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美少女戦士アリス

 鉄人28号の要素と美少女戦士系の要素を混ぜてみました。

 

 「僕は男だ!」

 「将太しょうた君現実を見て!君は、目の前のこの状況を無視出来るの?出来ないよね」

 目の前の小さな女の子ミミィは、僕の返事も待たずそう言い切ると、後ずさる僕を追い詰める様にじりじりと近付いてくる。

 「きゃぁ~たすけて!」

 「なにするの!へんたい!」

 僕の住んでいる町は、世界征服を企む悪の秘密組織ミクミク団が差し向けた、怪人の襲撃で大変な事なのかはすごく疑問だけど、大変な事に一応なっていた。僕の眼前でも、制服姿の女の子達が怪人に追い回され逃げ惑っている。

 「ほらっ!将太君、女の子達がピンチだよ」

 女の子を追う怪人の姿は、人間の体――それもメタボ体形のおっさんの体に頭がなぜかにわとり。服装は……ブリーフ一枚、どこからどう見ても変態にしか見えない。怪人は、女の子を追い回すだけで特別危害を加えたりするつもりはないらしく、ただ悲鳴を聞いて喜んでいるだけだ。

 正直、警察で充分じゃないか。というか、ミクミク団の狙いが僕にはさっぱり分からない。彼らの言う所の世界征服のスケールの小ささには、毎回ため息が洩れるばかりだ。

 「将太君!いやがろうが抵抗しようが、全部無駄なんだからね」

 キャピっといった感じで僕に指さし片目を閉じるミミィの方が、僕にとってはミクミク団以上の脅威だ。

 「じゃあ!いくよ将太君!美少女戦士アリス,メタモルフォーゼ!」

 「や、やめろ~!」

 ミミィから放射された光が、僕の全身を絶叫ごと飲み込んでいく。学生服が体から強制的にパージされて、代わりに赤いギンガムチェックのミニのスカート、中にはレギンス。上はパツっとした感じのスカートに合わせた可愛い感じに揃えられて、どこからどう見ても女の子。

 「アリス!さぁ、怪人をやっつけるのよ!」

 びしっと!怪人に向かって指さすミミィに、僕はいやいやと首を振って最後の抵抗を示す。

 「え~い、往生際のわるい!」

 自称正義の使者ことミミィは、その肩書きに見合わない口調でそう言うと……

 「ベトリーブ!」

 右手を僕に突き出し、そう叫んだ。

 「わわわわっ」

 僕の体が、手が、足が勝手に動き出す。地を蹴り飛び出した瞬間、バキッという音と共にアスファルトが足の形に陥没する。常識もなにもへったくれもない。50メートル先ぐらいにいる怪人へと助走もなしに、僕の体は飛んでいくと『死にくされ!このクソがぁ!』僕の口を借りてミミィは絶叫しながら怪人の腹へと蹴りを炸裂させる。

 「ぬほほほっ、そんな攻撃効かぬわ」

 怪人の腹の弾力に弾かれて僕の体は宙に投げ出されたと同時に、空中で一回転して地面に着地する。正直言ってかんべんしてほしい。目が回り吐き気が込み上げるのを僕は我慢しなくちゃいけなかった。

 「戦士アリス!いつまでも、そんな通り一辺倒な攻撃が、我々ミクミク団に通用すると思っているのか!」

 「思ってるわよ!」

 ミミィは僕の口を借りてそう叫ぶと、今度は腹以外の部位を狙って猛列な攻撃を開始し始める。

 「はっ腹を狙え……」

 「一辺倒な攻撃は通用しないんじゃないんか、われ!」

 『ゆるして』『ゴメンナサイ』『ちょっとは盛り上げようよ』などと叫びながら逃げ惑う怪人に、自称正義の使者ミミィは、罵詈雑言を怪人にぶつけながらどんどんと追い詰めていく。

 「中村さ~ん、おっお助けを~!」

 追い詰められた怪人は、空へ顔を向けて絶叫する。その声に応えるように、空中に背広姿の、男が姿を現した。

 「まったく……あの、アホ提督は……いったい何を考えているんだ」

 眉間を指でつまみ愚痴りながら、中村さんはため息を吐く。

 中村 じんさん。東大法学部出身のすごいエリートらしく、実際パリッとした格好いいスーツを着てメガネを掛けた姿にファンの女性も多いらしい。なぜ、こんなすごい人がミクミク団なんかにいるのか、はなはだ疑問ではあるけど、このひとが現れてからが戦いの本番になるという約束的な流れが、ここ最近の怪人との戦闘で出来てしまっていた。

 「ストレングスニング!」

 中村さんは、怪人に向けて右手を突き出しそう叫ぶ。右手から謎の光が放射され怪人に命中する。光が命中した途端、怪人が突然ぶるぶると体を震え出し始めた。

 「きた、来た、キタこれ~!」

 目が裏返り、口から泡を吹きながら痙攣けいれんする怪人に、僕の心は逃げ出したい一心に駆られてしまう。

 『将太君!ここからが、本番だよ!』僕の心にミミィが直接語りかけてくる。僕は『もういやだ!』『やめて!』とミミィに返したいんだけど、返し方が分からないから、ミミィの一方的な言い分をただ聞かされるだけになってしまう。

 「ふ~……待たせたな、戦士アリス。ここからが……」

 そう言うと怪人は、右拳を大きく振りかぶり……

 「本番だ!」

 強烈な勢いと威力で突き出された怪人の右ストレートが僕の顔面を襲う。僕の体は、両手で顔面を守るようにクロスさせる。次の瞬間――すごい衝撃が僕の体を襲い、周辺の建物や公共物を破損させながら飛ばされてしまう。

 「どうだ、戦士アリス!」

 「そんなパンチ、全然効かないわよ!」

 いやいや、すごく効いてるよ。ものすごく痛いよ。ミミィは遠隔で僕の体を操ってるだけなんだから痛みを感じないのは当たり前の話だ。この話を以前ミミィにしたら『痛覚まで同調しちゃったらわたしが痛い思いしちゃうじゃない。将太君は男の子なのに、女の子を痛がらせて平気なの?』なんて事を真顔で返されてしまった。

 「本気でいくぞ!」

 「のぞむ所よ!」

 僕は望んでない。僕の希望も聞いて?そんな、僕の意思に反して僕の体は怪人とすさまじい格闘戦を繰り広げ始める。怪人が飛ばされ、僕が飛ばされるたびに、地面や建物、町が破壊されていく。正直、僕がとういうより、ミミィが出しゃばらなければ、町は破壊されずに済んだのではと思わずにいられない。なにせ、怪人は女の子を追いかけていただけなのだ。町の破壊に関しては、ミミィに責任があるとしか思えなかった。

 やがて、決着の時が近付く。僕の体が繰り出した渾身の回し蹴りが怪人の頭部にヒットし、怪人がたまらず膝をついたのだ。

 「今だ!」

 僕の口を借りてミミィはそう叫ぶと、大きく口を開き上体を大きく反らした。

 「地獄のバーストストリーム!」

 どこから声を出したのかなど、疑問がたくさん残るんだけど、ミミィは僕の口を借りてそう叫びながら、口から高出力の破壊光線を怪人に向けて発射した。

 「あぁ……エクスタシィ……」

 光線の光に包まれた怪人は、恍惚とした表情で気持ちの悪いセリフを吐きながら周りの建造物ごと吹き飛び消滅してしまった。

 「ちっ……次こそは勝たせてもらいますよ。戦士アリス……」

 そう言い残すと、中村さんの体は空中へとかき消えてしまう。

 「ふっ……完全勝利よ!」 

 そう言って、ブイサインと共に声高に勝利宣言をする僕の体の前には、廃墟と化した町が広がっているのだった。 

 今書いてるところ、全部公開します。コンクール出品してるので、途中更新止めはないです。

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