宿屋まんまる亭②
バラバラに砕け散った机の残骸が消滅した。
(机ってこのことかよ・・・なんてどうでもいい能力だ。あの女神め。)
黒田が立ち上がり、いつもの癖で机を叩きつける動作を取ろうとしたら、何もない空間から机が出現したのだ。そして黒田は机に両手を叩きつけ、机はバラバラに砕け散った。
(ピンポーン。これがあなたの能力「机」です。あなた良くこの動作やってたもんね。お似合いでしょ♥
壊れた机は自動的に消滅するので、いくらでも叩いて壊してね♥
なお、このコメントは、能力が発動したら自動的に再生されるので返信は受け付けませんw)
イラっとした。
(ふざけやがって、馬鹿にしてんのか?いや、まあ確かに人を叱る時の俺の癖なんだけどさ・・・)
「おいアンタ。どういうつもりだ?突然大声だして。しかも今聞き捨てならない台詞を言ったな。」
店のマスター風の男がカウンターから出てきて、男の前に立った。
「言ったさ。5点だ。5点。この宿屋の点数は、100点満点で5点。あらゆる点で宿屋の価値なし。早晩に潰れるな。」
「こ、この野郎、ふざけやがって。さんかく亭の回しもんか?」
「さんかく亭?なんのことかわからんが。わからないのなら、理由を説明してやろう。」
黒田は立ち上がり話し始める、堂々とした態度だ。
「まず第一に、サービスが最悪だ。おい!そこのピンク!!
セーラとかいったな・・・ピンクの髪したお前だ!こっちに来い!」
「は、はい!わ、私ですか?」
セーラは突然に声をかけられ、驚きながらオドオドした態度でやって来た。
「そうだ。お前だ、お前。ピンク、お前は俺が店に入ってきて泊まれるか尋ねたとき何て答えた?」
「ピ、ピンクって何ですか?私にはセー・・「何て答えた!!!!」」
セーラの言葉は、黒田の怒声で遮られる。
「お前は、空いてます、空いてます と言ったんだ。覚えてるな?」
「は、はい。」
「何だそりゃ!!!!??」
バァァン!!!!!
轟音とともに、机がバラバラになった。
「ヒッ。」
セーラは怯えている。
「客には敬語とお辞儀が基本だろうが!?ましては客商売だぞ?お前、サービス舐めてんのか!?」
「ヒィィィ」
「そして、俺が今夜は泊まりたいことと、夕食が食べたいことを伝えたら。お前は夕食の注文が入ったことをカウンターに伝えた、そうだな?」
「は、はい」
セーラは涙目になりながら、コクコクと頷いた。
「なぜ料金がいくらかかるかを客に伝えない?宿泊代は?宿代は?別個なのか?まとめてなのか、なぜ伝えない?」
「え?」
「なぜ夕食のメニューがなんであるかを伝えない?客の要望は聞かんのか?」
「え、えっと・・」
「それから、もう一人!水色!お前だ!」
「え?わ、私・・?」
セーラの姉ニーナは、突然の事態に呆然としながら声を掛けられて戸惑う。
「そうだ。お前だ。・・・お前はなんでいる?」
「な、なんで?って言われても。」
「お前は店になんのためにいる?俺が来店してから20分間、お前はカウンターの中で突っ立ってるだけだった。」
「そ、それは・・・」
「それはじゃない!!」
バァァン!!!!!
轟音とともに、机がバラバラになった。
「ヒッ。」
ニーナも怯えている。
「お前がやったことは、カウンターに戻ったピンクと会話しながら、客である俺のことをチラチラ見てただけだ。客をチラ見すんな!不愉快だ!!!」
「は、はい!すいません!!」
ニーナは涙目になりながら、頭を下げた。
黒田は店主のほう向き直る。先程まで怒っていた店主は怯んでいる。
「わかるな?オヤジ。店員の接客作業不行き届き、これは店主である貴様に責任が帰結する。」
「う、ううう。」
「それから、オヤジ!お前の作った料理!この肉料理だ!!」
「美味かっただろうが!それは俺の自慢の・「アホか!!!!」」
バァァン!!!!!
轟音とともに、机がバラバラになった。
「ここは、港町だぞ?肉料理出してどうすんだよ!?それ以前にメニューは1品しかないのか?お前の自慢の??お前の嗜好なんざ聞いてねえよ。客が食うんだ!!!」
「う、うう。」
オヤジも目が潤みつつある。
「それから、またお前だ。・・・ピンク!」
「は、はい。」
「お前、俺にデザート持ってきたな。」
「そ、そうです。私のサービスです。」
セーラは褒められると思ってか、幾分元気を取り戻して答えた。
「お前、客によってサービス変えるのか?」
「え、え?」
「お前は、俺が薄汚いオークみたいな姿だったとしても、あのデザートを持ってきたのか?」
「そ、それは・・・」
「アホか!!客の外見によってサービスを変えるな!!!!!!!!」
バァァン!!!!!
轟音とともに、机がバラバラになった。
「ヒィィィ。」
セーラは完全に怯えている。
「以上の点から、この店はサービスはクソ。料金システムもクソ。外装もクソ。料理もクソ。早晩に潰れると結論づけた。5点だ!何か反論は!?」
叱られた3人は涙目になりながら俯いていた。




