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クリスマス特別編 午前

ちょっと閑話を離れて、特別編です。

メリクリメリクリ!

 地球さんがレベルアップした今年も変わらず、やってきました。


「クルィスマゥス・ウィブ!」


 謎の巻き舌を披露しながら、命子が宣言した。

 手足を大きく広げてX字を作る命子の頭の上では、同じポーズをする光子の姿がある。そう、クリスマスのエーックス!


 ここは羊谷家の玄関。

 迎えに行ったらいきなりそんな歓迎をされたものだから、ルルとメリスはすかさずアキレス腱伸ばし&腕伸ばしのポーズを二人で左右逆向きに行ない、合体技のXで迎え撃つ。

 その後ろにいる陰キャ気味のささらと紫蓮は、陽キャ同士のぶつかり合いを、勉強になるなぁと眺めた。

 ポーズを決めて固まる3人と1カワ。最初に動いた方が負ける……っ! そんな戦いの横で、萌々子がポーカーフェイスで靴を履き、準備を進める。


 オープニングを終え、萌々子を加えた6人と1カワで外に出た命子たちは冬の風見町を行く。


 これが都会でのことなら、今日がクリスマスイブなのだと実感できるメロディーや景色で彩られているのだろうが、ここは風見町。ダンジョンができて急速に発展しているとはいえ、ベースは田舎である。

 クリスマスを実感できる場所は、駅前商店街とダンジョン区、あとは風見っ子の生命線のひとつである菊池デパートくらいだ。


 そんなわけで、命子たちはいつもとなんも変わらない住宅街を進む。


「ハッ!?」「にゃっ!?」


 しばらく歩くと、命子とルルが同時にビビッと来た。

 角を曲がると、前方に命子たちと同じ方向へ向かう一組の男女が。

 一見すれば、それは姉と弟のようだが、命子たちの目は誤魔化されない。


「副部長と彼氏君だ」


「ニャウ。さては風見町のイベントをスルーして、2人でクリスマスデートに行くつもりデスね」


「まあ!」


 そう、それは修行部の副部長とその彼氏だった。彼氏は小学6年生である。


「おー、諸田もろた君、本当に高校生と付き合ってるんだ……」


「知っているのか、モモちゃん」


 謎の劇画調演出で尋ねてきた姉に、萌々子はクールに答えた。


「同じクラスの子だよ。少し前までバカ男子の1人だったけど、最近大人びてクラスの女の子から人気なの」


「ほっほう。諸田君め、抜きん出おったか」


 そんなことを話していると、前方の2人の手が偶然触れ合った。

 それにちょっとビクンとしたあと、諸田君が勇気を振り絞った様子で、副部長の手を握った。


 頬を染めて、自分よりも背が小さい諸田君に笑いかける副部長。

 すると、横を向いたことで副部長が背後を歩いている命子たちに気づいた。


 6人は光の速さで右を向き、命子が木の上を指差した。


「見て見て、モズの早贄だ!」


「ま、まあ、本当ですわね!」


「モズ落としデスワよ?」


「枯れ木さんにもメリークリスマス、ズブシューッつってね!」


「地獄のオーナメント」


 超魔○村・風見町は、夏は自販機に虫がたかり、秋や冬は枝にモズの早贄ができるのである。


 目の端で2人の動きを追っていた命子は、2人が角を曲がったのを確認して、息を吐いた。


「ふぅ、バレるところだったね」


「危ないところだったデス」


 やれやれとかいていない汗を拭った命子たち。


「それで、モモちゃん。諸田君はどんなやつなの?」


「どんな……どんな?」


 命子の質問に、萌々子は記憶の糸を辿るように難しい顔をする。


「副部長はお料理が得意なお姉さん系女子高生デスワよ!」


「おっぱいもおっきいデス。シャーラと同じくらい、にゃんっ!?」


 メリスとルルが副部長のスペックを公開し、いらんことを言ったルルがささらにお尻をつねられた。


「ふっふっふっ、さあ、この強カードに勝てるかな!?」


「デュエルスタート!」とカッコつける命子の背後で、ささらとルルがイチャイチャし始める。


「えー、諸田君にそこまで期待するのは……たしか、カブトムシを捕まえるのが得意だって男子が騒いでたかな?」


「つ、強い……っ!」




 道中を諸田君談義で盛り上がりつつ、まず命子たちがやってきたのは、自衛隊の仮宿舎のプレハブ。

 なかなか本宿舎が作られないが、どこの建築業者もダンジョン周辺の設備や山岳地にあるダンジョンへの道を作ったりと大変なため、後回しになっているのが現状だ。


「トントントントン!」


 命子は効果音を口にしながらプレハブのドアをノックしまくった。ウザガキの所業である。


「はいはーい!」


 すぐに中から馬場が出てきた。


「「「メリークリスマス!」」」


「ひゃーっ! メリークリスマス!」


 馬場は女子高生たちの元気なご挨拶に、テンションは最初からフルスロットル。


「さあさあ、上がって上がって。狭いけど」


 というわけで命子たちは上がらせてもらった。


 中は10畳ほどで、キッチン、トイレ付。風呂は別の場所に共同浴場が。ほかには二段ベッドが2つある。


「あっ、教授! 滝沢さん!」


 わーっ、と命子は教授に突撃した。


「やあ、命子君」


「わぁー、こんにちは。みなさん」


 教授と滝沢はそう言って出迎えた。


 さて、このプレハブは10畳。そこに9人。なかなかきつい。


「今日は時間を貰っちゃってすみません」


 落ち着いたところで、命子が言った。


「ううん。自衛隊の年の瀬は、クリスマスくらいから休みを貰える人がそこそこいるのよ。私たちもその口ね。まあ今年はこんなだから、みんなで順番に勤務するんだけどね」


「へえ、そうなんですね」


「任地から遠く離れるのは無理だし、ダンジョン内生活している隊員もいるわ」


 クリスマスや年始年末に大きなイベントがあるのではないか、と考えている人は多く、今年の自衛隊は任地に待機することになっていた。

 結果を言えば、特にそういうイベントは起こらなかったのだが。普通に数か所のダンジョン周辺で、地球さんイベントが始まったくらいだ。


「ババ殿はキョージュ殿とタキザワ殿と暮らしてるデスか?」


 ルルが部屋を見回して尋ねる。ルル的には狭い部屋なのに、アイロンが存在感を示しているのが印象深かった。身なりを整えるのも自衛官の務めなのだろう。


「ううん。コイツは自分の研究用のプレハブに部屋があるわ。今日はここに来てもらっただけ」


「馬場先輩とは私が一緒ですよ」


 馬場の返答に、滝沢がニコニコしながら続けた。

 ほか2人とここで暮らしているが、彼女たちはダンジョン内勤務なので、別のダンジョン内勤務の女性隊員とローテーションでこのプレハブ宿舎を使っていた。なかなかにハードな生活である。


「そうそう、今日はクリスマスイブだからね。ケーキを買ってきたわ、食べていってね」


「おーっ、ありがとうございます!」


 馬場たちはよほど楽しみだったのか、ケーキやジュースを用意してくれていた。


 ケーキをご馳走になって少し落ち着き、馬場が言った。


「それでそれで、今日はどうしてここに集まってってお願いしたの?」


 その目は、完全になにかプレゼントを貰えると期待している目であった。大人だってプレゼントが欲しいのだ……っ! それが可愛い年下の子供たちからのものなら、なおさらだ。


 みんなを代表して、命子が答えた。


「今日はいつもお世話になっている馬場さんと教授と滝沢さんに、クリスマスプレゼントを持ってきました」


「まあ!」


「ホントですか!」


「なに? それは本当かい?」


 命子たちのサプライズに対して、馬場と滝沢は嬉しそうに、教授は少し申し訳なさそうに驚いた。


 命子が目配せすると、紫蓮は背負っていたリュックから3つの包みを取り出した。


「みんなで材料を揃えて、紫蓮ちゃんが作ってくれたものです」


 そんな説明を受けながら、紫蓮の手から包みを貰う3人。

 そして、プレゼントが3人の手に渡ると、命子が「せーの」と音頭を取った。


「「「メリークリスマス!」」」


 パチパチパチと拍手され、馬場と滝沢は慕われているという実感に泣きそうになった。教授は照れ笑いをしている。


「あ、開けてみてもいい?」


 馬場はグーッと気合を入れて涙を引っ込め、そう尋ねた。


「どうぞ。開けてください」


 命子に言われて、馬場たちはクリスマスカラーの包みを開け始めた。


 感触的には布製品。大きめのマフラーとみた!

 そんな予想を立てつつ、綺麗に開封する馬場。

 童心に帰ったようにワックワクだ。

 可愛い女子高生たちからのプレゼントと、いざご対面!


 ラバースーツが姿を現した。


 一方、それを見た滝沢は、先輩は鞭を使ってるからだな、と思いながら包みを開けた。

 それなら自分はなんだろう、ワクワク!


 ラバースーツが出てきた。


「ほう、カッコイイスーツだね」


 教授は友人たちのプレゼントを羨ましく思いつつ、自分も開いてみる。


 やっぱりラバースーツだった。


 ラバースーツを持ち上げる3人。

 前側の中心に股から喉元までチャックがついており、あとは黒一色。手足の先や額付近まで隠れるちょっと変わったものだ。


 ゴクリと喉を鳴らす馬場と滝沢。

 教授はやったぁといった顔。


 そんな3人に、命子が言った。


「ふっふっふっ、それはただのラバースーツではありません」


「なに、そうなのかい? そういえば君たちが素材を集めて、紫蓮君が作ったのか……ふむ」


 教授が考えを巡らせ、ハッとした。


「さすが教授、できる人だ」


 命子はニヤリと笑った。

 そうして徐に立ち上がり、体全体でX字を作った。萌々子の頭の上で光子も同じポーズ。クリスマスのエーックス!


「それはマッサージスーツなのです!」


 命子はそう宣言すると、満足したのか座った。


 一方で、それを聞いた馬場と滝沢は、脳内にドロリとした甘いなにかが分泌された。

 思い出すのは、キスミア旅行での一幕。そう、命子たちによるスペシャルマッサージ。


「やはりか。君たちがレシピを発見したんだったね」


 教授が言うように、このレシピは鎌倉ダンジョンの攻略報酬で手に入れたものだった。


「はい、その通りです。それじゃあさっそくですが、3人とも脱いでください」


「「ふぇえーっ!?」」


「わかった」


 馬場と滝沢の声が重ねり、教授がクールな顔で頷いた。




 クリスマスイブの昼間に、ピッチピチな黒いラバースーツ女が3人できあがった。

 馬場と滝沢は鍛えているのでスラリとしており、教授は隙あらばご飯を忘れるのでやはりスラリとしている。


 もじもじする馬場と滝沢。

 ラバースーツに包まれた己の体を興味深そうに触る教授。


 命子はとりあえず、馬場に鞭を持たせてみた。

 ちょっとやけっぱちになった馬場は、ベッドの縁に片足を乗っけて、パンッと鞭を鳴らした。


 なぜかルルと滝沢が目をキラキラさせて馬場を見つめ、紫蓮が萌々子の目を隠した。馬場はちょっと気持ち良くなってきた。


「この瞬間、あのドアが開いたら馬場さんは……」


「鍵かけて!」


「ババ殿の命を守るデスワよ!」


 一番ドアから近いメリスが、馬場の生命を守るために鍵をかけてあげた。


「それじゃあ紫蓮ちゃん、説明してあげて」


 命子に言われて、紫蓮はうむと頷いた。

 紫蓮は教授をチラッと見て、敬語にした。命子は教授に慣れているが、人見知りの紫蓮はまだそこまで慣れていないのだ。これが滝沢だったら余裕である。


「マッサージスーツは、マッサージを30分ほど記憶し、再現します。ただし、施術を行なう者は触れるところに魔力を帯びてなければダメ。手で行なうなら手に、肘で行なうなら肘に。そうすることでスーツにマッサージが記憶されます。基本的に外部からの魔力的な刺激なら記憶できますが、あまり強いものだと破損してしまいます」


 ほかにいくつかの注意点が告げられ、教授はラバースーツ姿で熱心に説明を聞く。


 それが終わったら、いざ施術!


 まずは馬場がやってもらうことになった。


 ベッドにうつ伏せになった馬場は、枕に顔を埋める。

 ラバースーツを着た自分の周りに、命子たちがベッドを軋ませながら集まっているという凄い状況に、すでに枕をよだれで汚している。バレてないのでセーフ!


 枕の下がそんなことになっているとは知らない紫蓮は、眠たげな目で言う。


「馬場さん。スーツの位置はこれでいいですか? 我らが施術を始めると、いまの布と体のフィット感が次回以降、自動で調整されます。特に体勢が大きく違うと次回以降に使う際に変なことになるので、気をつけてください」


「うん、これで大丈夫」


「わかりました。それでは始めます」


「お願いします!」


 枕に顔を埋めながら、ふんすと気合を入れる馬場。くっきりと浮かんだお尻がポインと跳ねるほどの気合の入れっぷりだ。

 よく人のお尻を叩いている命子とささらは、それを見て引っ叩きたくなった。


「痛いところがあったら言ってくださいねー」


 それから始まったのは、命子、紫蓮、ささら、ルル、メリス、萌々子による、頭部からつま先までのハイパーフルコースマッサージ。


 いったい自分はどうなっちゃうのか。

 ダメになっちゃうんじゃないだろうか。


 そんな恐怖を抱きつつも、始まったマッサージは止まらない、止められない。

 両手足、胴体、首、頭、臀部と丹念にマッサージが行なわれ、馬場の脳が破壊されていく。


 至福の30分間が過ぎていき、アラームが鳴った。


「はい、馬場さんお疲れさまでーす!」


 命子はそう言って、パンッとお尻を引っ叩いた。

 馬場はビクビクンと体を跳ねさせた。


「どうだった馬場さん?」


「しゃいこうらった……」


 ダメになっていた。




「それじゃあ次は滝沢さんね」


「は、はい!」


 命子に誘われて、滝沢は布団にうつ伏せになった。

 なぜか馬場は自分が使っていた枕を抱いて移動したので、違う枕だ。いや、滝沢はその理由を知っているのだが。


「お姉ちゃん。少し回復したよ」


「オッケー、じゃあまたメリスのお手伝いね」


「わかった!」


 他よりも魔力が少ない萌々子は30分も【魔力放出】ができなかった。

 一方、マナ進化している命子、ささら、ルル、紫蓮は【魔力放出】ではなく、魔力をそのまま手に纏わせておくという技術を使えた。特に凄い発見には繋がっていないのだが、このマッサージスーツに対しては非常に有効に働いていた。

 ちなみに、この時点ではメリスはまだマナ進化していない。


「滝沢さん、リラックスして。体に力が入ってると、次回使う時にその部分の指圧が気持ち良くなくなる」


「は、はい。ごめんなさい」


 紫蓮がそう言うと、滝沢はぐでぇっとベッドに体を預けた。


 そうして始まった滝沢のマッサージ。


 少女たちによってたかって揉みしだかれている、ピッチピチなラバースーツ姿の滝沢。

 それを、枕を抱っこしながら隣のベッドで見つめる馬場は、なんて恐ろしい光景なのだろうと恐怖した。あんなのダメになるに決まってる。だから、枕が濡れちゃったのは私のせいじゃねえ!


「頭入ります!」


 萌々子がそう言って、頭の施術を始めた。


 萌々子のちっちゃな手が、頭蓋骨のツボをギュッギュと一生懸命に押してくる。

 頭部という人にとって大事な場所を少女に弄り回される。それは生殺与奪の権を少女に握られているのと同義ではなかろうか。


 そんな行為が、滝沢に一つの記憶を呼び起こす。


「も、萌々子さん、よしよしって頭撫でてください……」


「え? はい、わかりました。よしよし、よしよし」


「みゃ、みゃー……」


 滝沢さんは、どうやらかつてタキザワさんだった頃の記憶が残っていたようである。圧倒的な安堵感が滝沢に襲い掛か……いや、滝沢を包み込む。


「はい、滝沢さん、お疲れさまでーす!」


 至福の30分は光の速さで過ぎ去ってアラームが鳴り、命子はすかさず滝沢さんのお尻を引っ叩いた。

 滝沢さんもビビクンと体を震わせた。


「「滝沢さん、メリークリスマス」」


 後半からよしよしをしていた萌々子と、丁寧に施術をしていた紫蓮が声を揃えて滝沢に言う。


「みゃー、めいーくいしゅましゅ……みゃー」


 ダメになっていた。




 滝沢も自分の枕を抱えて、隣のベッドに移動した。

 ラバースーツにしか見えないピッチピチな服を着た美女二人が、枕を抱えて並んで座っている。


 少し休憩して魔力を回復させ、最後に教授の番となった。


「教授はプロポーション良いですよね?」


 ベッドに膝をついて乗った教授を見て、命子が言う。


「そうかい? でも、地球さんがレベルアップする前までは肩こりが酷かったんだよ。猫背から来るものだったと思うが、今みたいに背筋がシャンとしているのは、やはりレベルアップや修行の影響が大きいね」


 そう言いながら、教授はベッドにうつ伏せになった。


「それじゃあすまないが、みんなよろしく頼むよ」


 教授への施術が始まった。

 命子たちの指が教授の体に襲い掛かる。


「あっ! んんっ!」


 すると、枕に埋めた顔から艶めかしい声がし始める。


「ど、どした、教授! 痛かったですか!?」


「い、いや、とても気持ちいいから大丈夫だよ」


「そうなんですか? じゃあ続けますね」


 びっくりして手を止めていた命子たちは、施術を再開した。


「ふぁ……」


「教授、気持ちいいんですか?」


「う、うん。肩甲骨のそこ、凄く……んぁ!」


 教授はマッサージで声が出ちゃうタイプだった。

 命子は凄く萌えた。


 しかし、教授は途中で寝てしまった。

 昨日も遅くまで起きており、その反動もあって、開始10分で夢の中だ。


 30分のアラームが鳴り、命子はすかさず教授のお尻を引っ叩いた。

 恩師とも言える人物にだって容赦はしないのだ。


「ふわっ!?」


 その衝撃で教授は目を覚ました。


「ね、寝ちゃったか。いや、君たちにマッサージさせておいて、すまないね」


 教授は他の2人と違い、特に枕が気にならないようで、そのまま身を起こした。


「お疲れなんですか?」


「いやぁ、昨晩も遅くまで起きていてね。冬の長夜は昔から調子が良いんだ」


「ほどほどにしてくださいね」


「ははっ、そうだね。それにいいプレゼントを貰ったから、ばっちりさ」


 教授はそう言って笑った。

 話が一段落したのを見て、紫蓮が命子に言う。


「羊谷命子。気になってたんだけど、最後のお尻叩きは記憶されてる可能性がある」


「えっ、マジか。その部分だけ消せないの?」


 命子がそう言うと、馬場と滝沢が慌てた。


「消すなんてとんでもない!」


「消さなくて大丈夫ですぅ!」


 そのセリフに、馬場と滝沢にほえーっとした視線が集まる。

 すると、教授も2人の意見に同意した。


「いや、私も尻叩きはあったほうが助かるね。あれがなければ、おそらく深く眠りすぎてしまう」


「それ、私もそれを言おうとしたの!」


「私もですぅ!」


 馬場と滝沢は教授の意見に便乗した。


 こうして、いつもお世話になっている馬場と教授と滝沢への、サプライズプレゼントイベントは終わった。


 以降、マッサージスーツは3人の宝物になるのだった。


読んでくださりありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
使えば使うほどカルマが減りそうな二人w
[一言] 絶対に3人のうち二人はエロい事に使用してると思うw
[良い点] >諸田君 「完全にモロタ」「完全にキモイの間違いではありませんか?」 の掲示板回を思い出した。 (*´ー`)b
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