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初日に失敗する

「……ところで坊っちゃん、なぜ数ある魔法の中からその三つをお選びになられたのですか?」

 学校側から出される朝食ではなく、朝早くから起きて朝食の準備をしてくれていたアインからふと質問を投げかけられる。

性変換トランスジェンダー』、『人形制作パペットメーカー』、『透明化インビジブル』共通点もなければ、強力な魔法というわけではないこの三つを選んだ理由は……理由は……

「大体わかりました。もういいです。あと旦那様方に報告しておきます」

「“青い目”止めろぉぉぉぉ!!」

 ああ、正直に言おう。少しえっつちいな感じがしたからです。でも、これだけは言わせて。いや、思わせて犯罪は犯してないです。そうです、私は少しほんの少し変態かもしれません。しかし、悪を憎む志の高い人間なのです。

「……まあいいです」

 …………ホント思想読まれるってナニ?

 日本には思想の自由があったのに、今や思想の監視状態、泣けてくるね。

「ニホンという概念はわかりませんが、別に坊っちゃんの思想の無理な矯正はしていないつもりです。もちろん度が過ぎれば止はしますが、坊っちゃんが正しいと思うことを否定したりはしておりません」

「……そうだね」

 いや、アインは一番に俺のことを考えてくれてるのはわかってるんだ。監視なんて言うのはちょっと失礼だったな。

「では、私は帰ります」

「えっ、もうちょっとゆっくりしていけばいいのに」

「いえ、私は旦那様方をお送りしなければならないので……また、坊っちゃんの顔でも見に来ます」

 べ、別に見に来てなんて頼んでないんだから!

「では、坊っちゃん。時間が出来次第会いに来ます。それまでお元気で」

 フードを被って部屋をアインが出て行くとあっという間にその姿は見えなくなった。


「……寂しい?」

 グリが後ろで朝食のパンを齧りながら心配そうに見てくる。

「……」

 問いには何も答えず、優しくグリの頭を撫でる。

「さっ、登校初日だし早めに出ようか」

「……んっ」

 身支度を手短に済ませ。学校へと向かう。


 ○○○○○


「初めまして、これから一緒に勉強していくノアですよろしくお願いします」

「…………」

 しーん


 拍手も歓迎の言葉も無し……


 取り敢えず席に座ろうと思い、空いている席に座ろうと近付くと……


 バサッ


 空席の隣に座っていた女の子に床に置いていた荷物を椅子に置かれ席に座れないように防がれた。その上声をかけられまいとわざとらしく本を読み始めた。

 仕方ないので一番後ろの席まで歩く。

 後ろの辺りまで行くとヒソヒソと噂する声が聞こえてくる。


「……レが……装趣味で……態の……」

「……のうえ……法使いのくせ……締めで……長先生を……」

 噂話が聞こえてくるが完璧には聞こえてこないので想像するしかないが、確実に良い噂ではないな。

 初めてこんな対応受けるんだけど……

 てか想像してたのと違う……もっとクラスメイト達に囲まれて質問攻めで困る〜、みたいなの想像してたのに……


(学校でこんな扱い……イジメかっこ悪い……)


 ○○○○○


 お昼過ぎになり一日の授業が終わる。魔法を使う実践的な授業もあるらしいけど、座学だけで今日の授業は終わった。

(帰ろ……)

 奇異の目で見られて少し疲れた。もとい、疲労困憊。


「ちょっと止めて下さい……」

「はぁ?止めろって何よ?俺ら被害者じゃん。謝って誠意ってもんを見せんのが筋じゃね?」

 この前のヤンキーズじゃん。また人に絡んでるみたいだ。ん?よく見ると俺が座ろうとした席に“わざわざ”荷物を置いたクラスメイトちゃんじゃないか……


「んあっ?お前……どっかでみたことあるな……」

 ぼーっと女の子を見てると、ヤンキーズに気づかれてしまう。

「いえ、人違いでしょう……ではこれで」

 急ぎ足でその場を去る。

「……まぁいいどっか行くならさっさと行っちまえ」

 ヤンキーズは俺への注目を止め女の子に視線を移す。


「……助けないの?」

 少し離れたところで、学校にいる時はずっと本の状態で俺に運ばれてたグリに問われる。

「いや、でもあの娘俺のこと嫌いそうだし……」

 それに俺は誰でも助ける正義の味方ではない

「……否定。別に特別な嫌悪感を持たれていたわけでは無いと推測」

 いやー、あんな態度取られてそれはないだろ。

「まぁいいや根拠は?」

「……少女はその他生徒から孤立し、関わり合いにならない様にしていました。その雑多のクラスメイトに主が入っていただけのこと」

「?」

 つまりどういうことだ?

「……理解力の乏しい主の為わかりやすく言うと少女は主のことを他人モブくらいにしか思ってない。それに……」

「それに?」

 サラッと毒を吐くグリ、お腹が空いたのか口が悪い。昼食はまだ食べていないからな。


「……不良が死ぬ」

「…………は?」


 ○○○○○


「面倒ですね……」

 少女はそういって大量に持っている荷物の中から棒を取り出す。

 その棒に少女が魔力を込めると棒は鎌の形へと変わっていく。

「あぁ?おいおい、見ろよ。この嬢ちゃん俺らとやりあうつもりだぜ?」

「……」

 少女は不良達の言うことなど興味が無いとでも言うように荷物を地面に置いていく。

「……ッチ、無視かよ」

 不良達は武器を構えたり、魔法の詠唱をしている。

「……まぁ、安心しな腕の一本位斬って終わりにしてやるからよ。まぁ、その後別のお楽しみってぇのがあるんだけどなぁ!」

 少女に不良は襲いかかり、鎌の棒の部分で受け止める。

「へぇ、折れないなんて丈夫な武器だな」

 少女は鎌を滑らせる。不良の剣は鎌の刃の部分まで滑っていくと刃に引っかかることなく“鎌の刃で透過し”不良は体勢を崩す。

「……」

 少女は無言でその鎌の刃で不良を斬ったようにみえたが、今度は“不良を透過した”しかし、鎌の刃に斬られた不良に外傷は無いが倒れ込んだ後不良は死んだように動かない。

「てめぇ!?何をした!?」

 少女は答えることなく鎌で不良を斬っていく。

「……」

 不良は身体の一部でも鎌に斬られると死んだように動かなくなっていった。

「ひぃぃ!!助けてくれ」

 最後の一人になった不良は必死で命乞いをしている。

「これ……」

 鎌の棒部分の底が蓋になっており、蓋を開けるとガラス玉の様な球が出てくる。

「返しておいて……」

 それだけ言って少女は自分の荷物を持って何処かへ帰ってしまった。

加筆する可能性あり

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