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地球さんはレベルアップしました!  作者: 生咲日月
第12章

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12-10 浮遊島探索

本日もよろしくお願いします。


「放てぇ!」


 馬場の号令により、ウラノスの甲板から魔法が放たれる。

 離れた雷神でも色とりどりの魔法が放たれ、戦闘中だ。


 命子たちは2つ目、3つ目と浮遊島を制覇していき、現在は4つ目の浮遊島を目前としていた。


 今回は左舷側からは軍隊ガラスの群れ、右舷側上空からはペガサスの小集団が襲い掛かってきていた。それぞれの数は最初にエンカウントした時よりも少しばかり多い。


「【ヘイトオーラ】! 後ろは任せた!」


「ああ!」


 命子パパが船尾楼甲板に立ち、一部の騎士系職が覚える挑発技を使う。

 その背後をささらパパが守る。


「【ガードフォース】ですわ!」


 さらに、二人の体に赤い光が宿った。

 ささらからの守備の魔法だ。込めた魔力分だけダメージを遮断してくれる便利な技である。

 バフ系の魔法は絆の強さで掛かりやすさが変わるため、ささらパパの方が強く光っている。まあ命子パパは余所のお父さんなので仕方ない。


 そんな無念の命子パパが使った【ヘイトオーラ】は攻撃対象にされやすくなるスキルだ。ゲームで見られるような絶対的な効果を持つ魔法ではなく、敵にターゲットを変更する余裕がない状況だと普通に無視される。


 魔法の弾幕を抜けてきた軍隊ガラスが突っ込んでくる。

 今の軍隊ガラスたちに余裕はないだろうが、その攻撃自体には『誰に突撃してもいい』という意思があったようで、優先的に命子パパへ向かった。


 命子パパが構えるカイトシールドにいくつかの重い衝撃が走った。

 中肉中背で草食系顔な命子パパでは普通なら吹っ飛ばされてもおかしくない衝撃だが、騎士系のジョブは【ノックバック耐性】というスキルを覚えられるため、どっしりと耐えてみせる。その姿はまさに一家を支える大黒柱。


 そんな命子パパの前を一陣の風が駆け抜ける。


「にゃふしゅ!」


 美少女旋風ルルにゃんである。


 カイトシールドに当たって床に転がった軍隊ガラスたちを忍者刀と小鎌で一瞬にして切り刻み、甲板の上で滑りながら停止する。


 一方、命子たちはペガサスを迎え撃つ。


「火の鳥!」


「「強化火弾!」」


「光子、今だよ!」


「アリス、撃てぇなのれす!」


 命子、紫蓮、紫蓮パパ、萌々子、アリアが魔法を放つ。


 魔法が放たれると、命子は萌々子、紫蓮はアリアを庇うようにして立ち、武器に手をかける。紫蓮パパは自分で対処だ。


 何回かの戦闘で、ペガサスは一撃目が頭上からの魔法掃射だとわかっているので、それが直撃コースならば武器で弾くのだ。


 いくつかの光弾のコースは【ヘイトオーラ】を使った命子パパ。

 その背後を守るささらパパが盾を構える。


「ほいほいっとなのじゃ!」


 その時、光弾のいくつかがイヨの矢で射貫かれた。

 ささらパパは数が減った光弾を問題なく弾いてみせた。


 そんな2人を守ったイヨ。

 その背後に迫る軍隊ガラスが、メリスの小太刀で迎撃される。


「ありがとうなのじゃ!」


「礼は無用でゴザル!」


「おっ、馬も落ちたようなのじゃ」


「ニャウ。戦闘終了でゴザルな」


 そうして戦闘が終わると、船上は被害確認やドロップ回収の声で賑やかになる。


 そんな様子を見て、命子は少し口角を上げた。


 少しずつダンジョンが本性を現し始めた。

 神獣の試練が温いはずないと思っていたけれど、多くの人が一致団結しなければならないほどには、良い感じになってきた。


 だけどまだ初日。

 本番はこれからだし、立ち回りを完成させ、もっともっと連携を研ぎ澄ましたい。

 そのためにも、いまの『制限』を早く解除してもらわなければ。


 命子は女子高生スイッチをオフにして、修羅スイッチをペイッとオンにした。

 それに連動して目がギラリと刃物のように鋭くなっていく……ような妄想をしたが、実際には元気いっぱいのお目々であった。




 戦闘を終えると、ウラノスと雷神は4つ目の浮遊島に到着した。


「15時30分か。翔子、ここらが決断どころだぞ」


「そうね」


 教授が言うと、馬場は頷いた。


 セーフティエリアが見つからない。

 いまのウラノス船団はそんな悩みを抱えていた。


「難易度変化級ダンジョンにはセーフティエリアが無い場所もある。ここもそうかもしれないぞ」


 教授が言うように難易度変化級ダンジョンはセーフティエリアが無い場合もあった。

 無限鳥居のような時間で難易度が変わるダンジョンはその性質上確実に存在するが、ルートで難易度が変わる場合は確実とは言えない。

 なお、例外なく妖精店だけは全てのダンジョンに存在する。


「キリが良いところで5島刻みということはないかしら?」


「その可能性はあるが、キリが良いというのは私たちの感覚だろう? それに4だってキリが良いと言えばキリが良い。もっと言うなら0島目を1島目とするなら今回の島で5島目だ」


「すぐそうやって論破しようとする。嫌われるわよ?」


 馬場が半眼で言うと、教授は鼻を鳴らした。


「で、どうするんだ、総指揮官殿。私はこの島で一晩過ごすほうが良いと思う」


「うーん。よし、わかったわ、そうしましょう。じゃあ、予定通りにここで命子ちゃんたちと上陸探索をするわよ」


「了解」




「はねはね」


 命子は甲板に散った『軍隊ガラスの羽根』を拾う。


「お姉ちゃん、上陸するみたいだよ」


 拾った羽根の先端を二本指で気取って摘みながら、萌々子が言う。

 命子も負けじと両手の二本指で羽根を摘み、腕をクロスした。今にもダブルフェザーアタック的な技を放ちそうな構えだ。


「光子が真似しちゃうからやめて」


「ふぇえええ! モモちゃんが最初にやってたのに!?」


 命子に指摘されて初めて、萌々子は己が二本指で羽根を摘んでいるのに気づいて、顔を赤くした。


「違うし。こうやって持つと楽だったんだし。あっ、ほらー!」


 言っているそばから光子がダブルフェザーアタックの構えを取った。ミニ萌々子の姿で。他者が見たら、普段から萌々子がそんなポーズを取っているように見えるだろう。


「それよりもモモちゃん、上陸ってどういうこと?」


「なんか水辺にウラノスが移動してるの」


「ふーん……ホントだ! 今回の探索は小型飛空艇じゃないのかな?」


 ウラノスが4島目に到着した。


 今のところ全ての浮遊島には湖があり、この4島目にもやはりあった。

 今までは湖の中央に着水していたのだが、命子と萌々子が話しているように、今回は水面の上で一旦浮遊状態になっていた。今までとは違うことをする気配だ。


「モモちゃーん、メーコお姉様ー、食堂に集合なのれすぅ」


 アリアがそう言って呼びに来たので、命子と萌々子は顔を見合わせた。

 ウラノスの護衛があるので、みんなで船内に入るのは珍しい。


 食堂にはすでに乗客が全員揃っていた。つまり命子たちの家族とサーベル老師だ。


「皆さん、お集まりいただきありがとうございます」


 馬場が言う。


「現在、ウラノスと雷神は第4島目に到着しました。我々の目的の一つとしてセーフティエリアを捜索していましたが、第3島までには存在せず、今回の探索で発見できなかった場合は、本日はここで一夜を過ごすことに決定しました」


「大丈夫そうなんですか?」


 命子が手を挙げると同時に発言した。


「大丈夫かと問われると不明としか言えませんが、次の島の探索をするとなると夜が始まるギリギリになってしまいます。難易度変化級ダンジョンの中にはセーフティエリアがない場合もありますので、ここもそのタイプだと判断しました」


 質問者は命子だが、説明会なので敬語で話す馬場。


「さて、状況説明は以上になります。続きまして今後の予定ですが、このあとに乗員による探索を実施します。そこで、その探索に皆さんも参加いたしませんか?」


 その言葉に、命子はバッと勢いよく手を挙げて即座に発言した。


「参加します!」


 まあそう言うだろうなと全員がスルーする中、ささらママが手を挙げた。


「参加の目的はなんでしょうか?」


「今後起こるかもしれない万が一のためです。難易度変化級ダンジョンは多くの人が挑戦していますが、その中には遭難して救助されるケースもあります」


「シルバニニャン遭難事件……」


 ルルママが難しい顔で呟く。

 命子は、キスミアはニャンをつければいいと思ってるな、と思った。


 命子の感想はともかく。

 難易度変化級ダンジョンは非常に人気が高く、クリア者も多い一方で、途中で遭難するケースもそこそこ報告されていた。

 時限型の場合は遭難すると時間切れで終わるケースが多いが、ルート型は長期間生存が可能なケースもある。


 シルバニニャン遭難事件も、キスミアにある魔鼠雪原で遭難したパーティが10日間生き残った末に、捜索者の支援を受けてダンジョンをクリアした事件であった。


「なんらかの原因によって、もし皆さんだけでダンジョンに留まることになった場合、浮遊島での生活が余儀なくされるはずです。ですので、どのような場所なのかを体験しておいてもらいたいと考えています」


「なるほど、わかりました。それは私でも参加は可能でしょうか?」


「「っ!」」


 ささらママの言葉に、夫と娘がビクンとする。

 ささらママは運動音痴だった。


「はい、もちろん可能です」


「では、よろしくお願いします」


 というわけで、ささらママが探索に同行することになった。

 ささらとささらパパは顔を見合わせるのだった。




 結局参加するのは、命子たち6人とささらママ、命子パパ、ささらパパ、サーベル老師となった。

 命子ママや紫蓮ママは厨房のお手伝い、紫蓮パパはイヨの矢を製作、ルルパパはドローンによる調査など、それぞれが得意なことをしてお留守番だ。


「それじゃあモモちゃん、アリアちゃん。おっきいの釣っといてね」


「うん、行ってらっしゃい!」


「お気をつけてなのれすぅ!」


 萌々子とアリアは、ウラノスに残って釣りである。

 湖には釣れそうな魚がいるので、危険は少なめだが立派な調査だ。

 ルルママはそんな二人の護衛だ。キスミアの護衛であるシーシアがウラノスに乗っていなかったため、ルルママはアリアを気にしているようだった。


 さて、命子たちは2班に分かれ、活動した。


 命子班には、命子、紫蓮、ルル、教授、命子パパ、サーベル老師、ウサギのまめ吉。

 ささら班には、ささら、メリス、イヨ、馬場、ささらママ、ささらパパ、ネコのジュウベエ。


 それぞれの班に運動音痴とペットを入れる布陣である。


 いくつかのルールを決め、いざ探索開始。


 命子はさっそく地図を広げた。


 これは上空から撮影された浮遊島の写真で、それぞれの班にコピーが渡されている。

 地図上の森林部分の一部は赤と青のペンで縁取られており、そこが命子班とささら班の探索地域だ。


「よし、お父さんが先頭を行くぞ」


「オッケー!」


 娘との探索に、命子パパが張り切って先頭を歩き始める。対する娘の言葉の軽さよ。


 森は低木が少ない歩きやすい森であった。

 とはいえ枝もあり、戦闘時の立ち回りはなかなか難しそうだ。


「まめ吉、離れちゃダメだぞ。アイ、ちゃんと見ておいてね?」


『むーっ!』


 命子がお願いすると、ウサギライダーになったアイが元気にお返事した。

 まめ吉をピョンピョンと進ませて、その手綱さばきは熟練の域に達しつつある。


「キョージュ殿、どんなふうに探索すればいいデスか?」


 ルルが尋ねた。

 尋ねられた教授は、「はう!」と小枝で顔を打っていた。


「大丈夫デス?」


「あ、ああ。えっと、それでだ。こっちの班は私がいるから採取物の判別は任せてくれ。君たちは森の様子を体験してくれるだけでいい」


「わかったデス!」


「団体ではないが魔物が出ることも報告されているから、気を付けてくれたまえ」


「ニャウ!」


 ルルはそう返事をすると、忍者刀で枝を払いながら歩いてあげることにした。


「むっ! 教授、あれ」


 続いて、瞳を赤く光らせた紫蓮が指さす。

 人気者な教授は、ひぅひぅ言いながらそちらへ顔を向けた。


 そこには白い花が一輪咲いていた。


「かなり魔力が宿っています」


「ほう、本当だ。採取しておこう。命子君、念のためにサーベルで刺突できるようにしておいてくれるかい?」


「はい、わかりました!」


 教授はゴム手袋をはめて、花に近づく。

 その花に向けて、命子は殺意に溢れた刺突の構えを取った。お花さん、絶体絶命のピンチである。


 風見ダンジョンで命子が出会った『根菜マン』は花を地上に出し、本体は土中に埋まった魔物だ。そういった前例があるため、こんな採取方法を取っている。


 幸い魔物ではなく、花は普通に採取することができた。


「少なくとも私は知らない植物だ。これはなかなか面白い発見かもしれないぞ」


「新種ってやつですか。命子花って名付けましょう」


「第一発見者は我なんだけど」


「じゃあ天空邪気眼花で」


「魔眼花にする」


 というわけで、仮称魔眼花をゲットした。


 その時、ルルとサーベル老師が同じ方向を見た。


「どうやらあっちの班で戦闘が始まったようじゃな」


「ニャウ。でも大丈夫そうデス」


 ルルがネコミミをピコピコと動かして報告した。




 一方、ささら班。


「はうぅ!」


 ささらママが枝で顔を打っていた。


「大丈夫かい?」


「え、ええ、あなた」


 心配するささらパパに答えるささらママ。

 髪から葉っぱを取ってあげるその距離は新婚並に近い。


 独身の馬場は、夫婦のやりとりを見て遠い目をした。

 現在の自分は29歳。ささらママがその年齢の時にはすでに母親であったという、考えてはダメな事実が心を蝕んでいく。


 そんな中で、ささらは凄く微妙な気持ちになっていた。

 心配するのは母のプライドを傷つけまいか、邪険にするのは母の心を傷つけまいか、むしろ、この視線すらも母を不安にさせまいか。……え、えーい、わからない!

 不器用っ子なささらに、この局面は荷が重かった。


 そんなささらとは違い、メリスはそこそこ空気が読める陽キャなので、イヨに話を振った。


「イヨ。森を歩く時はどうするでゴザル?」


 イヨはメリス自身がその答えを聞きたいわけではないと正確に理解して、少し考えてから答えた。


「森を歩く時は森のことを考えるのじゃ。余計なことを考えていては森に集中しているとは言えん。森に集中して、視るという行動を無駄にしてはならんのじゃ」


「視るを無駄にしてはダメ、ですの?」


「うむ。ささら殿も自然にやっているが、前方の枝をチラリと見たらその場所を覚えていよう? 森歩きが下手な者や体力がない者は、数歩進むとこれを忘れてしまうのじゃ」


「なるほど、なんとなく仰っている意味が理解できますわ」


「うむ。今のお主らは古代の人よりも体力があろう。その体力を以て落ち着いて歩けば、この程度の森なんぞなにも苦にはならんのじゃ」


「なるほど、シノビィの極意でゴザルな」


 うんうんとするメリス。


 真面目なささらママもイヨの話を聞いて、自分の歩き方を振り返った。

 自分は下ばかり見ていなかったか。上を見て枝を確認しても、歩くのに夢中で忘れてしまっているのではないか。


 ささらママはそっとささらパパから離れて、キリリとした目で前を見た。そんなささらママを心配そうに見つめるささらパパ。

 2人の様子は馬場を遠い目にさせる。


 そんな馬場と教授には、この探索でひとつの思惑があった。


 ウラノスでの戦闘の際に、命子たちは入り口付近で戦ってもらっている。

 これは不測の事態に陥った時に、すぐに船内へ逃げ込めるためだ。しかし、本当の目的は親への配慮であった。


 この制限を少しずつ緩和していきたい。

 奇しくもそれは、命子本人も思っていたことだった。


 命子たちの強さは本物だ。

 今回の冒険ではまだまだ本気を出していないし、この冒険がそんな命子たちを手加減させたまま終わらせるとは思えない。


 後半の戦いが始まる前に、命子たちが本気で駆け回れるような状況を作りたい。もちろん、乗員が本気を出すだけでクリアできるのが一番ではあるのだが。


 だからこそ、こうして森の探索に誘ったのである。


 なので、できれば一戦ぐらいしたい。

 その一戦で、親御さんに命子たちの強さを再確認してもらいたい。

 まあ、それでも命子たちをガンガン戦わせるには、最終的に馬場が頭を下げなければならないのだが、それも公務員として仕方ないことだろう。


 馬場が期待する機会はしばらくしてやってきた。

 最初に察知したのは、メリスとイヨ、そして猫のジュウベエだった。

 2人と1匹がバッと森の奥を見た。


 その反応からわずかに遅れて、ささらと馬場、ささらパパが敵の気配を察知する。ささらママは全員の反応から戦闘になることを推測した。


「カラスなのじゃ! 数は4! くるのじゃ!」


 イヨは鋭く注意喚起をしながら、まだ見えない敵に向かって雷弓を引いた。

 それと同時に、木漏れ日が差す森の奥から軍隊ガラスが羽を広げて急速接近してきた。


 中の1羽の眉間がイヨの矢で射貫かれるが、残りの3羽は仲間の死にも恐れずに突っ込んできた。


「イヨさん、ワタクシが!」


「うむ!」


「シャーラは右と奥!」


 矢を放ったイヨの横をささらとメリスが駆け抜ける。

 小枝が2人の顔や首を引っかけるが、目を傷つけなければ些事だとばかりに、戦闘に集中する。


「わかりました……わっ! 【ガードフォース】! はぁ!」


 ささらは、メリスへの返事をしている間に接敵した軍隊ガラスをすれ違いざまに斬り倒し、嫌らしい時間差で遅れて飛んでくるスキル覚醒個体を【ガードフォース】を付加した盾で殴りつけた。


 一方のメリスは、高速で飛来する軍隊ガラスを自身もまた高速で移動しながら迎え撃ち、ささらと同様にすれ違いざまに斬り倒す。メリスの【猫目】が黄金色に輝いていた。


 後に残るのはささらの盾で地面に落とされたスキル覚醒個体。


「ジュウベエ、行くでゴザル!」


「フシャーッ!」


 隙あらばペットのレベリングも忘れない。


 あっという間に戦闘は終わった。


 ささらママも、娘たちが戦っている姿を何回か見たことがある。

 地球さんTVなどのデバイス越しを合わせれば相当数見ているだろう。


 しかし、こんなに近くで見るのは初めてだった。


 いつもの女子高生な娘ではなく、修羅モードな娘の姿。

 木漏れ日の中で剣を払って鞘に納めるその姿は、自分の娘ながら恐ろしいほどに美しく見えた。


 自分が心配するほど柔な娘ではないと思っていたけれど、ささらママはこの時、真に自分の娘の強さを知ったような気がした。


 ささらママが今回の探索に志願したのは、これを再確認したかったからであった。


 それぞれの親とてバカではない。

 最強格の娘たちを温存するのは、最悪全滅の危機にすら繋がりかねない。

 だけど、心配ではある。親だもの。


 ささらママ、命子ママ、紫蓮ママは、3人ともあまり運動が得意ではない。

 だから、運動音痴代表として娘たちの凄さを確認し、同じように心配している2人に教えて安心させてあげたかったのだ。

 ささらママは不器用であった。




>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


★笹笠さりさ


 ささらの母親。怒っているのかと心配になっちゃうほどキリリとした和風美女。


 風見町を陰から牛耳る名家・笹笠家の当主と思われがちだが、大地主というだけである。ただ、代々相談役になっており、風見町の古い家からの信頼は厚い。


 娘たちの冒険のサポートをするダンジョン情報配信サイト『MRS』を創業し、社長を務めている。

 そういった企業なので、福利厚生の中にはダンジョンにまつわるものが充実しており、新時代の企業スタイルの先駆けになっている。


 娘と同様に目つきがきついため昔から友達が少なく、社会人としてのコミュニケーションは取れるが、根本的な部分でコミュ障である。


 戦闘スタイルは、魔法タイプ。

 体力作りはしているので体力はあるが、運動は苦手である。

 自身が冒険をする際は、後衛で魔法と指示を出す係をする。


・ジョブ履歴

 現在:『指揮官』

『見習い指揮官』『修行者』

『見習い水魔法使い』『水魔法使い』

『淑女』

※ささらママも若く見られたい願望はあるため、『淑女』をマスターしている。


・装備

 頭 チェーンサークレット(女用)

 首 チョーカー

 胴 秘書服(魔法)

 足 秘書服(魔法)

 足2 黒タイツ

 靴 ソックスブーツ

 武器 杖

 


読んでくださりありがとうございます。


ブクマ、評価、感想、大変励みになっております。

誤字報告も助かっています。ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] パパサンの話もあったしママさんの話もあるよね、今回は最初から親子同伴だから大人は色々考えちゃうよね
[良い点] 命子たちが修羅修羅して親御さん達も少しは安心できそうですね。 完全に大丈夫と思うことは出来ないでしょうけど。親だもの。 [気になる点] 無限鳥居の一松やタヌキみたいな課題ポジションの魔物は…
[良い点] ダンジョン探求にワクワクします。 [気になる点] >シーシアがウラノスに乗っていなかったため 12-4で、シーシアがウラノスに乗っている描写がありましたので、加筆か手直し頂ければ。 [一言…
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