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8-2 命子の心配と消えた教授

 本日もよろしくお願いします。

 風見町に夕暮れチャイムが鳴る。

 これを合図に青空修行道場の修行も終わり、子供たちは大人とともに帰っていく。

 ちょくちょくと魔物を倒す自衛官の姿を見たなんて報告もあるが、風見町の防衛機能は正常に機能しており、おおよその日常を取り戻していた。


「ふんふふーん」


「羊谷命子。ご機嫌?」


「うん。今日はモモちゃんを家に送ったら教授とラーメン食べに行くの。紫蓮ちゃんも行く?」


「ぴゃ。我、行き……あっ。今日はダメ。母がグラタン作るって言ってた」


「おいおい、紫蓮ちゃんは手作りグラタンが出るお家の子かよ」


「羊谷命子のお家は出ない?」


「生まれてこの方、グラタンは出てきたことないね」


「我のお家は月一くらいで出る」


「マジかよ」


 と命子は言うが、小さな頃に何度か出てきていたが忘れている。

 しかし、命子ママは作る手間と食器へのダメージにより、いつの日か作るのをやめてしまった。その代わりに命子の家はクリームシチューが月三くらいで食卓に並ぶ。


「私の家もグラタンなんて出てきたことないです」


「クララちゃんちはグラタンなしか」


 小学生ズも夕飯事情で盛り上がる。母親に聞かれたら引っ叩かれそうな暴露話である。

 そんな話をしていると、キャッキャとした声が命子たちの耳に届いた。


「にゃ、にゃんデスか、二人とも! や、やーめーるデースーっ!」


「えー、どうしたんですの? 汗拭かないと風邪ひいてしまいますわよ?」


「大人しくするデスワよ!」


「にゃーっ!」


「「……」」


 命子と紫蓮は少し離れたところでキャッキャするささらたちへ視線を向けた。

 そこではささらとメリスが、嫌がるルルの顔の汗をもこもこタオルで拭いている姿があった。

 ルルが嫌がるので自然とその距離は近くなっており、命子は萌々子の目を、紫蓮はクララの目をそっと塞いだ。


 珍しいことに今日のルルは、ささらとメリスが仲良しで拗ねていた。まあ拗ねているふりなのだが。


「や、やつらはまあ誘わなくていいだろう」


「うん。メリスさんもルルさんの家でご飯食べるだろうし」


 昨日はメリスの歓迎パーティだったが、今日からは普通のご飯だ。きっとルルママは気合を入れているはずだし、ちゃんとルルの家で食べないとまずい。


「よし、それじゃあ私は帰るよ。ほら。モモちゃん、みんな行くよ」


 命子は萌々子の手を引いて、同じ方向の子供たちと一緒に帰る。命子はお姉ちゃんしていた。


 命子が去り、紫蓮はハッとした。

 残るメンバーは風見町のビバリーヒルズに住んでいる。つまり、あのキャッキャ三人組と帰らなければならないのだ。

 これはいかんと紫蓮は一緒に帰る小・中学生組をまとめ上げ、心の平穏を保つことにした。




「おっ、ランちゃんの家は今日カレーだね」


「わっホントだ! 命子お姉さま、みんなまた明日ねぇ! ママただいまぁ!」


 そんなふうに小学生を順番に家に送り、最後に自分たちも家に帰る。


 シャワーを浴びた命子は、紫蓮が作ってくれた魔狩人の黒衣(白)という矛盾した名前の装備を羽織って夜の町へ繰り出した。


「あおーん!」


 ふいに近くの農家から犬の遠吠えが聞こえた。

 すると、遠い別のところからも犬の遠吠えが返ってくる。


 近くで鳴いた犬はすぐに付近の電信柱まで行き、前足でボタンをてしっと押した。すると、その電信柱についた赤色灯がぐるぐると回り始める。犬的にそれが面白いのかぴょんと飛んでしっぽをぶんぶん振って、へっへっへっとする。別の家からもトイプードルが出てくるが、ボタンを先に押されていることにしょんぼりした。


「わわっ、魔物が出たんだ」


 命子はキラキラした目をして、その場で待機した。


 現在、風見町は動物が魔物の出現を察知しており、出現場所へは遠吠えを聞いた他の動物が導くことになっている。

 この赤色灯は試験的に最近設置されたもので、近隣住民に危険を知らせるとともに討伐隊への目印にも効果を発揮しており、なかなかに好評だった。とくに犬たちはこれを起動させる任務に夢中であった。


 もう手慣れたもので、すぐに自衛隊がやってきて処理に入る。

 正直自衛隊が出るまでもない魔物だったのだが、一般人に倒させてあげるというには仕組みが出来上がっていないので自衛隊が倒すことになる。これは責任の所在が非常に難しいためだ。


 命子は討伐風景をいいなぁと思いながら観戦した。

 まああっという間に終わってしまったのだが。


「はぁ、良いものを見れたな」


 命子はルンルンしながら自衛隊仮駐屯地へ向かった。


「ん? なんかあったのかな?」


 仮駐屯地はどこかいつもの雰囲気と違った。

 いつもは近隣住民に配慮して夜になればかなり静かになるのだが、今日は少し騒がしい。

 頻繁にこの場所に来る命子は結構な数の自衛官と顔見知りなのだが、知らない人も多くいた。


 命子はきょろきょろしながら天幕エリアを移動し、研究者たちが使うプレハブ群に向かった。

 すると、どうやらこの騒ぎの中心は教授たち研究者に関係があるらしく、プレハブ群の周りに多くの人が集まっていた。


 さらに近づいてみれば、この場所でいつもはあまり見ないスーツの人や白衣を着た研究者が、教授の使っているプレハブに入れ替わり立ち代わり入っているではないか。


 命子はドキンとした。

 中にはダンボールを抱えて出てくる人もいるのだが、命子はそういう光景をテレビで見たことがあったのだ。家宅捜索ってやつである。


「きょ、教授が横領……?」


 命子はあわあわした。家宅捜索は横領だけとは限らないが、命子的に家宅捜索をされる人イコール横領犯だった。


 そんな命子はプレハブの近くで難しい顔をして立つ馬場の姿を見つけて、慌てて駆け出した。


「馬場さん、違うんです! 教授は横領なんてするような子じゃないんです!」


「め、命子ちゃん!?」


 逆に疑われそうなことを言ってすがりついてくる命子に、馬場は驚いた。馬場の表情にはしまったといったような焦りの色も混じっていた。しかし、必死な命子は気づかない。


「研究ばっかりしているから自分の貯金だっていくらあるかわからないような子なんです!」


「ちょ、ちょっと落ち着きなさい」


 馬場は命子をどうどうと落ち着かせた。

 そうしながら、このまま命子に本当のことを言って良いのか考える。


「礼子は別に悪いことをしたわけじゃないのよ」

 

 今回の事件を聞いて、命子がどのように行動するか見当がつかない。

 危ない橋は渡ってほしくないが、その一方で命子ならなにか奇跡を起こせる気もしてくる。

 二つの相反する考えが交錯するが、自衛官として、大人として、命子に頼るわけにはいかない。馬場は嘘を吐くことにした。


「礼子は急遽、別のダ――」


「ダメです。音井主任の行方不明に関わる研究成果は見つかりません」


 馬場が『別のダンジョンに転勤になった』という体でせっかく隠そうとしたのに、別の場所でそんな報告がされてしまった。それを聞いて真っ青な顔になって自分を見上げてくる命子を前にして、馬場は唇をギュッと噛んだ。


「きょ、教授が行方不明になっちゃったんですか?」


「ええ。でもここからは機密事項よ。命子ちゃんでも教えることはできないわ」


「え……」


 いつもは軽いノリの馬場から放たれた拒絶にも似た言葉に、命子は肩をビクつかせて指遊びを始めた。

 馬場は腰から力が抜けるような嫌な気分になりながら、続けた。


「命子ちゃん。今日はもう帰りなさい」


「で、でもなにがあったかくらい……」


「命子ちゃん、ダメなの。ごめんね」


 今回の事件を状況再現できるのは、現状で命子と藤堂だけだ。だからこそ、なにが起こったか教えれば命子は頑張ってしまうかもしれない。それは当然のことだが非常に危険なことだった。


 馬場の顔を見上げていた命子は、コクンと頷くもその場から離れない。


「大丈夫、私たちがちゃんと見つけ出すから。安心して。ね?」


「……うん」


 命子は、コクンと頷いてようやくトボトボと歩き出した。


 しょんぼりしながら立ち去る命子が振り返る。

 それに手を振る馬場だが、命子の視線は自分を通り越してプレハブに向かっていることに気づいた。


「あのバカ、ドジを踏んで……っ!」


 命子の姿を見て、馬場は友人を心配すると同時に怒りが込み上げてきた。


 指遊びをしながら帰る命子は、一つの天幕の前で藤堂と鉢合わせした。


「むっ、命子ちゃんか」


「あっ、藤堂さん……」


 命子は見上げた藤堂の頭にそれを発見した。


「っっ!」


 マナ進化して角が生えている藤堂に、命子はピンときた。


「……教授、タカギ柱で転移の事故に遭っちゃったんだってね」


「聞いたのか。そうなんだよ。本来ならキスミアに出るはずなんだが、あっちには出てきてないんだ。これから俺も捜査の協力をするんだが、なにせ転移した先がどうなっているかわからないからな。俺の角も帰ってきちまったし」


 藤堂は自分の角を撫でながら説明した。


「……」


 教授とラーメンを食べる予定だった命子は、今日の教授がどこにいたのか知っていた。なにをしていたのかまでは知らなかったが、藤堂がマナ進化していることをいま知って、全てを察した。

 そしてカマをかけてみれば案の定である。


「まあ、俺たちに任せておけ。ちゃんと見つけるからさ」


「……うん」


「じゃあ、気を付けて帰れよ」


 そう言ってプレハブへ向かう藤堂に、命子は言った。


「藤堂さんは、マナ進化した時に次元龍からアドバイスを受けた?」


 藤堂は足を止めて振り返る。


「アドバイス? 俺は受けてないな。命子ちゃんは受けたのか?」


「うん。次元魔法の道は遠いぞって。空間に穴を空ける方法や、魔法陣を使った方法をこっそり見せてくれたよ。やり方はまるでわからなかったけど」


「そうなのか……」


「あれが次元魔法なのか下位の魔法なのかわからないけど、私が思うに次元魔法は普通の魔法と同じように、一つのやり方だけじゃないんだよ」


「魔導書と純粋な魔法みたいな感じってことだな?」


「うん、そう。藤堂さん、役に立つかわからないけど、このことを馬場さんに教えてあげて」


 おそらく、精霊を使ったであろう今回のことはいくつかあるやり方の一つなのだろう。なにかのヒントになればいいが、逆に混乱させることにもなるかもしれない。しかし、情報は多いほうが良いだろうと命子は教えておいた。


「わかった」


「あと、私の目が必要なら言ってって」


「了解だ。命子ちゃん、心配すんな。大丈夫だ!」


「うん」


「じゃあ気をつけて帰れよ」


「うん、じゃあね」


 藤堂と別れた命子は、またトボトボと歩き出した。


「教授、お腹を空かせてたらどうしよう……」


 教授は生活力が皆無だった。

 カップラーメンすらろくに作れないのだ。かやくを入れてお湯を注ぐまではできるのだが、他のことに夢中になってそのまま放置してしまうのである。むしろ、かやくの袋を取り出さずにお湯を入れることもあるのだが、命子はその姿を知らなかった。

 そんなだから、命子は心配だった。


「教授、どこ行っちゃったのかな」


 それは誰にもわからない。なにせその最先端の研究をしていたのが教授のグループだし、そもそも今日始めたばかりだ。わかるはずがなかった。


 命子は、夜の町をふらつく。


「モモちゃんにミッちゃんを貸してもらうか……」


 そして、おそらく警備が厳重になっているであろうタカギ柱に強行突破でダイブする。


「ダメだ」


 それは自分がやるべきことではない。

 藤堂たち自衛官の仕事だし、きっとそっちのほうが成功率が高い。

 それに萌々子のことを考えるとそんなことできるはずなかった。


「天狗さんに会いに行くか……」


 命子はライトアップされた風見山中腹を眺める。

 無限鳥居がある場所は現在、自衛隊が小規模な駐屯地を作っており、警備している。


「それもダメだ」


 以前、風見ダンジョンで乱入してきた天狗は無限鳥居の夜で出会ったなら問答無用で戦うと明言している。この言葉はきっと違えないだろう。


「そもそも私がこういうことを考えること自体が烏滸がましいか。はぁ、力を手に入れてもできないことは多いなぁ……」


 命子は夜空を見上げて、教授のことを考え続けた。




 てしてし、てしてし!


「う、うぅ……」


 顔をてしてしされた教授は、うめき声を上げながら目を開けた。

 精霊のアイは教授が目を開けると、ふむと頷き、小さな手帳になにやら書き込んだ。

 それは教授がプレゼントした精霊サイズのミニ手帳とミニペンだった。教授の真似をしたいアイはそれによく書き書きするのだが、それは文字ではなくラクガキだった。しかし、アイ的には大変満足である。


「私は……」


 教授は自分がベッドの上で寝ていることに気づく。

 楕円形のベッドで、ベッドセットの生地は汚れ一つない綺麗なものだ。


「ここは、……っ!?」


 周りを見回した教授はギョッとした。

 すぐ近くにバネ風船がいたのだ。


 すぐにアイに魔力を渡して魔法の行使をお願いしようとするが、そうする前にバネ風船の様子がおかしいことに気づく。教授に対して攻撃の意志がないのだ。 


「意識を失っていたからか?」


 ダンジョンには、スタートの時点から攻撃の意志を一切見せなければ全ての魔物が攻撃してこない法則があった。これは命子たちが風見ダンジョンで天狗から手に入れた情報を基にして検証されたことだ。

 ただし、いくつかの条件を満たすと攻撃の意志がなくてもターゲティングされる。

 代表的なのは『故意に二層へ行く』『宝箱の中身を手に入れる』『すでに他のダンジョンで魔物と戦っている』といった行為だ。これはダンジョンを理解していない者に対する救済措置みたいなものだった。


「いや、しかし……」


 そう『すでに他のダンジョンで魔物と戦っている』場合は攻撃対象になる。つまり教授は攻撃対象だ。

 魔物には意識が無い者を攻撃しないという法則もあり、意識がないうちはそれが適用されたのだと理解できるが、今の教授はばっちり目を覚まし、バネ風船もこちらを見ている。


「まて。そもそもこれは本当にバネ風船か?」


 教授の前にいるのは、バネの腕に丸い手が付いた風船だった。しかし、風船に書かれた顔が従来のようにキレキレの赤い目つきではなかった。鋭い目つきだが、赤くないのだ。


 教授が観察していると、バネ風船は移動を始めた。


 教授が寝ていたのは個室だった。

 とくに扉らしきものはないのだが、バネ風船は壁に向かう。

 すると壁がカシャッと音を立てて開いた。文明的な光景に教授は目を見開く。


「私はどこにいるんだ?」


 疑問に思いながら立ち上がり、壁に近づく。

 自動ドアが反応し、教授は外に出てみた。

 するとまず目に入ったのは、自分が出た部屋の向かい側にある黒い壁だった。部屋の方の壁や床、天井は白いのでかなり目立っている。


「黒い壁……? いや、ここはまさか……」


 教授はそれが分厚いガラスのようなものだと気づく。

 その先に広がるのは一見すれば漆黒の世界。だが、そこに奇妙な形をした生物が横切る。教授はその生物を知っていた。


「ここは海底なのか?」


 教授は改めてアイを見る。

 紐で背中に括りつけていた藤堂の角はすでに消失している。

 ふよふよと浮かぶアイは、教授に視線を向けられたので、ラクガキ帳を広げて見せてきた。教授は指先でアイの頬を撫でつつ、考える。


「これが海にあるというダンジョンなのか? だが、海のダンジョンは……」


 教授は海のダンジョンについての探索報告書を思い出す。

 数か国ではすでにシャチやイルカにダンジョン防具と撮影機材を装備させて、海のダンジョンの調査が実行されている。それによれば海のダンジョンは完全に海の生物に向けたダンジョンだった。海のダンジョンは迷宮の形をしていないのだが、その規模は地上のものとは比べ物にならない大きさらしい。一応、哺乳類が息をできるように海面もあるのだが、海面上はそう広いものではない。

 まだG級ダンジョンの一層しか調査されていないが、地上と同様に25層あるかもわからない。


「……あるいは、シークレットイベントを引いたか?」


 教授はもう一つの可能性を考えた。

 地上の文化財や自然遺産は注目され、すでに何件かそれらしいものが発見されている。起動こそしていないが。

 これはなにも地上だけではないのではないか。寧ろ海底に存在してもおかしくはない。


「なんにせよ……これは……面白いなっ!」


 教授はワクテカした。

 読んでくださりありがとうございます!


 ブクマ、評価、感想大変励みになっております。

 誤字報告も助かっています。ありがとうございます。

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