3-11 ロリッ娘迷宮案内 前
本日もよろしくお願いします。
命子たちのイメージガール就任式は、生放送だった。
ネット掲示板ではお偉いさんの挨拶に、お前じゃねえんだよなぁ、とやる気のないレスが並び、命子たちが登場した瞬間に、どこに潜んでいたのか書き込みが増大する。
命子の堂々とした挨拶に、やっぱこの子は違うなぁ、と一同は感心し。
ルルのにこやかな挨拶に、急増し始めたルル教信者はキュンキュンし。
ささらの噛みっ噛みな挨拶に、視聴者たちのボルテージが上がる。
そうして、ルルの咄嗟のフォローで始まったニャンニャンハンドの拳コッツンコ。
地球さんTVでもやっていたそれは、男性では決して使用を許されない究極奥義。
職人が作ったAAが掲示板内にて、どかんと表示されるに至る。
完成したポスターがお披露目になると、一般人にも入手する術がないものか、ネット住民たちは本気で議論しだした。
そんなお祭りが終わると、スレはしゅんとする。
祭りの後の静けさだ。
これから命子たちはダンジョンに入るわけだが、ダンジョンは生放送ができない。
ダンジョンでの様子は、編集された物を後日見る形になる。
ネット住民たちは、各々の日常へ戻っていった。
たくさんの報道陣が見守る中、命子たちは風見ダンジョンへ突入した。
パーティメンバーは、命子、ささら、ルル、護衛自衛官1名、民間人の記者1名、自衛隊カメラマン1名だ。
自衛官は藤堂二等陸尉。
命子が修行を始めた当初から可愛がってくれる、でかいオッサンだ。
つい先日、無限鳥居のダンジョンが自衛隊により初めてクリアされた。
彼はそのパーティーを率いた隊長であり、日本でもトップクラスの実力者である。
民間人の記者は、日本の報道機関からクジで決められた一社から派遣された人だ。
民間人の視点で、ダンジョンについてアレコレ質問する役目である。
ぶっちゃけ、一般人代表は命子たち3人ではなく、この人物であった。
名前は、鈴木さん。40歳男性。
鈴木さんは、大江戸テレビのリポーターさんである。お昼の時間帯にテレビに映っているため、命子たちは顔も知らない。
自衛隊カメラマンも、実力者だ。
というよりも、G級ダンジョンの一層で苦戦する自衛官はあまりいない。たとえカルマがマイナスでも普通に突破できる。
この3名は、ロリッ娘迷宮の妖精店で買った防具を装備している。
そのデザインは、アニメのイケメン主人公が着てそうなスラッとしたものだ。やはりコスプレチックで一見すると初級装備には見えない。
藤堂とカメラマンは、自衛隊だと分かるようにコートを着用している。
藤堂は男臭い顔立ちの人物なため、コートはコスプレしている姿を隠す意味もあった。
クリーム色の光に包まれ、まずは大人たち3人が突入する。
そのすぐ後に、命子たち3人が渦に入った。
この瞬間に、どの層に行きたいか明言することで一度足を踏み入れたことのある階層ならば、転移することができる。何も言わなければ1階層だ。
これは、該当する層に行ったことがない人間が一緒に渦に入っていた場合は、無効となる。
ちなみに、これを発見したのは、アニメオタクの自衛官だったそうだ。
白い光が収まると、そこは石作りのダンジョンだった。
ダンジョンに初めて入ってからまだ1か月ちょっとしか経っていないのに、命子は酷く懐かしく感じた。
「全員問題なく合流できましたね」
カメラが回る中、藤堂が言う。
すかさず鈴木さんが問うた。
「この瞬間に敵とは遭遇しないんでしょうか?」
それは素人目線から出た非常に良い質問であった。
ダンジョン突入の後の瞬間は、無防備になりやすいのだ。
さらに言えば、この瞬間はバランスも崩しやすい。
人間は五感に頼る生き物だ。
渦に入り、光に包まれた直後に別の光景になると、脳の混乱に伴って、ふらつく人がいるのである。
ここにいるメンバーは幸いそういう症状を出す人はいなかったが、自衛隊や警察などは分母が多いだけあって相応の人数がいたのだ。
鈴木さんの質問に、藤堂が答える。
「転移する場所は毎回ランダムになりますが、周囲10メートル以内かつ目視範囲内に敵が居ない場所に限られます。ただし、その十数秒後に曲がり角から敵が出てきたという報告は上がっていますね。ですから、一つ深呼吸して気持ちを落ち着かせる程度の時間はあると考えていただいて結構です。もちろん、その後はすぐに警戒態勢を取るのを忘れないでいただきたいですね」
「なるほど、よく分かりました」
そんなやりとりとしている間に、命子は早速魔導書を浮かせて、いつでも戦闘できるように準備する。
ささらとルルも、命子が一人で入ったダンジョンを興味深そうに見回しつつ、自然と身体のスイッチが入る。
「ねえねえ藤堂さん。このまますぐにゲートへ向かうの?」
「はい。基本的に地図を頼りにゲートへ接近しつつ、道中、宝箱探索のため簡単に確認できる行き止まりを目視確認する探索を体験していただくつもりであります」
命子の質問に、藤堂はピッと足を揃えて答えた。
その姿に命子は、ふぇええとのけぞった。
「へいへい、藤堂さん。いつものフレンドリーなオッチャンはどこ行ったのさ。まるで営業のサラリーマンみたいだよ?」
「カメラが回ってるのでやめてください」
「ふぇえええ! 私の羊さんパーカーをズタボロにしたくせに!」
命子がこのダンジョンから帰還した際に着ていた羊さんパーカーは、『100/100』の防御力がどれほどのものか実験するための生贄になった。
命子と教授の力では貫けず、丁度やってきた藤堂に頼んだわけである。
結果ズタボロになった。
「本当に闇討ちされる可能性があるから勘弁してくれるかな? あれは命子ちゃんたちがやってくれって言ったんじゃないか。今のところカットで頼む」
藤堂のお願いに、カメラマンは苦笑いして指で丸を作った。
「えっと、お2人はお知り合いなんですか?」
2人のやりとりを聞いていた鈴木さんが、尋ねる。
「私がこのダンジョンから生還したのはご存知かと思います。その際にレベルが4に上がったわけです。直感的にレベルが努力の吸収率を高めると考えた私は、すぐさま修行を始めたんです。それでどれほどの効果があるか知りたかったので、自衛隊の研究チームのお姉さんを頼ったんですよ。その縁で、藤堂さんとも知り合いました。藤堂さんはシュワシュワしたコーラのグミをよくくれるんです」
「ひ、羊谷さんはそんなことをしていたんですか!? これが小さな英雄……」
マジ麒麟児すぎる件、みたいな顔で鈴木さんは驚いた。
鈴木さんは15歳の頃、おっぱいのことしか頭になかった自分を恥じた。
「ゴホン、羊谷さんが協力してくださったことで、非常に有益な研究データが早期に得られました。我々自衛隊のデータならいくらでも手に入りますが、小柄な少女のレベルアップによる身体能力推移なんて、あんなに早い段階で手に入るものではないですからね」
「そうだろそうだろ。でも、堅いよ藤堂さん!」
そんなお話の風景も、カメラはばっちり映している。
後日編集されてお茶の間に流れた放送での反応は、こうだった。
――――――
『後日の掲示板』
・
・
98、名無しの同行人
この鈴木リポーター、お昼の番組に出てるやつだよな?
99、名無しの同行人
鈴木夢太郎 40歳 独身 20XX年大江戸テレビ入社
ラジオの中継リポーターをやっていた経験から、お昼の長寿番組『あの町突撃』の月、水、金のリポーターに大抜擢される。
100、名無しの同行人
お、おう。
101、名無しの同行人
藤堂二等陸尉はアレだろ、無限鳥居に入ったっていう自衛隊チームのリーダー。
腕が太すぎて悲しくなるんだけど。
102、名無しの同行人
そうか? 俺の腕も良い勝負だけど。
103、名無しの同行人
お前の贅肉だらけの腕と比べられても(苦笑い
104、名無しの同行人
お前に俺の何が分かるんだよ!
世界がファンタジーになるって分かってたら、毎日ピザ一枚にしておいたのに……!
105、名無しの同行人
ごめん、言いすぎた。
ほら、お食べ(/_;)つ ピザ〇〇〇〇〇〇〇
106、名無しの同行人
食わせすぎだろwww
107、名無しの同行人
っていうか、コイツなんなん。
命子ちゃんにこんなにフレンドリーにされて。
108、名無しの同行人
ゲームだったら中盤に死にそうなオッサンのくせして!
109、名無しの同行人
憎い。
110、名無しの同行人
カルマがあろうが憎い……っ!
111、名無しの同行人
俺らは凛々しい命子たんしかほとんど知らないのに……
112、名無しの同行人
あんなフレンドリーに話しかけてもらえて……
113、名無しの同行人
憎い……っ!
114、名無しの同行人
俺、青空修行道場で命子ちゃんと草相撲したよ。
今でもその時に真っ二つにされたオオバコの茎大切にしてるんだ。
115、名無しの同行人
は? 嘘つくなよ、殺すぞ。
116、名無しの同行人
待て待てお前ら。
イライラした時は命子神輿のGIFを見るのだ。
(・ω・)つ ##画像##
117、名無しの同行人
うぁ、光が来るぅ……っ
118、名無しの同行人
俺、仕事と寝る前に毎日2回ずつは見てるんだ。
命子たんももちろん可愛いけど、女子高生が大量にこっちに来るのが凄く好き。
119、名無しの同行人
激しく同意。
命子神輿も可愛いけど、個人的に〇×高校のGIFもお気に入り。
120、名無しの同行人
じゃあもうここから退出して〇×高校の子になってください。
121、名無しの同行人
迂闊なこと言えねえな。
―――――
探索は、命子たち3人が主導して行う。
基本的に、藤堂とカメラマンは見ているだけだ。解説もいれたりする。
しかし、その解説も分かる範囲ならば命子がしてしまう。
「鈴木さん、ダンジョンは地図が命です。これがあるとないとでは消耗率が大きく変わります」
40歳男性が、15歳ロリに1から教わる奇妙な冒険が幕を開けた。
「これは自衛隊が作った1層の完成版の地図です。これを頼りに探索するわけですね。現在の地点は……ふんふん……わからぬ!」
命子たちがいる場所は、前後に10メートルの廊下が延びる地点。廊下の先には前後共に曲がり角があった。
そして、そんな地形は地図上に何か所あるかも分からないほど存在する。
「こういう特徴がない場所に出た場合は、まずは場所の把握から始めます。じゃあささらが地図係ね?」
「わ、分かりましたわ」
ささらが借りてきた猫ちゃんになっているので、命子は役割を与えておいた。
カメラが回っているのでささらは、ツンッとお澄まししながら地図係を始めた。
すると、鈴木さんがまた質問した。
「すみません。今、地図を見せてもらいましたが、このダンジョン内にはどれだけの人が入れるんでしょうか?」
これについては命子も答えられたが、藤堂に任せた。
命子の視線に、藤堂と鈴木さんもそのつもりで会話を始めた。
「ダンジョンは、どれだけ人が入れるか未だ分かっていません」
「しかし、地図を見た限りだと、あまり人が入ると身動きが取れなくなりそうですが?」
「いいえ、そうはならないんです。ダンジョンは20組まで侵入すると、21組目から40組目まで、同じ作りの別の1層に入ることになります。41組目からはまた同じことが繰り返されます。我々はこれを『ダンジョンサーバー』略して『Dサーバー』と呼んでいます」
「えぇ!? そんなシステムになっているんですか!?」
鈴木さんが驚く傍らで、命子たち3人はうんうんと頷く。
3人は教授に色々教えてもらっているので、このシステムを知っていた。
ちなみに、藤堂は言及しなかったが、妖精店がある階層だけは特殊なルールが存在した。
「Dサーバーの管理は非常に大切です。例えば現在、我々はDサーバー7に入っていると記録から分かっています。しかし、実際にはDサーバー30まで使われています」
「30!? ということは……3600人がダンジョン内で活動しているんですか?」
「そうです。式典があったためにその程度ですが、本来ならもっと多くが活動します。話を戻しますが、どこかのDサーバーで帰還チームができると、その後に階層ゲートを通過したチームがそのDサーバーに移動し、次に入るチームは空いたDサーバーへ移動することになります。一つのサーバーは常に20組であり、30サーバー使っているのに、我々がDサーバー7にいる理由はこれです」
「なるほど」
「これをしっかり把握しなければ、大掛かりな作戦行動も行えませんし、予定時間になっても戻らないチームが出た場合に、救援へ向かうための目安が何もなくなってしまうことにもなってしまいます」
「それはつまり、自衛隊だけではなく一般開放した後の話にも繋がるわけですね?」
「その通りです。入場システムの構築も課題の一つとして国は考えているわけです」
はぁー、と鈴木さんはため息を吐く。
国も別に無意味に一般開放を渋っているわけではない。
ダンジョンでレベル上げをする、と言うのは簡単だが、行うのは恐ろしく難しかった。
このDサーバーの話もそうだが、何よりも日本の人口とG級ダンジョンの総数が問題になっているのだ。
手法によっては、50年掛かってやっと国民全員のレベルを少しだけ上げることができる、なんて案もある。もちろん廃案だ。
そんな話をしつつ角を曲がると、バネ風船が現れた。
「バネ風船です!」
命子はズビシと指さして鈴木さんに教えてあげる。
ほらほらあれあれ、みたいな感じで教えてくれる命子に、鈴木さんは、この子超可愛いな、と娘にしたくなった。
「2人とも、私が倒していい?」
「いいデスよ!」
「もちろんですわ」
ルルの返答に続いて、ささらも頷く。
「よぉし、あれから私がどれだけ強くなったか、思い知らせてくれるわ!」
そんな意気込みとは裏腹に、命子は剣を抜いて慎重に接近する。
魔物は危ない、という刷り込みにより、駆け出して一気に倒すという考えが命子の頭にはなかった。
しかし、戦闘のお手本としてはこれほど良い見本はいない。
カメラが命子の姿をじぃっと映す。
藤堂がバネ風船について解説する中、命子の戦闘が始まった。
「えい!」
周りに浮かせた魔導書を使えば余裕で倒せる相手だが、命子はサーベル一本で戦う。
袈裟斬りを浴びせて、軽くバックステップを踏んでから相手の様子を見て、すぐさま横一文字に斬る。
それだけで、バネ風船は息絶えた。
「くっ、強くなりすぎてしまった」
命子はボソッと言った。
まるで相手にならない。
サーベルがそもそも強すぎるのだ。
初撃を様子見ではなくしっかりとした攻撃にしていたなら、きっと一撃だっただろう。
こんなことなら、鉄パイプとかを持ってきたほうが良かった。
そうすれば、もうちょっと歯ごたえがあったのに。命子は軽く後悔した。
これじゃあ自衛隊員たちのジョブスキルのスキル化が遅いわけだよなぁ、などと思いながら命子はドロップ品を拾うと、みんなの下へ戻った。
「こんな感じです」
命子が言うと、鈴木さんが質問を始めた。
「お疲れさまでした。なんだか凄く弱そうな印象を受けましたが、羊谷さんが強すぎるんでしょうか?」
「私がそこそこ強いというのは確かです。バネ風船なら一気に10匹来ても倒せるでしょう。ただ、それはサーベルを装備しているからです。地上の物で戦う場合は、もっと手数が必要になります」
「羊谷さんたちや自衛隊のみなさんは、最初はそうやって戦ったわけですね」
「そうですね。ダンジョンが開放された後にどのように指導するか分かりませんが、個人的には鉄パイプなどの武器で戦闘を経験したほうが良いかなと思います」
「それだと苦戦してしまうんですよね?」
「魔物がそう簡単に倒せない敵、というのを簡単なこのダンジョンで知ってもらったほうが良いかなって思うんです。たぶん、簡単に倒せると勘違いした人がどんどん先に行って、死んじゃいますから。そもそも初級武器の供給だって追い付かないでしょうし」
「はぁー、羊谷さんはよく考えているんですね」
鈴木さんに感心され、命子はんふーっとした。
「それに、いま私は1人で戦いましたが、指導者と来るときは恐らく複数人で戦うはずです。そうなればなおのこと、強すぎる武器だと訓練になりませんし。防具はそこそこ良いのをつけても良いとは思いますが」
命子はダンジョンをクリアした自負がある、ダンジョンプロなのだ。
だから、良さそうな意見はガンガン言っていくスタイルを取る。
人死が多数あってダンジョン開放直後にやっぱりまた封鎖、みたいなことにならないためにも。
きっと、中学の頃にいたお調子者の男子みたいな連中がブンブン死ぬだろうから。
「一応、こんな物を持ってきている」
そう言って、藤堂がリュックから50センチくらいの鉄パイプを取り出して、命子に渡した。
「おー、良い感じに普通ですね。使っていいんですか?」
「いいよ」
「やった!」
これで多少は苦戦できそうだ。
とはいえ、いつでも倒せるように魔導書は周りに浮かしておく。舐めプはいかんのだ。
「いかん魔本だ」
「魔本ですわ!」
藤堂とささらの注意が同時に飛ぶ。
廊下の角からふよふよ飛んできた魔本。
それを見て、命子は愛おしくなった。
「鈴木さん、あれは魔本です。この1層で人を殺し得る敵はアイツですね。魔法を使ってくるんです」
「えー!? ひ、羊谷さん、そんな落ち着いて言うことですか!?」
「大丈夫です。もはや奴は敵ではない」
「メーコ、それフラグデス!」
日本のアニメをよく知るルルにツッコまれ、命子はハッとした。
きっと視聴者全員にプークスクスされる彼らは、今の命子みたいな心境でフラグを口にしてしまったのだろう。
これでは彼らのことを笑えない。命子は猛省した。だから彼らのことは今後も笑う所存だ。
「ルルさん、やっておしまいなさい!」
「ニャウ! ゴインキョのコーモンドコロが目に入らぬのかデース!」
「今のところは編集でカットしてあげてください」
魔法を発動するために激しくページをめくり始める魔本に向けて、ルルは高速移動で接近した。
10メートルほどの距離を瞬く間に詰めたルルは、魔本が魔法を発動する前に忍者刀で両断する。
敵が弱すぎたために、その一撃は『見習いNINJA』の【目立つ】が発動するくらい強烈な一撃になった。
「と、このように今の私たちにはザコです。ただ、今のは素早さ特化のルルだからやれた戦闘です。普通の人は、近づいているうちに水弾が完成してしまうでしょう」
「はー、なるほど。やはりルルさんも強いんですね」
「はい。実際に、私はこのダンジョンに落ちた時、危うく殺されかけました。尻もちをついた私の頭の上を、ビュンッて魔法が通り過ぎたんです。そういうことが起こりますから、指導者が必要だと私は思ったわけです」
あっけらかんと話す命子だが、15歳の少女が予想以上の修羅場を潜り抜けていることに、鈴木さんはゴクリと喉を鳴らした。そんな経験が英雄を作り出したのか。
―――――――――
『後日の掲示板』
150、名無しの同行人
クソクソ、なぜ俺は鈴木さんじゃない!
151、名無しの同行人
お前がお前だからだ。
152、名無しの同行人
俺も命子たんに地図の見方教えてもらいたいよぉ(ノД`)・゜・。
153、名無しの同行人
いや、命子たん地図読めてないからwww
154、名無しの同行人
きっと上下逆さまなんだぜ。
155、名無しの同行人
地図が大切ってことは、自衛隊が地図を完成させた場所へ俺たちは侵入できる感じになるのかな?
156、名無しの同行人
後追いかぁ、冒険感がないな。
157、名無しの同行人
雑魚はそうなるんじゃないかね。
強い冒険者は制限が解除されるとか。
158、名無しの同行人
なんだと、Dサーバーなんてあるのか!?
159、名無しの同行人
やべ、別スレがお祭りになるぞ。
160、名無しの同行人
そうなの? なんで?
161、名無しの同行人
バカ、説明が始まるから聞き返すな。
162、名無しの同行人
はいはい、Dサーバー組は他のスレに行ってな。
ここは美少女を愛でるスレだから(。-`ω-)
163、名無しの同行人
ダンジョンを語るスレなんだけど(;^ω^)
164、名無しの同行人
おっと、そうこうしているうちに命子たんが敵を発見。
165、名無しの同行人
やっぱり初戦は命子ちゃんか。
166、名無しの同行人
じりじり接近するのが超可愛い件。
167、名無しの同行人
だけど、実際に戦ったらお前とか瞬コロの戦士だぞ。
168、名無しの同行人
おー、2発か。敵弱くね?
169、名無しの同行人
サーベルが強すぎるんじゃない?
あっほら命子たんも言ってる。
170、名無しの同行人
鉄パイプで集団で殴る訓練か。
なるほど、エグイな。
171、名無しの同行人
でも強い武器を使ったら、見てるやつとか経験値入らんのでしょ?
指導者付きの訓練で一日何匹狩れるか知らんけど、効率的に経験を積むならみんなでボコるのが良いんじゃない?
172、名無しの同行人
経験値分配がどうなってるのかが気になるな。
173、名無しの同行人
ソロプレイヤーはどうすんのさ……っ!
174、名無しの同行人
今から表情筋を鍛えて陽キャを目指せ。
俺はすでにその修行を始めている(*^▽^*)
175、名無しの同行人
顔文字なら可愛いのにな。
176、名無しの同行人
はわ、ルル様、発進!
177、名無しの同行人
はっや、高速移動って長距離移動は無理なんじゃなかったか?
178、名無しの同行人
え、初速からトップスピードになる技だろ?
違うの?
179、名無しの同行人
ふぇええ、やっぱりNINJAかっけぇ!
180、名無しの同行人
俺も魔導書が手に入らなかったらNINJAかなぁ。
181、名無しの同行人
たぶん、指導される時に手に入れたアイテムは国の物になると思うよ。
複数人のレベル上げになるだろうし、喧嘩になるのが目に見えてるし。
182、名無しの同行人
あー、確かにそうかも。
183、名無しの同行人
クジとか。
184、名無しの同行人
ゴネてもう一回とか言う奴が出るぞ。
185、名無しの同行人
クソ面倒くせぇな、それ。
186、名無しの同行人
俺は初ドロップの魔石くらいは貰いたいけどな、記念に。
187、名無しの同行人
ロマンチストかよ。
188、名無しの同行人
どういう決まりになるかは要チェックだな。
―――――――
読んでくださりありがとうございます。
ブクマ、評価、感想とても励みになっています。
誤字脱字もありがとうございます。