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4-1

26号が過ぎたら急に寒くなってきましたね。

半袖から一気に長袖&上着着用しました。

周りで体調が悪くなる人続出です。

ワンワン、森山実留だワン。

転生したらまた犬になったワン。


ワンワンワンワンワンワンワンワン。

ワ・・・・ン・・ワ・・・。

ワゥオォォォォォォォン・・・・いや、普通に話せるけどね。










生後2日目になると少しは意識もハッキリしが

霞みが掛ったかのような朦朧とした意識が続いていた。


まず俺が寝ているのは洞窟の中の奥まった部分らしい。

そこは生後間もない時期に滞在する場所のようだ。

なぜなら昨日見たどう見ても犬の赤ちゃんらしき生物が

処かしこに居るからだ。


犬だと言いきれないのは偶に来る大人・・・なのだろうか?

食事を持ってくる者達が二足歩行の為だ。


まだ視力が弱いのかハッキリとは見えないが

顔は犬のようで尻尾も見える。

しかし手と足の作りは人族とほぼ変わらないようだ。

全体的に毛が生えてはいるのは何となくわかる。


これはあれだ・・・・・・思いつくのはコボルドだ。

寝ている赤子達は大き目の犬にしか見えないが・・・・。


食事は数時間毎に貰える。

乳のような御粥のような柔らかい半固形の何かだ。

木の器から丈夫な葉を漏斗のように使い口に入れてくれる。


味は・・・・意外に事に結構いける。

まだ十分に動かない顎を使って咀嚼し飲み込むと

腹の底に熱を持つような塊が落ち体に力が行きわたって行くのがわかる。

なんだ?この不思議な感じは・・・?

体が温かくなると睡魔が襲ってきてそのまま暗闇に落ちていく。


あぁ・・・・・普通にここに居るって事は・・・・・。


俺は・・・・コボルドに・・・・転生したのかな?


2日目は食事と睡眠を繰り返して終了した。





3日目になるとゆっくりだが体が動くようになってきた。

手足も動かせるし視力や聴力なんかもだいぶハッキリしてきた。


改めて見回すとやはりここはコボルド達の住処のようだ。

大人達も他の子供と同じように俺を扱うので

本当に俺はコボルドに転生したようだ。


・・・・・また犬かよ・・・・いや、犬とは違うのか?

大人達はサリー彼女団のイエローさんに似ている。

何処となく違うのは種族と言うか犬種が違うからだろうか?


3日目になると子供達の差は結構出てくる。

俺はまだ自立する事は出来ないが

成長が早い奴は四つん這いで立ち上がろうとする位だ。

それでもまだ上手く動けないようだが。


俺も体に力を入れてみるが

感覚は人の体と変わらない様に思う。

手や足も延ばした感じは一緒だ。

ただずっと動かして無かったかのようなバキバキ感はある。

顔を動かして見える範囲で確認すると

手や足なんかは毛が生えてるだけで

指も5本あり普通だ。

爪は鋭いけどな・・・まぁ犬だし。


食事は半固形の何かでは無く木の実のような物になった。

これも美味しいんだけど体が熱をもつような感じにはならなかった。


嗅覚も機能するようになってきたようで

ちょっと住処の匂いに耐えられなくなってきた。

だって・・・・垂れ流しなんだもん・・・・俺もだけどさ。

大人達が定期的に片づけてくれるが

異様な匂いがする。


風魔法で俺の周りに弱い流れを作って耐えた。

もっともそれ以上の出力は出せなかったんだけどね。


体も涼しくなって丁度良い。

3日目は睡魔に素直に身を投じて眠りについた。




4日目になると殆どの子供が動き出した。

俺も何とか立ち上がる事が出来る。

まだ上手くは動けないが部屋の中程度なら問題ないだろう。

四つん這いから二足歩行に1日で移行するなんて

魔物ってすげーな。


大人達が部屋の入口に衝立で扉を作ってるから外に出れないって事もある。

多分、外からの守りとか勝手に外に出ない様にするのが理由だろう。


部屋の中には8匹?人?まぁ人で良いか。

8人の子供が居た。

同時期にそんなに生まれるモノなのかと思うが

そんなモノなんだろうな、きっと。


3日目から動いていた奴なんかはヨロヨロしてるものの

結構動けるようになっていた。

そこまで動けるのは現状では2人だ。

やっと動けるのが俺以外に3人。

なんとか立ち上がろうとしてるのが2人って割合だ。


食事は何かの肉らしき物と木の実になった。

コボルドは雑食のようだな。

イエローさんも色々と食べてたしな。


肉は・・・・硬くて微妙だった。

顎の運動には丁度よかったけどね。

木の実は種類が増えたようだ。


食事の合間にストレッチのように体を動かしていくと

段々と動くようになってきたが

力が入りにくいのは成長してない証なんだろう。


トイレは大人達に教わったが部屋の奥に穴があったので

そこでするようにした。





プリプリ。





ちゃんと水を作って洗いましたよ。

魔法で擬似ウォッシュレツトですよ。

えっへん。





昨日も思った事だが

魔法を使うと直ぐに眠くなる。

魔力量が相当下がっているようだ。

でも使えるだけ良いかなと。

今の内から魔法を使って馴らしていくしかない。


それにしたって擬似ウォッシュレット1回で睡魔に

襲われるのは悲しいモノだ。

数十分程度の睡眠で回復するんだけどさ。


食事、運動、睡眠を繰り返して4日目は終了した。




5日目になると全員が立ち上がり動けるようになっていた。

部屋の中をウロウロする8人。


男も女も肩から汚いボロ布を巻いてるだけだ。

一応、隠しているので問題はない。

俺は自分がオスなのは見ればわかるが

見た目では違いはわからない。

布をめくれば良いがそこまでやりたくはない。


大人達はもう少し良い物を着ているので

ボロボロになった奴を子供用に卸しているのかもしれないな。



ふむ・・・俺はいつかはコボルドのメスに欲情するんだろうか?

今の所は2足歩行する犬にムラムラっとは来ない。

生後5日だしね。

謎ではあるが気にしないでおこう。


俺が運動したり魔法を使ったり

寝てたりしてる間にどうやらある程度のグループ分けが出来たようだ。


Aグループは

早目に歩けるようになった2人普通1人の3人組。


Bグループは

普通に動けるようになった2人組。


Cグループは

遅めに動けるようになった2人組。


Dグループは・・・・・・俺一人だ。

うるせーな!ぼっちだよ!

色々と試してたら機会を掴めなかったんだよ。


これはまぁ順当だとは思う。

動ける者同士でくっついただけだし。

俺は俺で色々と確かめたい事もあるし

やりたい事もあるから単独行動の方が望ましい。

うん、きっとそうだ。


夜には大人が来て色々と話してくれた。

言語は犬語だった・・・・・やっぱ犬なのか?


話してくれた内容は特筆すべき情報は無かったが

どこかの森だとか洞窟だとかだった。

固有名称が出てはこなかったのは

そもそも無いのかどうなのかが不明だ。

簡単な説明と単語を繰り返し話していた。


元々、言語スキルを持っているからだろうか

少しだけだが覚束ない発音で単語を繰り返す事が出来んだが

これは大人達にかなり驚かれた。

生後5日目で発声が出来るのは凄い事の様だ。

よくわからん。


そういや他の子供は寄り添ってるだけで

会話してるようには見えないな。

なんか本当に歩く犬って感じだ。

口から色々と発してはいるが意味はなしてない。


食事は4日目と変わらない内容だった。

大人達が話してくれた情報を整理しながら眠りにつく。




6日目は寝ていたら起こされて部屋を出された。

8人で付いていくと少し広めの場所についた。

そこには少し歳がいった(と思われる)コボルド居た。

ボロイながらも元はそれなりの質だったと思われる

服を着ていて他の大人達に比べて

少しだけ立派と言うか威厳があるように見える。


その目の前で座らされた。

どうやら話を聞くようだ。


「んーおめーたつがぁ

 うまれたーんがぁ

 かんじゃーじたどおもうー」


うん、相変わらず片言だ・・・だが訛りもある・・・

発動するか?!頑張れ!言語スキルぅぅぅ!


「まずはお前達がぁ

 生まれた事に感謝をしたいと思う」


・・・・・・ふぅ、無事に翻訳してくれるようだ。

あぶねぇな。

この老コボルドがもうもう少し真面に話せてたら

翻訳機能は発揮されなかったに違いない。

スキルは片言の会話を補完してくれるが

訛りは補完してくれないからな。


どうやらこの老コボルドはここの族長のようだ。

まずは基本的な単語等の会話。

それらを繰り返し練習させた


明らかに生後数日の子供が話せるようになるわけないのだが

片言ながら半日後には会話が出来るようになった。


これはどういった事だ?

会話なんて半日で覚えれるのか?

しかし日毎にみるみる体が出来ていく事を考えれば

それが普通なのだろうか。

俺以外の通常のコボルド達がそうなんだし。


俺だって昨日は発声が今一つだったが

今日はゆっくりとした普通の会話程度なら

問題なく可能なレベルになっている。

何と言うか体がドンドン最適化されていくような

感じで成長していくんだ。


流石はファンタジー世界だ。

おかしい・・・・この世界はおかしい・・・。


後半はここでの基本的なルールや心構えを教わった。

ここは山間の森の一角にある洞窟だそうだ。

街道までは歩いて数日の所にあるそうで

森の中では比較的浅い部分だ。

周囲は多彩な生物が居て危険も多いらしい。

コボルド、オーク等の魔物や魔獣が多く生息しているので

注意が必要との事だ。


出稼ぎ部隊として大人達が街道を通る商人達を

襲いに行く事もあるらしく今も10人程度が出ているとの事。

大人にオスが少なかったのはそういう事か。

他にも外に狩りに行ってるからだろうけど。


そして一番驚いた情報はコレだ。


"食事支給は明日で終了"


まじかー。

いや、まじかー。


そりゃずっと世話になるつもりもないけど

生後7日でリリースってきつくね?

犬の時もそうだったけど犬種ってそんなもんなのかな。

コボルドが犬種かもわからないし

そもそも犬種ってのがあるのかもわからんが・・・・。


だがまぁルールならば異存を言った所で仕方が無いだろう。

他の奴らはそもそも事態を理解していないようだ。


ぼっちの俺にはどうでも良いけどな。


その後は自由となったので洞窟内を見て回った。

まだ外には出てはいけないようだ。

もっともそんなに広くは無かったが。


居住スペースの様な場所と族長コボルドが居たさっきの部屋。

後は貯蔵庫のような部屋とうちらが寝起きしてた部屋位だ。

基本的には雑魚寝で何処でも自由だ。

貯蔵庫だけは警備が居たので入れない。

武器や防具なんかも保存してあるようだが持出しは禁止だ。


食事は同じ物が出た。

あまり美味しくない肉は飽きた・・・・これなんの肉だ?


あれほど言っていた鑑定スキルをすっかり忘れてたので使う事にする。



≪食用謎ミート≫


いい加減な仕留め方で適当に捌かれた肉。

既に何の肉か何処の肉かはどうでもいい。

大事なのはコレが肉であるという事だけだ。


種別:食材

品質:粗悪品



何だよ謎ミートってさ・・・。

元動物がどうでも良いって相当だぞ。

まぁしかし≪捕食者≫のお陰で食えない事もない。

今は食えるだけましだろう。

それにしても鑑定が出来るだけで大分違うな。

簡単な説明と最低限の表示しか出ないけどな。

ゲームと違ってリアルだから食材って書いてあるけど

投げたり防具として身に纏ったりは自由だ。

肉アーマー・・・・うんあまり踏み込むのは危険だな。


6日目にして色々と動きがあったが

洞窟内では大したことも出来ないので寝る事にした。





7日目は朝から大人達が体の動かし方を教えてくれた。

爪と牙の使い方や魔物や魔獣と会った時の対処法等だ。

他には有用な薬草等の見分け方を教えてくれた。


合間に聞いてみるとやはりオスは順番に外に狩りにいくらしい。

ここに残されたのは警備かメスが殆どだ。

それでもメスも最初は狩りに行くので十分に体は動くそうだ。


俺の教師役になったのはメスのコボルドで

ハッキリとは覚えていないが初日から面倒みてくれてた人だ・・・多分。

3日目位から変わってないからきっと初日からだろう。


俺の親かとも思ったが違うらしい。

コボルドが一族全体で子供を育てるから

誰が親とかは関係がないようだ。

ふむ、そんなものなんだろうか。


個体名は無いようなので教官と呼ぶ事にした。


「教官には色々と教えて頂きありがたいです」


「む?教官とはなんだ?」


「貴方の名前です

 自分は実留と言います」


「名前?・・・・教官・・・・私の?」


最初は戸惑っていたが少し恥ずかしそうに

そして嬉しそうに笑ってた。


教官・・・教官・・・・とエヘヘと言いながら呟いていた。

まぁ顔の見た目が野生の犬だからあんまし可愛く見えないけどなっ!


教官は色々と知っていて助かる。

子供達の先生役には元気で動けるメスが担当するのは通常で

以前は狩りも頻繁にしていたようで今も腕は鈍ってないそうだ。


「それにしてもお前は良い筋をしているな

 体は小さいが動きも考えもしっかりしている

 頑張って狩りをしてくるんだぞ

 それに少しだが毛色が違うようだな?」


そう、俺の体は他の子供達とはちょっとだけ差がある。

手、足、尻尾の先が少しだけ黒い。

暗闇だと判別出来ない程度の

ほんのちょっぴりだけどね。


俺のステータスを確認する。



名前:森山実留

性別:オス

種族:コボルド(黒毛)

年齢:7日



≪コボルド≫


犬を二足歩行にしたような魔物。

国や地方によっては亜人と称する場所もある。

基本的には粗暴で害を成す種族の認識だが

人族や亜人達と生活を共にする事も確認されている。

ゴブリンよりも力は弱いが頭が良いとされる。



引き合いにゴブリンを出されるところを見ると

やはり最弱の部類なんだろうな。

コボルドは元々は妖精の類だったはずだけど

この世界では犬ヘッドタイプなんだな。


あんだけポイント注いで二足歩行の犬かよと思ったが

"黒毛"ってのが気になるな。

以前に"銀角"を捕食したら"銀毛"になった事がある。

調べようと思ってそのままだったな。

う~ん、なんだろうなコレ。


現状では子供達の中では体も小さく

目立った能力もない。

魔法が使えるのは引き継いでいるからだろうしな。

う~ん、何かが変わるのかなぁ。


これまた気にしても仕方が無いので後回しにしよう。

教官も見てみた。


名前:教官

性別:メス

種族:コボルド



むむ?本当に何にも表示されない。

種族と性別位だ。

名前は俺が決めたからか?

試しに先生って呼ぶ事にしたら

名前は先生になった。

とりあえず教官って呼ぶけどさ。

情報更新とはこんな感じなのか。



近くに居た警備のオスを見るとこうだ。


名前:警備

性別:オス

種族:コボルド



名前が警備っておかしくね?

どうやら俺がどう認識しているかのようだ。

他の大人を見たら名前すら表示されなかったし

性別が不明な子供を見たら性別も表示されなかった。


・・・・これって鑑定と言うより俺がどう認識してるかじゃね?

う~ん、まぁ情報更新されるようだからなぁ。

でも実際の情報と違った認識になったらどうするんだろ?

そこら辺も実際に確認してみるしかないか。


保護された環境での生活最終日の食事は・・・謎ミートだ。

ここら辺はブレないんだなぁ。


それにしてもコボルドってもっと野性的なイメージがあったけど

一応は群れとしての統率はあるんだな。

簡単なルールしかないし弱肉強食の所は変わらないけど。

そりゃ、群れがあるなら簡単なルール位あるわな。



7日目は時間と体力の許す限り反復練習を行い

分からない事や疑問を教官に色々と教わった。

明日からは自分の力だけで何とかしないといけないからな。

回復スキルもあるし最大値が低いので休憩すればすぐに回復する。

教官が飽きれるが気にしないで動き続ける。




明日からついに冒険(狩り)の始まりだ。


犬生活再び!

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