9-24 万華鏡世界
本日もよろしくお願いします!
「っっっ!」
外の世界を満たす色がドアノブを支える命子の腕を赤く染め、徐々に開くドアの隙間から入り込む熱風が肌を焦がす。
1分前にふんすと気合を入れた命子だったが、もう泣きそうだった。
この手が支えているドアを閉めれば、身の安全は図れる。それどころか、このドアを閉めれば簡単にこの世界からドロップアウトできるという妙な確信さえあった。おそらくはそれは事実なのだろう。
しかし、それではいったい何をしにここに来た。
「……ままよ!」
命子は、えいやとドアの外に出た。
「う……くっ!」
そこに広がる光景に命子は言葉に詰まった。
昨晩見させてもらった赤い万華鏡。鏡に反射して目まぐるしく変わる赤とオレンジの柄が、キャルメの心の中だというこの世界の空を覆いつくして輝いているのだ。
その空模様が美しく見えないのは、その空の下で炎の海が広がっているからだろう。
それはまさに世界の終焉を思わせる光景だった。
これがキャルメちゃんの心の中……っ!
「うぐすぅ……! 泣くなっ!」
命子は涙に溢れた目をゴシゴシと擦り、キャルメを助けるために改めて気合を入れる。
そこは見覚えがある場所だった。
「そうか、ここはあのホテルか」
エレベーターを使っていたので非常階段ではわからなかったが、そこは命子たちが泊まっていたホテルだった。
ただ、周りには高層ビルが建っていたのに今は景色のどこにもなく、ただ炎が激しく燃え盛っていた。
命子は歩き出す。
キャルメはきっとあそこだろう。
見覚えがある別の入り口を横手に曲がり、庭園を進む。
炎が燃え盛る世界にありながら、花壇の中で綺麗な花を咲かせるその様子は、なんとも物悲しい。
その先にベンチが見えてきた。
そこには小さな背中があった。
しきりに両腕を動かすその姿を見て、命子は涙を拭っているのだと理解した。
命子はその背中を見つめて立ち止まる。
それに合わせてキャルメは乱暴に涙を拭うと、炎に包まれた世界を見つめながら言った。
「巻き込んでしまって申し訳ありません」
「ううん、別にいいんだよ」
「……命子さん、ここは僕の心の中なんでしょう?」
「……うん」
「やっぱり。はっ、はははっ! ははっ! ひううぅ……はは……がっかりですね……なんでこんななんでしょう」
自虐的に笑うキャルメの後ろ姿は、がっかりしているようではなかった。むしろ、予想がついていたようである。
「キャルメちゃん……」
命子は掛ける言葉がわからなかった。
自分の心が炎に塗れた世界だったらどんなに悲しいか。いろいろなことを頑張っているキャルメを想うと、なおさらに悲しい。
命子が励ましの言葉を考えるうちに、キャルメは己の心の内を吐露する。
「……仲間を幸せにしたくて、僕自身も幸せになりたくて、憎しみを消したいと思うのに。……日本に来て、カリーナたちが楽しそうに笑えるようになったのに、僕自身も幸せな生活をしているのに。なぜでしょうね、どんどん憎しみが膨らんでいくんです」
「キャルメちゃん……っ!」
命子はキャルメを後ろから抱きしめた。
命子は善良であったが、さすがに知り合って2日のキャルメへ心の底から感情移入することは難しかった。だから、キャルメの心情にどう答えていいかわからず、抱きしめることしかできなかった。
けれど、その華奢な体を抱きしめると、同じくらいの背格好の萌々子のことが脳裏を駆け巡った。自分の妹の笑顔を通じてキャルメの人生を想い、命子の目からはらはらと涙がこぼれた。
キャルメは命子の腕をギュッと掴み、唇を震わせる。
「僕なんかのためにありがとうございます、命子さん。でもね、でもね。この炎を見てください。これは僕の憎しみの炎なんでしょう。ここからの景色は命子さんと一緒に見た日本です。僕の心の中では、大恩ある日本にすら憎しみを抱いているんです。ぐすっ……なんて醜い心なんだ」
「違うよ、キャルメちゃん。この炎は違うんだ」
命子はグシグシと涙を拭い、キャルメの隣に座ると身を寄せた。
命子はタンポポから聞いたキャルメの秘密を教えることにした。
それはキャルメの心の傷に塩を塗りこむことになるかもしれない。けれど、キャルメの秘密はキャルメのものであり、なぜ自分がこうなっているのか、ちゃんと知る権利があるはずだ。それが、キャルメの心が助かる道に繋がるかもしれないし、少なくとも、第三者があれこれ考えて黙っているべきではないと、命子は思った。
けれど、話す内容は決して楽しいことではないので、命子はキャルメの心を繋ぎとめるために、肩を寄せてずっと手を握ってあげた。
「ここに来るまでに教えてもらったんだけどね。地球さんは、本来ならまだレベルアップしなかったんだって」
「え?」
命子が語り始めるので、キャルメから一時的に悲壮感が薄れて思考し始めた。
「地球さんがレベルアップしなければ、5年後に死の星に変わっていたんだって」
この事実に流石のキャルメも驚き、ハッとしたように目を見開いた。
「それは……つまり僕が原因で地球さまは死の星になるんですね?」
「ち、違うよ。とりあえず最後まで聞いてね」
命子はたったそれだけの情報で半ばまで察してしまうキャルメに驚いた。
しかし、キャルメからすれば、今の状況で命子がそんな話をする以上、この答えを導き出すのは簡単なことだった。
命子はドキドキしながら、しっかりとタンポポから教えられた情報をキャルメに聞かせた。
そうしてすっかり話し終わると、キャルメはしょんぼりしてしまった。
「そうだったんですね……」
「うん……」
キャルメの心情に反して、命子はキャルメを責める気持ちを一ミリも持っていなかった。むしろ、この時代に移行させたきっかけなので感謝しているくらいだ。
それはきっと命子だけのことではない。キャルメが前時代を終わらせたことで、救われた命や、失われた5年間で闇に堕ちるはずだったのに、光の道のまま人生を歩むことになった人は、とんでもない人数になるだろう。
ただ、これを慰めのセリフにできるかと言えば、それはデリカシーに欠ける。だって、前時代を終わらせたキャルメは、悲惨な人生を送るのだろうから。
結局のところ、命子が取れる慰めは、現在のキャルメの善良性や生きることの素晴らしさを説く方法だけだった。
「今の僕には、この憎悪はたしかに理不尽なものかもしれません。でも、その僕は、きっと世界が滅びることを知っていて、ためらいなく引き金を引くのだと思います」
ウィードという男が、自分の死と世界の滅亡を連動させていたというのは、つまり自分の命を取らせないための牽制だったはずだ。ならば、未来のキャルメがその事実を知らないというのはおかしい。キャルメはそう考えた。
「僕の本質はやっぱりどうしようもないやつでした……」
「そんなことないよ。人が生まれた時に善であるか悪であるかは、私にもわからない。でもね、カリーナちゃんたち年下の子の面倒をよく見て、いっぱい努力してきたキャルメちゃんは、とても素敵な子なんだよ」
「でも……でも……」
「ねえ、キャルメちゃん。今日、たくさんの人がキャルメちゃんの演武に感動してたよ。喜んでもらえて楽しくなかった? 嬉しくなかった?」
「……僕にはそれがわからないんです! 大会に出れば、命子さんに出会えれば、なにかが変わると思ったんです。でも、みんなが楽しんでくれたのに、僕の心には楽しんでいる日本の方々に対して、言い知れぬモヤモヤしかなかったんです。命子さん、僕は本当にろくでもないんです!」
命子はキャルメの想定外の告白を聞いて、様々な場面で見たキャルメの笑顔が脳裏を駆け巡った。それは命子に向けられた笑顔だけでなく、テレビで取り上げられた無邪気な笑顔もあった。
そうか、あれらの笑顔は演技だったのか。
本当はいろいろなことに怒りを覚えていたのだろう。
――でも、それでも笑い続けたキャルメちゃんは!
命子はキャルメを抱きしめて言った。
「それじゃあ、キャルメちゃんは本当に素敵な子じゃないか!」
「っっっ!」
「みんなのために自分の気持ちを誤魔化して笑って笑って笑って。これほどの怒りを誰かにぶつけずに抑え込んで、みんなと一緒に幸せになりたいって笑い続けるのは、きっと聖者って呼ばれるような人でも難しいことだよ。だから、それができるキャルメちゃんは、本当はこの世の誰よりも優しい女の子なんだよ!」
「そんなの……ひぅうう……命子さん……うっくぅ……うぅうう……」
キャルメは命子の優しい言葉に、涙をポロポロと流す。
命子は体を寄せて泣くキャルメの頭を抱いて、トントンと背中を叩いてあやした。
命子は涙に濡れた瞳で、赤い万華鏡と炎に包まれた世界を見つめる。
そうして、心の中で呟いた。
——ねえ、未来のキャルメちゃん。もうキャルメちゃんを解放してあげてよ。
光の道を歩きたいと心の中で泣き続けたこの子が、いったいどうしてこれほどの業を背負わなければならないのか。
すると、まるで命子の心に応えるように世界に異変が起こった。視界を埋め尽くす炎が一か所に集まり始めたのだ。
「こ、これは……キャルメちゃん、動ける?」
「っっ! うぐすっ、は、はい……っ!」
命子の言葉に異変に気づいたキャルメは、慌てて命子から体を離して涙を拭った。
ベンチから立ち上がり、なにがあってもいいように構えを取る2人。
キャルメは泣き疲れて震える手足に頑張って熱を宿して、戦う準備をした。
「ぐすぅ! ……命子さん、帰り方はわかりますか?」
「うん。たぶん、強く帰りたいと願えば、帰れる気がする」
マナ進化をしたからか、タンポポの加護を貰ったからか、なんとなく、命子は外の世界の人からたくさんの力を貰っているのがわかった。その力が具体的にどういうものかわからないけれど、その中には、非常階段で感じたような帰還の道標も含まれているのが感じ取れていた。
「それなら命子さんは——」
「キャルメちゃん。私はね、友達が泣いているのに、帰りたいなんて思えないよ」
「と、とも、だち……」
「そうさ。泣いている友達のためにこの力を使わないのなら、強くなった意味なんてないじゃないか。キャルメちゃんだってそうでしょう?」
「っっっ」
命子の言葉を聞いたキャルメは、溢れそうになった涙を切るようにしてギュッと目を一度閉じた。両目の端から零れた涙を最後に力強く目を開けると、唇を震わせて言う。
「ありがとうございます……っ!」
「ふふ、いいんだよ」
そう話している間に、次第に炎が渦を巻き始める。
「キャルメちゃん、武器は?」
「持っています!」
命子の質問に、キャルメはしっかりとした声で答えた。
キャルメの格好は大会の終わりと同じ様相だ。
拳と蹴りが武器のキャルメは、レプリカ武器ではなく、自分が鍛えた武器で大会に出場していた。両手にはナックルガード、足には脚甲付きのブーツ。さらにマントに隠れたポシェットから2冊の水の魔導書を取り出して浮かべた。
一方の命子はレプリカのサーベルを返却したので、サーベルがない。
着物の中から水の魔導書を3冊取り出して浮かべ、手には変化の魔導書を装備する。
さすが冒険を繰り返していただけあって、2人はあっという間に装備を整える。
そして、ついに世界を覆っていた炎の変化が終わる。
渦巻く炎をかき分けながら現れたのは、体長3メートルはあろう巨大な女性の石像だった。白亜の石で作られたその顔はどこかキャルメに似ているが、両目から血の涙を流していた。
「終わりの子……っ」
命子が呟き、その悲しい姿を見上げる。
終わりの子は屋上の床に亀裂を作りながら足をつけると、頭を抱え、悲鳴を上げた。
『あ、あ、あぁあああああああああああ!』
熱波となって襲い来る風に逆らわず、2人はふわりと飛んで同時に着地する。
「凄く悲しい敵。……倒していいのかな?」
キャルメがどうすれば救われるのか、地球さんも神獣も、そして命子も知らない。
キャルメの心に紐づけられているこの悲しい石像を、普通に倒してしまっていいのか、命子にはわからなかった。
「倒しましょう」
一方のキャルメはきっぱりと判断した。
「そっか。うん、わかった」
どう考えているのか命子にはわからなかったが、強い意志を宿してそう告げるキャルメに、大きく頷いてみせた。
こうして、終わりの子との戦いが始まった。
花の神獣が出現したことで町は大騒ぎだが、局地的なことだったため、多くの人がスマホなどで情報収集をしていた。
そんな秋葉原の町を御影日向が走っていた。
羊谷には借りがある。
今こそ、その借りを返す時なんだ。
人混みを縫って、やがて見えてきたのは目的の店の看板。フラワーショップ『萌花』。
今日の祭りにはあまり噛めない種類のお店に思えるが、パレードでフラワーシャワーを撒いてみるのはどうかという商店街のアイデアで、本日はそれ用の花びらをメインに売っていた。
「ん、なんだ?」
しかし、なぜか店の前にぽっかりと空間ができ、人だかりができている。みんなスマホでお店の写真を撮っているようだった。
「なんだよ、クソ。邪魔だな」
悪態をつきつつ、日向は人ごみに体をねじ込んだ。
「ごめんよ! ちょっと通してもらうよ!」
そうして人垣からポンと店の前に出ると、店の明かりの中で花々がキラキラと輝いていた。どうやらみんなこれを撮影しているようだった。
「神獣のせいか。まあなんだっていいよ」
ぽっかり空いた空間に、日向は踏み込んだ。
上はパーカーを羽織っているが、風見女学園のスカートはわかりやすいので嫌でも目立つ。けれど、日向は躊躇わない。
店の中を覗くと、イケメンな若い店主がどうにも複雑そうな顔をしていた。花がキラキラしているので当然ではあるが。
店主は日向を見つけると、言った。
「ごめんよ。中での撮影は遠慮してくれるかい」
「ううん、買い物だよ。アイリスを見せてくれませんか」
「そうなのかい? でも、買いに来てくれたのは嬉しいけど、こうキラキラしてたら売れないよ。責任持てないしね」
「それなら問題ないよ。これは花たちがさっきのタンポポの顕現に反応しているんだよ」
「え、そういうこともあるの? ファンタジーだなぁ」
店主は苦笑いして、近くの花の花弁を指で揺らす。
「まあ、今日のところは店を閉めた方がいいかもね。あたしの買い物が終わったら」
実際のところ日向もよくわかっていないのだが、『花魔法使い』としての直感が悪い現象ではないと告げていた。
「アイリスが必要なんだ。ある?」
「今年は暖かかったからね。あるよ」
店主に案内された先にはバケツに入ったアイリスが。
日向はそのアイリスに触れて、大きく頷いた。
「うん、いいね。このバケツに入っているのを全部ください」
「全部? キラキラが平気って言うなら売るのはいいけど、粗末にはしないでよ?」
「こんな心優しそうな子を捕まえて心外だね」
日向の軽口に、店主は少し呆けて日向の姿を上から下へサッと見る。世の中を斜に見てそうな皮肉げな笑い方をする女の子だが、まあ見た目では本質はわからない。
日向は肩をすくめて、続けた。
「【花魔法】にこいつが必要なんだ」
「へえ、【花魔法】か! ……その制服ってたしか風見女学園だよね? もしかして羊谷命子さん絡みかい?」
「まあ、うん」
「わかった。それなら持っていきなさい。お金はいらないよ」
「え、払うよ」
「この町で冒険者たちが見ず知らずの少女のために立ち上がっているんだ。ここで男ぶりを見せなくちゃ江戸っ子は名乗れない。ご先祖さまにも叱られちゃうからね」
「は、ははっ。花を売る連中は、まったくみんな変わってるね」
「この商売している人は多かれ少なかれ、美しいものが好きなんだよ。物にしろ、人の心にしろね」
そう語りながら店主はバケツからアイリスを持ち上げ、水を切ると手早く包装してくれた。
そうして、日向に渡す。
「今日は僕らの町で熱いものをたくさん見れた。これはそんな時代を作った君らへのお礼だよ」
「ははっ、ありがとう。イケメンの花屋さんがすげぇイケメンだったって、羊谷にも伝えておくよ」
花束を受け取った日向は、飄々とした笑顔で笑った。
店から出た日向。
店の周りで撮影していた分厚い人垣が、少女の雰囲気に自然と2つに割れた。
「ははっ、悪いね!」
その道から堂々と囲いの外へ出た日向は、その胸にキラキラと輝くアイリスの花束を抱えて、秋葉原の町を駆けていく。
騒動の中心である大交差点に辿り着く。
そこでは多くの冒険者と自衛官が列を作り、多くの警察官が動員されて周辺を警備していた。
「ありがとうございます!」
魔力提供をしてくれた人たちにお礼を言ってジュースを配っているのは、自身もまた魔力を提供し終わった命子たちの母親や女子高生たち。その女子高生たちの中には風見女学園だけでなく、ほかの高校の生徒も見られる。
周辺のビルの上からはマスコミのカメラがその様子を撮影し、日本中に生放送していた。
美少女や美女な人妻の手ずからジュースを貰った冒険者たちは、一生忘れられないような味のジュースを味わって、命子たちの心配をしている。
そんな中に飛び込んだ日向はとても目立った。
レベルアップの効果で微妙な歪みが整えられて均整の取れた顔になった若々しい女子高生。さらに、花々から零れる星の煌めきのようなキラキラエフェクトが顔に当たり、美少女っぷりを上げていた。
そんな日向がハタとして足を止める。
列の中に、今の状況でとても頼りになる人を見つけたのだ。
「馬飼野の兄ちゃん!」
それは馬飼野だった。
その瞬間、そこら中からギャルゲ兄という単語が囁かれ始め、後ろに並んでいたツバサが馬飼野の顔を半眼で見つめる。
一方の日向はツバサを見て、あっはーん、と全てを察する。
「え? えっと御影さんだよね?」
2人は青空修行道場で顔見知りだったが、話したことは1回しかなかった。共通点が多い2人だが、関係はそんなものだ。
だから、いきなり声をかけられて、馬飼野はビビった。
「手伝ってほしいんだ。兄ちゃんも使えるんだろ?」
日向はアイリスの花を一本、馬飼野に差し出して、言った。
困惑しながらもそれを受け取った馬飼野だったが、日向と自分の共通点を思い出して、ハッとした。
【花魔法】
花から魔法を摘出できる少し変わったスキルである。
花の種類や育った環境によって摘出できる魔法が異なるが、その効果はどれもそんなに強くない。けれど、従来の魔法にはない効果のものも多く、アイリスの花もその一つだった。
その効果は、『対象に短いメッセージを送ること』。
「わかった。ツバサさん、ちょっと行ってくるよ」
馬飼野からそう言われたツバサは、少し瞳を彷徨わせ、自分がやるべきことを考える。
馬飼野についていってもできることはない。ならば命子のために魔力を提供するのが最善だ。
「うん。頑張ってね」
「悪いね、ツバサさん。諸々の文句は羊谷に言ってよ」
日向の軽口に、ツバサは顔を赤らめるのだった。
読んでくださりありがとうございます!
ブクマ、評価、感想、大変励みになっております。
誤字報告も助かっています、ありがとうございます!