4-3
またもや台風が来てます。
前回が酷かったので怖いなぁ。
60万PVに辿り着きました。
読んで頂き感謝感謝です。
ムシャムシャムシャムシャ。
・・・・・・・あぁ、御免なさい。
食事中の森山実留です。
コボルド達は虫を食べるようですが
それで腹一杯にするほどは食べないそうです。
それ以前に虫をそんなに狩らないようです。
大量に用意したけど皆、肉の方が良さげでした。
狩るのは良いけど虫じゃねぇという白い目・・・・・クスン。
初めての狩りは虫を大量GETしたら
間違ってはいないんだけどそうじゃないと注意された。
あれ~、美味しいのになぁ・・・・ムシャムシャ。
どうやら肉に比べて保存がしにくいので狩りの合間に取って食べたり
帰りがけにお土産として取る位だそうで
ここまで大量にあえて取ってくる奴は居ないとの事。
むむ・・・・残念だ・・・・ムシャムシャ。
自分で始末するからと全員に配った後は
引き取ってアイテムボックスに入れておいた。
食事後は限界まで魔力を消費してから寝た。
少しでも魔力量が増えればとね。
日々の積み重ねが大事だ。
狩り2日目は早目に起きる。
外は日が昇るかどうかで薄っすらと明るくなってきた。
今日からは自由行動だ。
ぶっちゃけ住処に居ても良いし
寝てるだけ寝てても良いし
もちろん自分が狩った分が残っていなければ
食べる物が無いのは変わらない。
余程の事が無い限りは狩りに行くのが普通だ。
真面目な者は明るくなる前に出て
暗くなる前に戻ってくる。
だが俺は昨日の虫があるので少し遅れて出る事にする。
狩りに出る前に体を動かす事にした。
体は日々成長しているがそれに対しての認識が甘い気がする。
それにこれはゴーレム時代でもやっていた事だ。
まず入念に柔軟を行い関節を解していく。
次に伸ばせる筋肉を意識しながら伸ばす。
細かい筋肉も指先足先の関節も全てだ。
これらを時間を掛けて急がずに確実に行う。
準備が整ったら体を動かす。
拳を突出し足を運ぶ。
武術なんて知識も無いので今迄戦った事がある奴らを
想像し動きを模倣し対策する。
これも焦らずにじっくりと行う。
あくまでも動きを確認するのが目的だからな。
一通り体を動かした後は教官に教わった
近くの川で汗を流した。
余り大きくはない小川だが水は豊富にあり
川魚等も少しは居る。
住処の近くだけはコボルド達のテリトリーらしく安全だ。
サッパリした後にムシャムシャする。
アリスに差し出してみたが生虫は食べてくれない。
やはり虫は駄目なのか・・・・・。
そこで俺はピンッと来た。
「ふふふ・・・・アリス君!
君は虫のポテンシャルを見縊っている!
今から俺がそれを見せようじゃないかっ!!」
俺はアイテムボックスから調味料を取り出し塩胡椒を虫に振り掛ける。
それを魔法でじっくりと焼いていく。
虫はちょっぴり焦げやすいので霧生成である程度の湿度を保ち
パサパサになる事を防ぐ。
そして出来上がったのは"虫の塩胡椒焼き"だ
うん、塩胡椒と魔法で焼いただけだがな。
端の方で少し味見をする。
よし!いける!
「ふははは!食べて驚くが良い!」
アリスは緊張の面持ちで渡された虫を齧る。
やはり生じゃなければ良いのか。
「・・・・んっ!こっこれはっ!」
驚きの後にガツガツと食べ始めるアリス。
適当にふっただけなのに抜群の塩加減。
胡椒が臭みを消しアクセントとなる。
そこにジューシーな虫の味わい。
我ながらこれは美味いと思う。
この調味料は当たりだな。
モシャモシャと食べ終わったアリスは満足な顔をしてる。
「実留さん・・・・ごめんなさい
正直言って虫さんを馬鹿にしていました」
「そうだろうそうだろう
今後は虫様を馬鹿にしないようになっ!」
「はいっ!なのでもう1匹お願いします」
「むりっ!」
「なんでですかっ!」
余程美味しかったのだろう。
それにアリスが満足するまで料理をし続けた俺が
断る事も予想外だったんだろう。
切れるアリス・・・・だがば無理なんだ・・・・。
「魔力が無いんだ」
そう呟いて俺は睡魔に負けた。
虫1匹で限界かよっ!
目が覚めた後に何事も無く狩りに出発する。
アリスの優しさが心に沁みるぜ。
朝の確認で分かった事としては
俺の体はそんなに弱くない。
まぁ以前の体に比べたら駄目だけどな。
ウサギ位なら狩れる位には動くハズ。
そもそもが前は初回転生で補正もスキルも無い状態だったんだ!
行ける・・・・行けるさっ。
嗅覚と魔力感知で場所は直ぐに特定出来た。
気配を殺しながら風上を考えながら近づいていく。
ウサギを確認する。
種族:ホーンラビット
むむ・・・・通常種か。
前のは"銀角"が付いてたんだよなぁ。
種族の後に何か付いてると確かレア種って言うんだっけ?
あれ?という事は今の俺はレア種なの?
よくわからんな。
「なぁ、ステータスに"黒毛"ってのがあるんだけど
俺ってレア種なの?」
「あれ?そうなんですか?
確かに手足の先がうっすらと黒毛ですね
ステータスでも表示されてるならレア種だと思いますよ」
「今回は生まれからなんだけど
レア種ってなんなの?」
「レア種になる要因って私も分らないんですよねぇ・・・・ん?
ちょっと待ってくださいね・・・・情報が更新されてますね
レア種についても少し詳しくなってます」
「へ~、そういうヘルプ機能みたいなのは俺は使えないんだよなぁ
そこら辺の融通きかせてもらいたいなぁ
とりあえず教えて」
「はい・・・・え~とレア種は因子を持った存在だそうです」
「因子?」
「はい、実留さんですと"黒"が因子になるんだと思います」
「黒?色なの?」
「様々な形があるようですが多いのは色だそうです
これらが発露すると色々な能力向上が見込めるようですが
何が強化されるかは個体差があるようですね
因子を保持していても発露しない場合もあるようです」
「ふ~ん、つまり因子を持っていてそれが表に出てきた場合に
強化されたりする
それがレア種って事で良いのかな?」
「そうですね
発露しない事も多いようですけどね
その場合は因子の保有者と言うだけでレア種ではないようです」
「発露条件はわかる?」
「いえ、そこまでは書いてないです」
ふ~ん、レア種ね。
因子が必要なのか・・・・っつうか因子って何よ?
前回は"銀角"を倒したら俺に宿ったけどさ。
「ところで因子って何だかわかる?」
「いえ、それも・・・・・
説明には"世界に存在する謎ぱわぁ"とありますが・・・」
「うん・・・まぁ・・・なんつうかね・・・」
「・・・・えぇ・・・はい・・・ごめんなさい」
とりあえずレア種と言うのは何かの要因で強化されてるって
認識で問題ないだろう。
色々と特典があるようだけど現状じゃ何もわからないし
俺が強化される分には良い事だしね。
今迄に出会った人で因子持ちって居たのかな?
う~ん、鑑定を抑制されていたのが痛いな。
出会ってたら倒して喰ってたのにな。
結果としてウサギは狩れた。
ウサギの攻撃方法は単純で突進からの突き上げだ。
単純な動きだが下からの攻撃は意外に対処は難しい。
武器や防具があるわけじゃないからな。
いやまぁ何と言うかビビってたのは確かだ。
緊張してたので動きも硬かった。
避けるのがギリギリになってしまったが
身を躱した所に貫手を繰り出す。
これを数回で倒す事が出来た。
身長差があるので"噛付き"は使い難い。
武器も無ければ爪で行くしかないだろう。
弱くなったなぁ俺。
それでも爪は意外と使えた。
硬度や鋭さもナカナカのもんだ。
それに自分の意志でニョキっと出す事が可能で
少しだけど伸縮が出来る。
そりゃ伸びてたら通常生活に支障が出るしな。
猫の爪みたいなもんか。
犬なのに猫・・・・うん謎だ。
何にせよ無事に狩れたウサギを食べた。
ムチムチと噛みちぎりながら食べる。
うんうん、張りのある肉と程よく乗った油は
謎ミートの何倍も美味しい。
アリスは調理してない生肉は好んで食べないので
木の実を見つけては渡しておいた。
流石にここで寝る訳にはいかないので焼いてくれとは言わなかった。
その後もトラウマを克服するかのように
ウサギを見つけて狩って食べた。
体に対して求める量が多いのは"捕食者"か成長のせいだろう。
住処に持って行く分を2匹程用意し帰路に着く。
最初の1匹を含めて3匹食べたので計5匹と中々の数だ。
1人でこれならイケてるんじゃね?
意気揚々と住処に向かう。
今日は昨日よりも早めに帰る事が出来た。
やはり獲物の場所を探知しやすいのは効率が良い。
嗅ぎなれない匂いには近寄らない様にしたが
ウサギに比べて距離があったので襲われることは少ないだろう。
住処に戻り教官に獲物を渡す。
その時に肉を少な目でも良いので皮と角を貰えるように交渉する。
それは特に問題ないようだ。
その後は就寝前の魔法訓練を行った。
翌日も体を動かした後に狩りに出かけた。
この日もウサギを狩った。
自分で食べる分も皮と角を別に取分けておくが
教官かわ分けて貰った角や拾った石等を使って
剥ぎ取ると品質は最低な物になった。
≪ホーンラビットの皮≫
ホーンラビットの皮。
それほど厚みは無いが柔らかくて使い勝手が良い。
毛は肌さわりが良くて人気がある。
種別:素材
品質:粗悪品
≪ホーンラビットの角≫
ホーンラビットの角。
短いがそれなりの硬度を持つ。
種別:素材
品質:粗悪品
これなら住処で解体してもらった方が良いかもだ。
それだと自分が食べる分が減るから嫌なんだけどな。
"解体"のスキルがあってこれだし・・・・。
う~ん、ナイフ位は欲しいなぁ。
またウサギを2匹持って住処に帰ると
ちょっとした事があった。
Cグループの1人が怪我をしたようだ
しかも結構大きな。
それを見てAグループの奴らが
どうも見下して楽しんでいるようで
馬鹿にしたような笑いをしている。
こんなのは何処にでも居るんだな。
調子に乗った1人が俺にも絡んでくる。
どうやら3人のリーダー的な存在のようだ。
「グハハ
お前モ1日掛けて2匹シカ狩れなかったのか
大したことナイナ
最初ハ虫だけだったソウじゃないか」
所々が片言だがまぁ普通か。
それにしても何で生後2週間にも経ってないのに
どうしてこんなに偉そうなんだ?
俺も同じだけどさ・・・・狩りを始めても3日目だぜ?
何にせよ面倒な事には巻き込まれたくはない。
「あぁ1人じゃこれが限界でな
君達はどうだったんだい?」
「グハハッ
俺達ハ初日かラ1匹、昨日ハ2匹、今日ハ5匹も狩ったゾ」
「そいつは凄いね」
生後でそんなに狩れるなんて確かに凄い事だ。
俺は自分で食べた分も含めてそれ以上だけどな。
それ以前に3人で5匹と1人で2匹なら俺の方が上だろ?
それが分らないのが所詮は犬って事かね。
「グハハハハッ
お前モ仲間ニ入りたければ考えてヤルゾ」
「うん、限界が来たらお願いするかもね」
「グハハハハッ」
高笑いしながらAリーダーコボルドは仲間を連れて
立ち去っていった。
いやぁ、分かり易い位の馬鹿だなぁ。
まぁどうでもいいや。
教官に状況を聞いてみると
やはりCグループは狩りの成果が思わしくなかったようだ。
獲物は狩れず木の実等が僅かに取れただけらしい
それで3日目に危機を感じて無茶をしたようだ。
Bグループは初日は散々だったが
2日目からは自分達が食べれる程度には狩れたようだ。
そして我関せずを貫いてるらしい。
Aグループは最初から狩れていたので
少しづつ調子に乗ってきた感じらしい。
そこに今日のCグループの怪我で更に調子づいたのか。
教官曰くそれでも俺が一番だろうとの話だけどね。
そりゃ経験が違いますがな。
コボルド達も怪我をした者を放っておくほど冷たくはないが
そこまで手厚くする事も無い。
精々、薬草を使って治療する位か食べ物を食べさせる位だ。
それでも食料は元気な狩れる者を優先となる。
今は狩り部隊が出ているので貯蓄も少ない為、僅かばかりの肉等を貰える位だ。
ここら辺の事情もAグループが調子に乗った一因でもあるんだろうな。
教官に言って俺の分の肉を貰い
子供部屋に隔離されているCグループの所に向かう。
そこには2人だけが居た。
1人は腹部に大きな怪我があり全身が傷だらけだ。
もう1人も大きな怪我こそないがボロボロだ。
大怪我君とボロボロ君と呼ぶ事にした。
ボロボロ君に話しかける。
「大丈夫か?」
「あ・・ハイ、何とか今は大ジョブですが」
「その怪我はホーンラビット?」
「ソです、ウサギの角にササりました」
「ふむ・・・・見ても良いかな?」
念の為、断りをいれてから大怪我君を看る。
やはり腹部の怪我が大きいな。
何とか血は止まっている状態だ。
後は本人の体力次第だが・・・・五分五分って所か。
ここで死なれるのも気分が良くないしな。
背中のボロ袋から取り出したように見せかけて
見つけ次第に収穫していたポロ草をアイテムボックスから出す。
量は多めだ。
それを借りてきた器で潰していく。
ある程度の量になったら2/3程を腹部に塗り声を掛ける。
「これで傷が"治る"と良いな」
こっそりと回復魔法を発動し腹部の奥の方を集中的に治す。
それ以前にこの傷を一回で治すのは今の俺じゃ無理だ。
肝心な所さえ直せば何とかなるだろう。
「んん~」
腹部が熱いのか痛いのかわからないが大怪我君が目を開ける。
「ドウした?傷がシミるのか?」
ボロボロ君が心配そうに見つめてくるので
大丈夫だと落ち着かせる。
「ココは・・・・ワタし・・・は・・・ドうした?」
「ここは住処だボロボロ君が怪我をした君を
連れてきてくれたんだ」
「ボロボロ?」
「あぁ、君の友達の名前だよ
君は大怪我君ね」
教官と同じような感じを醸し出しながら
2人は素直に名前を受け入れる。
大怪我君は腹部の怪我のせいでガクガクしてたけどな。
「よし、もう大丈夫そうだな
これを飲めるか?」
残りのポロ草に木の実等を砕いて混ぜた物に
少し水を足して食べやすくした物を
大怪我君に食べさせる。
腹の傷も肝心な部分は治したしもう大丈夫だろう。
「アリがとう」
そう言って大怪我君は寝てしまった。
体が体力回復に専念しだしたのだろう。
俺の分の肉と虫をボロボロ君に渡して後で二人で食べろと伝え部屋を出た。
ペコペコと感謝していた。
ボロボロ君と大怪我君は言わば兄弟だ。
なるべくなら俺の目の届く範囲では死んでほしくないしな。
狩り生活が始まって3日で早くも微妙な空気が流れてきた。
「なんだかねぇ・・・」
やっぱり調子にのる輩っていますよね。




