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4-2

何時の間にか評価が増えていました。

読んで頂きありがとうございます。

期待に沿えるよう更新頑張ります。

転生後に初めて外に出た森山実留です。

えーと、素手なんですが?

二足歩行で素手なんですか?

武器の支給はありませんか?

ボロ布1枚で出撃です・・・・・ってどんなマゾゲーだよ!





8日目に初めて外に出ると緑が濃い森だった。

小高い場所にあり洞窟の前は少し開けているが

太めな木や岩が邪魔をして一気には入り込めないような作りだ。

ある程度は守備に有利で守り易いだろう。

2人の警備が周囲を警戒してる。

手には槍を持っているがボロボロだ。



≪鉄槍≫


シンプルな大量生産品の鉄製槍


種別:武器

品質:粗悪品



警備で粗悪って事を考えると真面な武器は無さそうだな。

数も質も期待できないって事か。


俺を含めた子供達は入口の前に集められ

族長コボルドからの有り難い言葉を頂いた。


「おめぇらは今から一人前だぁ

 狩って獲物を持ってぇ来ぉい」


約束通りの放置開始だ。

一人前と言われた所で武器すら貰えりゃしない。

素手だぞ素手。

そりゃ爪とか牙はあるけどさ

手が使えるのに素手ってのは不安だ。


さぁ!行け!・・・・と言われてもねぇ。

こりゃどうしたもんか・・・・。



「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ」」」


俺が悩んでいると

Aグループが雄叫びをあげて走って行った。


・・・・・・うん、まぁ元気な事は良い事だよね。

まぁ・・・・死ぬなよ。

一応、同期と言うか兄妹みたいな感じだからな。


Cグループは色々と話しているようだ。

弱肉強食の世界だ慎重になるべきなのはわかる。

時間が無くなって狩れなくても知らないけどな。


Bグループは気が付いたら居なくなってた。

マイペースな奴らなのかねぇ。


俺は焦る事はない。

なぜなら転生により狩りの経験がある。

これは大きなアドバンテージだぜ。


狩りの獲物は半分を一族に差し出さなければならない。

一族に貢献すればするほど優秀な狩人と認められるわけだ。

その為、自分が多く欲しいとか気に入ったメスに貢ぎたいとかなると

その分、多く狩らなければならない。

もちろん狩れない者には配給は無い。

なんとも厳しい仕打ちだ。


最悪の場合は木の実や果実等で場をしのぐしかないが

これからも体は成長し大きくなる事を考えると

ジリ貧なのは考えなくても分る。

大量に群生している場所なんて有力な種族に押えられてて

沢山食べれる程に収穫出来る訳ないしな。


補足としてはここが嫌なら出て行っても構わないそうだ。

1人で何とかする自信があるならそれも自由だそうだ。

結果としてコボルド種が増える事になるなら問題ないらしい。


俺も何時かは出て行こうかと思うが

知識と強さが足りない今は保護が必要だ。


まぁ俺は地味にやるさ。

急いで死んだら元も子もないしな。

俺は森に向けて1歩を踏み出した。





住処からある程度の距離まで進んで周囲を伺う。

もちろんアリスを呼び出すためだ。

今回は久々にアリスと二人で行こうと思う。

能力値も熟練度も大幅に下がったとなると色々と試してみないといけないからな。

アリスの事がバレても何となくコボルド位なら誤魔化せそうだし。


周囲に敵が居ない事を再確認してから

ナビアプリを起動する。


> ナビゲーションアプリを起動します。

> VerUPに伴う更新を行います・・・・。

> 転生後の初回起動の為、調整を行います・・・・。



光の粒が集まってフワフワと漂い集まって行く。

いつもよりフワフワしてる時間が長いのはVerUPのせいだろうか。

少しづつ輪郭がハッキリしてきて強く光る。


パァ~っと一際光ると

そこには何時もと変わらないアリスが居た。


「実留さん、転生おめで・・・・あれ?犬?」


「おう犬だぜ?」


「あれ?犬は終わったはずじゃ・・・・

 あれれ?時系列ずれちゃった?

 あれれれ?でもでも」


「うん、落ち着けアリス

 今回も犬になっただけだ」


「えーーーーーっ!

 またですか!

 どんだけ犬好きなんですかっ!」


「俺だって好きで犬になったわけじゃないわっ!」


それから10分ほど熱いバトル(口喧嘩)を繰り広げた後に

2人で友情を確認しあった。


やっぱ戦いの後には固い絆で結ばれるよな。

昨日の敵は今日の友ってね。

神から入手した情報を踏まえて現状を報告する。


「ふ~む、なるほど

 魔王との戦いの結果で能力の大幅低下ですか」


「あぁ、そうなんだよ

 本当に参ったよ

 魔力も減ったから魔法も凄い弱くてさ」


「それは困りましたね

 そう言えば私も何だか力が弱くなった気がします

 実留さんの能力が下がったからでしょうか」


「あぁ、そうだと思う

 そう言えば神がアリスも魔法を使えるようにしてくれてたぞ

 キュイの機能を分析してアリスに組み込んでくれたようだぞ」


「え・・・・・えええええぇぇぇぇぇ!!

 本当ですか!!

 ・・・・・あっ!本当だ!

 VerUPされてますねっ!」


「そかそか良かったな

 よし、早速使ってみようぜ」


「え~っと・・・・・やり方は・・・・ふむふむ」


何かに集中しているようで何処を見る訳でもなく

アリスはブツブツと呟く。


「あぁ・・・・なるほど

 わっかりましたっ!」


「おお、使えそう?」


「はいっ!発動等の基本的な事は

 何となくわかりました」


「まじで?理解するの早いなっ!

 元々が魔力で体を構築してるんだし

 感覚としては掴みやすいのかね」


「そうかもしれません

 じゃぁまず風魔法行きますね

 火なんて使って森が火事になったら困りますしっ!」


「おうおう!よし!イケっ!アリス!」


「食らいなさいっ!

 風の刃あぁぁぁぁぁぁっ!」


アリスは目の前の木に向かって魔法を放つ。







ひらっ。






葉っぱが一枚ヒラヒラと落ちる。

しかも半分枯れているような奴が。





・・・・・・・ん?




「アリス、俺に向かって撃ってくれない?」


「はははっ!

 実留さん、転生する事になっても知りませんよっ」


「うん、いいからいいから」


「でわ・・・・・コホン

 食らいなさいっ!

 風の刃あぁぁぁぁぁぁっ!」 






フワン。






微風だ・・・・・・・・・うん、微風だ。

涼しくすらならねぇ。

顔の毛が少し動いただけだ。


「アリス・・・・あのさ・・・・」


「言わないでっ!何も言わないでっ!」


その後、実験した結果は以下の通りだ。


風:フワリ

火:ほわっと

水:チョロ

土:ペッペッ


まぁ俺が簡易ウオッシュレットが限界なんだから

そりゃそうだよな。

無言でうつむくアリスを俺は30分ほど慰めた。


その後にアリスに手伝ってもらって確認すたが

俺のスキルや魔法も全体的に大幅に能力が低下してる。


それでも考えてみれば他のコボルドよりも能力は上のはずだ。

能力値への加算値が減っただけで無くなったわけじゃないし

スキルを使えばプラス補正も効果もある。

能力値や熟練度はこれから伸ばして行けば良いんだ!



「そういやさ・・・・神が魔王に殺されてから

 こっちの世界でどれだけ経過したか

 教えてくれるハズなんだけど連絡ないんだよな

 アリスは知らない?」


「いえ、私の方もそんな情報はありませんよ」


「これはあれかな?

 また何時ものパターンかな?」


「う~ん、どうでしょうか

 もしそうだとすると丁度、今ぐら "ピローン"」


出たよ!これだよ!

図ったかの如く新着メールが届く。



> どもー神です

> ちゃんと魔法使えるようになってたでしょ

> 感謝して欲しいね、うんうん

> これで戦闘力も大幅UPだねっ!

> 魔王君に殺されてからは約2年が経過してるよ

> 意外に早かったね、うんうん

> PS・忘れてたわけじゃないよ!本当だよっ!



う~ん、この感じ。

この感じだよ・・・・・絶対にワザとだよな。


うん・・・まぁ・・・良いさ・・・神だしな。

アリスと2人で気持ちを切り替えて狩りに出発する。


魔力感知で周囲を探ると以前の様に広範囲は掴めないが反応が幾つかあった。

嗅覚等も併用し獲物がいると思われる方向に向かう。


しばらく進み見つけたのは・・・・ウサギ。

何かを食べているのか背中を向けている。


「なぁ、アリス」


「なんでしょう?」


「なんかさ・・・・前にも同じ事なかった?」


「実留さんもですか

 私も何か同じ場面があったような気がするんです

 ・・・・・やるんですか?」


「・・・・・もう少し後にしようかっ!

 この体もそんなに慣れてないしな!」


「ですよね!ねっ!

 無理はしない方がいいですね!」


そのまま目線は逸らさないまま俺とアリスは

そっとその場を後にした。

俺の経験がアイツは危険だと叫ぶ。

決してビビってる訳じゃないぞ。

そこんとこヨロシク。


そうは言っても何かしらの獲物はが無いのは不味い。

流石に手ぶらでは帰れない。

でもあまり住処から遠くに行くのも微妙だな。


今からでも頑張るしかない・・・・。



それから数時間後。

日が傾いてきて薄暗くなる前に住処に帰ってこれた。


入口には教官が待っていた。

どうやら心配してソワソワしてたようだ。


「教官、戻りました」


「ミノル、心配したぞ」


「御心配をお掛けしました

 獲物を取るのに時間が掛りまして」


俺は担いでいた袋を教官に渡す。

唯一支給された丈夫さだけが取り柄のボロ袋だ。


想像していたよりも重かったのか

受け取った教官は少し驚いていた。


「初日からこの重さの獲物を狩れるなんて

 凄いじゃないかっ!」


「そうですか?

 教官に褒められると嬉しいです」


「あぁ、本当に凄いぞ・・・

 さて、中身はなんだ?」


教官が嬉しそうに袋の中を覗く。


「・・・・ミノル、これは何だ?」


「え?食事ですよ

 皆さん食べないのですか?」


「いや、そんな事もないが・・・・

 ただなぁ・・・・」


「え?何かありましたか?」








「流石に虫を・・・この量はなぁ・・・・」


ボロ袋の中には取れたての

チッタ(虫)がミッチリと入っていた。


頑張ったのにな・・・・クスン。



やっぱ犬と言えば虫ですよ!虫!

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