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2-19裏 その頃地上では3日目

【注意】本日2話目です。ご注意ください。

 命子たちが3日目の夜を過ごしていた頃、地上では大変な騒ぎになっていた。


 ダンジョン初帰還者というネームバリューにより、命子が行方不明になったことはニュースでも報じられ、先んじてその情報を察知していたネット住民の間ではネット内で捜索隊も結成されていた。

 青空修行道場でも、各々がこの話を持ち帰って情報を求める。

 ロリッ娘迷宮の自衛隊駐屯地でも命子の人気は高かったので、心配する声が多数上がっていた。


 唯一分かったことは、命子と同じクラスの女子2名が、同じ日に行方不明になったということ。

 3人の失踪に事件性はあるのか、3人の交流関係は、地域のカメラには映っていないか。そんなことを警察は捜査するが、進展はなかった。


 そんな中で、一つの重大な情報がもたらされる。


 それは、一枚の写真だった。

 散り行く桜と地面を埋め尽くすほどの花びら。そして、小さなお社を背景にして、3人の少女が満面の笑顔で写っている画像だった。


 ダンジョンに入る前にルルがキスミアの友人達へルインのグループ送信で送り、それが巡り巡って隣国フェレンスまで届いた後に、ついに日本人のスマホに入ってきたのである。


 この画像がとある掲示板に貼られた後に、すぐさま警察にも提供された。

 この場所がどこであるかという情報と共に。


 風見山の中腹にある桜のお社。

 そこは、春になれば麓の町からも見ることのできる数本の山桜がよく目立つ場所であった。

 

 情報が警察の手に渡った時間は、命子たちが3日目の夕方を過ごしていた時間だ。

 夜の山は危険なため、警察は翌日の朝から動くことを決定し、その日を終える。


 行方不明から4日目の朝、手配された人員により山の捜索が行われる。

 まず、手掛かりとなった桜のお社から調べられることになるのだが、そこで手配された人員がいらないかもしれない大発見がなされる。


 桜のお社の背後。

 桜の花びらが絨毯のように広がる地面に、ダンジョンのゲートを発見したのだ。


 薄ピンク色のそのゲートは桜の花びらの中に紛れ、日の当たり方によってはしっかり見なければ分からないほど、同化していた。特に陽の光と社が作りだす影が、色彩感覚を狂わせるのだ。

 小さな痕跡を発見する仕事をしている警察だからこそ気づけたような、まさに天然のトラップであった。


 ここに落ちたのだと判断した警察は、直ちにロリッ娘迷宮に駐屯する自衛隊に連絡を取る。

 この時、昼の12時中頃。


 直ちに救助部隊が編成されるも、その時間帯は精鋭たちもダンジョンへ入ってしまっている。

 3交代制でダンジョン探索がなされているため、集められたのは現在休養中の精鋭隊員たちだ。緊急招集が掛かるが、全員がすぐさま応じられるはずもなく。


 そうして編成された救助部隊が到着したのは17時。


 その間、渦の周りを警備していた警察官は、首を傾げた。

 渦の色が濃くなっている気がしたのだ。


 警察官は知るはずもないが、この無限鳥居のダンジョンは昼夜で難易度が変わる。

 そして、警察官が色の変化に気づいた16時には、地図などを駆使してギリギリで命子たちが初日に泊まったセーフティゾーンに辿り着ける時間であった。


 17時に救助部隊が到着したころには、地図を駆使してダッシュで向かわなければ間に合わない時間となっていた。

 渦の色は紫に近いピンク色に染まっていた。それはE級とD級の間くらいのダンジョンに相当していた。


「確かにここはF級ダンジョンだったんですか!?」


 救助部隊についてきた馬場が、警察官に問う。

 警察官は昼間に撮影していた現場の写真を提出し、それを確認した救助部隊隊長と馬場は困惑した。


 そんな彼らの目の前で時間が過ぎていき、陽が山の向こうに沈んでいく。

 やがて渦は深い紫色に変化するのだった。




 照明が煌々と照らす中、どこからか話を聞きつけた報道陣が、ダンジョンのある敷地の外、半分森になっているような場所から気合と根性でカメラを向ける。

 上空ではヘリに乗った報道カメラマンが桜の社の様子を撮影し、リポーターが実況していた。


 地球さんの大告知以降、ダンジョンに初めて突入する際は、こうして報道カメラがダンジョンに突入する勇士たちの姿を映すのが常であった。隊員たちの無事を祈り、国民を安心させる意味合いが強い報道である。

 今回に至っては、国内24箇所以外で新たに見つかったダンジョンであり、さらに少女たちが落ちた可能性が非常に高いというだけあって、当然注目を集めていた。


 生中継を見ているネット住民たちがハラハラしながら掲示板に書き込みをした。

 その一部を抜粋する。


――――――


【緊急事態】我らが天使が行方不明な件 PART45【新ダンジョン発見】


765、名無しのダンジョントラベラー

 ふざけんな警察!

 なんで発見し次第救助に向かわないんだよ!


766、名無しダンジョントラベラー

 だからな、何度も言うようにダンジョン調査は、自衛隊の領分なんだよ。


767、名無しのダンジョントラベラー

 だからってお前、こんな、こんな天使3人がダンジョンで今も彷徨ってるかもしれないんだぞ!?


768、名無しのダンジョントラベラー

 766を補足すると、初見のダンジョンは特に自衛隊がまず入って確かめないとまずい。

 海外どころか、日本でもすでに殉職者が出てるから、自衛隊の中でも精鋭で挑む必要があるんだよ。


769、名無しのダンジョントラベラー

 お前ら良く平気だな!?

 こんな可愛い娘たちが死んじゃったら、人類の損失だってなぜわからん!


770、名無しのダンジョントラベラー

 熱くなるなって、ほら飲め つ旦~~


771、名無しのダンジョントラベラー

 アツアツだよ。つ 旦~~


772、名無しのダンジョントラベラー

 つ 旦~~


773、名無しのダンジョントラベラー

 ありがとね!?

 だけど、出し過ぎだよ( `ー´)ノ


774、名無しのダンジョントラベラー

 それにな、我らが命子ちゃんが潜っているんだぞ?

 見てみろよ、アイツらの落ち着きよう。


775、名無しのダンジョントラベラー

 あいつらって?


776、名無しの命子教信者

 我らは命子様の無事を信じている。


777、名無しのダンジョントラベラー

 いや、うるせぇよ!

 俺は青空修行道場にも行ったからな?

 命子ちゃんはホントに一生懸命で可愛くて、ふぐぅ……っ!


778、名無しの命子教信者

 囀るな小僧。

 貴様は命子様の何を見てきた。


779、名無しの命子教信者

 あのお方なら必ず奇跡をその手につかみ取る。


780、名無しの命子教信者

 あのお方こそ運命の御子ぞ。


781、名無しのダンジョントラベラー

 へへっ、相変わらずゾッとする奴らだぜ!


782、名無しのダンジョントラベラー

 でも、実際にあの子には何かあるよ。

 こんなところで死ぬような娘じゃないって俺も思う。


783、名無しの命子教信者

 >782 入信を許そう。


784、名無しのダンジョントラベラー

 おっと自衛隊に動きがあったぞ。

 これから突入かな?


785、名無しのダンジョントラベラー

 やっとかよ! あーもう、頑張れよ!


786、名無しのダンジョントラベラー

 クソー! 俺もダンジョンでレベル上げられていれば有志でも募って入るのになぁ!


787、名無しのダンジョントラベラー

 >783 入信の方はちょっと……


788、名無しのダンジョントラベラー

 いや、待て。

 おかしい……突入しないっぽいぞ?


789、名無しのダンジョントラベラー

 はっ?

 なんで?


790、名無しのダンジョントラベラー

 いや、だけど整列は始めたぞ。


791、名無しのダンジョントラベラー

 どういうことだ?


――――――

 読んでくださりありがとうございます。


 ブクマ・評価・感想ありがとうございます!

 誤字報告も大変助かっています。

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― 新着の感想 ―
[一言] 5度目くらいの読み直しでちと発見。 中盤の 768、名無しのダンジョントラベラー  766を補足すると、初見のダンジョンは特に自衛隊がまず入って確かめないとまずい。  海外どころか、日本で…
[気になる点] まぁ、夜はアレだからねぇ。 というか、外からでも分かるのかぁ。そして難易度はそれぐらいなのかぁ、ほんとやばいね
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