3-17
局地的な大雨で家の前が大変な事になりました。
電車も落雷で止まるし・・・。
魔改造された森山実留です。
唸る腕!飛び出すロケット!
ドリルとロケットは漢の浪漫ですよね。
もちろん自爆装置も欠かせない!
燃えるぜ俺のマイばでぇぇぇぇ!
え?そんな機能はないの?まじで?
ハレンさんに改良されてから1ヶ月が経ち
その間はただひたすらに雑務をこなしていた。
研究所の掃除から始まり
ハレンさんの研究助手の傍らに
研究所内で必要となった素材の入手の為に狩りに出る。
空いた時間は訓練でザッカリアやサリーと模擬戦闘。
ゴーレムじゃ無かったら倒れてるっつうの!
しかも何故かお目付け役と言う名の監視がついたので
アリスもロズも呼び出せずに居た。
お目付け役は小さな鳥型の魔物だ。
種族も名前も知らないがずっと俺の近くにいる。
見た目はカラスに近いが大きさは小さい。
雀よりは大きいかな位だ。
体は黒いが頭に1本の角が生えている。
その色は黒に近い赤で紫電を纏っていて
小さいながらも妙な威圧感はある。
普段は存在自体を感じないので居るのかどうかも
意識する事は無いんだけど監視されているというのは嫌なものだ。
お目付け役についてはハレンさんもザッカリアも
サリーも何も教えてくれなかった。
「知らない方が良い、踏み込まない方が良い
そんな事柄が世の中にはあるんだよ
それが名前や種族名だとしてもな」
そんな風に言われたら興味は湧くが
恐ろしくてそれ以上は無理だった。
予想ではこの研究所よりも更に上層部からの
監視じゃないかとは考えてる。
研究所外で活動する場合は
案内人として誰かが付いてくるが指示や案内が
無い場合以外は基本的に一言も話さない。
毎回変わりが全員が無表情で怖い。
俺が誰かと話そうとしたりすると邪魔をしさせない。
他人との交渉は全てそいつが行う。
アリスは相当に不満が溜まっているようだが仕方が無い。
俺もずっと監視されてる身なので気が休まる事もない。
そんな時にロズが押しかけて来ないか不安だったが
今の所は大丈夫のようだ。
それにしてもロズについては何かあると思ったんだけどな。
結界等を用意した場所に召喚させて捕獲するとかさ。
天使族なんて研究材料なんかには持って来いなんじゃないかと思うんだけど。
そんな訳で理由は不明だが
この1ヶ月は外部の情報からは隔離されている。
ブリンジが倒されてから情勢がどうなったかが知りたい。
聖神教会の動きとかもね。
この1ヶ月で行った事は基本的には
全て自律というか単独でやらされた。
掃除も戦闘も全てだ。
研究の助手はハレンさんや破素魂さんが居たが
作業自体はアドバイスをしてくれるが手伝ってはくれなかった。
指示を受け現地に赴き実行する。
それを淡々とこなした。
いや、淡々とはしてなかったな
寧ろ色々な事を経験できる分、楽しかった。
それは俺の体の変化も理由の一つとしてある。
内部構造を改良された体は良く動いた。
魔力変換効率も格段に上がり以前よりも低コストで
体の運用が可能となったおかげで魔力に余裕が生まれた。
その余力を更に体に回す事で身体能力向上を然ることながら
構造変化の速度も上がっているようだ。
内部魔力の貯蔵力も格段に上がったし1ヶ月程度で
以前より戦闘力はかなり向上している。
今では戦闘訓練でも良い感じにザッカリアを追い詰められる。
まだ勝ち越しは出来ないが5回に1回位は勝つ事も出来るようになった。
強くなる事や体が精密に動いていくのは
楽しくて仕方が無い。
それもやればやるほど変化がある。
この時こそゴーレムで良かったと思えた。
睡眠をたまに取るだけで殆ど動きっぱなしだったもんなぁ。
魔力部分の問題が解決されただけで
これほど変化があるとは思わなかった。
内魔力と外魔力は所謂、予備電源程度の感じだったんだろうな。
そうそう、頑張って活動したら色々と手に入ったんだ。
ピローン
スキル≪解体≫を手に入れました。
スキル≪剥ぎ取り≫を手に入れました。
スキル≪採取≫を手に入れました。
スキル≪工作≫を手に入れました。
スキル≪精密作業≫を手に入れました。
称号≪下っ端根性≫を手に入れました。
おおーう、大量にGETだぜ。
≪解体≫
説明:バラバラにっ!バラバラにするんだっ!
効果:対象を解体時に品質にプラス補正
≪剥ぎ取り≫
説明:お前の物は俺の物
効果:剥ぎ取り時の対象判定にプラス補正
≪解体≫と≪剥ぎ取り≫の差は何だろうか?
『アリス、この差は何?』
『解体はそのままで獲物を解体する時に
綺麗にはぎ取り易くなるって事ですね
皮とかも綺麗に剥げれば売値も違いますし』
『なるほどなぁ
剥ぎ取りは?』
『解体と効果は重複する部分もありますが
一番の違いがレア品が出る率が上がりますね
前回の熊石とかが出やすくなるって事でしょうか』
『あいかわらずそこはゲームっぽいなぁ』
『そこは気にしても仕方が無いです』
『まあなぁ』
ちなみにこれらは命令でひたすらに獲物を
狩りまくった時に手に入れた。
弱いし脅威でも何でもないんだが
数が多いわ目的の物が入手出来ないわで大変だった。
さて、他はと言うと。
≪採取≫
説明:お花を摘みに・・・・オホホホホ
効果:対象を採取時に品質にプラス補正
まぁこれは解体と同じ感じの認識で良いか。
説明が全く説明になってないけどな。
≪工作≫
説明:どうも課長です
効果:既に存在する物を組み合わせる場合に
品質と作業効率にプラス補正
・・・・それ工作違いだからねっ!
とりあえずコレは物作りと言うよりは
組合せ等を行う場合に効果がありそうだな。
材料から部品単体を作るとかは別のスキルなんだろうか。
罠の設置とかにも有用なようだ。
もっとも罠とかは専用スキルがあるとは思うんだけどね。
≪精密作業≫
説明:針に糸を通すのはお手の物
効果:精密作業をやる際にプラス補正
ひたすらコードとか繋いだり
細かい作業ばかりやらされたからなぁ。
でもこれを覚えてから細かい作業をやればやるほど
補正が強くなるようで便利だ。
確かに糸を通すのは凄い楽だったよ。
≪下っ端根性≫
説明:上役命令に従う事に慣れたが下っ端だが
誇りをもって任務を遂行してる証
効果:命令されてから行う全行動にプラス補正
いやいやいや、これは納得できないでしょう。
この説明はなんなの?俺がまるでヘコヘコしてるようじゃねーか。
・・・・・うん、間違ってないか。
諦めよう。
そんなこんなで肉体も強化され戦闘技術も磨かれた。
監視をされているのは不愉快だが
情報は遮断されているが特に何をされるわけでもない。
任務さえちゃんとこなしていれば問題はないようだ。
この1ヶ月は酒場、商店、ギルド等の情報が
入りそうな場所には立ち寄らせてもらえず
研究所内か森林等にしか行かせて貰えていないし
一般人と話す事もない。
なんとも窮屈な生活だよ。
だから任務に打ち込むしかなかったんだけどな。
そういえばザッカリアとサリー、それにハレンさんを含めて
食事会をした事もあった。
帰ったら一杯やろうと言っていた約束があったしな。
研究所内の食堂を借りてやったのだが
もちろん監視付きだ。
ハレンさんは興味ないかと思ったが
サリーの"ミノル君の料理は妙に美味しいんだよね"の一言で
参加が決定した。
「私の作品が料理を作ると言うのならば
それを確かめるのもまた必要な事だろう」
そんな大層な事を言っていたが
要は食いたいだけなんだろうと思う。
うん、意外な一面を見たな。
厨房を借りて作ったのはロックベアの肉を
かなり大きいブロックのまま香辛料を塗し香草巻きにして一晩寝かせた物を
食堂のおばちゃんに手伝ってもらい蒸し焼きにした。
焼くのは魔法を使ったが良い出来だ。
もちろん焼いたのはおばちゃんだけどね。
次に臓腑を利用した煮込みを作った。
これは簡単に各種臓器を手頃な大きさに切って
臭み抜きの薬草と野菜を入れてコトコト煮ただけだ。
味に深みを出すために蜂蜜なんかを入れてみた。
他には一角フィッシュと言われる
角付の大きい白身魚があったのでフライにした。
後は野菜を適当に切って水切りしサラダにした。
ドレッシングはシュシュラーナの実から
取れる少しコクのある油と香辛料で作った。
どれもこれも大量に作ったので足りるとは思うが
念の為に串焼きの仕込みだけしといた。
残った野菜と肉を適当に刺しただけだけどな。
焼くだけで良い状態にしといた。
食事会が始まると猛然とハレンさんが食いだした。
手当たり次第に手を出しては胃に納めていく。
あれ?魔族ってそんなに食事が必要だっけ?
負けじとザッカリアも食べだし
サリーも彼女団を召喚し食べさせていく。
うん、こりゃ足りんな。
俺は次の料理を用意する為に厨房に戻った。
準備しておいた串焼きも足りなくなり
手当たり次第に作る事になった。
それと言うのも何故か他の研究員や
食堂のおばちゃんまでもが混ざってたからだ。
すでに食事会じゃなくて宴会になったようだ。
またか・・・・またこれか・・・・・。
後半の方ではホワイトさんが俺の頭に乗って
魔法でひたすらに料理を焼くのを手伝ってくれた。
優しさが嬉しかった・・・・訛りが酷いけどね。
そうそう、ザッカリアのとっておきの酒は
なんとウイスキーだった。
最近、ローレゼリアで開発された酒だそうだ。
まだ流通量は極少なくて珍しいんだと自慢された。
懇意の商人に頼んで手に入れたそうだ。
値段を聞くと結構な額だ。
う~ん、輸送費込みでそんなに行くものなのかな?
原価を知ってるだけに微妙だ。
少しだけ舐めさせてもらったが味わいは深くて
アルコールの角も取れている。
そんなに経ってないのに懐かしく感じるぜ。
時期的に多分これ初期ロッドの一つだよな。
俺が手掛けた奴に違いない。
その商人はどうやって手に入れたんだろう。
手段は不明だがなかなかやるじゃねーか。
かなりの実力があるとみたね。
他にも振る舞っているが評判は良いようだ。
皆が買えば俺が儲かる。
うんうん、良き事かな。
最終的には宴会ではなく大宴会になり
食材と酒を大量消費し後日におばちゃんが
仕入れ業者から呆れられたのは仕方が無い話だろう。
そんな殺伐としながらもほっこりとした
期間が過ぎた頃にそれは訪れた。
「ミノル、付いて来い」
「はい、マスター
ちょっと待ってください・・・・ここをっと・・・」
研究室で破素魂さんに繋いだ魔道デバイスの
調整をしている時に声がかかる。
表示される値をみて上手く行った事を確認し
ちょっとだけ満足する。
「それで何処にいくので?」
ハレンさんの後を歩きながら問い掛ける。
「・・・ヴァース様の所だ」
返答する声は固い。
「何かあったので?」
「いや、呼ばれただけだ・・・・
だが・・・・いや・・・」
「何か不味い事でも?」
「いや・・・そうじゃないんだ・・・・
私の予想になってしまうが呼び出しが掛ったんだろう」
「え?」
「ヴァース様よりも更に上層部からの呼び出しだよ」
「でもヴァース様の上って亡くなられたのでは?」
「あぁだからさ・・・・呼び出したのは
更に上の・・・・多分・・・・魔王様だ」
へ?魔王?会うの?俺が?
実留、ついに魔王に遭遇する?!
実留君のスキルが増えましたが戦闘系スキルが
全く増えませんね!




