14-24 アネゴ先生と精霊さん
本日もよろしくお願いします。
日本国民の悲鳴で染まった終末……いや、週末。
抽選があった次の日、土曜日の夜。
命子たちの活動を支える企業MRSのビルの一室で、イヨが生配信を始めようとしていた。
映像関連のリーダーであるルルパパが合図を送り、配信スタート。
「皆の衆~、イヨなのじゃ! こっちはイザナミなのじゃ」
『なんなん!』
精霊さん里親抽選に外れた人が大半なわけで、旧時代なら嫉妬民による炎上待ったなしの配信だろう。昨今では火元となる放火魔が減ったため、嫉妬などの理由から炎上するようなことは滅多にない。
「ゲストの羊谷萌々子です。この子は光子です」
『やーっ!』
「画面外では命子様たちがお菓子を食べて見ているのじゃ」
ゲストには萌々子の精霊の光子。
画面外では命子たちがお菓子を食べながら見学中。
:こんばんはなのじゃ!
:始まった!
:なのじゃ!
:精霊さん精霊さん精霊さん……っ!
:なのじゃ……(泣)
:命子ちゃんたちも出ていいんやで?
昨日は大変なことがあったので、皆の衆の元気も少なめ。
「昨日は精霊の里親抽選があったのじゃ。当たった者はおめでとうなのじゃ。外れた者は残念だったのじゃ。まあ人生、運否天賦が関わる部分はなるようにしかならんのじゃ。青空でも見て気を取り直すのじゃ。あー、今は夜空か」
「イヨさんは達観してますね……」
「伊達に時空を超えた龍の巫女をしてないのじゃ。なっ、イザナミよ」
『なん~……なん!』
「それにの、妾が生きた古代の時代には精霊は片手で数えられる程度しかいなかったのじゃ。それに比べて今を見てみい。2500の者が里親になってもまだ余るくらい精霊がいるのじゃ」
「そう考えると、滅茶苦茶増えてますね」
「うむ。古代から比べれば凄く増えているのじゃ。これからも増えるという保証はないが、外れてしまった者に二度と機会が無くなるというわけではなかろう。次の機会が訪れるまで、よく自分を磨いておくのじゃ」
:どうすれば増えるのかな?
:頑張ります!
:それでも日本人は1億人以上いるんです……っ!
:日本政府の人、次回の抽選を早く!
「どうすれば増えるのかは妾も知らぬのじゃ。頭の良い教授殿たちが日々研究をしているから、もしかしたらそのうちわかるかもしれんな。それよりも、今日は精霊との暮らし方についての配信なのじゃ」
「最初の内は大変なことも多いですからね」
「実を言うと妾はあまり大変な目には遭っておらんのじゃ」
「えーっ、そうなんですか!?」
「うむ。イザナミは前任の龍の巫女から引き継いだ精霊故に、最初から賢かったのじゃ。それに、今の時代のように、精霊が中に入って困る複雑な物はなかったからの」
「なるほどー。光子は何もわからなかったから、テレビの中に入ったり、時計の針をグルグルして遊んだり、色々しました」
「それはヤンチャなのじゃ。まあイザナミもテレビの中にだけは入ったがの。じゃが、妾もテレビ画面を触ったり裏側を見たりしたから、あまり人のことは言えんのじゃ」
:可愛いwww
:やっぱりテレビを不思議に思ったのかwww
:いまの子供もテレビ画面をスクロールしようとするっていうし、仕方ないと思うよ。
というわけで、本日の配信は精霊との過ごし方について。
ほとんどの人にとっては死ぬほど羨ましい内容で、極少数にとってはお勉強会的な内容だ。
そして、後者の中には命子の担任であるアネゴ先生も入っていた。自宅のマンションで傾聴中である。
アネゴ先生のほっぺは赤くなっていた。
当選した昨日から、夢ではないかと何度もほっぺをつねっているのだ。マンガみたいなことをする女である。
そんなアネゴ先生の背後には、リニャちゃん人形の大きなドールハウスが置かれていた。土曜日である本日、アネゴ先生は車でおもちゃ屋さんを何軒も回ってこれを買ってきたのだ。自分が住む物件と同じくらい真剣に選んだ逸品であった。
精霊さんとの生活が楽しみ過ぎる女、それがアネゴ先生なのだ。
『精霊は基本的にパートナーの姿を取りますが、フィギュアを見せることでその姿になってもらうこともできます。これは平面的な絵や画像では無理なので、希望がある人はあらかじめフィギュアを用意しておきましょう』
配信画面の萌々子が言う。
「精霊の容姿か……」
アネゴ先生は座椅子からコロンと上半身を横に倒して、棚に置いてある鏡に手を伸ばす。
その鏡を覗き込んだアネゴ先生は、目元を触ってちょっとしょんぼり。
生徒たちを守るために一緒にダンジョンへ行くアネゴ先生は、もうすぐマナ進化するくらいの熟練者。必然的に、顔立ちも生物としてどんどん最適化されており、とても魅力的な顔をしていた。
だがしかし。三白眼な目とシャープな顔立ちのせいで、スケバンっぽさが抜けない。可愛いふわふわパジャマを着ているのに……っ!
アネゴ先生はちっちゃくて可愛らしい女の子に憧れがあった。
実のところ、アネゴ先生の中で命子は『こんな容姿に生まれたかったランキング』の1位である。そして、目つきが悪いささらやささらママについては『親近感が湧く人ランキング』の同率1位だ。
一方、命子はアネゴ先生のような背が高くてカッコイイ女性に憧れがあるので、隣の芝生は青く見えるというか、自分にないものに憧れるというか。
「うん。自分の容姿はないな」
それもまた選択の一つ。自分のミニチュア版でもいいという人もいるし、絶対に嫌という人もいる。
イヨたちの配信が終わると、アネゴ先生は精霊さんの容姿のためにキャラクター探しを始めるのだった。
明けて翌週。
当選した国民さんは、この日から精霊さんの里親申請ができるようになった。
里親になった人それぞれに事情や準備もあるので、申請は1年以内ならいつでもできるが、管轄部署としては3か月程度で大半の申請が終わると想定している。
ちなみに、日本精霊協会というのが、精霊の権利の保護や里親制度の管轄部署だ。
申請が始まった週に申請してきた人は8割を少し割る程度。即座に申請と言っていい早さだ。精霊さんお迎えの儀は日にちを自由に予約できるので、それまでに準備が整えられると算段したのだろう。
残りの2割は入念に準備を整える勢である。
アネゴ先生は即座に申請した8割の中に入っていた。
お迎えの儀の日取りは11月後半にある3連休の前の金曜日。有休を申請したことで怒涛の4連休である!
事前に講習をしっかりと受け、アリアの書いた『猫と精霊の狭間で』を再読。さらに他の精霊使いが書いた書籍も読みこんで、教師としての仕事をこなしながら、準備を整える。ヤンキーが教師になったような雰囲気のアネゴ先生だが、とっても真面目なのである。
そして、11月の下旬、アネゴ先生は精霊さんをお迎えし、セットで行なわれるダンジョン講習によって晴れて『見習い精霊使い』になるのだった。
週明けの火曜日。
昨今の高校生は、3連休が終わると旅行の話題で盛り上がる。もちろんただの旅行ではなく、ダンジョン遠征の報告だ。
推定いくら儲けたなんて自慢は当然のこと、妖精店や地上の宿の話、ジョブの使い心地など話題は事欠かない。ボスバトルをして来た人なんかはその日一日の話題の中心になりやすい。週明けなのに大変に楽しいのが新時代の学校だった。
しかし、この日の風見女学園はある人物が話題を全て持っていった。そう、精霊さんを連れて来たアネゴ先生である。
「ご、ゴホン。席に着けー」
「「「ぴゃぁあああああ!」」」
落選した子が大半……というか落選した子しかいない手前、少し気まずげに教室に入ってきたアネゴ先生を迎えたのは、女子高生たちの黄色い悲鳴だった。
連れて来た精霊さんは、アネゴ先生の姿をしておらず、どこか命子に似た顔立ちのショートカットのロリキャラ。
精霊さんは女子高生の迫力にビックリして、アネゴ先生のブラウスの中にシュッと隠れた。だけど、怖いもの見たさでチラッ。女子高生はキュンキュンだし、アネゴ先生もキュンキュンだ。
「先生、その子の名前は何ですかー!?」
即座にそんな質問が飛んできて、これはホームルームどころではないと、アネゴ先生は少しの説明タイムを設けることにした。
「この子の名前はミウだ。今日から学校に連れてきて、人間の生活を学ぶことになる。お前らの勉強の邪魔にならないようにするから、よろしく頼む」
「えー、邪魔してもいいのに」
「バカもん。せっかく上がったお前らの成績が下がったら目も当てられない。この学校にはすでに精霊が2人もいてお前たちも慣れているんだから、ちゃんと授業を受けるように」
このクラスには、ナナコともう一人の子が精霊さんを飼っている。
そんな精霊さん2人は新しくやってきたミウに興味津々だ。
ナナコが言う。
「授業中に構ってもらえるって思ったらミウちゃんのためにならないよ。先生がどんなことをするのか、これから学ぶんだから」
「教師精霊かぁ」
精霊は人の真似をする。イザナミはイヨの真似をして神事を、アイは教授の真似をしてミニ手帳に筆記を、そして、光子は命子の真似をして萌々子を困らせる。
特にイザナミはイヨの封印を解くための神事を行なえるほどに技術力を高めているので、長く人と一緒にいる精霊は、こと神秘に関してはバカにできない技術力を有するのではないかと、研究者の間では考察されている。
「休み中になにか壊されたでゴザルか?」
メリスが質問した。
「マウスを壊された。私が動かしているのが気になったんだろう。とにかく私のやることや触る物に興味を持つようなんだ」
「「「かーわーいーいー!」」」
「ミウちゃんのおウチはー?」
「……り、リニャちゃん人形の大きなドールハウスだ」
「「「おー……」」」
女子高生たちは、このスケバンみたいな人が家にリニャちゃんハウスを置いているのかぁと心を一致させた。ギャップ萌えである。
本日のアネゴ先生は、各担当クラスで授業をするたびにこんな有様だった。
教室に入れば黄色い声が上がり、黒板に板書するアネゴ先生の手にミウが留まっては黄色い声が上がる。
そうして3限目くらいになるとミウは女子高生に慣れ始め、今度は生徒たちがノートに何を書いているのか、机に着地して見学を始めた。
「はわわわわ……」
1年生のその子はミウの可愛さにはわはわし、そっと赤いペンを渡す。すると、ミウは生徒の真似をしてノートにお絵描きを始めた。
『っ!』
「「「かわよっ!」」」
ドヤッとした顔で書いたものを見せてきたミウに、生徒たちはメロメロだ。
「す、すまないな」
「あーん!」
ミウが回収され、女生徒は悲しげな声を上げた。
生徒的には嬉しいハプニングだが、真面目なアネゴ先生の精神にはダメージあり。
それからは、教卓の上でお絵描きをさせることで、ミウは大人しくなった。
昼休み。
ナナコともう一人の精霊使いサツキが、アネゴ先生に教員用準備室に呼び出されていた。
「先生、来たよー」
「ああ、よく来たな。なんで羊谷もいる」
「こう見えてナナコちゃんたちよりも精霊と過ごしている時間は長いですからね」
「まあそうだが。まあいいや、とりあえず座って昼飯にしよう」
面談用の長机に着き、命子たちとアネゴ先生は昼ご飯を広げた。
その机の上で精霊さん3人がわちゃわちゃと交流を始め、アネゴ先生の相好が思わず崩れる。
「それで、話というのは? 精霊についてですよね?」
命子が言う。
なんでコイツが仕切っているんだという顔でナナコたちが見てくるが、命子はどこ吹く風で相談に乗ってあげる女の顔。
「相談というかなんというか。今日一日を過ごして、生徒たちはかなり授業に気が散ってしまった様子でな。このままで大丈夫なのか意見を聞きたかったんだ」
「そんなことですか。それなら普通に慣れるから大丈夫ですよ」
ナナコが答えると、サツキも頷いて続ける。
「そうそう。さすがに机の上に乗られたらチヤホヤしちゃうっすけど、先生の近くにいたらずっと目で追うことはないっすよ」
サツキは舎弟言葉女子である。精霊の名前はメルル。
2人の返答に命子はおにぎりを食べながら、うむうむと頷く。相談に乗ってあげる女の顔とは?
「私たちだってルナたちを連れてきてますけど、別のクラスの子がわざわざ見に来ることはもうあまりないですからね。まあ会話をしているとルナと遊び始める子は多いですけど、そのくらいのものですよ」
「先生は部活にもよく顔を見せるっすから、そこでミウちゃんと交流させればいいんすよ。それでみんな満足するっす」
「そんなものか」
「青空修行道場には中学生たちの精霊もたくさん来るっすから、風見町の精霊はもはや猫みたいなもんっすよ。遊べるチャンスがあれば遊ぶけど、それをメインに行動する人は少ないっす。でも、子供は気をつけた方が良いっすね。小さい子は滅茶苦茶興味を持つっすから」
「なるほど。しかし、私の修行場所は学校だし、小さい子と遭遇する機会が少ないからな。スーパーで買い物をする時くらいか」
それを聞いた命子がすかさず口を挟んだ。アネゴ先生とお喋りしたくて仕方なかった。
「先生、お店に行く時は気をつけた方が良いですよ。ウチのみっちゃんが家に来た当初にスーパーへ連れて行ったことがありますけど、商品の中に入っちゃいましたから」
「メルルもコンビニでやったっす。おかげで買うつもりがなかったお菓子をいくつか買うことになったっす」
「私はサツキの話を学校で聞いたからギリ大丈夫だったなー。教えてもらわなかったら学校帰りにコンビニでやってましたね」
精霊が触ったお肉は衛生的に大丈夫なのか。精霊が中に入った中身が見えないスナック菓子の状態は万全の状態なのか。モラルブレイクしている人なら気にしないだろうが、アネゴ先生はきっと弁償するだろう。
スーパーの商品だったらまだいいが、それが高額商品だと目も当てられない。
「ああ、買い物については講習の時に注意されているんだ。だから、ミウが私の言うことをすぐに理解できるようになるまでは、通販生活をするつもりだ」
「へえ、講習で。それならきっとウチが真面目に報告したからっすね!」
「ウチの妹も報告してたなー」
精霊の里親は、里親になってから3か月の間は週に一度、日本精霊協会に日々の精霊の様子を報告する義務がある。3か月を過ぎる頃には人の暮らしに十分慣れるので、報告は大きな出来事が発生した時のみになる。
これは風見町で大量に精霊使いが誕生した時から始まった決まりだった。
なお、始まりの精霊使いである萌々子の時にはそんな決まりはなく、自主的に教授へ報告していた。そんな羊谷家がもたらした報告は、かなり重要なデータだったりする。
こうして報告された事柄を元にして、精霊との過ごし方の講習内容が作られ、これからも更新されていくのだ。
そんな話をしていると、ミウが弁当箱からミニトマトを手に取って浮かび上がると、アネゴ先生の口元に運んだ。
アネゴ先生はチラッと生徒たちを見て顔を赤らめつつ、ミニトマトをパクりと食べる。
「ありがとう、ミウ」
『っ!』
アネゴ先生がお礼を言うと、ミウはわたわたと腕を振って喜んだ。
これには命子たちもニヨニヨだ。
「なんだよ、羊谷」
「別になんでもないですけど?」
アネゴ先生は顔を真っ赤にしつつ咳払いして、話を続けた。
「あともうひとつ聞きたいんだが、ルナとメルル、あとは光子もだが、お前らの精霊はお風呂に入る時にどんな格好をしている?」
それを聞いた命子たちはあーという顔をした。
「ミウちゃんはキャラクターの姿にしているのに全裸になるんですか?」
そう、精霊は里親やキャラクターの姿になって生活するが、里親が風呂に入る時にそれを真似して全裸になる子がいるのだ。
「そうなんだよ。しかも、顔はそのままなのに体つきは私の裸になるんだ」
アネゴ先生は、身長が170cmあり、最近、腹筋が浮かび始めたモデル体型である。
そんなアネゴ先生と一緒にダンジョンへ潜る生徒は、ダンジョン探索に不安を感じている生徒が多いため、必然的にアネゴ先生が一番の上級者になる。戦闘スタイルは生徒を守るために盾職をしており、とっても頼りになる。
そうして、アネゴ先生と一緒に妖精店のお風呂に入った生徒たちは、自分を守ってくれる先生の長い足と引き締まって美しい体を見てドキドキしてしまう。
まあ、当の本人は可愛い系のボディに憧れているのだが。
「全裸の真似をした時に褒めない方がいいですよ。あとは風呂に入る時は服を脱ぐっていうのも直接的には教えない方が良いです。私はこれを教えて、ルナもちゃんと覚えちゃったんですけど、プールの授業の時に恥をかきましたから。プールを大きなお風呂だと思ったんでしょうね」
「ウチも同じっす。ウチの場合は妖精店の風呂で仲間たちにめっちゃ揶揄われたっす。アイツら、メルルを手に取って体の隅々まで見るんすよ! その時にみんながチヤホヤしたからメルルも嬉しかったみたいで、その後に教え込むのが大変だったっすよ」
「みっちゃんもお風呂以外で全裸になることがありましたね。幸い、家の中でしたけど。キャラクターを使っている場合は、風呂にフィギュアを持っていくといいって話を聞きますね」
「ああ、風呂の中にフィギュアを持っていくというのは試しているんだ。ただ、私が脱ぎ始めると1回は必ず真似をするんだよ」
「まあ、それは時間が解決するんじゃないっすかね?」
「私もそう思います。精霊は割とすぐに人の言うことを理解し始めますから、最初の1か月くらいの辛抱です。先生はもちろん『見習い精霊使い』なんですよね?」
「ああ、そうだよ」
「じゃあ、ちゃんと言うことを聞くようになりますよ」
などと精霊談義は弾み、あっという間に昼休みは終わった。
アネゴ先生としてはとても有意義な時間であった。
アネゴ先生はナナコたちから受けたアドバイスに従って、放課後の部活動の時間に、ミウと生徒たちを交流させた。
ナナコたちも協力して風見女学園にいる3人の精霊が集結し、わちゃわちゃと遊ぶ。
ミウは人間さんや精霊のお友達と遊べて楽しそうにし、生徒たちは精霊成分を吸収して大満足。結果、これを毎日行なうことで、ナナコたちの予想通り、2週間もすると生徒たちは落ち着いて授業を受けるようになった。
ミウの初めての学校体験が終わり、アネゴ先生は帰宅した。
ミウは自宅に入ると、ぴゅーんと飛んでアネゴ先生が買ってくれたドールハウスに入った。そして、窓からぴょこんと顔を出す。
「~っ! かわいっ!」
キュンキュンである。
アネゴ先生は着替えるのも忘れて、しばらくミウと遊んだ。ドールハウスの前に膝をついてニコニコするスケバン風の女子である。
「婚期が遅れるかもしれないと懸念されるわけだ……」
気づけば、社会人にとって貴重なオフの1時間が過ぎていることに、アネゴ先生は恐怖した。
こうしてアネゴ先生は精霊使いとなり、風見女学園の名物教師になるのだった。
読んでくださりありがとうございます。
ブクマ、評価、感想、大変励みになっています。
誤字報告も助かっています、ありがとうございます。




