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BRIEFING:28 魔獣石

「ここは・・・・」


僕は確か、ここでメイドを・・・・。


「そうだ!あの野蛮人!!」


この僕に対して無礼を働いた上、野蛮で卑怯な手段で僕を昏倒させたにっくき転入生。


「くう、この恨み・・・・!」


僕の下僕も目を覚まして、バツが悪そうにしている。


「キミ、どうしたんだい?」


黒いローブを見に纏った者が声をかける。

しようとしていたことは理解しているのもあって、バツが悪く、無視をして去ろうとする。


「ふふふ、キミは、無礼な目に遭ったんだね」


その言葉に、足が止まる。


「ねえ、どうだろうか、力を君にあげるといったら」

「え・・・?」

「君の、心を僕は大事にしてあげるよ」


後々、僕は思い出すことになる。

悪感情ほど、甘い水はないのだと。


――――――――――――――――――――――――――――

「おう、坊主!」

「よっ!とっつぁんまた来たぜ」


あの事件以来、足繁く俺はダイガン親方の工房に通っていた。


「ハハハハ!全く坊主みたいな魔法使いがいるたぁ驚きだ」

「そんなに変なのか?とっつぁん」

「おうよ、皆魔法を使えるようになると人間が変わっちまう、思い上がって鼻ぁ高くなるんだ」

「なるほどなぁ・・・」


武器の力を自分の力と過信する。

元の世界でもままあることだ。

増長と腐敗、人間ってヤツは・・・。


「おう、で、だ、坊主。お前の依頼の品だがこんなもんでどうだい」


ダイガン親方が取り出して、テーブルの上に置く。


「え?出来たの?!こんな短い間で!?」

「ハハハハハ!俺っちを誰だと思ってやがる。世界イチの職人だぜ。ドワーフのヤツにも負けやしねえ」


手に取り眺めるそれは、銃。


俺があの後、ダイガン親方をへと頼んだ(言いくるめた)のは武器の製造だった。

クロムが強化すれば、ガスガンや電動ガンでも殺傷力を上げて戦えるかもしれない。

しかし、残弾にだって限りがあるし、バッテリーもガスも有限な上補給できない。

それに、魔法での強化だったら、魔法を無効化されてしまうかもしれない。クロムがそうだったし。

だったらいっそ、こっちで銃を作ってしまえばいい。

ということで、Kar98kと説明図を勝手に拝借して分解、色々"思いついた"仕組みを突っ込んで完成させた。

一応元にKar98kは直せた、はず。


「このテストは後々、だな」

「あ、いらっしゃいませ!クウガさん!」


リエルが笑顔で入ってくる。

入り浸ってるうちにすっかり懐かれてしまった。


「はいどうぞ、今日いい茶葉があったんですよ」

「ありがとう、リエル」

「ぬふふ・・・」


にやにやとこっちを見てくる。


「なんスか」

「い~やぁ?」

「なんか気にかかるな・・・・」


そういってその銃を取り、ボルトを後退させる。


「スゲっ・・・・スッゴイスムーズだ」

「ハハハハハ、色んな奴にも手伝わせたからのう、滅茶苦茶手間はかかっとるが、手抜きはなしだ」

「おぉおおお・・・・弾は?」

「一応あるが、早々には使えないの」

「あ、やっぱり?」

「うむ、出来はするがな、やっぱり特注なのもあって5つが限界だったわい」

「仕方ないっすね」


箱を手にする。

じゃら、となると共にちょっとした重さを感じる。


「にしても、今日も騒がしいの」

「なんか喧嘩っすかね」


ズッ、と紅茶を飲みながら答える。

ここに通うようになって、わかったことがある。

いわゆる下級貴族とかの"やんちゃ"な奴らがここでよく喧嘩するのだ。

殺しにならない限り、先生も介入をしないらしい、なんでだ。


「ちょっと見てきますよ」

「そうか、いってこい」

「リエル、ご馳走様」

「は、はい、お粗末様でした」


慌ててお辞儀してくる。

うわぁ、ちょっとクル。

可愛い女の子がメイド服でお辞儀するのって、結構、イイ・・・・。


「こほん、さてさて」


江戸っ子の俺は火事も喧嘩も華なのだ。


――――――――――――――――――――――


ついて見てみると、此間の女騎士がなんかもめていた。

しかも対面のって、此間ぶちのめした貴族だ。

それに、女騎士の背中に隠れるようにメイドがいる。

こうしてみると女騎士の人、ちっちゃいな、童顔だし、160ないんじゃないか?

・・・大人しく見ておこう。


「だから!貴様、以前ここでこのメイドに手を出しただろう!」

「なんですか・・・・全く、知りませんねェ~・・・それともォ、証拠があっていってるんですか?リヴェルタニアの聖騎士、ヴィンザレフの華とまで呼ばれるラフェール・ウィンザレフ近衛騎士殿!」

「くッ・・・・ならば、決闘しろッ!我が槍にかけて貴公を倒す!貴様が勝てば認めてやろう、貴様の無罪をッ!」

「足りませんね、僕に受ける理由がない。いくらリヴェルタニアの聖騎士殿で先輩といっても公然の面前で堂々と侮蔑されたんですよ・・・そうですね、どうでしょう、一日、お付き合いいただくのは」


軽く舌なめずりをした。

うっわ、解りやすい・・・・。


「・・・・いいだろう!」

「ハハハ、楽しくなってきたなあ」


貴族はスッと杖を抜き、彼女はチャキリと槍を構える。


「『【水刃(ウォッジ)】』!」

「ハッ!!」

「『【水刃(ウォッジ)】』!『【水刃(ウォッジ)】』!『【水刃(ウォッジ)】』!」

「無駄だ、そんな魔法では我が槍を塞ぐ等」


水刃(ウォッジ)】という魔法をその槍で切り弾く。

弾かれた水が当たりにぶちまけられる。

おかしい。

それしか知らない訳じゃないだろうに、同じ魔法だけ撃ってる。


「くふふ・・・いいんですかァ?先輩」

「何・・・?」

「いえいえ、先輩、決闘ですし、手加減はしませんけど、御召し物が酷い事になっておりますよ」

「なっ―――――」


ニタニタと笑う貴族と引き換えに頬を赤くして片腕で身を隠す女騎士。


「下種が・・・・!」

「勝負ですから、使えるものを使いますよねェ?」

「恥を知れ!それでも貴族か!それでも国に使える魔法使いかッ!」

「決闘に勝つ為ですからァ」

「も、もうお止め下さい!私の為にウィンザレフ様がこのような」

「止めるものか!君を私は」


衆目の前で【水刃(ウォッジ)】を滅茶苦茶に撃ち続け、それを弾く彼女はどんどん水浸しになり、まともに立てないレベルまで来た。


「『【水縛(ウォロック)】』詰み、ですかね」


両手を水で縛られ、座るしかなくなった彼女に向け、首に魔法で刃を出した杖を貴族が向ける。

羞恥と悔しさで涙を浮かべながら睨む。

これは、ちょっと、酷いよな。


「証拠はともかく、証人なら、二人いるぜ?」

「君は――――」


上着を女騎士の上に被せ、前に立つ。


「これは決闘だよ?」

「俺さあ、野蛮人だから決闘とか野蛮なシステム知らねーんだよ」


ジャキッと銃を向け、周りが騒めく。

確かに決闘で横槍入れてるんだ、騒めきもするよなぁ。

だけど、生憎、俺の国では決闘ってシステムが違法だからなあ。


「よ、余計なことをするな!私は騎士だ!侮蔑をするなら」

「うるせえ、女性が辱めにあって誰も助けないのが正しいというのなら、そんなの俺はクソ喰らえだ」

「・・・・・・・」

「自分の正義感に酔うのはいいけど、君は何を賭けるんだい」

「は?」

「決闘、キミも担保ってことだろう?いいよ、僕は懐が大きいからね」

「ハッ、いいぜ、アンタの奴隷になってやるよ」

「成立だ・・・・!『【水鞭(マリーヴ)】』!」


クロム!!

《わかったのネ》


振り上げるようにして杖を向け水の鞭を振ってくる。

横に飛び退いて避け、FN5(Five)-7(seveN)を発砲する。

クロムによって強化された砲音に似た空気を割く音を鳴らしBB弾が飛んでいく。

が―――――――ばちゅん!と水の壁に当たり止まる。

嫌な予感はしていた。

元々、マケルドの時も風の壁を張っていた。

そして、水は――もっとも相性の悪い"壁"だ。

実銃でだって簡単に止まるんだ、BB弾なんてあっという間だ。


「チッ」


「あははは!」

「だったらぁ!」


笑うその顔を横薙ぎに蹴飛ばす。

バチャン!となるが、そのまま振り抜く。

威力を削がれた蹴りを素直に防ぎ杖を向ける。


「解りやすい!」


向けられた杖の手を捻る様に上げ、FN5(Five)-7(seveN)を向ける。

撃った次の瞬間その弾が弾かれた。


「な・・・?!」

「愚かだねえ!!」


殴られて後ろに倒れ込んだ。

なんだ、理解が出来ない。

間違いなく俺は今当てたろ、しかも強化した弾を。


「あいつの言う通りだ、これさえあれば僕は無敵だ!」


何か、黒い鉱石がはめ込まれた指輪を眺めている。


《クウガ、アレ、ダメ》

クロムが妙に冷たい語調で通じてくる。

なんだ、どうしたんだ、クロム。

《アレ、魔獣石》

魔獣石?なんだそれ

《古い魔法、私達の龍核(ドラグコア)に似たような物、でも不完全、命を吸い上げるし、このままじゃあの人》


「うぐっ・・・あ、ああああああ!!」

《人じゃなくなるヨ》


マジかよ。


メキメキベキベキと、耳当たりの宜しくない音を立て、身体が隆起し、体色も緑色になり、何処を見ているのかわからない姿になる。

フラグを立てた側から全く。

見物人も騒ぎ逃げ出した。


魔境獣(ビースト)になっちゃったネ、どうするクウガ、見た感じ壊れないくらいの強化だと倒せないカモ》

「チッ、厄介だな・・・・!!」

「オイ、貴様、私が引き受ける、お前は教師を呼んで来い」

「え?」


見れば、俺の上着を服の上から来た女騎士が槍を構えている。


「魔物退治は本職だ、人の矜持を捨てた者にかける情けはない!」

「・・・・」

「行けッ!」

「だが・・・!」


確かに本職に任せた方がいいが、さっきの槍捌きを見る限り、確かに倒せるかもしれないが。

どうにも不安だ胸騒ぎがする。

教師達だってどこにいるかわからない、どうしたら。


「あ・・・・・・・・分かった!何とかしてくる!」


そうして駆け出す。行先は――――――ダイガン親方の作業小屋だ。

そう、何とかする。

"チャンス"だ、威力を試す。

クロム―――――――――。

《分かってるのネ》


「親方ァ!!」

「なんだ坊主」

「あ、クウガさん、さっきの音ってやっぱり」

「銃と弾くれ!あとリエル、適当な先生を連れてきてくれ!!」


切羽詰まった声にこくりと頷き駆け出すリエル。


「坊主、まだ試作品だ、テストもしてねぇ。ぶっ壊れるかもしれねえぞ」

「ぶっつけ本番だ、やるしかないでしょ、行きます」


弾の箱と銃を受け取り、駆け出す。


「戻ったぞ!」

「そうか・・・おい、教師はどうした!」

「今呼びに行ってもらってる!アンタが心配でな!」

「ふざけるな!お前では足手纏いだろう!さっきも通じなかっただろう!」


奇麗な顔や腕から血を流しながらそう吠える。

全く、アンタだってそうじゃないか、刃が通らないんだろう?その化物。


「さて、どうかな、俺も分からない!」

「はぁッ!?こんな時にふざけてる場合か!!」


弾の箱を開けるとある小さいサイズの――――――マギアエッジが5つある。

それを掴み、口に咥える。


銃を掴み、ボルトハンドルを起こしてロックを解き、そのままボルトを引く。

咥えたマギアエッジを手でつかみ、薬室に装填してボルトを前方に押し、ボルトハンドルを倒して薬室を閉鎖。

片膝立ちで座り、ストックは肩に当て、頬もストックに当てて照準を覗く。


クロム、何処を狙えばいい。

《んー・・・どこだろ・・・あ、おでこ!魔獣石があるネ!》


「オーケー」


目を閉じて4つ数える、息を吸う、4つ数える、息を吐く。

目を開き、息を止める。

大丈夫だ、この距離ならゼロインも関係ない。


「避けろ、騎士」

「はっ?」


引き金を絞ると、銃口から閃光が奔ると共に轟音が剣戟の音のような鉄の打合いに似た音を撃ち破り、蹂躙した。


――――――――――――――――

Next Bullets for 『BRIEFING:29』

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