、見上げてくる表情がなんとも言えず切なげであった。


「自身の状況をずっと『ジャンル・ホラー』で捉えていたってことですか――?」

「他に何が……」

「いやほら、ファンタジーとか」

「大差ないだろ」

「大ありなんですけど」


 そう言うクリスの表情は面白くなさそうで、いっそ機嫌が悪そうでさえあった。

 少し考えてみて、一つの事実に考えつく。その世界の当事者に向けて、これでは『お前たちは恐怖の化身だ』と言っているようなものだ。

 いい顔をされなくて当然と言える。

 口が軽率に滑ったことを後悔し、せめて他の人には決して言わないよう心に決めておいた。

 しかし、クリスの懸念するものはどうやらまた別のところにあるようで、


「あの……魔法とか、そっちでいう超常の力があふれているのを見て、何も思わないんですか?」

「そう言われても、ホラーって超常のことだからな……」


 霊力、呪術、怪異現象。海外を見れば悪魔関係か。

 超能力だろうとなんだろうと、理不尽に人を害する力であるならば、それは恐怖の対象となる。

 そこに人がいる以上、悪意や敵意、あるいは理不尽、理解不可能な事象が生まれ得る。そこに恐怖や悲劇が付随するのだ。

 だから、あらゆるジャンルはホラーを内包しているとも言える。

 この場合、家に帰れないという現象自体、それがもう立派に恐怖劇足らしめている。


「あぁ……どうしても恐怖ものにしたいんですね」

「したいっていうか、無理もないだろ。俺の立場なら」


 初めは、ユーリアですら恐ろしい存在なのではないかと疑ってしまったほど。異界が語り部に悪意を向けるのが常だから、人の皮を被った悪魔か何かではないのかと、言葉を交わしながら思っていた。

 今となっては、本人にすら告白してしまえるような笑い話だ。

 世界、次元を超えた先にいる現地人が好意的なケースで、本当に恵まれていたと心から思う。


「好きなんですか、そういうの……」と、クリスの目がどこかよそよそしい。

「まあ、人並みには」

「悪趣味です。理解できませんよ」

「…………」


 おそらく、その手の愛好者のほぼ全員が言い返せないであろう正論。

 しかし吐き捨てられた言葉に見え隠れてもいない偏見がどうにも無視できず、一言――たった一言くらいは言い返しておこうと口を開ける。


「まぁ、少し早いかな。子供には――」

「うわっ、どうりでその手の映画ばっかり見てたわけですか……暗い人ですねえ」

「別に暗くはねえよ!」


 ――暗いのは画面だけだ。

 偏見もいいところである。


「……むしろ明るい方なんだぞ。誰かと一緒なら、どうあっても盛り上がれるんだから」


 独りならともかく――そうでないのなら、むしろ他のジャンルより遥かに大騒ぎできる映画。悪趣味も他人と共有すればエンターティメントに変わるのだ。

 後ろ指を刺される覚えはない。

 しかし、クリスの懐疑的な目がやけに胸へと染み込んでいく。


「居たんですかあ、一緒に見る友だち」

「――当たり前だろ」


 澄まして返したその言葉に嘘はかったが、本心ではなかった。


 友だち――そう思えるかどうかは別として、一般的にはそう呼びあっていいくらいの付き合いであれば、廉太郎の持つそれは少なくない。

 互いの趣味に付き合うことくらいはするし、同年代の男子というものは互いに対する対抗心や見栄が強いものだ。ホラー映画の観賞など、肝試しに進んで参加したがるように、何物にも動じない互いの勇敢さを確かめ合うようなモチベーションで臨んでくる。

 女子は女子で、スプラッターものに対する耐性が異様なほど高かったりするものだ。

 

「けっこう居たよ」

「へぇ――」


 信じているのかいないのか、どうでもよさそうな生返事。こういうときばかり、思考が覗かれなくなったのを不便にさえ思ってしまう廉太郎がいた。


「しかしあれですね。廉太郎はあまり読まなかったんですか、漫画とか」

「……何で?」

「いや、日本人ならもう少しノリが良いものかと」


 ――いったい何を知っているつもりなのだ、日本の。

 微妙な問いに、微妙な顔で「……まぁ、子供のころなら」と答えてやる。すると、意外な答えでも聞いたかのようにクリスの目が丸く開き、


「おや。むしろ廉太郎くらいの歳が一番読んでいそうなものなのに」

「自然と読まなくなったんだよ」

「なぜです?」

「別に――」

 

 先ほどに増して、妙なところを突いてくるクリスの問い。それが、廉太郎には少しばかり都合が悪かった。

 だが、そうやって曖昧な返事で済ませようとした廉太郎に、「あぁそうすか」となじるような意地の悪い口調が飛んでくる。

「無理に聞くほど興味はないですけど――」と、やけに煽るように付け加えられたクリスの調子。

 それに応えないのが逆に癪なようでさえあり、廉太郎は仕方なしと口を開いてやった。特別重いわけでもない口だったが、積極的に開くには気の進まない口でもあった。


「……子供のころ、お前より少し小さいくらいのころの話だ」

「語り始めましたね」

「込み入ってるんだよ、少し」


 差し込まれたクリスの茶化しに、話を続ける気が半分近く削られていくのを感じる。

 咳払いをわざとらしく交え、廉太郎は話を続けた。


「誕生日に、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんから『プレゼントは何がいいか』って聞かれたんだ。……俺は、流行っていた漫画が欲しいと思った」

 

 何冊も続いていくものだから、子供の小遣いで集めるのは容易ではない。親にねだることもしなかった廉太郎は、自然とそれらの一式を欲しい物として思い浮かべたのだ。


「でも見栄をはって、俺は『本が欲しい』って言ったんだ。……一番いい図書券が貰えたよ」


 当時小学生だった廉太郎を、祖父母は『真面目でかしこく、好奇心の強い子』だと言って喜んだ。確かに、子供ながら本を読む方ではあったから、祖父母の誤解は無理もないものだった。

 文章を目で追うだけで勉強になる歳の頃、子供ながらに金はいくらかけても問題ないと思ったのだろう。三万円分の図書券は、子供が持つには過ぎた額だった。

 意図せずとも騙してしまった自覚は当時にもあった。悪いとは思ったのだが、しかし嘘を言ったわけではない。その事実に見て見ぬふりを勧められ、やがて気にすることも忘れていった。


「でも、それは自然と二人に知られちゃって……」

「失望させてしまったと」

「いやそこまでじゃない。ただ――」

 

 あぁ、そうだよな――と、二人の早まった勘違いを笑い話にさせてしまったのだ。

 祖父母の孫への期待が裏切られたというわけでもなく、二人は怒るでも、がっかりするでもなく、ただそれを受け入れただけだった。

 それが廉太郎にとっては、なによりも辛い反応だった。


「それから意識して本を手に取るようになって、漫画には極力触れなくなったな。そういう、自分のイメージを固めてしまいたくて」


 祖父母がそんな自分を見聞きしていてくれれば、あのときの期待は間違いにならない。図書券で買ったあの漫画は、そのときの気まぐれだった――そういうことにしておきたかったのだ。


「ふーん、そうですか」


 興味津々に聞き出しておいて、いざ聞き終われば酷く退屈な話を聞いたとばかりのこの態度である。さすがに、赤の他人でしかも子供だとはいえ――本人は人間ではないと言い張ってはいるが――その人間性に疑問を感じずにはいられない。むしろ子供だからこそ何か言ってやるべきなのかもしれないが、互いにある複雑な関係性がどうにも廉太郎の口を重くしてしまうのだ。


「では、アニメーションとかは?」


 クリスの問いは次へと移った。何を聞いていきたいのかはさっぱり見えてこないのだが、別段回答に困る事情もないので廉太郎は素直に応じてやった。


「ああいうの、親からチャンネル権を奪ってしまうみたいで、気が引けたんだよな」


 大人が子供の見る物に心から興味など引かれないだろうと、幼少期から居間のテレビが映すものを親に任せる癖がついている。気を利かせて映してくれた子供番組も、こちらが気を利き返し興味のない振りで通していた。


「ビデオゲームとか」

「触ったことくらいはあるよ、友だちの家で」


 ――正確には『友だちみたいな奴』の家で、だが。

 高価ゆえ親にねだれるはずもなく、小遣いの使い道としては褒められそうにない。その上、夢中になるようでは心配までかけさせてしまうような代物。子供にとっては麻薬に等しい。

 

「……なるほど、なるほど」


 心理テストのつもりなのか、聞きたいことを聞き終えた様子のクリスは腕を組み、しきりに頷いてみせている。いまいち面倒くさくなりそうな様子に、思わず廉太郎の顔が苦くなる。

 

「暗い人ですね」

「だから何でそうなるんだよ」


 平均より考えが固い自覚はあるにせよ、人格まで揶揄される覚えはなかった。

 とびきり明るい方だとも思わないが、どこにいても見えなくなることはない程度に周りを照らしているはずなのだ。


「ふーむ……映画が趣味ってのは悪くありませんが、メインがホラーなのは軽く終わってると思いますよ?」

「言い過ぎだろ。いい加減にしろ」

「何度か騙されましたからね。恋愛ものかと思えば、序盤でそのカップルが死んでいくやつとか」

「――作品も俺も悪くないとは思うけど……それはごめん」


 廉太郎の魂を再生機器代わりに、記録され続けたデータから娯楽にできるものを勝手に抜き出しているクリス。現実で動きながら、同時に意識の水面下で漁っていられるのだから、結構な映画作品に目を通しているに違いない。

 そしてその際、興味のある映像を見ようとして内容に裏切られるケースが少なくなかったことは想像に難くない。

 それで、ここまで特定のジャンルにヘイトを向けている理由が分かってしまった。


「ま、まぁそう毛嫌いするなって。見方さえ分かれば楽しいものだよ」


 どうにか言いつくろえないものかと、廉太郎は思案する。趣味を嫌われるというのも、別にそれ自体は自由であるのだが、やはり物寂しいものなのだ。


「血が苦手だとか、うるさいのが駄目だとか言ってくれれば、お前に合いそうなものも勧めてやれるんだけど――」


 そうしてちらつかせてみせた提案に、クリスは、


「――珍しいですね」


と、廉太郎の目を覗き込んでいた。

 

「何だか、生き生きしているようで」

「……はあ?」


 意図の見えない発言に、間の抜けた声が漏れる。

 確かに楽しいことを言っているつもりではあった。だが、それが珍しいと言われては、まるで――。


「だって廉太郎、好きなものを好きだとすら言わない人じゃないですか」


 一瞬、またいつものように、人の交友関係を邪推しようとしているのかと思った。しかし、それにはどうにも、クリスの表情は真剣そのものであるように見えてならない。


「この数日、あなたの隣に居ても何一つ分からなかったですからね」


 その言葉に、思わず目を逸らしていた。

 勘弁して欲しいとさえ思いながら。

 

「……何が?」

「好きな食べ物とか、趣味とか、女の好みとか――まぁ、誰が好きなのかはともかく」

「別に、聞かれなかったから――」

「聞いたら答えてくれたんですか?」


 そのくらいは、当たり障りないものであれば答えられたかもしれない。だが、クリスが言いたいのはそんなことではないはずだ。隠さずとも伝わらなかった嗜好はともかく、そうならざるを得ない人間性だけは見抜かれている。

 見透かしたように笑っているのがその証拠だった。それでいて、別に馬鹿にされているわけでもないというのが余計心に強く刺さる。


「お前……暗い奴だって言いたいんじゃなく、つまらない奴だって言いたかったんだろ」

「まぁ、そうですね。あの人のことを除けば、あなたは実につまらない」


 好きなものを好きと言えない。心を覗かれるのを極端に嫌う。

 自分をさらけ出すのを何より恐れているということ。 


「――知ってる」


 誰に指摘されずとも分かっていることで、そして変えようのない性格だった。

 そして、心から他人を友達だと認められない原因でもある。


「なあ、どうしてだと思う?」


 思わず自嘲気味に、答えの分かり切った問いを投げていた。

 それでも返って来た答えは少しだけ予想と外れていて、そしてどういう意味なのかと強く頭を悩ませてくるものだった。

 

「さぁね。つまらなそうにしてるからじゃないですか?」

「……俺って、そんな風に見えてる?」

「えぇ――」


 クリスの口調には、徐々に苛立ちさえ見え隠れしようとしていた。

 そこまでさせる原因に、まるで廉太郎は思い至るものがなかったのに。


「ファンタジーでもホラーでも何でもいいですがね。あなたは別世界という得難いはずの体験を、まるで楽しもうとしていないじゃないですか」


 クリスの言い分は間違っていない。何をしてもつまらなそうにしている人間が仮にいるのなら、そんな奴は他にどんな要素を持っていようとつまらない。一緒に居る者がつまらないと感じてしまうのだ。

 それで周りに悪印象を与えてしまっているのなら、改めるよう努力するのも決して悪いことではない。

 だがどうしても、それは勝手な言い分にも思えてしまうのだ。

 ――自分の立場にもなってみてほしい、と


「当たり前だろ、帰れないんだから。観光気分じゃないんだよ」

「それでも、両立しようとするものですよ、多少は」


 そんな無責任なことはできそうにない。

 自分一人の問題で済むのであれば、話は変わってくるのだろうが。

 廉太郎が帰りたいのは――帰らなければならないという義務は、自分自身のためのものではないのだ。


「あなたが楽しそうにしているのなんて、誰かさんと話しているときくらいじゃないですか」

「…………ん?」


 どうにも、話が怪しい方向に向かっている。急に方向性が変わったというよりも、初めからそこに向かうつもりで、最後の最後で曲がるべき壁を突き抜けられてしまったような感覚だった。

 緊張の温度差について行けない廉太郎をよそに、クリスは先に進んで笑っている。


「いつごろ好きって認めるんです? あの人、たぶんこれから今にもましてモテてきますよ」



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