第1夜 「名も無き街の生き方」
注意事項として本作は相方と共に合作です。両者とも初心者なので軽く見てもらえると助かります。出来れば皆様のお知恵を貸していただければと思っています。悪いところがあればなんなりと言ってください。そうしていただければこの作品をより良いものにすることができるでしょう。どうかご協力お願い致します。
ブリテンの首都、ファースト。その郊外の夜は森より静かになる。その街ではただ殺しや薬の売買。
奴隷商売。非合法的なことが蔓延りまくっている。
血と薬の匂いで穢れたその空気を吸いアタシは成長した。
女という理由だけで、髪が珍しいというだけで追われ続けた。そしてその手を汚し。
殺し、殺し、殺し続けた。
世界を呪いながらアタシはその一分一秒先の未来を、誰かという人間の命を踏み台にして掴み取る。
また夜が訪れた。それはこの街の始まりを意味する。
月はこの街の太陽、これが昇る限りこの街は動き続ける。アタシは月が昇ると同時に街へ繰り出す。
黒いローブに身を隠し、いざとなればそれを脱ぎ捨て殺しを始められるように。
いつものバーの一角に座り収入源である依頼主を待つ。アタシが受け持つ依頼は暗殺と盗み。
今日は盗んだ物の納品だけが唯一入っている予約だ。
テーブルに並ぶ飲み物を見てただじっと待つ。腰に付けた二つの短刀をすぐに抜き出せる態勢で。
すると黒服の男が現れ、
「例の物を。」
ただその一言を言うとアタシの前に金の入れた袋を出した。
それを貰うため言われたものを提示するとその男は袋を置きその場を立ち去った。
結局その後依頼が来ることもなくアタシは不貞腐れながら帰路についた。
だけどその帰路には呼んでもない客が呼ばれていた。数は気配から1から6。
魔法感知に引っかかったのが4。二名は確実に魔術師だろう。いつも曲がる所を一つ早めに曲がる。
いつもこういう状況を危惧してアタシは罠をこの街の至る所に張ってある。
第九夜対策集団「Tonight.」の設置した対敵対者地雷及び熱探知自動迎撃魔法ボウガンが設置されている。
この集団はこの夜を生きるもの同士が手を取り合う中の一つ。
メンバー構成は主に女児や女性で奴隷や臓器売買に遭わないようにする組織。
暗殺稼業はこの裏でそういう関係を依頼してきた奴らを皆殺しにしている。
主に狙われるのは顔が整っているか髪の色、肌の色が特殊か胸が大きいか。そして亜人か。
それによってこの街での価格が激変する。正直目立つ髪色は嫌いだ。
だけどこれをアタシは誇りに思っている。何故ならこの髪は
「血がついてもよく映える。」
その独り言を言った瞬間あたりに爆音が響く。
それはあたりへの警鐘になると共に奴らへの先制攻撃とかした。今の攻撃で三名死んだようだ。
アタシは腰の短刀に手を伸ばし構える。魔術感知によると1名魔術師は死んだ。
なら遠慮なく惨殺を始められる。自己加速魔法、武器エンチャントブラッドイーター。
二つをかけて追っ手で1番近い奴に近づいていく。
黒いローブを脱ぎ捨てアタシは奴に行くまでに死んだ相手の死体を二、三度斬りつけてブラッドイーターのスキルを発動させる。
リーチ増加及び軽量化、威力上昇、切れ味増加。
lv3止まりだが余程の相手じゃないよこれでは事足りるのだ。
1人目の奴の目の前に飛び込んだ時アタシの姿は顕になる。月からの光で映ったそこには。
ピンク髪で褐色肌の小柄の少女が2振りの短刀を敵を目がけて切りつけている姿だった。
次の瞬間一番近かった奴は腹を切り裂かれ悲鳴を上げながら絶命した。
横に一振りしただけの短刀は腹を裂き中から出てくる血を喰らう。これでlv4、いや5はいった。
もう長さは短刀では無く剣。ブラッドイーターは血を喰うほどに強く、長く。
そして禍々しくなっていく。その異様さは相手にも伝わったようで魔術師じゃない奴が逃げていく。
そいつはボウガンの餌食となり死亡。残るは魔術師のみ。
「あんた一体何者なんだ。ただの盗みが得意な少女じゃないのかよ!」
魔術師は死を前にしてただ理不尽に嘆いている。
アタシはそんな彼を心臓にただ一突きするだけで終わった。
歯ごたえが無かった事に少し不満があるが魔法を全て解いて再び帰路につく。
明日はこのことを報告しなきゃいけないなぁっと思いながらシャワーを浴びる為に急ぎ足で帰った。
「ってところがアタシからの報告です。」
「報告感謝するその地点の魔法を補充させておくゆっくりしてろ。」
「了解です。」
司令部室から出て中央ホールへ向かうそしておもむろに置いてあるソファにダイブ。
「あぁ~、もう疲れた二度と司令部行きたくない。」
「あんたそれ言うの何回目だよ。っというか報告の時とか仕事中一人称が変わるのはいつも通りだな。」
そう銀髪の細めの女性が喋りかけてくる。
「だってユリカ達と違って私は結構緊張するし、普段生活してる間に気づかれちゃ困るからね。
まぁ髪の色でよくバレるんだけど。」
「ほんとあんたはぁ。まっいいけど。ところでレッカ、この後時間ある?」
「あるけど。どうかした?」
すると彼女は立ち上がりながら言った。
「女子会さ。」
場所は変わって「Tonight」拠点飲食ルームこの場所では料理長が美味しい料理を作る。
この街で料理をする人は少ない。
当たり前だが女性は奴隷になる確率が大きいそれに男性のほとんどは料理をせず焼くかなんとかしている
のが多い。
だから料理人というものは重宝されている。
それだけでこの貧民街を抜けることも出来るだろうが現実は甘くない。
さて 。そんな話は置いておいて今この現状、女子会と言うがこの組織。
2人は除いてだが女性のみで構成されている。だからただの集会なのだが皆見栄を張ってそう呼んでいる。
今日手が空いていた人達が集まった。私を含めて5人。先程私を誘ったユリカ、それにウキヒメ、マキリ。そしてセイコ。それぞれ組織の上位責任者である。私が暗殺、盗み。ユリカは拠点防衛。
ウキヒメは魔法研究統括及び罠魔法管理。マキリは施設財産管理。
ユリカは兵士教育及び通常教養である。そして全員この組織の創立時初期メンバーである。
そして創立者ツクヨに拾われた子達である。
「ヒャッハー。やっぱり酒と料理長の作るツマミは最高だなぁ。」
そう言いながらユリカは酒瓶片手に笑っている。私はその横でヤキトリという料理を貪っていた。
「お前、本当に毎日を楽しんでるなぁ。ってレッカあんたよくそんなに食うのに太らないな。」
そうマキリが言う。彼女は緑髪で色白の巨乳の23歳だ。特技は会計で、それと演算。
その特技から性格が堅そうに見えるが案外ラフなものだ。こういう風に冗談を言える程の人だ。
だが胸は許さん!
「あなた達少しは静かにしなさい。普通は食べながら喋るのは行儀悪いんだよ。」
そういいながら眼鏡をクイッとしたセイコ。彼女曰くヤマトではこうするのが流儀らしい。
性格は堅く礼儀を重んじる。特技は剣術。唯一先生と同じ抜剣術が使える人。髪色は赤色である。
趣味はこう見えて子供たちと遊ぶこと。
だけど教師をやってるせいかそれで嫌われることが多くてへこんでいる。
「...」
この中でただ座って飯を食いながら本を読む金髪の子がウキヒメである。趣味は読書の本格的人見知り。今日もおそらくユリカに無理矢理連れてこられたのだろう。
「本当に自由だなぁ。」
私がそんなこと椅子の背に持たれながら思っていると騒ぎを駆けつけたのであろう黒い影がユリカの
後ろに忍び寄ってきた。
その影は静かに詠唱する。
「ステルス解除。ダークハンド4本増加。行け。」
そういうと私にチョップ。ウキヒメの本を取り上げ、マキリにもチョップ。
そして残った1本の闇の手はユリカの頭を鷲掴みにした。
「先生、酷いじゃないですか急に現れてチョップするなんて。」
「だって皆気を抜きすぎてるからね。それとウキヒメ何度言ったらわかるの?
食事中に本を読むのは行儀が悪いでしょ?
後レッカは感知魔法すら切ってるでしょ?っでユリカ誰がそんな行儀悪いこと忘れた?
それに感知魔法は?アンタが今1番悪いって分かる?えぇ?」
「先生。ユリカ気絶してます。後先生のチョップが案外強くてウチも。」
っと言うとマキリは倒れ込んだ。あいつ最低防御魔法すら張っていなかったのか。だが分かる。
防御魔法すら貫通して私の頭に大ダメージを与えてる。
「おっ。レッカ流石にそれは張っていたか。あぁそうだセイコ、教育いつもご苦労さま。
それと、はいこれ。子供たちのお小遣い。これで何か食べてくるといい。」
「ありがとうございます先生。このお礼はいつか。」
「いや、いつものお礼よ。だから遠慮なく貰っていきなさい。」
「先生私にも。」
「ん~?何言ってるのレッカちゃん。貴方が使った魔法の料金幾らだと思う?」
「あっいいです。何も聞かなかったです。」
そう私が悲しげに告げた。
これが普通の日常と呼べるのだろうか。私達にもわからない。けど楽しい時間が過ぎていく。
生きる為に必死になりながらも私達は人としての幸せを嗜む。
「さっ。今日も夜が来るわ!」
そう先生が言い放つ。
「そうですね先生じゃあいつものあれかな?」
「ええそうよ。じゃあウキヒメこいつら起こして。」
「グレイトヒール。」
「ん?アレ。私は何を確か先生に。」
「情報共有。」
そうウキヒメは告げて寝ていた奴らに小さな光を撃つ。2人は口を揃えて
「「あぁ、アレね。」」
そう言うと先生の方を向く。全員が先生の方を向いたところで
「私達の朝はいつ?この街が活気と殺気が相殺して静けさを出すのはいつ?」
「それはこの街の真実。」
「それが起きるのは常に一緒」
「「「それは常に共にあり。」」」
「それじゃあ行くよ。どこへ?それは。」
「「「「「「Tonight!!」」」」」」