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14. 一転

 朝、恐らく六時過ぎだろう。自然と目が覚めたが、体を動かすことが出来なかった。

 言わば全身金縛り。指一本動かせない。

 昨夜は、猫化した上で一角天馬の腹上で、翼と尻尾を布団代わりに眠っていたはずなのだが、気がつけば人間の姿に戻っている。何の不思議もない、今魔法を使えないせいなんだけど。

「ルー!?大丈夫?」

俺が動こうとした気配で目を覚ましたらしい一角天馬が、悲鳴じみた声を上げる。昨晩のうちにしっかりと話し合い……俺のことは『ルーナ』と呼ぶように言ったところ、強硬に拒否していたが何とかお願いすると『主様』と呼べないのなら愛称で『ルー』と呼ぶと主張され、結局そこで妥協した。決して脅したわけではない、笑顔で『お願い』をしただけだ。

「……心配してくれるのは有り難いのですが、もう少し声を抑えていただけますか、メルト」

だから、代わりに一角天馬には名付けを求められた。契約するときにちゃんと名付けをするはずなのだが、待てなかったようで。『メルト』と名付けたら、とても喜んでくれた。

 名前の由来は英単語の『MELT』である。『溶ける』と言う意味だ。初めて会ったときの毛並みが夜の暗闇に紛れている様子が、文学的に表現するとたぶん、『闇夜に溶ける』みたくなるんじゃないか、と後々考えていて思ったことが理由である。要するに困りに困った上での現実逃避の結果だ。……安直に『ユニ』とか『ユペ』とかとどっちがマシだったんだろう。

 しかし如何せん声が大きかったので、苦言を呈しておいた。まぁ驚いたのだろう、俺の状態に。こんな状況だからこそ騒がれるのは御免なのだが。頭に響いて、脳みそがぐわんぐわん揺れる。

 今、相当熱が高い。それから頭痛と関節痛、筋肉痛が身体を蝕んでいる。要するに酷く具合が悪いと言えよう。或いは、死にそう、とも表現できる。あくまで気分的にはだけど。

「……ごめん」

するとメルトは、見るからにしょぼーん、と落ち込んでしまった。

 罪悪感が。十分大型の獣のはずなのに、この小動物感は何だろう。

「分かっていただければいいのです。次から気をつけていただければ。それから、心配してくれてありがとうございます。私は大丈夫ですわ。昨日の魔法行使の代償のようなものを払っているだけですから」

「代償?」

「ええ、明確にそう言うものがあるという訳ではないのですが、魔力を使いすぎたときにはよくある現象です。余りたくさん魔力を使うと身体に負荷がかかるため、全身の痛みや倦怠感、嘔吐や発熱、貧血や内臓出血を引き起こしてしまうのです。体質によっても異なりますが、通常より多く魔法を使うと誰でもこの位の弊害は出てしまいます」

なんてことはない、今までもちょくちょくあった魔力を使った後の後遺症である。症状が重いだけで、本質は変わらない。

 そもそも熱なんてものは身体に負荷がかかっているから上がるのだ。量が比較的少なめだったから、軽くすんだだけ。枯渇寸前まで使えば身体が破裂することもあるし、簡単に死に至ってしまう。魔力をたくさん使う、と言うことはそれだけ負担になる。

 俺はいつも加減していたから微熱程度で済んでいた、という訳。それが、昨日は加減する余裕も全く無かったのだから、ある程度重いものは覚悟していた。枯渇こそしなかったけれど、それは謎の魔力凝縮と魔力量の増加があったからだ。

 もし通常状態であったなら十回は枯渇していたはずだった。当然、かかる負荷に肉体が耐えきれずに死んだって、何も文句は言えないような無茶な魔法の使い方をしていた。

 それが無くても、昨日の活動量は(五歳の幼女)の活動限界を大きく上回っている。最中に死ぬか後で死ぬかの違いだった。

 寧ろ死ぬことはないと明言できる程度ですんでいるのだから御の字であろう。

 だが、メルトにしてみればそうも思えなかったようで。

「そうなの?それ、大丈夫なの?」

不安げに瞳が揺れ、声が震えている。騒ぎ出すのは我慢しているようだが、今にも泣き出しそうなほど困惑している。うーん、最悪死ぬこともあるって言わなくてもこれか。

「神獣であるメルトには馴染み無い感覚でしょうね。ですが、元々人間は魔力が少なく魔法を使うことが苦手な種族です。身体の構造が魔法を使うことに適していないんです」

一応説明は継続。俺の側にいたいと願うのなら、この辺のことはしっかり理解していて貰わないと困る。

「ね、ルー。大丈夫なの?ね、ね……!?」

益々不安そうになって、幼い子どものようにぐずりそうだ。心配されていること、大切に思われていることが分かって、嬉しいような、やっぱりこの状態が腑に落ちないような。複雑な気分と、涙に濡れた黒い毛並みに苦笑が込み上げてきた。

 俺、どうしてこうなっているのかな?この子をあやすのも俺の仕事なんだろうか。

 無理もない、とも思う。この子にとって俺は『主様』らしいし、失いたくないんだろう。

 だが生憎、自分の体調不良で一杯一杯なんだが。

「大丈夫ですよ。身体が馴染めば収まりますから。私の場合は年齢的にも肉体の適応が容易いはずです。暫く寝ていれば治りますから」

骨が軋む右腕を、気力で持ち上げメルトの首筋を撫でる。力が入らないから持ち上げては落とし手いるような状態だが、少しでもこの子の不安を取り除いてあげられるように。

 年少者には優しくしないと。――まぁ、この一角天馬、実は幼獣って言っても十歳で俺よりも年上なんだけど。精神年齢的には俺の方が年上だし、細かいところは気にしないってことで。

「本当?」

「ふふふ、私を信じてくださいな。大丈夫ですよ」

貴方を救った私がこの程度でどうにかなってしまうと思っているのかしら、と告げれば、渋々ながら納得してくれた。

「……母さんに言ってくる。あと、ルーの精霊も呼んでくる」

「私の精霊というわけでもないのですが……。お願いします」

森でとれたというやわらかな綿の上に俺を寝かせると、メルトは飛びだしていった。

 ああー、群れのね―ちゃん達との採取の予定が。悪いけど今ガチで動けない。後でちゃんと謝っておかないと。信用ってとっても大事だから。

 メルトには大丈夫と言ったが、結構大丈夫ではない。まぁ説明する手前代償という言葉を使ったが、どちらかと言えば反動とか副作用といった言葉を使った方が正確だ。それが、いつもは風邪の引き始めの微熱程度だが今回はインフルエンザ程度というか。一日二日じゃ回復しないと思う、さすがにこれは。どこにも行けずに一週間くらい経ってしまうと思う。

 あと、魔力がもの凄く増えている。いつもだと増加と言ってもせいぜい十パーセントの上乗せくらいなのに、魔力総量が今の時点で昨日の朝までの約二倍だ。血液に乗って魔力が全身を巡っているのが分かるが、明らかに今なお増加しているように思える。……下手したら三倍くらいにはなるかも知れない。

 つまり、熱も下がらないどころか……更に上がるだろう。肉体が必死になっているときに熱が上がるんだから、暫く続く。症状もどんどん重くなるだろうし、白目剥きたい気分だ。

 ……取り敢えずシャディー達を待つまでは起きてるけど、後は気絶してても良いだろうか。



 シャディー、ルネ、それからメルトの母さん(長ユニコーン)を連れてメルトが戻ってきたのは、約三十分後のことだった。

 ……その間意識を飛ばさなかったことを褒めて欲しい。症状に喉の腫れと痛みと咳が追加されたんだ、気分的にはインフルエンザで三十九度台出しているのと同じだから。死んだように寝てるはずだから。

「ぉ……ん、ん!おはよぅございま、ゴッホゲッホ、はぁ、す。ゲッホッゲホ、はぁ……、こんな、格好で、失礼して、すいません……はぁ、はぁ、はぁー、どうか、ご無礼を、お許し、はぁ、くださいゲッホ」

「……喋らなくて良いわ。大人しくしてなさい」

 喉がイガイガして声もがらがらで、まともな声なんて出ない。あー、三十分前はこんなこと無かったのに。

「すいませっ……グェエッホ」

「大丈夫か、なんて愚問だな。明らかに大丈夫じゃないようだ」

「ルーナ、具合が悪いときに失礼も何もありませんよ。今日はゆっくりお休みなさい。群れの娘達には私から伝えておきますから」

「何か欲しいものある?」

「貴女の荷物の中勝手に見るわよ。タオルとか入っているんでしょう?後は……何か食べられそう?」

心配そうな瞳が八つ、こちらを窺っているのを、薄目を開けて見る。

「お嬢様方、のこと、お願いします……。はぁ、はぁ。お水と、氷を……ください。ルネ様、ゲッホ、鞄の真ん中、に、タオルが……。今は、余り、食欲が……はぁ、ない、ので、はぁ、寝ます……はぁ」

「分かった、もう少し待っていろ」

ポンポン、と頭を撫でられる感触。

「タオルはこれね」

柔らかい布で頬を垂れる汗を拭われる。

「水ならこちらに。頭を起こしますよ」

ふわっと上体を起こされ、薄く開いた口から水を注がれる。

「氷?僕のでも大丈夫?」

額に乗せられた、冷たい塊。

「あ、りがとう、ございます……」

何とかお礼の言葉を言うことが出来たが、優しさに気が緩み、次の瞬間には意識を失ってしまっていた。



 それからはまさに地獄だった。


 気を失うように眠り、朧気に意識が浮上して、水分摂取などの必要最低限なことをしては泥に沈むように眠り――。それを何回繰り返したことか。

 徐々に回復していき、六日後――家を出てから七日が経った今日、漸く完全回復した訳である。……うん、長かった。マジで長かった。死ぬかと思った。

 朝自然に目が覚めて、何の痛みもなく自分の腹筋と背筋だけで起き上がれることに尊さを感じたこの瞬間のことは一生忘れまい。

 すぐに駆け寄ってきたメルトに、復調したことを伝えて身だしなみを整える。

 七日経ってしまったと言うことで……さすがに家に帰らないと、と言うか。元々そのつもりだったし、余り心配をかけすぎない方が良いと思うし。……もう十分心配をかけているだろう、とかは言わないで。理解はしているんだ、一応。

 一週間も心配をかけて、殆ど何も出来なかったというのは正直痛いが、早速帰ろうと思う。昨日までにシャディー達には話しておいたことだ。

 しかし、俺が帰ることに関して、解決していない問題がある。

「ルー……」

メルトだ。

 離れたくない、と主張して妥協してくれないのである。連れて帰れないって言ってるんだけど。

 薄情?

 メルトが可哀想?

 え、だって俺、この状況を上手く誤魔化す言い訳が思いつかないし。

 そもそも、どうやって生息地であるここに来たんだって話から始まるし。

 魔法を使えないのにどうやって仲良くなったのか、とか。

 何で主様って認識されているのか、とか。

 今まで黙っていたことを全部説明されるなんて御免だ。シャディーやルネの話もしなきゃいけなくなるだろうし、絶対に嫌だ。

 今契約しなかった原因の一つがこれだ。魔法を使えるって言うのは秘しておきたいからね。主に、俺の特異性を認識されないために。

「何回も言っていますが、貴方を連れて帰ることは出来ません。私にも立場があるのです」

「やぁー……」

この調子である。

 俺の方が悪者の気がしてくるから嫌になる。

「僕、ルーといたい。ルーが魔法を使わなくていいように、護りたい。ルーが苦しむのはやだぁ……」

あー……参ったな、これ。俺のポイントを的確に押してくるんだけれど。子どもにこんな顔をさせるのは本意じゃないんだ。

 たぶん甘えられることに弱い、と気付かれてしまったのだろう。甘えた声で鼻をすり寄せて懇願された。しかも下から覗き込むように見上げられている。……どこでそんな方法を覚えてきたんだ、おい。詳しく教えろ、ちょっと制裁を下してくる。天然だったとしたら……恐ろしい限りだ。だってメルトは男の子だし。

 話を戻すと、言ってくれてること自体は凄く嬉しいし、有り難いことだ。だが、現状俺に受け入れるだけの力がない。この場合、俺の不都合はメルトにも直接関わってくる。

 だが、このままだとメルトは退かないだろう。俺は勿論退けないし。

「分かりました。ではこうしましょう」

「う?」

言うがいなや、すぐさま式を展開。式自体は本来透明なものだが、目に見えるように実体化の式を別に用意したので物体として空中に現れた。発動条件も管理してある。

 突然出てきた恐らく見たことのないものに、メルトは首を傾げている。

「これは、『式』と言うものです。私について来るというのならば、いくつかの式を使えるようでなければ困ります。そもそも私を護るというのなら、この程度のことは朝飯前でないと護ろうとも護れません」

今発現しているのは、姿を消す式。同じ方法で続けざまにいくつかの式を発現させていく。小型化の式、大型化の式、姿を変える式、高速飛行の式――。基本的に俺が用いる式を見せつける。あと、対飛竜に用いたものを含む攻撃系オリジナル魔法の式を数個。

「これを、今日の昼までに覚えることが出来たら連れて行きましょう」

「本当!?」

「ええ、嘘はつきませんわ」

途端に目を輝かせ、式をじっくり見ているメルト。希望を持ったようで結構。突き落とされるって気付いていない純真さが眩しい。

 簡単に言っているが、神獣であっても人間と魔法の顕現方法は変わらないため、相当難しいはず―――というか不可能なはずである。如何に能力的に高くても、種族の壁はそう易々とは越えられまい。俺が普通ではないだけであって、精霊の能力を肉体のあるものが使うことは負担が大きすぎる。

 ま、これでどうにか諦めてくれるだろう。



 ……そう思っていた俺が甘かった。


 昼になるよりも前に、メルトは全ての式を完成させた。うん、もう、完璧に。

 その頃にはシャディーやルネも側にいたのだが、三人で苦笑を浮かべて、楽しそうに期待に満ちた目で式を発動させていくメルトを眺めていた。

「私の魔力の影響があることを、すっかり失念していました……」

俺の敗因はこの言葉につきる。

 事前情報として俺の魔力(=精霊の能力と同等のことをしえる普通でないもの)に上書きされた、と言うことを知らされていたのだから少し考えれば予想できたはずなのだ。

「ルーナの時を思い出すわね」

「ただでさえ神獣であるのにこれ以上の戦闘力強化など……。ルーナも業が深いな」

「どうかそれ以上は言わないでくださいませ」

隣でしみじみと呟く二人も、きっと俺の時、似たような気分だったんだと思う。

「漸くお二人の笑みの理由が推察できました」

「あの時はもっと驚いたがな」

「それに恐ろしかったわ」

「ごもっともです」

ひそひそと会話を交わしていると、全ての式を再現し終えたメルトがこちらにやってくる。

「ね、ルー。これで僕もついて行けるんだよね?」

尻尾がパタパタと機嫌良さそうに揺れていて、耳も少しだけぴくぴくと動いていて……お前は犬か。

 正直言えに連れて帰るのはリスクが高すぎると思うけど、仕方がない。

 男に二言はない!…………つまらない見栄だけど。

「ええ、嘘はいけませんから。一緒に行きましょう、メルト。但し、約束があります。守れないのであれば、すぐにこちらに帰ってきていただきます。良いですね?」

「ん!」

「まず、私のお部屋からは出ないこと。それから、日中は姿を隠す魔法を常時展開しておくこと。お部屋の中では小型化の魔法を使っていること。これらは絶対に守ってください。また、不測の事態が起こった場合、私の言うことを絶対に聞いてください。いいですね?」

「ん!」

本当はもっとたくさん条件を付けたかったが余り言っても可哀想かと思い、この程度にしておいた。

 が、シャディーやルネはそうでもなかったらしい。

「良い傀儡(操り人形)を手に入れたみたいね」

「それだけ厳しい条件でも良いとは……」

……外野のツッコミは無視する方向で行こう。うん。

「シャディー様、ルネ様。教えていただきたい式があるのですが」

「何だ?」

「メルトの魔力は非常に高いです。もしかしたら、お父様やお母様に気付かれてしまうかも知れません。なので、魔力の封じる式を教えていただきたいのです。」

「なるほどね。良いわ、教えてあげる」

どうやら分かってもらえたようで、教えてもらうことが出来た。

 そこで手近な石を一つ用意する。

 水を生み出して縦二センチ横三センチ幅五ミリくらいの大きさになるように削り、端の方に穴を開ける。教えて貰った式を細かく削り込むと石自体が式と一体化し、一種のアイテム化する。発動条件の調整で、メルトの魔力を直接供給されたときに変更してやれば準備完了。持ってきておいたリボンにも魔力供給用の回路型式を付与して、穴に通せば完成だ。半永久的に放出される魔力を制御するアイテム(即席)が作れてしまった。

 たぶん細かい不具合はたくさんあると思うが、メルト本人もかなり魔力制御が上手いので押し隠せると思う。

 実際先程の式を扱えるのだし、屋敷に連れ帰ってもなんとかなるという見込みがついた。小型化してぬいぐるみにでもなってくれていれば、部屋に入れることも可能だし。

 突貫工事だけどなんとかなるだろう。



 「それではルーナ。道中お気を付けて」

「はい、何から何までありがとうございました。どうか皆様にもよろしくお伝えください」

昼食をとった後、暫くして出発することにした。

 ルネは元々この山の最深部に住んでいるし、シャディーも高位精霊が二体も同じ場所にいると人間にばれやすくなると言うことで、二人とももう帰ってしまった。

 と言うことで、メルトと俺、二人での出発だ。

 様々な木の実や薬草も、俺が採取に向かえなかった分を群れのユニコーンが採っていてくれたらしく、お土産に、と持たせてくれた。多めに貯蔵しておいたという、今の季節の森ではとれないものも多分に持たせてくれた。内心ホクホクである。

 俺からは飛竜肉を全体の半分ほどプレゼント。半分と行っても二十数頭の群れで食べるには十分な量がある。あれも多く持っていても困るからさ。

 因みに俺の方は、採集箱に入れることで保存が可能になった。採集箱は状態保存の魔法が使われているから重宝する。ルネやシャディーとユニコーンたちの協力で、高位魔法生物素材の『保存液』なるものを作ってくれたので内蔵等別素材共々より良い状態で保存が可能になった訳だ。いやぁ、有り難い。

「貴方も。迷惑をかけないで、役に立つように日々精進するのですよ」

「はい、母さん。行ってきます」

「行ってらっしゃい。みんな、二人が帰ってくるのを楽しみにしていますからね」

「ありがとうございます。再びお会いできる日を楽しみにしています。どうか、お身体に気をつけて」

「またね」

二羽の鴉に姿を変え、二人揃って空へ飛びだした。

 目指すは屋敷。

 もっといろいろな町を回りたかったが、ここは我慢だ。

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