16. 五歳児魔力検査
家庭教師からの愛あるご指導を賜り。かなり磨耗する日々が続いたが、それにも適応し。
そうして一ヶ月ほど経ち、ついに五歳児魔力検査の日となった。
「それではルーナ、行こうか」
「はい、お父様」
今日は護衛の人が数名とヘルメスさんだけが同行してくれる。
「本来ならば私もいくべきなのですが、イヴァンのこともありますから、家を離れられません。ルーナ、しっかりやるのですよ」
「はい、お母様」
不安げな様子のレイアさんが、イヴァンを腕に抱き、見送ってくれた。
今日が世間一般的には運命を決める日である以上、あまり堂々としていたらふてぶてしいだろう。と言うことで、少しだけ緊張しているように見せている。
儚げな雰囲気を壊さぬよう、演技に演技を重ねる。
「それでは、行ってまいります」
屋敷の使用人総出で見送られ、俺は神殿へ向かった。
魔力検査に関しては以前説明したが、少し補足しておく。
特殊な場合を除いて検査は一日で終わるが、たぶん俺は『特殊な場合』だ。
最寄りの神殿で検査を受けた後、魔力量が多い場合は王都の神殿で精密検査が行われる。俺は間違いなくそちらに回されると言うことだ。
移動については神殿にある古代魔法の一種、転移魔方陣を用いることができるので何十日とかかる訳ではないが、王都に行くのは非常に面倒なんだが……仕方がない。
たぶんヘルメスさんは、驚くだろうな。この間のことで少しは俺が普通じゃないことに気付いているだろうが、さすがにここまでのことは予想してないだろうし。
取り敢えず……そんなに特異じゃないといいな。
神殿に向かう馬車の中で、ヘルメスさんが唐突に言った。
「心配しなくても大丈夫だ。ルーナは魔力の資質が高いからね」
恐らく、心配して元気づけようとしてくれているのだろう。けれど、その言い方には素直に驚いた。
「どうしてそのように言い切ることができるのでしょうか。勿論、お父様とお母様が魔法に秀でていることも存じ上げておりますし、お二人だけでなく家系全般において魔法を得意としていることも存じております。ですが、魔力資質は遺伝だけで確実なことが言えないということを書物で学びました」
ちょっとだけ嘘を交えている。情報統制はきちんとされてるから、情報源は勿論、書物ではなくシャディーだ。
「ルーナは昔から魔法薬が効きにくくて、アイテリア祖母様の特製魔法薬しか効果がでなかったんだよ。魔法耐性が強い者は総じて魔力が高い傾向にあるからな。……まぁ、さすがにあの脱走のことは驚いたが。確信に変わったのもその時だよ。」
初耳の事実。そうか、つまりリアクションを期待したいなら本気を出せってことだな。
「少し安心しました。ありがとうございます」
素直にお礼を言えばヘルメスさんは相好を崩した。
「それなら良かった。だが、油断せず頑張りなさい」
「はい」
勿論。ヘルメスさんやレイアさんが目を見開くような結果を出して見せようじゃないか。
馬車で揺られること十分弱。
検査場である神殿へと到着した。協会はフェリティアの町の中に在るが、検査には大がかりな設備を使うし、初めて力を出す時に暴走させてしまうこともあるため、町中からは離れた場所に神殿を置き、儀式類はそこで行うことになっているのだ。王国中の、ある程度の大きさのある町ならば大体教会があるし、こういった形をとっているところが殆どだ。
神殿は石造りの風情ある円形の建物だ。俺の目で見るとかなり濃密な魔力が渦を巻き、独特な力場を形成しているのが分かる。また、敷地内と外を隔てる部分には、よく似ているけど屋敷よりもより強力な魔法が使われている。ひょっとして、あれを結界というのだろうか。
馬車から降りて敷地内に足を踏み入れると、外で見た以上に空気が独特で思わず息を呑んだ。……どう考えても普通以上の力を発揮できてしまいそうだ。たぶん、この中にいる者が何らかの魔法を行使した場合、術者の意志に関わらず全力を引き出すようになっているのだと思う。そのための特殊な力場な気がする。
少し歩いて神殿の側まで寄ると、神官らしき人が出迎えてくれた。
「お待ちしておりました、公爵様、お嬢様。お初にお目にかかります。本日お嬢様を担当させていただきます、三等神官のジューク・ペイルスと申します。本日はどうぞよろしくお願い致します」
そう言って教会で用いられる古代の作法に則り礼をしたのは、十代後半の少年だった。茶色の髪に茶色の瞳という、俺からしたら見慣れた、こちらでは珍しい地味な色彩の容姿をしている。背もそう高くなく、もしかしたら俺に気を遣って若くて礼儀のきちんとした者を担当に付けてくれたのかも知れない。
最も、ただ者ではないことは分かっている。かなりの魔力を持っているのが見て取れるし、身につけている所作がとても十代後半の人間のものとは思えないからだ。
「ああ、よろしく頼む。何かあったらすぐに言ってくれ」
「はい、お任せください」
父の言葉に、恭しく礼をするジュークさん。そのまま場の空気が流れかけているけれど、割ってはいる。ちゃんと挨拶しないと、ヘルメスさんやレイアさんが後で怖いし。何も出来ない普通の幼女、と思われるのは嫌だし。
「――ご丁寧にありがとうございます。ヘルメス・アルテミシアが長女、ルーナ・アルテミシアと申します。こちらこそ、未熟者故ご迷惑をおかけすることも多々あるとは思いますが、どうぞ本日はよろしくお願い致します」
「……これはご丁寧にどうも。ですが、私のような者にそのように敬意を払っていただかなくても……」
「いえ、私の方が年下ですし、何より本日はお願いする身ですので。これくらいのことは当然のことでしょう」
「そうおっしゃるのなら。それでは、参りましょうか」
やはり俺が敬語を使うことには違和感があるようだが、議論しても進まないと感じたようで案内を開始してくれた。
儀式が行われる大広間は神殿の建物内部の奥まったところにある。通る廊下には全く人影がない。……まあ、魔力量が高そうな人間が来るって分かっていて人をおいておかないか。仮にも公爵令嬢だし、暴走して人を傷つけたら周囲の環境が危ういし。
「こちらが、儀式場です。その前に、こちらの部屋でお体を清め、専用の衣に着替えていただきます」
「はい」
儀式場の大きな扉の横にある小さな部屋の中には、数人の女神官が待機していた。女神官、と言うより、巫女、と言った方が正しいのかも知れない。彼女たちに手伝って貰って、湯浴みをし、白い簡素なワンピースに着替える。ま、言わば不正防止だよね。そんなこざかしい真似をしたって分かるときには分かるって言うのに、結構、衣服やアクセサリーの類いによる不正は多いらしい。
一通りの準備を終え部屋から出ると、ジュークさんとヘルメスさんが儀式場の前で待っていた。二人とも何も変わっていないように見えて、結界のようなものを身に纏っている。注意深く観察してみれば、新たにブレスレットのようなものを付けていた。うーん、魔導具、的なものがあるのかな。ラノベやアニメ、漫画ではこう言う世界観の作品の定石だったし。
「それでは検査の方に移っていきましょう。どうぞ、中へお入りください」
ジュークさんが扉の脇に嵌まっている魔石らしきものに手を翳す。すると、重たげな音を立てて扉が左右に開いた。
示されるままに中に入れば、その中は殊更魔力の密度が高かった。それも、清浄な、というか。四角形の部屋は広さも十分にあり、床全体に大きな魔方陣が描かれていた。至る所に不可思議な力場が発声しているところを見ると、大本にあるのはこの床の魔方陣で、その他にも調整用に見えにくいところに魔方陣があるのかも知れない。
「それでは、まずは魔法の資質があるかどうかを調べたいと思います。お嬢様は部屋の中心までお進みください」
言われた通りに部屋の中心に進むと台座のようなものが置いてあり、上には大きな水晶玉のようなものがある。直径一メートルくらいだろうか。透明で綺麗だと思うが、内部にはしっかりと魔方陣が刻み込まれている。それも、かなり複雑なもので強力そうだ。
「そちらの水晶玉に、両の手を当ててください。その時何か吸い取られるような感覚がするかも知れませんが、お手を離さないように。危険なものではありませんから、大丈夫です」
「はい」
静かに両方の掌を水晶玉にくっつける。すると――内部の魔方陣がキラリ、と一際強く発光し、魔力を吸い込まれていく。
「こちらの水晶玉は魔力測定計です。現在の魔力量が計測できるほか、将来的に見込めるであろう、最高魔力量を予測することが出来ます」
「成る程、そのようなものが存在するのですね。結果は、どのようにして知ることが出来るのですか?」
無言の時間が怖くなったのか、唐突にジュークさんが水晶玉の説明をしてくれた。なので便乗してみた。
「一定時間経つと音が鳴ります。その後に水晶玉の色が変化するのです。最初に現在の魔力量を表し、次いで将来的な魔力量を表します。魔法を使えない者は変化がありません」
「そうなんですか。便利なものですね」
「ええ、分かりやすくて重宝しますね」
ピーッ!!
話をしていたところ、妙に電子音めいた音が鳴った。
「と、もう大丈夫のようですね。手を離してください」
指示された通りに手を離すと、水晶玉の内部の魔方陣が本格的に作動した。
内部から色が移り変わっていく。
透明から青へ、青から緑へ、黄緑へ、黄色へ、オレンジへ、赤へ、紫へ、黒へ――。
瞬く間に色が変化していく。途端に、驚き、目を見開くジュークさんとヘルメスさん。
色の変化はそれでも止まらず、黒から白へと変化したところで、再び電子音のような音が鳴り、停止する。
……何が起こっているのか、皆目見当がつかないのだけど。
瞠目したままヘルメスさんとジュークさんはフリーズしていたが、最初に自我を取り戻したのは、ヘルメスさんだった。
「これは一体……?」
「……私も見たことがありません。反応の速度も気になりますが……反応の結果も、経験の浅い私には分かりかねます」
「やはり、これは普通ではないと」
「恐らく、ですが。王都にいらっしゃるような、高位の神官様や教皇様であれば、或いは分かるかも知れませんが、少なくとも、神学校で習う魔力測定計についての知識の中には、このような現象は載ってはおりませんでした」
何やら不穏な会話が二人の間で展開されている。完全に、除け者にされてしまったのだが、どうしたものか。尤も、このままではいっこうに話が進む気がしないのだから、やることは一つ――即ち、会話に割り込むことしか選択肢は存在しないのだが。
「あの、もし可能でしたら、結果をお教えいただけないでしょうか」
何も分かっていない純真さを装って、問いかけてみる。この際、幼い子どもしか持つことが出来ない天使の微笑みを発動させておくと、より効果的である。……我ながら計算高くて嫌な幼女だな、とは思う。いや、気にしたら負けか。
二人の年長者は一瞬きょとんとしたものの、すぐに笑みを浮かべて持ち直したかのように見えた。実際は口元が引き攣っていたけれど。
「そうですね。魔力を持つものは変化の色によってその大まかな量を知る出来ます。青が一番少なく、黒が一番多いはず、です。生憎、白がどの程度に値するのかは分かりませんが、相当高いものと思われます。一度しか色の変化を示さないと言うことは、恐らくそれ以上になり得ないからだと思います」
「補足すると、黒ですら最新のものは五百年前の女王陛下の記録だ。因みにその女王陛下は、召喚魔法――簡単に言うと、魔法生物を呼び出し、命令して言うことを聞かせる魔法だが、その魔法の相当高位の使い手であったようでな。神獣と契約していたそうだよ」
「……………………そう、ですか」
どうしよう、自分から望んだこととは言え、今聞いたことをもの凄く後悔している。泣きたい。切実に泣きたい。絶対この魔力量が知れればただではいられないだろうし、神獣と仮契約を結んでいるばかりか、高位精霊(しかも二体)とも仮契約を結んでいる、って言うのが知られたらもう俺どうなってしまうんだろうか。
「まぁ……取り敢えず次の検査へ進みましょう。その後で、王都の協会本部へと伝達し、転移魔法で王都へ向かっていただいて、再検査、と言う形になると思いますので、ご了承ください」
同情してくれているジュークさんの態度が、更に心を抉っていく。案の定再検査、って言うのも中々堪えるものがある。
「分かった。それでは屋敷へと連絡して、荷物を用意して持ってこさせるようにしよう」
「はい、それがよろしいかと。――それでは、お嬢様。次の検査を始めますよ」
あははは、待ってはくれないのね……。
少し壁際で待機していると、すぐに魔力測定計が片付けられ、新しいものが姿を現した。
目測で半径一メートル半はあろうかという、大きな円形の石版だ。中心よりやや下付近の円から始まり、こちらも複雑怪奇な文様のような魔方陣が刻まれ、その先には六種類の色の魔石が嵌まっている。これは、魔方陣は魔石に魔力を通すための経路と考えた方が良いか。
「次の検査はこの、魔力資質測定器を用いての検査です。これは魔法の適正属性を調べることが出来ます。この模様の中心となっている円の中に手を置くと、先程と同じように自然と魔力が注がれ、適正のある属性の魔石が輝きます。検査を受けられる子どもさんの中には魔石が一つしかつかないと落胆される子もいますが、普通は一人につき一属性です。だから、安心してくださいね」
「はい」
そーかそーか、やっぱりここでも、俺は白い目で見られるのかねえ?
ま、嫌なことはさくさくと終わらせてしまおう。
こっそりと溜め息を吐きながら再び魔方陣の中心へと足を進める。魔力脂質測定器は片手で大丈夫そう。
ゆっくりと掌を付けると石独特のひんやりとした硬質な感触があった。魔力測定計同様、スルスルと魔力が吸い込まれている感覚がする。二度目だけど、やっぱりこれは慣れない。なんかこう……死にそうで嫌だ。死ぬことはないって分かっていても、魔力の使いすぎによる後遺症は恐ろしいと身に染みて知っているから。あれは、精神的に死にかけるから。
辺りに漂う緊張感が、逆に心地良い。さっきほど驚くような結果はないと思うけど、心構えをしてくれているのなら安心だし。
魔力が吸い込まれるにつれ、魔力が石版に刻まれている魔方陣の溝を通るように光を灯していく。
何個かの魔石にいたる経路は惜しいところまで行くが途中で止まってしまった。最終的には、白・青・緑の魔石が点灯した。うん、自分で分かっていたのと同じだ。良かった。
「……三属性持ちか……」
「三属性の資質はかなりのものでしょう。ここまでの魔石の輝きは、そう滅多に見えるものではありませんね。それに、水属性と光属性が揃っているなんて……末恐ろしい限りです」
そっと懐から布を取り出して額を拭うヘルメスさんに、一種の憧憬ともとれる光を瞳の奥に輝かせるジュークさん。神殿関係者としては魔力量の多さと水・光属性への適正というのは羨ましい限りなのだろう。見る限りジュークさんは水属性の下位魔法が辛うじて使える程度のようだ。それでも、治癒魔術に適した魔力の波長だから十分人から羨まれると思うのだが。
「結果をお伝えしますと、お嬢様は光属性と水属性、風属性に強い適正をお持ちのようです。やはり詳しいことは王都での再検査でないと分からないと思いますが」
忘れずに説明してくれるジュークさんは、予想よりは普通の範囲内だったのか、或いは普通じゃないけど慣れてしまったのか。なんだか藪から蛇が出てきそうだから何も言うまいが。
「そうですか。ありがとうございました……喜ぶべきなんでしょうね」
思わず口をついて出た本音に、年長者二人は苦笑をかえしてくれたのだった。
家からは既に荷物が送られてきていた。仕事が早いな。
「王都の協会本部に連絡したところ、至急お越しいただきたいとのことです。本日は、第三王子殿下のソール殿下も魔力検査を受けられていると言うことで、陛下も公爵様とお話ししたいそうです」
「陛下が……。分かった、すぐに向かおう。悪いがルーナ」
「心得ております。そう長くかかることもないと聞きますし、屋敷に戻ることもありません。荷物も届いておりますし」
天使の微笑みを再び浮かべて、俺的に気持ち悪いけど、『女の子らしく』嫋やかに告げる。
「そうか。一応言っておくが、不安に思うようなことは何もない。……では、転移室に案内してくれ。そこに荷物を運ばせよう」
「はい、どうぞこちらへ」
ジュークさんが、案内してくれる。部屋から出て、通ってきたのとはまた違う廊下をくるくると進んでいく。……この建物、ゲームによくあるダンジョンっぽい。簡単だけど迷路だろ、って思うくらいには複雑な通路がある。
さっきの儀式場のよりも小さいけれど、十分な大きさのある部屋に通される。作りや空気感は儀式場に似ていて床一面にこれまた複雑な文様の魔方陣が刻まれている。……さっきから気になってたけど、普段使ってる式と使われてる言語が似ている。まぁ……フランス語と英語くらいは違うけど。語族は一緒ってやつだ、たぶん。
この部屋にあると言うことは恐らく転移魔法の魔方陣なのだろう。使い手のいなくなっている伝説の古代魔法と精霊の魔法である式が似ているのは中々面白いことだと思う。知りたいけど……古代魔法は王城の地下の大資料庫におかれている石版やパピルス、羊皮紙の類いにしかないらしいから、きっと無理だろう。残念だ。
「ここが転移室になります。床に刻まれている魔方陣の中心にある円の中にお入りください。荷物は後ほど別口でお送りします。――それでは、作動させます」
その一言の後、何か呪文を呟き――足下の魔方陣がブワッと輝く。
気がつけば、ヘルメスさんと二人、先程までと同じようでどこか空気が違う石造りの部屋の中央に立っていた。
目の前には白い布きれを纏った男が一人。脳内で咄嗟に神官だと認識できなかった。神官服が白い布きれにしか見えないほど屈強――ガチムチマッチョな中年男で隙のない立ち姿なのである。なんてったって大男。異様な風体であるとしか言いようがない。救いようがないくらいに神官服が似合ってないのだ。
「お待ちしておりました、アルテミシア公爵様。陛下から案内を申し使っております。代議式場で陛下がお待ちです。こちらへどうぞ」
「すまない。よろしく頼む」
貫禄のある低音ボイスは、聖職者然とした慈愛に満ちている。……言っちゃ悪いが違和感がありすぎて気持ち悪い。赤ん坊が見たら泣き出しそうなくらいの強面に慈愛に満ちた笑みを浮かべているところも、違和感の一端だ。
それにしても、ヘルメスさんが呼ばれているってことは、俺は関係ないのかな?
「私の娘はどうしたらいい?」
ヘルメスさんも同じことを考えたらしく、神官に聞いてくれた。
「これは申し訳ありません。お嬢様もご一緒にと仰せつかっております」
ホワッツッ!?
普通、如何に貴族の子であっても、王族と謁見するなんてそうあることではない。成人の儀とか、とにかくそう言うよっぽど凄い儀式じゃないと会うことなんて出来ないのだ。
だから、たった五歳で王様に会うなんて……あり得ない。
「と言うことだからな。それに、ルーナの精密検査も大儀式場で行われるはずだ。行くぞ」
「……はい」
納得できない部分は多々あるが、死にたくないので大人しく大儀式場に向かう二人を追いかけた。