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命題の価値と人間の思考

330000 命題だけが価値のある意味を持つ。ネイムは命題の中でのみ、何らかの指示対象をもつ。

331000 命題の意味を決めるために必要な部分をシンボルと呼ぶ。

       命題自身が一つのシンボルである。

       命題の意味にとって本質的で、誰もが同じように納得できるものがシンボルである。

       シンボルは命題の特徴となる。

332000 文字はシンボルの見え方の一つである。

332100 シンボルAとシンボルBは同じ文字を示すことがある。

       そのとき、シンボルAとシンボルBは同じ文字でも違う仕方で表示する。

332200 二つのものに同じ名前がついているからといって、何か共通点があるとは限らない。

       (例えば「橋」と「箸」のように)

       なぜならものの名前は決める人が自由に決めることが出来るからである。

       猫を二匹飼って、二匹とも「ケットシー」と名付けることも出来るが、

       「キャスパリーグ」「バステト」と名付けることもできる。

       そうした場合、名前は文字の羅列であり、猫の性質を示すことは無い。

332300 普段使う言葉は、同じ言葉でも使い方によって意味が変わることが多い。

       例えば「緑さんは緑である」という命題では、

       初めの緑は人名であり、あとの緑は形容詞である。

       これらの言葉はたんに意味が違うだけでなく、それぞれが異なったシンボルである。

332400 世界はこうした混同に満ちている。

332500 このような混同を避けるために、新たな言語を作る必要がある。

332600 あるシンボルに名前をつけるときに、その文字の意味を考えて名前を付けなければならない。

332700 論理的に正しい使い方をしたとき、初めて文字の正しい意味が決まる。

332800 使わない文字に意味は無い。

333000 正しい命題の中にある文字の意味ははっきりとしており、あやふやな意味の文字はない。

       人によって解釈の異なる文字を使ってはいけない。

333100 この観点からのラッセル(1872~1970)のタイプ理論を検討する。

       ラッセルの誤りは文字の規則を決めるときに、文字の意味を考えないといけないことである。

333200 どんな命題も自分自身を証明することは出来ない。

       なぜなら、命題文字を命題文字に分解することは出来ないからである。

333300 関数を自分自身の入力項とすることは出来ない。

       なぜなら関数は、関数であるために初期入力項を決められており、その初期入力項は自分自身を含むことが出来ないからである。

       例えば、関数F(fx) が自分自身の入力項になりえると仮定する。

       そのときF(F(fx))という命題が存在する。

       ところが外側のFと内側のFは異なる意味を持っていなければならない。 

       なぜならば内側は φ(fx) という形式であるのに対し、外側はψ(φ(fx))となるからである。

       二つの関数に共通なものは文字「f」のみである。

       つまりF(F(fx))は見方によって真偽の変わってしまう命題であり、

       命題の分析方法が一つであることに矛盾する。

       よってF(F(fx))という命題が存在しない。

       このようにしてラッセルのパラドックスは解消される。

333400 正しい文字を正しい規則で使えば、命題の分析は簡単に理解できる。

334000 命題には本質的な意味と、偶然生まれる意味がある。

       命題が、自分自身以外ではその意義を表現できない点が本質的である。

       偶然生まれた意味は、文字の使い方である。

334100 命題の本質的な意味から似たような意味の命題を作ることが出来る。

       同様にシンボルの本質的な意味から似たような意味のシンボルを作ることが出来る。

334110 よってネイムは、似たようなシンボル全てが持っている。

       こうして、どんな組み合わせもネイムにとって本質的でないことが証明できる。

340000 命題は世界辞典の一ページとなる。

       世界辞典の一ページとなるには、その命題が正しく有意義な意味を持っていなければならない。

341000 命題文字と辞典のページ番号が、人間の思考可能な範囲を表す。

341100 世界座標と世界辞典は、ものが確かに存在していることを表す。

342000 一つの命題は世界辞典の一ページに過ぎない。

       しかしこの一ページだけでも世界辞典全てを描くためのヒントが隠されている。

350000 命題文字をうまく使って並べたものが人間の思考である。


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