6章・裏 もう一人の自分 3
本日もよろしくお願いします。
地球さんの告知があり、魔物が解き放たれる時間になる。
いよいよ来たか、という緊張の気持ちは、先ほど蒼が行なった悪戯との矛盾点を猿宿の住民の思考からかき消していく。
蒼もまた、地球さんがスタート告知を入れていないあのタイミングで魔物が出るのはあり得なかったことだと気づかず、校庭から校舎内に避難して二階の窓からカメラを回し続けた。
校庭や付近の道路には徹夜でお仕事をしていた自衛官が揃い、各々の武器を帯びているのでかなり物々しい雰囲気だ。
現在の猿宿は、たまたま来ていたレジャー客や配達員などを合わせて人口約1400人。これはイベント開始後に外から帰ってきた人も含まれる。それに対して、自衛隊は400名と戦闘犬部隊。
住民3.5人あたりに1人の自衛官がいる計算だ。自衛官が約1000人の風見町だと、住民50~70人に1人の自衛官がいる計算だった。尤も、その3.5人に付き切りで守るわけではないので、自衛官の数と避難所の数で割ったほうが防衛戦力を表す数字としては適切だろう。
なんにしても、猿宿はかなりの防衛力が期待できた。
「あっ、む、紫の靄が現れました……」
校庭を撮影しながら、蒼が言う。
過剰ともいえる数の自衛官がその周囲20メートルほどに展開し、各々武器を構える。
出てきたのは、蒼の知らない魔物だった。ステータス画面を見れば出てくる魔物は確認できるので一応はE級の魔物だとは理解できている。
これに自衛官4名が急速接近し、一気に始末する。
「っっっ!?」
4名の自衛官の戦いぶりを見て、蒼は妙にドキドキした。
しかし、そのドキドキの正体に疑問を抱く前に、同じく観戦していた住民から上がった歓声にびっくりして、別のベクトルでドキドキし始めてしまう。
当の自衛隊は状況確認の連絡を真剣に聞いているため、歓声に応える余裕はない。
魔物がどの程度の規模で出てくるのか分からない、というのはこの時点では全世界の悩みだったため、自衛隊も執れる作戦があまり多くなかった。
より多くのサンプルが採れる風見町からの通信は貴重で、聞き漏らすわけにはいかなかった。
風見町からの通信で、すぐに魔物が出るパターンが知らされる。
1つは、ほぼ単体だが、完全にランダムで出現するパターン。まあこれはいい。
もう1つは、特定のスポットから大規模で出現するパターン。その数たるや、E・F・G級混合で少なくとも50体、多いと500体だという。この時点では1000体越えのビッグウェーブがあるとは分からなかった。
そして、この方式は猿宿でも同じだった。
すぐに離れた場所で100体規模の魔物が出現する。それも複数個所で。
自衛隊は5人を1チームとして、1スポットに複数チームで撃破に乗り出す。
遠く離れた場所で戦闘が始まる音が聞こえ始める。
猿宿に住む人はその様子を直に見ることはできないが、自衛隊が撮影した映像で見ることができた。自分の知っている集落で、凄まじい数の魔物と自衛官がぶつかり合う様は、夢でも見ているのかと思うほどにぞっとする光景だ。
風見町で撮影されているTVの映像も流れており、自分たちがのんびりしすぎていたと自覚する。
蒼だって同じだ。
こんな規模の魔物が攻めてくるとは思わなかった。
あのまま家にいたら……
蒼は、総理大臣の会見を見ろとアドバイスをしてくれた掲示板の人たちに感謝するのだった。
「これはまずいな……」
「ええ、このままだとまずいですね」
中学校防衛の責任者である藤堂の呟きに、部下が同調する。
猿宿は防衛戦力がカッチカチと思いきや、別にそんなことはなかったと気づいた。
通信から伝わる風見町の様子によれば、1スポットで形成された魔物の大群はいくつかの避難所へ誘引されて分散されるのが分かった。
しかし、猿宿の場合、避難所が密接しすぎていて、全てのスポットの大群が同じ方向に向かってくるのである。特にかなり離れたスポットの大群が、無傷のまま他のスポットの大群と合流するのがヤバすぎると予想できる。これは早急に対処しなければ、1、2時間後にはエンドレスで戦う事態になりうる。
風見町が町の至る所に避難所を分散したのは、そうせざるを得なかったからだ。できれば猿宿のように、1地域にまとまって避難したいと思っていた。そうすれば、自衛隊1000人をもっと効率的に運用できるからだ。
しかし、イベントの特性上、形成された大群が四方に散ってくれる避難所分散型のほうが、結果的に楽な布陣になっていたのだ。もちろん、民間人が武力を持っているという前提が必要ではあるが。
自衛隊はすぐに猿宿での避難所防衛は不利と認識し、作戦を変える。
要は、自衛隊が遠征して、魔物が向かう地点を増やしてしまえばいいのだ。なんなら各スポットに乗り込んでその場で戦ってもいい。
防衛地点が少なく、その分、防衛戦力が多い猿宿戦は、こうして軌道修正されていく。
風見町とは違うこの防衛作戦は、ばっちりとハマった。
風見町とは違い、誘引部隊が戦術的な逃走を図れるのがかなり大きい。風見町でこれをやると近くの避難所にターゲットを変えてしまうのでできなかったが、避難所が1地域にまとまっている猿宿では、計算すればその心配もあまりない。
山間の集落というフィールドで、時に道路で、時に河原で、時に山林で、時に刈り入れの終わった畑で、自衛官や戦闘犬がゲリラ戦のような戦いを行なっていく。
避難所付近にもスポットがあるので、そこから形成された魔物は避難所に向かってくる。
もちろん避難所にも多くの防衛戦力を残しているので、これを跳ね返していった。
蒼は、2階の窓から校庭や中学の前の通りで行われる戦いを熱心に撮影していた。
そんな蒼のカメラは1人の人物に向けられることが多かった。藤堂である。
藤堂は、ゴリラみたいにムッキムキなオッチャンだ。華はない。
しかし、そんな藤堂がピックアップされがちな蒼の配信なのに、割と視聴者数は多かった。
それは、藤堂の戦いぶりが普通にかっこいいからである。
藤堂は、命子の次に無限鳥居をクリアしたり、F級ダンジョンの攻略パーティのリーダーをしていたり、自衛隊内だけでなく海外の軍部でもかなり有名な命子スタイル使いのファイターであった。
惜しむらくは地球さんTVに出たことがないので、一般人レベルだとイメージガールをした三娘のダンジョン案内に護衛で参加した人物として知られている程度だ。
これまであまり知られていなかった藤堂の戦いが、ネット上でお届けされる。
魔導書の扱い自体は命子のほうが上手い。しかし、近接技術は藤堂のほうが上手く攻撃力が高かった。
その戦いぶりは、命子のように繊細で華やかなものではなく、かなりパワフルだ。やはり華はない。しかし、めっちゃ強い。
ロングソード二刀流と魔導書2冊により、やってくる魔物をどんどん倒していく。
コスプレ染みたダンジョン装備を隠すための自衛隊のコートの裾が、剣閃と共にぶわりとはためく。その裾が元の位置に戻るよりも早く足が交差して身体が回転し、次なる魔物が横に真っ二つになる。
頭上から降り注ぐ水弾と土弾が、後続にいる厄介な魔物をノックバックさせて全体の動きを調整し、それと同時並行で前列に鋭い前蹴りを喰らわせ、足をつくと同時に2本のロングソードから繰り出される斬撃で魔物を光に還していく。まるで暴風のような戦いぶりだ。
そして、どうしてそんなことができるのか。戦いの合間に部下たちへ指示を出し、動きを調整していく。
学校まで流れてくる魔物は、藤堂とその指揮下の自衛官たちにより全て蹴散らされていった。
そんな藤堂の戦いぶりを撮影し続ける蒼は、ドキドキが止まらなかった。
事件が起こったのは、魔物が出始めてから2時間ほど経ってだった。
猿宿は山に囲まれた集落だ。つまり、野生動物が多い。
そんな野生動物が、庇護を求めてどんどん集落内に入り込む事態になったのである。
畑が多い猿宿は、野生動物との闘いを繰り広げてきた。
拒絶、あるいは駆除したところで、カルマに影響はない。しかし、戦闘が始まり、同じ死の恐怖を味わう動物たちを殺せる者はあまり多くはない。
特に自衛隊などは国の看板を背負っているので、この辺りの判断は非常に難しい。
「わしらが引き受けるよ」
かつては獣害を防ぐために動物を撃ってきた鉄砲ぶちのおじいさんたちが、そうやって動物たちを引き受けていく。
山と里の境界を守る彼らは、一般人の中でもかなり早い段階で『見習いテイマー』として活躍してきた。各自治体に求められたからだ。
普段は猟犬と共に、山から出ないように動物たちに言い聞かせる程度の活動しかできなかったが、いよいよの状況になって、彼らを受け入れることになる。
蒼はそんな様子もまた撮影するが、その動画の内容も物議を生むことになる。
動物を保護する余裕はあるのかと。
しかし、これが猿宿における一つの運命の分かれ道だった。
この後、このイベントがレベルアップ祭りであると命子たちは天狗からネタバレしてもらうわけだが。
ここで動物を追っ払えばある程度死ぬ個体も現れただろうが、中には仲間の屍を乗り越えてレベルアップしジョブに就く個体も生まれただろう。そして、常に危険と隣り合わせの野生の世界は、さぞかしレベルやジョブの成長補正を輝かせるはずだ。
そんな個体の中からは、野生の世界で君臨するような強大な存在が現れても不思議ではなかった。しかも、人に拒絶されたという経験を持つ獣の中にだ。
ダンジョンを確保したことで人間が優位な世界ではあるが、レベルアップの可能性が地上にも現れた今、人は未来を考えて動物との付き合い方に向き合う必要が生じていた。
やがて、猿宿でも夕暮れ時になる。
風見町と同じように魔物が姿を現さなくなり、代わりにボスフィールドが猿宿や周辺の山々にも出現した。
猿宿で排除するべきと考えられるボスの数は、集落内部に19か所、付近の山に16か所の、計35か所だ。その内、E級のボスは3体。残りはF・G級で半々程度だ。
できれば、これらを討伐した後に山岳部の深くにあるボスフィールドを討伐したいといった状況だ。
これは自衛隊が400名と戦闘犬がいれば余裕な数なのだが、問題が1点だけあった。
なんと中学校の校庭にE級のボスフィールドが現れたのだ。
中にいるのは、世界のどこかのダンジョンにいるはずの未知のボス。そう、まだ攻略されていないダンジョンのボスだった。
その姿は、岩石に覆われた巨大な目玉で、浮遊するタイプだ。
自衛隊はこのボスを暫定的に、ロックアイと名付けた。
自衛隊はロックアイを確殺するために、80名を動員することに決める。
直径3メートルはあろう球体のボスはかなり大きく見えるが、80人全員が同時に戦えるような巨大さではないため、その多くが控えであり、一定時間ごとに外に排出されるという魔物のための万が一の対策になる。
なんにせよ、防衛地点の喉元にいるボスが倒せなければどうしようもないので、本来6名で挑むボスに対してかなりの人数の動員である。
蒼は初めて生で見るボスの姿に、他の住民と同様にゴクリと喉を鳴らした。凄く不安であった。
けれど、中学校からは無理に移動しない。逃げる場所がないともいう。このボスが倒せなければ、中学に隣接する小学校など他の避難所もまた同様に被害を受けるために、逃げるならもっと遠くでなければならないが、お年寄りも多いので現実的ではなかった。
この場を指揮するのは引き続き、藤堂だ。
小学校にある猿宿防衛本部と連絡し合い、準備を整えていく。
不安な顔で撮影を続ける蒼は、片方の腕で青をぎゅっと抱きしめる。
そんな蒼は、指揮を一段落終えた藤堂とふと目が合う。
すると、蒼の心から不安がすっと消えていき、代わりにドキドキし始めた。
しまいには藤堂が男らしい笑みを向け、恥ずかしさのあまり慌てて青で顔を隠す。
「っっっ!?」
自分でもよく分からない奇妙な心境に、蒼は混乱した。
そんな様子を、蒼のおばあちゃんがじぃっと見つめていた。
陽が落ち、夜が始まる。
それと同時に、風見町からの連絡を受けて、ボスと戦闘できる時間となった。
しかし、すぐさま戦うことはせず、どのような仕組みなのか風見町の連絡を待つ。
まさかボスフィールドの膜に手だけ突っ込んで、魔法をぶっ放しまくれるようなズルはできないだろうが、不可能とは言い切れない。もしくは、逆に参加人数に応じて強化されるこちら側に不利な条件だってあり得る。後者の場合はG級のボスでも苦戦するかもしれない。
失敗できない作戦のため、調査の結果を待つ自衛隊。ボスフィールドを囲うようにして整列する姿は統率されているが、すぐ目の前に中学校があるので、早くカタを付けたいという焦りが全員に見え隠れしている。
およそ10分後。
ボスの強さなどはそのままだが、挑戦者の数に応じてボスフィールド内に取り巻きが出現することや、撤退者が出るたびにボスが回復する仕様などが判明する。
「全員理解したな!」
藤堂の号令で、男たちの野太い声が重なり合った返事が校舎の壁に跳ね返る。
蒼は反射的に肩を揺らしてビクつくけれど、いつもは怖いと思う男の人の大きな声が、自分の身体の中で震えて、とても頼もしく聞こえた。それは蒼だけではなく、多くの人が感じたことだった。
「作戦開始!」
藤堂が命令を下すと、ラージシールドを持つ盾職の自衛官が3名と、近接武器を持つ7名が、内部に突撃する。
「「「水弾!」」」
「「「風弾!」」」
「「水刃!」」
「「風槍!」」
ロックアイの周囲へ駆ける10名を援護するように、すぐさま追加で10名の魔法隊が足を踏み入れ、魔法を乱れ撃つ。中には『見習い』が取れた魔法使いが使う二次職の魔法もある。
ロックアイの巨大な瞳が眼球内で複数に分裂し、キンと光った。
すると、放たれた全ての魔法がその場でビタリと止まり、三つに分かれて弾けた。
目を光らせたロックアイは、岩石でできた瞼を閉じ、沈黙する。
ロックアイに何かをされて弾けた魔法は、術者を目掛けて飛んでいく。
魔法部隊は、弾けて減衰しているものの自分たちの魔法の連打を喰らい、膜の外まで吹っ飛ばされる。
「負傷が酷い者は回復薬を使用しろ!」
藤堂は、指示を出しつつ、内心で動揺する。
一方、最初に突撃した前衛組は魔法が着弾しないことに気づきつつも、ロックアイに向けて走っているのでそれが何故なのか分からない。
本来なら魔法が着弾してすぐさま追撃の必殺技を使うのだが、魔法部隊の攻撃が不発に終わり、前衛組の必殺技だけが発動することになる。
「ダッシュスラスト!」
「「ストライクソード!」」
「「パワークラッシュ!」」
「「強打!」」
槍、剣、斧、棒の技がロックアイに殺到する。
しかし、そのいずれもがロックアイの岩の外皮に阻まれて弾かれる。
そして、攻撃した者に至近距離から石つぶてのカウンターが飛んでいく。
モロに石つぶてを喰らった前衛は大きく吹き飛ばされ、なんとか受け身を取る。
E級のノーマルの魔物ですらそこそこの痛さのダメージなのだから、ボスともなればかなり痛い。中には血を吐き捨てる者もいる。
「「「ヘイトオーラ!」」」
急いで盾職がそのカバーに回るが、ロックアイは何もせずにその場に浮くばかりで、意味をなさない。
「前衛攻撃組撤退!」
藤堂の指示が飛ぶ。膜の外に出ればボスは回復してしまうが、そもそもノーダメージっぽいので問題なかろうという判断だ。
今負傷した者と入れ替わりで、同数の隊員が突入する。
時を同じくして、取り巻きの魔物が発生した。全てG・F級で構成されているが、撤退者の人数も適用されているようで、27体も出現する。
入れ替わった前衛は一先ず、その雑兵の討伐に入る。
「命子スタイルの者は全員戦闘に参加しろ! 現在、膜内にいる者は雑兵の相手だ!」
藤堂は、このボスの攻略法を察した。
恐らく、目玉モードの時は魔法が効かず、岩モードの時は物理が効かないのだろう。
そういった発想になるのは、新時代の自衛官が必ずある程度のファンタジー要素を学ぶことになっているからだ。多くのファンタジー要素が世界に加わり、それを柔軟に受け止めるには既存の世界観では難しいためだ。
もちろんゲーム脳になられては困るが、ボスの形状からどんな攻撃を繰り出すか察知するのに、これはかなりの効果を発揮していた。
藤堂自身もかなり巧みな命子スタイル使いなので、指揮を副官に任せ、戦場に出る。
なぜ、藤堂が命子スタイルを使う者を選んだかと言えば、近接状態で魔法も武器も扱えるからだ。魔法剣士などは少ないため、一先ずこれで様子見である。
藤堂は魔導書を魔法待機状態にして戦場を駆けると、魔法を開放する。
藤堂の予想通り、魔法はしっかりと着弾して岩の外皮を大きく削る。しかし、予想外だったのは普通に石つぶてカウンターが飛んできたことだった。
先ほどの前衛よりも距離が離れたカウンターだったため、藤堂はこれを回避する。
他の魔導書士たちも、攻撃を加えていき、すぐさま要領を得ていく。
すると、度重なる魔法攻撃により目玉が開く。
瞳がキンと光り、全方位から発射されていた魔法が全て術者に返っていく。
藤堂もまた魔法が散弾となり返ってくるが、被弾に構わず踏み込む。
藤堂の身体を計6発の散弾が全てヒットするが、痛くない。代わりに【盾技】の『かばう』を使った盾職が歯を食いしばる。
そのチャンスをものにするために、藤堂はロングソードで眼球を斬りつけた。
眼球は予想に反して硬かったが確かなダメージを与えた。
ロックアイの瞳が閉じ始める。
まだいける。
そう考えた藤堂だったが、ふいに心臓が激しく脈打った。
すでに次の攻撃モーションを開始していたので気にせず眼球を攻撃し、さらに身体の流れに任せて背筋を反らし、両手の剣を腰溜めにして突きを放とうとする。
しかし、次の瞬間、とてつもないプレッシャーが藤堂を、いや、猿宿内全ての者に襲い掛かる。
放たれた藤堂の突きはテンポを狂わされる。
ロックアイが石の瞼を閉じると同時に突きが入り、石つぶてのカウンターが藤堂を襲った。
藤堂の身体を石つぶてが強かに打ち据え、大きく弾かれる。藤堂は膜のすぐそばまで転がると、ガクリと膝をついた。
かなり痛いがダメージ自体は深刻ではない。
しかし、それとは別に何かがおかしい。
見れば、ロックアイもまた浮遊状態から落下して、ガタガタと震えていた。
『わが血肉の記憶より生み出されたにしては、ちと弱すぎる』
「「「っっっ!?」」」
ふいに轟くその声を聴いた全ての者が、胸を押さえてその場に膝をついた。
読んでくださりありがとうございます。
申し訳ないです。予想外に長くなっちゃったので次回で終わりです。
ブクマ、感想、評価、大変励みになっております。
誤字報告も助かっています、ありがとうございます!