2. 起点
それは突然のことだった。
残暑の厳しい九月の某日。
汗で襟元が首筋に張り付く気がして、ボタンを外してネクタイを緩めた。期末テスト直前の、金曜日のことである。
何故ウチの高校は夏服でもネクタイ着用必須なのか。先生たちはクールビズとかいって外しているのにあんまりである。そのくせ電気代ケチってエアコン入れてくれないから、暑いのなんのって。窓も扉も、あけられるところを全部開けても、籠もった熱気は収まらない。日本の夏って風がないし湿度が高いから。
「わー、つっきー色っぽーい。きゃー」
「うっせー馬鹿」
気の抜けた声で茶々を入れる友人に悪態をつく。
因みにつっきーとは俺の渾名だ。某テレビアニメの湖に住んでいるたらこ唇の恐竜っぽい何かみたいな名前だが、渾名としては妥当なところだと思う。二文字目に『き』もしくは最後の文字が『き』だと大体こんな渾名だ。
「つれないな―、俺とつっきーの仲でしょ?」
「は?何言ってんのお前?」
「え?俺とつっきーは切っても切れない笑んで繋がっているんだよね?同士様?」
ニヤニヤ笑っていて残念感が半端無い。そんなにあの話が嬉しいか、誤解なのに。
「違うっつってんだけどな……。どうせお前は聞かないし」
「うん、聞かないね!ってか、つっきー俺より凄い伝説もってんじゃん?」
異様にテンションの高い馬鹿は斉藤裕樹。『変態チキン』『自爆系ドMオタク』の異名を持つ、クラスのムードメーカーであり愛すべき馬鹿である。
「家族への自主的奉仕活動だし。それより、飯。お前昼休み呼び出されてただろ、パソコン同好会」
「……ああー、そんな事もあったかな?うん」
「……え、なんかやらかしたの?馬鹿なの?阿保なの?」
「……ふはは、はははははは、さあ飯を食おうか、つっきー」
「ぉ、おう」
俺も斉藤も弁当派だ。これは大多数の生徒に言えることで、理由は購買は混み合って下手したら食いっぱぐれるし、学食は校舎から離れたところにあるから移動が面倒だから。
そのため、教室には割と人がいる。正直、こいつと二人飯は同類にされそうで嫌なんだけど、もうすっかり同類と見なされているから何も問題ないとはこいつの言葉。いい笑顔でサムズアップ決められたから、いい笑顔でヘッドロック決めてやったのはいい思い出だ。
「で?何やらかしたわけ?ゲームのサイト見ていて履歴消すの忘れたとか?」
「それだったらまだいいさ。ってか俺単体じゃないから」
部屋の隅でキノコを育てそうな暗さで弁当箱をつついている斉藤に見かねて核心を突く。
行儀が悪い。
比喩表現じゃなくて文字通りのり弁に箸を突き刺しては抜いてと言うのを繰り返しているのだ。
「え、マジで?珍しー」
「酷くね!?いつも思うけどつっきーの中で俺ってどうなってるの!?」
「斉藤は斉藤だろ?」
「……その心は」
態々真顔を作って、出来る限り真剣を装って言い切る。それに対して、何か思うところがあったのだろう、笑った顔の斉藤が本心を聞いてきた。ははは、口元引き攣ってるぅー。
無理矢理爽やか系の笑顔にシフトチェンジ。もっとも、爽やかって柄じゃないんだけど。精神ゴッソリ削ってやるよ。
「自虐系のドMでオタクで厨二病患者。救いようのない残念な奴」
「……うん、そんな気がしてたよ」
諦めたような言葉。うん、こいつとのこう言う作った会話はなかなか好きだったりする。だから不名誉極まりない認識されていても一緒に飯食ってるんだけどさ。
「で?」
「俺の扱い……!まあですね、何やらかしたかっていうとですね、……パソコン室の鍵を折っちゃったんですよ」
更にいじけ出しそうな斉藤に、強引に話すよう促すと、HAHAHAHAHA☆とでも言い出しそうな雰囲気で、軽ーく、緩ーく言った。
「は?」
一瞬我が耳を疑った。だって、え?鍵って壊れる物なの?どうしたら折れるの?
「いや、鍵さしたままドア開けようとしてさ、ゴッてやったら折れたさ-。いやーあの時は驚いたわ、うん。確かに折ったのは俺だけど、周りに会員全員いたし。やだなー、怒られたくないな―」
「……っ馬鹿でしょ!?阿保でしょ!?てめぇ、大人しく怒られてこい!!」
衝撃に反応が遅れたってしょうがないことだと思うんだ。
「だって、ほんの出来心だし―。あーあー、突然お腹が痛くなってトイレに駆け込むとか無いかな-。……それか、異世界召喚とか!」
「えー、おっまえ、ほんとにぶれない厨二病だな。マジ乙」
「……つっきー、現実逃避って大切だと思うんだ」
「したくなるような状況を作る方が悪いんだ。諦めろ」
「ちょっとあそんだだけなんだけどな。ああー、何でもいいからここから逃げ出したい!」
言っていることが残念極まりない。ここまでイタイ人であることを隠さず表せるこいつが、純粋に凄いと思う。いや、隠したい趣味も何もないけどさ。
「お前のメンタルが羨ましいよ」
「いや……」
斉藤が何かを言いかけたその時。
「“生徒の呼び出しをします。二年生パソコン同好会生徒、二年生パソコン同好会の生徒は、至急職員室まで来てください。繰り返します。二年生――”」
ピンポンパンポーン、と言う軽快な音の後に流れた先生からの放送に顔を引き攣らせて机に伏す斉藤。ポン、と肩に手を乗せ、にんまりと笑うと、何かを感じ取ったのか顔を上げ、更に顔を引き攣らせた。
「行ってらっしゃい」
「嫌にいい笑顔だなあ!?」
「こってり絞られてくるといいよ。それで懲りればいいさ。ははっ!」
何か言いたそうな斉藤だが、教室の戸が勢いよく開いたことで何も言えなくなった。
「おーい、斉藤。職員室行くぞ。主犯が逃げられるわけ無いだろ」
「そうそう。巻き込まれたこっちが逃げたいくらいだし」
そう言いながら近づいてくる、パソコン同好会員が数名。仕方なしに立ち上がった斉藤が文句を口にしようとする。
瞬間。
斉藤の足下から金色の光りが溢れてくる。よく見ると大小様々な円や三角、星形に線文字Bのような文字が描かれている――魔方陣のようだ。どんどん大きくなり、やがて俺の足下にもかかって――。
「“おめでとうございます。貴方は勇者(笑)に選ばれました。”……?え?マジで召喚ですか?」
呆然とした、でもどこか興奮して嬉しそうな斉藤の声。
は?え?斉藤の溢れる厨二力が奇跡を起こしたのか!?って言うか、『勇者(笑)』って何!?
混乱する俺を尻目に、魔方陣から零れた光りは斉藤を包んで――あれ、位置的に俺も包まれてる?言葉が聞こえたのか文字が見えたのか知らないけど、これは恐らく斉藤一人を対象とした召喚なんだろう。なんか俺、ヤバイ感じ?
結論から言おう。
やっぱり俺は、ヤバかった。
光りが一際強く瞬き、風が生まれる。
渦をなした風は勢いを増し、光りも呼応する。
強く、強く、更に強く。
世界が消えていく。
視界から消え去っていく。
ふわりとした浮遊感。
「おおおおおおおおおおお!!召喚ktkr!!」
熱い何かが漲ってくるんだね、斉藤。分かるよ、それは分かるけどさ。
お前、ほんっっっっとうに、ぶれねえなア!!
そして、目の前の世界が完全に消えて。
次に現れたのは見たこともない世界でした――。
って言うのがセオリーだったはずだ。
にも関わらず。
どうやらやばいタイプの巻き込まれにあったようで。
ガキンっ!!と。
硬質なものに弾かれる感覚。
脳裏に文字が浮かぶ。
「“勇者様(笑)以外の召喚は受け付けておりません”……ってはあ!?じゃあ俺はどうなるんだ!?」
次々と新しい文字が現れる。
「“元の世界に戻す、と言いたいところですが、召喚するために通ってきた『時空間の歪み』の影響で、元の世界ではもうすでに五百年ほど経っています。浦島太郎になりたいですか?なりたいんですか!?”……なりたいわけ無いだろ!!」
本当に不味い巻き込まれじゃねえか!!
「“一応この世界の『神』たる私でも、この世界に関与しない貴方には何も出来ません”……?え?」
嫌な予感の数秒後。俺の脳裏には先程の比ではない死刑宣告が浮かび上がる。
「“さようなら。ずっと『時空間の歪み』を、それこそ永劫の時、彷徨うことになるけど、恨むなら巻き込まれた自分の運の無さを恨んでね☆寧ろこの私の邪魔をしたんだから責任とって欲しいくらいなのに、見逃してあげる、この寛大さを有り難く思いなさい!”……ふ、ふ、ふ、ふざけんなああああああああ!!!!!!」
ああ、勿論。
心の底から、叫んださ。
やばい、キレてる、めっちゃキレてる。今までにないレベルでキレてる。この恨み、どうしてくれようか?
結論。
……どうしようもない。
俺は死んだ。
いやもう、それは簡単に。あっけなく死んだ。
いつの間にか、肉体は消滅していた。特に何かを感じることもなく、気がつけば『俺』であった物は無くなっていた。
そしたら……どうでもよくなった。
突然死んだ悲しみも、勝手に命を奪われた憤りも、何もかもがもういいや、と思った。
恨むことは疲れることだと、この時初めて知った。
『時空間の歪み』の中で俺は流されていく。
肉体が消滅して、『感覚』なんて存在しないはずなのに、時々何かを感じる。引きつけられたり、弾かれたり、ゆらゆら揺れているような気がするのだ。
何もないはずのそこはどことなく恐ろしくて、何だか落ち着かなかった。
流れに流されて――しかし余り時が経つことなく、漂流は止まる。
コッ!と堅いものにぶつかる感覚。
“ん?何じゃ?”
耳がないのにどうして声が聞こえるんだろうか、と軽く現実逃避をしてみる。続くのはふわっとした浮遊感。心なし温かい気がする。
“ほぉ、これは珍しい”
感嘆したような声は、威厳と慈愛と好奇心に満ちあふれている。子供心を忘れていないお爺さんって感じだろうか。長老って呼びたくなる。
“少し、失礼するよ”
何がだろう。って言うか俺、いつまでここにいるわけ?放置プレーは止めてくれ。
え?ずっとフラフラ流されてた人間が放置プレー云々言うなって?
いや、あれはあれでいい感じだったんすよ。例えるならば浮き輪をつけてプールに浮かんでる感じというか、一人っきりで温泉(大浴場)でぷかぷか浮いてる感じだ。気持ちよくない?ね?
押し問答を一人で繰り返すこと暫く。
再び聞こえてきた声は、苦悩と絶望、怒りと突っ込み魂に溢れていた。
“そう言うことかあああッ!!”
何があったし。
さっきまであった、なんて言うかこう……平身低頭しなければいけないような厳かさが消えて、途端に親しみやすい感じになった。もしや突っ込み担当の同士か。親近感湧くな。
しかし、そこはやはり経験の差か、声の主はすぐに立ち上がる。それこそ、俺に肉体があったら肩をがしっと掴んで揺さぶってきそうな勢いだ。
“すまんが手伝ってもらうぞ”
はい?何をですか?
守られるように暖かな感触に包まれたまま、暫しの時間が過ぎる。
結局何を手伝うのか分からなかったが、どうやら何かがあったらしい。
“まあ、可哀想に。こんなに若くて可愛いのに”
“本当。せっかくいい素地を持っていたのに、勿体ない事したわ”
“あの時ならまだしも、今ではもう元の世界は無理だし。でも、何とかしてあげたいわ”
“では、私の世界にお招きしましょうか”
“だめよ、貴女の世界は招くとしたら主人公でしょ?ハーレムの主って気が重い物よ”
“それでは私が”
“もっとダメよ。そもそも、この魂の適正に合わなすぎて、すぐに消滅してしまうわ”
“それでは、私が責任を持って預かりましょう”
““ダメに決まっているでしょう。貴女の世界は特殊性癖持ちが八割を占めているじゃない!””
ん?どうしてこうなった?
今俺の周りでは、たくさんの声がきゃっきゃと騒いでいる状況。
しかも話題は俺のことらしい。
さらに、なかなか物騒な単語が漏れ聞こえてきている。
え?俺、どう反応すればいいの?
なんか色々アウトな表現だったよね?ハーレムの主とか……。嫌だからいいんだけどさ。いいんだけどさ、それは。
いい素地って何?ってかその人が最後に預かるって言った『特殊性癖持ちが八割』って世界の人なんだけど?え?俺、特殊性癖持ちの人たちの中でもやっていけるって事?ってか、俺自身がそうなる適正があったって事?ねえ、どういうこと?
“なんじゃ騒がしいな。どうしたか”
俺を拾い上げた声が、騒々しい中に響いた。
“ふふふ、私たちは彼の今後のことを考えていただけでしてよ”
“今後のこと、とは?”
“だって、余りにも酷い被害者じゃない。神様だからって、『ひとでなし』なんて言われたくないわ。これは私たちの落ち度よ。如何に人間への干渉は禁止だって言っても、本来なら保護されていたはずなのにあのろくでなしのせいで見殺しにされていたのよ。許せる話じゃないわ。それに、仮にこのまま離したとして霊界に行ったとき人間たちに話されると厄介よ。ただでさえ神を信じる力の弱まっている世界が増えてきたのに、更に信仰心が無くなったらそれこそ世界が滅びるわ”
なんか、神様の裏事情的なものを聞かされたような……。神様が神様に対してろくでなし、ってありなのか?神様的に暴言はありなのか?もっと徳の高いものじゃなかったのか?
“そのことじゃが、な”
“何よ?”
“儂の世界で受け入れることに決まった。異論は認めん”
““あら、まあ””
“それは一体どういった訳なのかしら?”
“このものの魂を保護したのは儂じゃ。儂とて暇ではないからな、こんな小さな魂がひとつ、歪みを流れていることなど、気付はしないよ。この魂はな、儂の担当する世界のうちの一つにある結界に触れたのじゃ。否、触れたと言うよりもあれは、引きつけられてくっついていたと言っても言い。しかも、流れてきた道を魂の履歴から調べれば、あの世界で弾かれてからほぼ真っ直ぐ儂の世界へと向かっている。しかも、この者の世界の神ではない儂が、精神干渉出来たのじゃ。この者の儂の世界との親和性は、非情に高い。それにな、この者の好きだった娯楽の世界に出てきたものがな、儂の世界には揃っているのよ。楽しい転生人生を送るには丁度いいであろう”
“ああ、それは確かにそうですわね。それで、天王様のお考えは?”
“無論、許可は取ってきた。それと、ちょっとした依怙贔屓の許可もな。この者は『チート』とやらが好きなようじゃからな、なかなか愉快な思いをするであろう”
あれ?なんか俺の与り知らぬところで思わぬ話がとんとん拍子に進んでる?
あれ?ひょっとしてこれはチート転生フラグですか!?
え?どうしよう。斉藤じゃないけどなかなか燃えるんだが。――そういえば、斉藤どうなったんだろう。あんな神様の世界に転生したりして、無事だったのか?って言うか、結局勇者様(笑)って何だったんだ?ひょっとして、否、ひょっとしなくてもやばい生活してるだろうな。ああ、ダメだ、あいつが自虐して誰も突っ込んでくれない放置プレーで、いいように弄られているところしか想像出来ない。
あとあれだ、ハーレムとか作るんだろうか。勇者って言うと(しかも、あのテンプレ好きの厨二病患者だから)美女ハーレム作ってそうだな、と思う。
あいつ、結構顔だけはいい方に入るから……そうなれば、きっとSっ気のある年上のお姉様に弄ばれてるんだろうな。……大丈夫なのか?(こっちの世界に)戻ってこれるのか?開いちゃいけない扉を開いてないか?………………。危ない姿しか想像できない。あれ、なんか、斉藤の行く末が不安になってきた……?
別に、心配してる訳じゃないが……うん、気になることは確かだ。
ちょっと俺、あいつの様子を傍観者として見ていたかった。絶対、面白かったと思うんだ。
“と言うことで、この者は儂が連れ帰る。前世をいつ思い出すかはこの者次第じゃが、遅く思い出そうとも絶対に幸せな人生を保証するから安心せい。さあ、帰った帰った。見世物パンダではないのだぞ”
軽く現実逃避している間に話はついたらしい。まあ、どうすることも出来ないから俺には関係ないんだけど。
“聞いていたとは思うが、少しだけ追加で説明しよう”
騒々しい場所から離れたようで、ゆったりと響く声にとても落ち着いた。
恐らく女神様だったのだろうが、どうも優雅さとか優美さとかからかけ離れていて、ちょっと女神像が崩れかけている。
駄目だ、女神がトラウマになりかけている。
“君には儂の世界のうちで、最も親和性の高かった世界に転生してもらう。君の世界では、『テンプレート』な『異世界転生』によく出てくる、剣と魔法の世界じゃ。ドラゴンも、精霊も、神も悪魔もいる。君にとってなかなか興味深い世界であろう?”
はい、勿論。
厨二病は不治の病です。男は誰だって厨二病の一つや二つ、患っているものだろう。ある一種のステータスだ。……暴論か。さすがに言い過ぎだとは思う。
だが、程度の差こそあれ、大部分の日本人が通る道だと思う。勿論、俺自身そんなに進行しているわけではない。軽度だけど……記憶力がいいから細かい部分まで覚えていられる。だから無駄に詳しくて、勘違いされてしまうだけだ。
“それはよかった。……ただ、ひとつ謝ることがあってな”
ん?
心底悔やんでいるのがよく分かるんだけど……何か問題があったのだろうか。
“あの腐れ虚け……すまん、天界の王がな、特例として優遇あり且つ保証付きの異世界転生を認める代わりにな、まあ、条件を出してきおって……それはあまり幸せにはならないと勝手に判断したのだ。諸々のことを考えるに、女として転生してもらうことになった”
こみ上げてくる何かを我慢していることがありありと分かる声音。あ、絶対この人(?)苦労しているんだろうな、と悟る。なかなかダメな単語が聞こえてきたけど、気のせいと言うことにしておこう。
でも何で!?
“いや、なんと言おうか……趣味を至上とするものが権力を持つというのは恐ろしいという事だ。自覚が足りないというか、理解できていないというか。これは儂の不始末でもあるので非情に申し訳ないのだが、どうにも出来ん。だが、男と大して変わらん身体能力を約束しよう”
ガンガン押してくるな。この神様、結構偉いのか?天界の王の問題において、原因の一端を担っているって言ってたから。つまりそう言うことだろう?
それでも、一応は好きなこと出来るということか。オーケーオーケー、何も問題ない。
“儂の加護も強めに与えておく……彼女の思惑をひとつ壊したからな。このあと暴れ出すかもしれん。あれは本当に自分の趣味のためなら暴走しかねんからな。もしかしたら辛いことがあるかもしれないが……儂に出来ることは出来る限りしておこう。見つからんうちに、さあ、行け”
え?もうっすか?
“……強く、生きよ。儂は君の見方だからな。苦労しても、儂がついておる”
それ以来、ぷっつりと会話は途切れた。
え?展開早くね?
もっと説明してくれてもいいんじゃね?
つか、俺が今回知った女神って奴が、なかなかキチガイだった気がするんだけど?あげくには見つからないうちに、って。どうにかなってんじゃないのか?天王って神様も女神らしいし、これは女神様トラウマに決定。
混乱していることが出来たのもそこまでだった。
そうして、俺の意識は途絶えた。
本日は後もう一話更新します。




