15. 雷
帰りは行きの飛行でだいぶ慣れたため魔力制御が楽になり、余り筋力を使わなくても飛べるようになった。そのためとてもスムーズである。
慣れないことをしたら疲れるだろうと思っていたメルトだが、
「空を飛ぶのは慣れてるよ。ルーは一回一回力を込めすぎてる。それだと疲れると思う」
なんてこと無いと言う風体で、翼の力だけでホバリングしている。
……よく考えたらメルトは一角天馬だった。元々空を飛ぶなんて当たり前のようにしていた。疲れるも何もない。
更に、式を使うことに関しても、神獣の一角であることを考えれば、全く問題ない。扱いに問題がある訳でもなく、消費魔力が極端に多かった訳でもない。
つまり、全く問題が無かったというか、寧ろ俺の方が問題だったという。
さすがは神獣、つい先程習得した式を発動するのも俺よりずっと楽そうだ……というか、危なげがなかった。変身して飛行の先輩としての面子が……。
そしてさすがは本職である。我流のフォームの添削までしてくれて、たくさんアドバイスを貰った。……うん、散々見得を切った上でのこの惨状、かなり恥ずかしい。教えてくれる人もいなかったから有り難いし、筋肉痛の回避のためには仕方がないことだけど。
アドバイスのお陰で高高度飛行も多少の魔法によるサポートがあればこなせるようになった。高度の高いところを飛行したことで速度を上げても弊害がない。
そのお陰で、途中ろくに休憩もせずにフェリティアの町まで来られてしまった。
ここに寄ったのは近くの町にいた、と言う証拠を作るため。
どこにいたのか聞かれて答えようがないというのは困るからだ。
正直に答えるのは論外だし、追っ手振り切って目と鼻の先で遊んでいたっていったらきっと凄く面白いと思う。つまりほんの出来心。当然変身はしない。変身したら俺がいたって証拠にならないだろうから。
でもそのままのこのこと出て行けば、すぐに捕まってしまうだろう。
という訳で、変身ではなく変装をしようと思う。どこにでもいる子供になれば、この街にいなかった期間も誤魔化せる筈だし。
まず、目の色を変えるために色眼鏡。
これは以前屋敷に来ていた商人から買ったもの。持っていことをすっかり忘れてたんだけど、市場価値を確かめようと持ってきていたレースや香油と一緒に袋の中に突っ込んでいたのを思い出した。色眼鏡をした見かけない人物、って怪しいから、上手い具合に印象に残ると思ったんだよね。
ま、このタイミングにこの町で使おうとすれば、公爵家の私兵に職務質問されてアウトだろうけど。
そこで、ちょっとした細工をした。
細いシルバーのフレームに赤いガラスの嵌まった伊達眼鏡。使用すると、フレームは木製に、ガラスの色はただの無色に見えるように偽装した。そして更に、使用者の瞳の色が緑に見えるように設定もした。
何でも、こういった魔導具らしき物は存在しない訳ではないそうで、実際俺が買った物の中には商人が見落としていたものが結構あったりする。使用者から魔力を得て発動する物だとそう言う場合が多くて、一見すると普通の道具だからレイアさんも気付かなかったのだ。
それを、好奇心だけで買っていたルーナさんは大概だと思う。レイアさんにちゃんと言え、と心から言いたい。今はそれが役に立っているんだけど。
続いて使うのは髪飾り。言わずもがな、髪の色を変えるための物。
ただ、こっちは小細工無しに髪の色を変えてくれる本物の魔導具だ。
いつもは魔力制御の訓練に使っているのだが、今回ばかりは本来の使用方法で使うことにした。
これで纏めれば、あっという間に金髪に変身する。とても便利である。
黒髪金目の幼女からこの辺りでは一般的な金髪緑眼の幼女に変わると、隣で見ていたメルトがビクッとする。
「えー……と、ルー?」
「はい、私ですよ。メルトはこういった魔導具を見るのは初めてですか?」
驚きましたか、と言って笑えば、ガクガクと首を縦に振る。
「人間はよく使う物なの?」
「そうですね……こういった効果が劇的な物は余り普及はしていませんが、使用されていない訳ではありません。日常使う明かりなども同じような構造ですよ。ですのですぐに慣れるでしょう」
「ふーん……面倒そう」
「そのような事はありません。誰にでも、いつでも使えるというのはメルトが考えている以上に便利なものですよ」
そう言われてもよく分かっていない風のメルトに苦笑する。人間にしか分からない辛さだしね、魔法を使うことって。
それだって人間の生活の様子を知ればきっと追々慣れていくだろう。
今は準備が整ったのだし、早くアリバイ作り(?)をしてしまおう。
昼間に来たフェリティアの町は中々活気があって、かなりテンションが上がった。
夜は割と閑散としていたけど、人通りも多いし小さな子が通りで遊んでいたりもするし、表通りにいる分には治安は気にしなくてよさそうだ。
あくまで表通りにいる間は、だが。
姿を消してついてきているメルトさんに探ってみて貰ったところ、使われている様子のない倉庫の地下や酒場の地下にやばいのがうようよいたらしい。
……よくよく考えると、神獣を偵察に使うって言う時点で相当酷いよな、俺。今更か。
大丈夫だとは思うが、万が一と言うことがないように気をつけなくては。
表通りの明るい店を、ちょこちょこ覗きながら俺の外見を店やの主人の記憶に残していく。ちょっと抜けてるとか、普通ではないとか、そういう行動を心掛けたけれど、かなり運の部分も強い、だからかなり多くのお店に仕掛けておいた。
このまま何もすることもないので屋敷に帰ることにしたら、本当に何事もなく帰ってこられてしまった。大体ユニコーンの元を発ってから三時間ほどである。
あっけないし、拍子抜けした。
誰に見咎められることもなく、ヘルメスさんの追っ手とかは見当たらなかった。勿論変装は解いていた。寧ろ見つけてください、と言うスタンスだったはずなのに。
捜索されてない、とかはないよね?勝手に出て行くヤツはいらない、とかもないよね?
ちょっと離れたところから様子を窺う。一週間ぶりの見慣れた屋敷だ。懐かしい気がするのは、この一週間が濃かったからだろう。
屋敷周囲を旋回して様子を確認すると、警備体制が更に強化されてしまっている。正規ルートで中に入るわけではないからあまり関係ないが。
見慣れた窓から中を覗けば……出て行った当時のまま、誰も室内にはいなかった。中に誰か入ったのは分かるが、本格的にいろいろな場所を漁られた訳ではなさそうだ。……部屋の中に魔力的におかしいところは何もない。魔法系の罠はしかけられて居なさそうだ。屋敷内部にも範囲を広げて探ってみるが、侵入者対策のようなものは以前と変わらないままだ。
これならそのまま表から一人で堂々と帰ってきても問題ないはずだ。
メルトにはこのまま室内待機を指示。小型化してベッドの天蓋の上に身を隠していて貰った。
ついでに持っていたらおかしい荷物を置いて、持っていて不思議ではない荷物と持っていないとおかしい荷物を持っていく。机の中に採集箱等々を押し込み大きな鞄を出し、着替えを追加で数枚入れる。
それが終わると再び外へ。屋敷のある丘の下で人の姿に戻り、そこから徒歩で移動する。
門の近くまでやってくると、中から走り出てくる人影があった。どうやら誰か気付いた人が呼びに行ったらしい。この時間家にいるとは思わなかった。仕事は大丈夫なのだろうか。
「ルーナ!!」
言わずもがな、凄まじい形相のヘルメスさんである。……まあ、今回の自分の所行を客観的に振り返ってみたら無理もない。
「お父様。只今戻りました」
ご心配をおかけして申し訳ありませんでした、と頭を下げると、
「無事で何よりだったが……話はあとだ。レイアも待っている。さぁ、屋敷へ入りなさい」
溜め息一つで、良い笑顔にシフトチェンジすると、有無を言わさぬ強さで肩を掴み、歩かされる。……ここであっさり中へ連れ込まれると言うことは、ヘルメスさんだけではなくレイアさんもご立腹と言うことか。当然だな。
思わず溜め息を吐きたくなる。
……なんかどこまでも散々だ。しかも、苦労するのはこれからとか。
お手柔らかにお願いしたいが、無理だろうな……。
屋敷内を強制連行。使用人の人たちに軽く謝罪の言葉を伝えながら歩いて行く。にっこり笑ってお帰りなさい、無事で良かった、と言う旨のことをかえしてくれる彼らはやはりプロでかっこいいと思う。
で、レイアさんとその弟の寝ている寝室についたのだが。
そこは、異様としか言えない空気に包まれていた。
……何て言うの?怒りのオーラ?負のオーラ?なんかやばいものが渦巻いている感じである。おどろおどろしい。
一歩中に入ると途端にプレッシャーが全身を圧迫する。
「ぁあっ」
何やら赤ん坊が笑う声が聞こえる。まだ見ぬ弟だろう。正直この空気の中で無邪気に笑えるのは可笑しいと思う。きっと将来大物になることだろう。
気を抜くな、と思う反面、元来の性質がじわじわと自己主張を始めていて内心がざわつく。もしこれをレイアさんが見越して弟をこの場に連れていたのなら(前に盗み聞きした話では、普段は乳母が面倒を見ているらしい)何とも恐ろしい事である。
「久しぶりですね、ルーナ」
優雅に微笑むレイアさん。だが、可笑しい。何がって、普通笑ったら目尻は下がるはずなのに、逆につり上がっているのだ。器用だねえ。
「お久しぶりです、お母様。お母様こそ、ご無事で何よりです」
「随分と楽しそうなことをしていたというではありませんか」
「そのようなことは決してありません。ですが、この度のこと、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
「全くです。驚きましたのよ?貴女を連れてくるよう言ったら、行方不明だというのですもの」
改めて考えてみると、酷い話だよな。第二子を産んだら、第一子が家出していたなんて。
「お母様を始め、お父様、使用人、様々な方々にご心配をおかけしてしまったこと、重ね重ね深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」
「……。口先だけの言葉で謝ることは簡単にできます。今の貴女の言葉に誠意を感じることが出来る人がどれだけ居るのでしょうね。幼い間は、謝罪すれば簡単に許されるでしょう。ですが、信頼は元には戻らないのですよ。軽はずみな行動は止めなさい、というのはそう言うことです」
あー、正論が辛い。
レイアさんはこれでもかなり怒っている。ただ、優雅で貴族女性の鏡のような人だから、怒ると言うよりもこんこんと諭しているように感じられるだけなのだ。余り怖くないと思ってはいけない。口調は柔らかいし激しく怒られている訳でもないが、纏ってる空気は凍てついてるから。冬のモスクワかって言うくらい凍えてる。レイアさんはたぶん、水属性は使えないと思うのだが。
「どうしていつもそう自分勝手な行動をするのですか。バルコニーから落ちた後に理解したのではなかったのですか。己の行動には責任を負わねばなりません。貴族として、ではなく、人間として、当然のことですよ」
「……返す言葉もございません」
部屋の中に満ちる空気が、とってもブリザード。ピリピリと緊張状態が続いている。こんな状態だけど空気と化しながら赤ん坊――弟、イヴァンというらしい――を抱っこしてあやしてるヘルメスさんとか、その腕の中で
「うぁい-?」
と呑気な声を出して俺に手を振ってくれているの弟がいて、またなんというか……カオスを呼んでいる。
「分かればよいのですが……貴女は理解こそしているのですものね、ただ行動が追いつかないだけであって。これ以上何を言っても同じでしょう。いい加減には、自制というものを覚えて欲しいのですが。令嬢としては失格ですよ。いくら礼儀作法がきちんと出来たとしても、いくら高度な学習内容が理解出来たとしても、他者に及ぼす影響も考えずに行動するようでは淑女の道は遠いわ。良く覚えておきなさい」
「はい……気をつけるようにします」
こればっかりは……ちょっと、自分でもどうしようもない。
十七歳の俺は頑張れば自重できるよ?
五歳のルーナが猪突猛進なのだ、意識が引っ張られる。ルーナさんの成長に期待しておいて欲しい。俺には無理。レイアさんの武勇伝も知っている身としては、余り煩く言わないで欲しい。
「――それで、どうしてこのようなことをしたのですか?七日間貴女は何をしていたのですか?そこの椅子に座って、ルーナ。ヘルメス様もおかけなさいな。小さな冒険のお話を聞かせて頂戴?」
ほら、どう考えてもレイアさんもわくわくしているよね?怒っていることは怒っているのだろうけど、起こりきれていない。
レイアさんのこういう所、好きだ。目とかきらきらしていて、生き生きしていて。薬草に邁進しているときのルーナと同じ匂いがする。
「はい。今回のことは……」
親子四人で珍しく(四人では初めて)ゆっくりお茶をした。
一旦朗らかになった空気だが、再び凍えている。主に、俺の失言のせいで。
「まぁ、そう。つまり、ヘルメス様が貴女を唆した、と言うことね」
「いえ、そこまでのことではありませんわ、お母様」
引き攣った口元を押し隠して否定する。……でもこれ、どうしようもないな。
俺の失言とは、出かけた経緯を説明するときに、
「街に行ってみたい、遠父様に伝えたところ、いけないと言われまして。――いえ、お母様。私は決して『一人で』とは言いませんでしたわ。初めての場所に一人で行こうと思うほど命知らずではないつもりですもの。――はい、それはお父様が『どうしてもって言うなら自力で抜け出してごらんよ』とおっしゃったので、そう言うものなのかと。それが出来たら外出禁止も解いていただけるという話でしたし。あと、『若いウチは挑戦が肝心だよ』とも言われましたので、もうこうするしかないのかと思ってしまったのです」
なんて言っってしまったことである。
……明らかに悪意が感じられるって?多少揚げ足はとったけど事実しか言ってないよ?
「いや、そんなつもりではなくて単なる冗談だったんだ。まさか、抜け出せるとも、行方をくらませるとも思えなかったんだ」
ヘルメスさんの言い訳。でも、今までの会話の流れでこの言い訳は叩かれると思うんだけど。
「ルーナに軽はずみな言動は控えるように言いましたが、貴方にも言わなければならないようですね。いつになったら父親としていって良いことと悪い事の区別がつくのですか?子どもも居る前で恥ずかしい。ルーナ、決してこのような大人になってはいけませんよ」
案の定叩かれている。こう言う話が苦手なのか?不用心な発言が過ぎる。
「いえ、あの、私がお父様の冗談に悪のりしたのがいけなかったのです。ですから……」
「分かりましたね」
「はい」
どこの悪鬼かと問いたくなるような迫力のレイアさん。
……言えない。これ以上は無理だ。正直内心ガクブルだ。
「……まぁ、ヘルメス様の施した魔法防御を破ること自体考えられないことなのですが」
「全くその通りだ。正直魔術の心得のない五歳の子どもに破れるものではないはずなのだがね」
「……」
あああああ、やっぱりそこか。
「どうやって外に出たのかしら、ルーナ」
「……普通に、外に出ましたよ?」
こうなったら自棄である。再現してみなさいって言われたらヘルメスさんの魔法防御を破ることなくすり抜ければ良いんだ、大丈夫、俺なら出来る。
「それなら、見せてくれるかな?」
というわけで再び屋敷の周りの塀まできた。
相変わらず分厚く密度の高い魔法の壁が聳えている。
「この辺りで頼むよ」
「はい、では……参ります」
レイアさんは寝室に残ったまま。大事をとってまだ寝ていた方がいいらしい。ヘルメスさんだけだから幾分か気が楽である。
気づかれないように、こっそりとヘルメスさんの魔力に自分の魔力の性質を合わせる。こういうとき、魔力を関知する能力と治癒魔術の利便性を感じる。
ぴったり一致させたところで、一枚目の壁の魔法の性質を自分の体内の魔力に付与。それを少しずつ全身から放出させて薄い膜状にして覆う。
……ばれてないよね?
ちらっと様子を窺うが、ただ見ているだけで俺が何をしているかまでは分かっていないようだ。たぶんレイアさんだったらこうはいかなかっただろうから、運が良かったと思う。
そっと手を伸ばして壁をつかむ。……よし、大丈夫だ。登れる登れる。
登りきったところで、第一の障害へと到達。対策はしてあるのでそのまま塀の上に立つ。魔法の壁(というか靄)自体に負荷はかかっていない。あっさりクリア。
続いて第二の障害、黄色っぽい壁だ。先ほどと同じ手段で魔力を馴染ませ無事壁を突破、慎重に塀を降りた。
……たぶん完璧。でもこれ、この後どうするのだろう?
と思っていたら、唖然とした顔のヘルメスさんが門のほうからやってきて回収された。
そして再び強制連行されてレイアさんの寝室である。
……これ、ヘルメスさんにわからないように成功させたのはもしかして失敗だったのだろうか?いやでも、だったらどうやってごまかせばいいのだろう?
ぐるぐる思考を回らしている間も、レイアさんとヘルメスさんが話している。
手持無沙汰なので、ベビーベッドに寝ている|弟≪イヴァン≫を観察する。
紺色の髪に深紅の瞳。生後一週間だけど割合可愛らしい顔をしている。ふくふくとした手や柔らかそうな髪などと相まってとてもかわいい赤ん坊といえる。
大人しくベッドに横たわって泣きもせずに起きているし、俺が見つめているのに気づくと手まで振ってくれた。クソ可愛い。
手を伸ばしたら手をつかんでくれて、嬉しくなって抱き上げた。首元を支えて、そっと抱く。この体だと少し辛いけれど、多少なら抱いていられそうだ。
暫くそうしてあやしていると、漸く話し合いは終わったらしい。
「さてルーナ……って、何をしているのかしら?」
「弟がかわいくて、つい。申し訳ありません」
レイアさんがギョッと目をむいていて、こっちのほうがビビる。でもよく考えたら仮にも怒られている最中であるのに、思いっきり楽しんでいた。反省。
「いいのだけれど……ずいぶん手馴れているようでしたね。経験があったのかしら?」
「いえ、以前書物で読みましたので」
そういうことにしておいて欲しい。
「……まあいいでしょう。それで、貴女のことですが」
やはり何もお咎め無しという訳にはいかなかったか。まぁ、当然のことなので覚悟はできている。
「はい。私自身、身の程をわきまえないことをしたと思っています。皆様方に多くのご迷惑をおかけしてしまったことの償いができるのでしたら、是非させていただきたいと存じます」
もうイヴァン君のことでやらかしているかもしれないが、一応言うべきことは言っておく。
「反省もしているようですし……実際、あの日は慌てていて家庭教師も呼びませんでしたし、ルーナのことを放置してしまったこちらにも責任はありましょう。そうですね……滞ってした分の授業を急いで進めること、ですかね。今日から一週間で先週の分も済ませてしまいなさい。いいですね」
レイアさんの判断が意外と軽い、だと?
「ご配慮感謝いたします。精一杯、努力させていただく所存です」
そのくらいであれば、全然余裕だ。ルーナさんのチートがあれば問題ない。
「頑張りなさい。それと、今後何かあったら誤解されないように言ってくれ。頼むよ」
「はい」
朗らかに、そう、幼女らしく。だいぶこれも板についてきたと思う。一礼してレイアさんの寝室を出て、漸く自室に帰ってきた。心配しているメルトを宥め、初めて落ち着いて休むことができたのだった。
よし、何がともあれミッションコンプリート!
遅れてしまい、さらには先週一度間違えてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
今後はこのようなことがないように気を付けます。