13-28 ただいま配信
本日もよろしくお願いします。
「よし、それじゃあ帰ろう!」
魔鼠雪原をクリアした命子たちは、クリアゲートの周りで頷きあった。
黄金のゲートに飛び込むと、装備を幾分か貫通していた寒さがなくなり、涼しい夏の暑さが肌を撫でた。
「「「わーっ!」」」
光が収まるよりも早く聞こえてきたのは歓声。
「あれぇ!?」
そこには100人くらいの外国人とネコが集まっていた。ほとんどがキスミア人、少しばかり冒険者風の別の国の人だ。
その先頭には命子たちの家族もおり、カメラで撮影していた。同じく魔鼠雪原に入っていた命子パパたちの姿もすでにある。
この光景に命子はちょっと驚いた。
魔鼠雪原は洞窟の中にダンジョンの渦があるわけだが、狭いので帰還者は洞窟の外に転移させられることになる。
命子たちがクリアしたのはお昼少し前だったのだが、本来、この時間帯にこの場所に人が集まることはなかった。このダンジョンは夜までに休憩所に辿り着けなければ雪の中で野宿することになるので、10時くらいには冒険者の入場時間は終わっており、本来なら人が集まる理由がないのだ。
「みんながプイッターで魔鼠雪原に入るって言ったからじゃない。クリア予定日を予測して見に来たんだと思う」
驚く命子に、紫蓮が言った。
その推測は当たっており、命子たちはプイッターやフォーチューブで魔鼠雪原に入る旨を告知していたため、昨日と今日は、その帰還を一目見ようとファンが集まっていた。出待ちである。
さらに、先に帰ったパーティが命子たちの家族に知らせたので、撮影もばっちりな状態。
今回はギャラリーとかいないだろうな、と思っていた命子だが、こうなったらやれやれ系主人公が顔を覗かせる。
「もう仕方がないなぁ」
「ウッキウキだが」
命子たちはリュックを下ろしつつ、こしょこしょと順番を決めてスタンバイ。
いざ。
「龍の国随一の魔導書使いにして剣の徒。龍姫・羊谷命子!」
本日は命子が一番乗りでシャランと登場。
舞うように下段から上段へサーベルを切り上げ、上段からそのままビシッと刃先を顔の前に立てて静止。
「闇と光より生まれしこの目に映るのは、神秘を彩る刹那の世界。御伽姫・笹笠ささら!」
ささらは刃を顔の前で斜めに配置し、その刃に隠れていない左目を金色に光らせる。
「我が名は魔眼姫・有鴨紫蓮。武具の願いを叶えし者なり!」
名乗ってからの口上の新パターン。
今回の冒険では氷雪の心を扱えて嬉しかった様子。
命子を中心に左右にささらと紫蓮が並び、その前にアクロバティックな登場をする2つの影が。
「猫の牙はネズミの魔王を滅する刃!」
メリスが飛び込み、氷の小太刀を見せびらかすように片膝立ちのポーズ。
「戦猫は氷雪の心を宿して未来を拓く!」
同じくルルが氷の小鎌と氷の鎖を見せびらかし、メリスと対になるポージング。
「忍び猫・メリス・メモケットでゴザル!」
「猫人姫・ナッガーレ・ルル!」
口上を交互に言ってから名乗るという、紫蓮に続いてまたもや新パターン。あの手この手でギャラリーを楽しませるエンターテイナー魂。
命子の前でイヨが膝を突き、天に向かって弓の弦を引く。
「悠久の時を越え、現代で目覚めた龍神の巫女。妾こそがフォーチューバー・イヨなのじゃ! あとコイツはイザナミ!」
『なんな~ん!』
イヨの名乗りを聞いた5人は、ギュッと唇を噛んだ。
間違っていないが、重要なのは龍神の巫女の方じゃないのか。
一瞬気が抜けた命子だが、気を取り直して宣言する。
サーベルを天にかざし、その周りに魔導書と魔導剣を浮かばせた。
「我ら6人、凍てつく雪原に巣くいしネズミの魔王を討ち倒し、魔鼠雪原を攻略せり!」
バーン!
命子の宣言で、ギャラリーは大変に沸いた。
ここに集まった人たちは別にサインを求めているわけではない。これを見たかったのだ。
名乗りが終わり、命子たちはポーズをやめて一列に並んだ。
「ちょっとハプニングがあって、予定より一日延びてしまいましたが、無事にクリアできました。今回の冒険ではキスミア軍の方々にとてもお世話になりました。キスミアの皆さん、ありがとうございました」
命子たちはジャパニーズお辞儀をバチコンとぶちかまし、大和撫子っぷりをキスミア人に披露した。
日本語がわかる人から命子の言葉が伝播されていき、自国の軍人が活躍したと知って、キスミアの人たちは非常に喜んだ。
命子たちは愛想よく手を振ってギャラリーとお別れし、自衛隊のキャンプへ向かった。
キャンプに着く前にささらママたちが合流し、一緒に歩いて向かう。
「お姉ちゃん、おかえり」
「メーコお姉様、おかえりなのれす!」
「ただいま。モモちゃん、アリアちゃん、みっちゃん、アリス」
さっそく妹たちや精霊が寄ってきて、帰宅の挨拶。
「命子、お帰りなさい。ケガはなかった?」
命子ママも娘の無事を喜んだ。
「余裕だよ。あったかいコートも貸してもらったし。強いて言うなら、ささらが一番苦労したかな」
「そうなの、ささらちゃん?」
「なにかあったの、ささら?」
「シャーラ、大丈夫デス?」
「ささらちゃん、ケガはなーい?」
ささらママはもちろんのこと、命子ママ、ルルママ、紫蓮ママが、我が子を心配するようにささらのことを上から下まで心配そうに見た。
「えっと、心眼というちょっと特殊なアイテムを手に入れて、ずっと布で目を隠した状態でダンジョンを攻略したんですの」
「「「え、えぇええ?」」」
「おーっ!」
これには3ママはささらの正気を疑い、ルルママだけテンションを上げた。
「い、いえ、そんなに難しいことでもなかったんですのよ?」
今後に変な心配をされても困るので、ささらは慌てた。
慌てた結果、タオルで目を隠し、軍のキャンプまでの道のりを平然と歩いてみせた。
「え、えぇええ?」
「「ささらちゃん、すごーい!」」
「にゃーっ、サトウイチ!」
これにはまだまだ一般人の領域を逸脱してない4ママは驚きを隠せない。なお、ルルママは盲目の剣士の名前をちょっと間違えて覚えている様子。
「ささらは世界最上位クラスの剣士だからね。気配を感じるのは凄く得意なんだから」
命子が自慢げに4ママへ教えてあげた。
ささらはテレテレした。
「これくらいなら命子さんだってすぐにできますわよ」
「まあね。私クラスになるとできちゃうかも」
命子は自慢げに4ママへ教えてあげた。
紫蓮が眠たげな眼で、そこは謙遜しろよ、と言いたげにジーッと見てきたのでわき腹を抓っておいた。
命子たちは軍のキャンプに迎えられ、お茶をしながら馬場たちを待つ。
「ルルママたちはどうだったの?」
ここにはルルママと一緒にダンジョンに潜った命子パパたちもいるわけだが、質問されたのはルルママだった。男親なんてそんなものである。
「ネズミをしばき倒してバッチリだったデス。なーっ?」
なーっ、と言われたルルパパは、苦笑いしながら頷いた。
「まあマナ進化したしね。試運転には丁度いい難易度だったかな」
パパ勢とルルママは、今回がマナ進化して初めての冒険だった。
攻略したルートはE級相当だったが、楽しめたようだった。
「モモちゃんたちは?」
「私たちも楽しかったよ。まだクリアできてないけど20階まで行ったんだから。ねーっ」
「ニャウ! モモちゃん、ズバズバーッてすんごく強かったのれす!」
「へえ、さすが私の妹! 狼の妹は狼ってことだな」
命子から尋ねられて、萌々子とアリアも楽しそうに話してくれた。
そんなふうにワイワイと報告会をしていると、馬場が帰ってきた。
「みなさん、お待たせしました」
「あっ、馬場さん、クリアおめでとうございます」
親がいるので余所行きな感じで挨拶をしてきた馬場に、命子は祝福の言葉を贈った。馬場も自衛隊も強いので心配はしていなかった命子は、軽い調子である。
母親たちが、「お世話になりました」とよくある光景を展開。それが落ち着くと、馬場が言う。
「これからの予定ですが、30分の休憩をいただきたく存じます。そうしましたら冒険者協会で成果の提出を行ない、町への帰還としたいのですが、よろしいでしょうか?」
「馬場さんたち、クリアしたばっかりだし30分と言わずにもっと休んでいいですけど」
「本休憩は帰ったらたっぷりするから心配しないで」
この休憩も命子たちをもう少しゆっくりさせようという気遣いであった。
大人数なのでそこかしこでワイワイする中、イヨが命子に言った。
「命子様。妾、ただいまの配信をしたいのじゃ」
「イヨちゃんは精力的だな。いいんじゃない?」
「おっ、じゃあ俺が撮影してあげるよ。ちょっと待ってな、笹笠さんに相談してこよう」
ルルパパが撮影を買って出てくれて、ささらママからも配信の許可が降りた。
さっそく命子たちはプイッターで告知すると、いくつか注意事項を確認した。注意する点は1つ。心眼のレシピを手に入れた件を言わないことだ。レシピの所有権はキスミアにあるので、命子たちが許可もなく言うことはできない。
というわけで、さっそく生配信を始めた。
「皆の衆、イヨなのじゃ! ダンジョンから帰ってきたのじゃ! ただいまなのじゃー!」
『なんなん! な~ん!』
全世界に向けてただいま配信が始まった。
連動するスマホにコメントがたくさん流れるが、イヨはカナ漢字混じりの文章がまだ正確には読めないので、命子や紫蓮のサポートを受けながら進めていった。
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【注】『:』頭の表示は動画サイトのコメント表示。多くの人がコメントを寄せているため、一部抜粋形式。
「今日は緊急生配信なのじゃ! なんと、妾たちはついさっき魔鼠雪原から帰ってきたのじゃ!」
:おめでとうー!
:うぉおおおお、おめでとうー!
:魔鼠雪原攻略おめでとう!
:イザナミちゃんカワーッ!
:どのルートを攻略したの?
「デー級を攻略したのじゃ!」
:デー級。
:デー級。
:実家の婆ちゃんを思い出す安心感。
「冒険の様子は編集したあとに投稿するのじゃ。今はあまり時間がないから、冒険での出来事を振り返りつつ、みんなに冒険の感想を聞いていこうと思うぞ」
:ガチで帰ってきたばっかりか。
:無理しないでね。
「まずは妾。今回の冒険で、妾はちょっとした目的があったのじゃ。妾と同じ龍神の巫女のクウミが、大昔に猫神様の地へやってきていたというのはすでに皆も知っているかと思う」
:うんうん。知ってる。
:そのおかげで猫神の道標を日本に残してくれたんだもんな。
:もう転移装置は完成したんですか?
:あっ、みっちゃんとアリスちゃんが登場した!
:精霊トリオ助かる。
「この地には、猫神の道標の件とは全く別にクウミの言葉が残っておった。この地のある場所に妾への贈り物を隠したとな。しかし、長い歴史の中でそれはすでに無くなっておっての。それならば、もしかしたら大昔のキスミアを舞台にした魔鼠雪原なら残っているのではないかと考えたわけなのじゃ」
:すげぇ、そんな発想よく出てきたな。
:ただ単に冒険しただけじゃなかったのか。
:普通は残らないと思うけど、クウミ様の作品なら残っていても不思議じゃないね。
:贈り物は見つかったの?
:魔鼠雪原は昔の家屋もあるから、たしかにクウミ様の作品もコピーされていても不思議じゃないかも。
:この考えは教授ちゃんのものとみた。
「そうしてダンジョンに赴き、クウミが言っていた場所を掘り起こすと宝物が隠されていたのじゃ。この中に入っていた物が本当にクウミの遺した物なのかは妾にもわからん。しかし、どちらにせよ、地球様や猫神様がクウミの遺した物が素晴らしい物だと思ってくれたからこそ、この場所に宝箱が隠されていたのではないかと妾は思うのじゃ」
:絶対そうだよ!
:個人が作った物がダンジョンの一部に選ばれるって凄いな。
:早く偉人認定してほしい。
:まさか中身は新発見!?
:ダンジョンサーバーごとに同じ場所にあるのかな?
:それで何が入っていたの!?
「あっ、すまんな、紫蓮殿」
:紫蓮ちゃんだ!
:凄く眠そう!
:なんだ? 雪玉? 白い魔石?
「いま紫蓮殿が貸してくれたこれは氷雪の心という物なのじゃ。これこそクウミが示した場所に埋まっていた物じゃな。これを紫蓮殿がチョチョイと使って、いろいろとしてくれたのじゃ」
「ぶい」
:ぶい。
:ぶい。
:ぶいぶぃいいいいい!
:眠たげダブルピースだけで生きていける。
:紫蓮ちゃんが使うってことは職人用のアイテム?
:紫蓮ちゃん、説明してくれー!
「それじゃあ紫蓮殿、今回のダンジョンの感想をお願いなのじゃ」
「うむ。今回もハプニングがあったけど、楽しかった。氷雪の心については説明が長くなるから、今度出す動画を見てほしい。氷雪の心で何ができたかは、このあとわかる」
「ありがとうなのじゃ。紫蓮殿が言うように、氷雪の心は凄いことができるのじゃ。じゃあ次は、ルル殿とメリス殿。ルル殿ー、メリス殿ー、こっちでフォーチューブするのじゃー」
:フォーチューブするのじゃー。
:インタビューが出てこないの可愛い。
:缶蹴りするぞーみたいなノリ。
:にゃあああ、ルルちゃん可愛いーっ!
:メリスちゃんの服が変わってる? ルルちゃんも?
「コンニーチワー! デース!」
「なんでゴザル。拙者たちの武器を見たいでゴザルか?」
「うむ。いま紫蓮殿からお話を聞いて、氷雪の心がどうなったかみんなに教えてあげたいのじゃ」
「んふぅ! こうなったでゴザル!」
「氷になっちゃったデスよ!」
:うぇえええええ!?
:氷の武器になってるぅううう!
:なにこれ超かっけーっ!
【石音縁】:なにそれぇーっ!
:氷雪の心ってことは炎とか雷もあるってこと!?
:部長ちゃんも見てるじゃん!
「あっ、部長が見てるデス! やっほー、小鎌が氷になったデスよー」
「学校のみんなも見てるでゴザルな。見て見てでゴザルー!」
:やべえ、こういう時だけ女子高生らしくなってる!
:説明係の人ーっ!
:紫蓮ちゃーん!
:紫蓮ちゃん説明してーっ!
「猫の人は陽気だから一生終わらないのじゃ。ルルパパ殿、次はささら殿と命子様なのじゃ!」
:あぁあああ……。
:これだから猫の人は。
:イヨ様がみんなと仲良しになって嬉しい。
:命子ちゃんだ!
「こんにちめーめー。殺気と元気のバーゲンセール、羊谷命子でっす」
:殺気は安売りするなwww
:こんにちめーめーとか初めて聞いたんだが(困惑)
:でっす!
:はー、命子ちゃん可愛いぃいいい!
:へへへっ、この子が世界の大英雄なんだぜ(誇)
:こんにちめーめー!
:こんにち迷々!
「こ、こんにちさらさら。笹笠ささらですわ」
:こんにちさらさらーっ!
:こんにちさらさらーっ!
:この照れ顔を見に来た。
:ふつくしい。
:この照れ顔には五大栄養素が全部入ってる。
:今日は絶対いい夢が見られるって確信した。
:言わされてる感www
:命子ちゃん笑ってるやんwww
「命子様とささら殿の感想が欲しいのじゃ!」
「うーん、今回の私はあまり活躍できなかったかなぁ。かなり安全マージンを取った探索だったから、大きな魔法も放たなかったしね。でも、剣をメインにして戦ったから凄く楽しかったです」
:命子ちゃんが活躍しないダンジョン攻略とかあるんか?
:明日から世界でヤバめのイベントが始まる感じ?
「命子様だっていっぱい活躍してたのじゃ。特に隠し宝箱を2つも見つけましたのは命子様なのじゃよ」
:隠し宝箱の発見……。
:活躍しているやないかーい!
:命子ちゃんすげぇwww
:無限鳥居の隠し宝箱も、今ではみんなお世話になってるからな。
:何が入ってたの?
「うん、隠し宝箱さんを雪の中から救出できたのはたしかに良かったね。まったく、寒かっただろうに健気なことだよ」
:命子ちゃんて宝箱のことになるとおかしくなるよな。
:宝箱いいよねー。ワクワクする。
:宝箱に健気って言う人初めて見た。
:宝箱になって命子ちゃんに発見されたい人生だった。
「それで中に入っていたのは、さっきイヨちゃんが説明した氷雪の心。あとは、ささらを苦労させた心眼ってアイテムだよ」
:心眼!?
:聞いたことないアイテムだな。
:心眼は日本のオタクに効きすぎる。
:凄そうな予感。
:ささらちゃんが苦労したってどういうこと?
「これが心眼」
:布。
:やべえアイテムの予感が凄い。
「宝箱からこの心眼が出てきたんだけど、効果は『目に装着すると魔力やマナを見られるようになる』ていうものなの。で、試しにささらが着けてみたんだけど、そうしたら外れなくなっちゃったんだ。超ウケる!」
「ウケませんわよ!? 大変だったんですのよ!」
:呪いのアイテムやん!?
:そんなアイテムあるの!?
:やっばー!
「こう言ってるけど、ささらってば凄いんだから。まあそのあたりの様子も撮影しておいたから、ささらのマンガみたいなダンジョン探索をぜひ見てください」
「もう!」
「あっ、あと、それを見ても危ないから真似しない方が良いです。ささらは特殊な訓練を受けてる系女子高生なので」
:何があったんだ!?
:超気になる。
:おいおいおい、いつ動画はアップされるんだ!?
:今から全裸待機する。止めないでくれ。
:特殊な訓練を受けてる系女子高生というパワーワード。
「ささら殿、最後に魔眼を使うのじゃ。取れ高なのじゃ!」
:取れ高しかない定期www
:取れ高に貪欲な古代巫女。
:ささらちゃんが魔眼を!?
:もしかして心眼って成長補助アイテムか!
【石音縁】:ささらちゃん、カッコいいこと言いながら使って。
「ささら、縁先輩がなんかカッコいいこと言いながら使ってだって」
「え、えぇえええ!?」
:無茶ぶり助かる。
:網膜に焼き付ける準備はできてる。
:1日に二度もささら様の照れ顔を見られるって、俺は今日どんな善行を積んだんだろう。
「わ、我が瞳よ、黄金の輝きで戦場を照らせ! 刹那眼!」
:かっけぇーっ!
:うわぁあああああああ!
:刹那眼って名前が最高かよ!?
:ヒュンってきたーっ!
:今のポーズがカード化されるって本当ですか!?
「ひゃーん!」
:顔を隠しても可愛いが丸出しだぞ!
:耳まで真っ赤やんwww
:そして、安定のルルちゃんたちからのモチャモチャ。
:こんなの反則なんだよなぁーっ!
:命子ちゃんめっちゃ笑っとるwww
:後ろでささらママも顔真っ赤にしてて草。
「おっ、どうやらそろそろお終いの時間なのじゃ」
:絶望した!
:嘘だろ……あと48時間はいけるのに。
:なんなのこの喪失感。
「というわけで、帰ってきた報告だったのじゃ。皆の衆~、次の動画を楽しみにしてくれなのじゃー!」
:イヨ様、ゆっくり休んでね。
:帰還の報告ありがとう!
:みんなゆっくり休んでね!
:次も楽しみにしてる!
:お疲れ様でした!
【石音縁】:お疲れ! 残りの旅程も気をつけてね!
:ささらちゃん涙目www
:うわぁあああああ、可愛いーっ!
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「ふぅ! 楽しかったのじゃ!」
凄く良い笑顔で生配信を終えたイヨ。
その隣で最後に手を振ってお別れしていたささらは、配信が終わって両手で顔を隠して屈んだ。中二病全開のセリフとポーズで刹那眼をお披露目した直後にも、恥ずかしさのあまりに取ったポーズである。
「ささら殿、良い感じだったのじゃ! コメントもいっぱい来て大盛り上がりだったのじゃ」
「ひぅうううう!」
傷口を広げていくスタイル。
「ささら、スマホにおかえりメールがガンガン届いているよ」
スマホを確認した命子がそう言うと、ささらがピクンとした。
顔から両手を外して真っ赤な顔と涙目を晒しながら、スマホを取り出す。ボッチだったので、友達からたくさんのメールが来たとあっては照れている場合ではないのだ。
「命子さん! ナナコさんたちからお祝いが来てますわ!」
たくさんのお祝いコメントを貰ったささらが笑うので、命子もニコパと笑うのだった。
読んでくださりありがとうございます。
ブクマ、評価、感想、大変励みになっています。
誤字報告も助かっています、ありがとうございます。




