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3-16

夏休みも終了ですね。

暑いですが頑張りましょう。

一流の召喚術者の森山実留です。

やっぱり召喚術としては天使や悪魔を呼び出したり

今後ともよろしく的な展開が暑いですよね。

押掛で契約されたガチムキ天使しか呼べないですけどね。

でも!一応天使ですよ!

・・・・・・あれ?本当にあいつって天使か?!







ザッカリアとサリーにロズを紹介し

事情を説明した後に片づけの準備をする。


興奮冷めやらぬ2人を宥め透かし串焼きを作って

お茶を沸かし食事を取らせる。


俺は後片づけをしながらザッカリアとサリーには

事情を説明し話を通す事にする。


ロズは3階に居た事にするからだ。

この迷宮に3階以降があったり天使族が

常駐しているのがバレたら大問題だしな。

それに迷宮壁を削れるのも秘密にしておきたい。


食べたら少し落ち着いたようでスンナリと納得してくれた。

何だか2人には申し訳なさを感じるが気にしないでおこう。


一応、ロズ側から無闇に襲う事はないけど

手を出したらどうなるかはわからないよと釘は刺しておいた。

生物停止等の圧倒的な能力もあるから友好的にしておこうねって感じだ。

迷宮の外ではラバリオ曰く肉壁程度だけどな。


念の為、褒美と口封じを兼ねてロズから

武器のバージョンアップをして貰う事が出来た。

それぞれ品質が2ランクはアップしたようで物凄い喜んでいた。

それにしたって俺が以前使っていた短槍よりかはまだ低ランクだ。


ロズ・・・・ラバリオの力を使えてもその程度なのか・・・・。

何だが悲しくもあり複雑な気分となった。




簡単な別れをしロズを置いて迷宮を後にする。

壁は後で直しておくそうだ。


ボスに関しては


「適当に強い奴をボス部屋に押し込んどけば

 その内にボス化すんじゃね?

 駄目なら更に強いのを放り込んでいけば

 いつかは定着するっしょ」


そう言った時のロズの表情はかなり凄い物があった。

気が付けた喜びと気が付けなかった悔しさと

俺への更なる崇拝を感じた。


うぅ・・・・この先が不安だ。



迷宮を出ると日も高く登っていたので

村で一泊してから帰る事にした。


当初の予定を大幅に過ぎているのだ

もうどうとでもなれだ。


村には夕方前に辿り着いたので夕食までの空き時間を利用し

熊石が出ない間に狩りまくった時の大量の素材を買取してもらった。


これは結構な額になったのでザッカリアとサリーに

4割づつ渡し俺は2割とした。


なんか申し訳なくてね。


宿屋の部屋は空いていたので前回と同じ部屋になった。

精神的に疲れていたのかその日は水浴びをで埃を落とし

軽い食事をして直ぐに寝た。








《至近距離に魔力反応を察知》


夜中に急にキュイから警告が入る。



敵襲かっ?!



瞬時に目を覚ます。




「何やってんだよ!」


そこには俺の顔を覗き込むロズが居た。


「ミノル様の寝顔を見てました」


「あぁ、うん・・・そうか・・・・・

 じゃなくて!

 召喚してないのに如何して居るのさっ」


「それはもちろん私から扉を開けて

 お邪魔しましたわ」


「え?なにそれ?」


「必要な魔力を私が払えば扉を開けれますわ

 普通はそんな事をやる者は居ないでしょうけど」


「ふーん、そんな事も出来るんだ」


「えぇ、まぁこちら側から強引に扉を開けるので

 必要な魔力は増加してしまいますけどね」


「・・・・ロズの魔力量って低いんじゃないの?」


「私の魔力量は結構ありますわ

 同じ階級の者よりも多いのですよ」


「あれ?そうなの?

 ちなみに今回の召喚でどれくらい使ったの?」


「そうですわね・・・・通常召喚の3割増し位でしたから

 総量の1割弱と言った程度でしょうか」


「え?何?その馬鹿げた魔力量は?」


俺が通常召喚で半分はもってかれんだぞ?

それが割増なのに10%も行かないって・・・・化け物か!

いや、見た目だけなら十分に化け物なんだけどさ。


「へぇ~、ロズが凄いのは理解出来たよ

 ありがとうね」


「いえ、ミノル様のお役に立てるのでしたら

 この程度はお安いご用ですわ」


「あぁ・・うん、ありがとうね

 じゃぁ帰って」


「え?」


「寝るから帰って」


「え?」


「帰れよ」


「嫌です」


「か・え・り・な・さ・い!」


「い・や・で・す」


結局は駄々をこねて帰らないロズ相手に朝まで話し込む事となった。

知識豊富なロズとの会話は有意義ではあったし

睡眠をさほど必要としない俺の体なら問題はないのだが

こんな感じが続くのは避けたいとこだなぁ。


まぁ、何にせよロズの事が知れたのは有りがたいな。


ロズは魔力が少ないのではなく上手に使えないとの事だ。

魔力量はあるのに上手く変換出来ずに魔法として扱えない。

魔力を多く使う魔法は制御力が追い付かずに不発や暴発し

そうでもない魔法は魔力供給量が多すぎて制御しきれない。

なんとも可哀想なものだ。

但し肉体面を魔力で強化するのは得意だそうだ。

その結果がガチムキの体なんだけどさ・・・・。

肉弾戦が得意な天使ってイメージが良くないよなぁ。



朝方にロズが帰って行ったが寝る時間は無さそうなので

体を動かそうと外に出る。

宿屋の裏手が少し広い場所になっていたので

ストレッチから始めゆっくりと体の動作範囲を確かめていく。


ゴーレムの体になってからの日課にしているが

少しづつだが動作範囲も精度も上がってきている。

当初に比べると結構違う。


うんうん、良い感じだ。

汗は出ないが体を動かすのは気持ちが良いな。


動作確認を終えると短槍を構える。

これもゆっくりと体の動きを考えそして感じながら

確実に動かしていく。


単純に突く。

体の細部から穂先の動きまでを感じながら

無駄を無くし効率を考えいく。

ただ突くだけに没頭する。


1時間程経過した辺りで声が掛る。

ザッカリアも剣を持ってやってくる。

同じように運動のようだ。


両者共、無言で突き振り下ろす。

呼吸と空気を切る音だけが響く神聖な時間だ。


その後に水浴びをし着替えをし食事にする。

シンプルで美味しい朝ご飯だ。


その後は出発準備をしに部屋に戻る。

アリスにこっそりとご飯をあげるのも忘れない。



街道まで出ると業者の馬車に乗りあわせる事が出来た。

どうやらサリーの知り合いの商人らしい。


そこでも素材の売り買いが発生し

商人もホクホク顔だ。


そのまま何も無く町に帰ち着けた。

うん、平和がなによりだね。


2人はギルドで手続き等があるので途中で分かれ

俺だけ研究所に戻った。


最後の報告とかしなくて大丈夫なのかとは思うが

まぁ大丈夫なんだろうな。


俺がギルドに預けている金額がどうなっているかは

興味があるところだけど

今はまだ身ばれするわけにはいかないしなぁ。










「何やってるのよっ!」


うん平和じゃなかった。


研究所に帰るとハレンさんの説教タイムが始まった。

かれこれ30分は続けられている。

どうやら予定日数を大幅に過ぎても

連絡をよこさないのが駄目だったらしい。

もう絶賛激怒中だ。



あれ~?

サリーが経過報告してたはずだけどなぁ。

少なくともヴァースは知っていたはずなんだけど・・・・。

了承の旨の返信も来てたし。


むむ、ハレンさんってハブられてる?!



更に30分程が経過しやっと怒りは収まったようだ。


「で?どうしたってわけ?」


落ち着きを取り戻したハレンさんに

俺は順を追って説明していく。


熊石を取りに行くも出ないので狩り続けた事。

それでも出ないので迷宮に入った事。

そこで何故かボスを倒した事。

そして天使族に会った事。

何故かそれを召喚契約した事。


ザッカリアとサリーに話した事をそのまま伝える。

それをハレンさんは無言で聞いて行く。


「と言う訳で帰りが遅くなりました」


俺の説明が終わりハレンさんが放った言葉は


「何やってるのよっ!」


だった。

まぁ当然っちゃ当然か。

再度、落ち着くのを待った上で

ロズに関してはあまり友好的ではないので

扱いに注意した方が良いと念を押していく。


ハレンさんは神の技術って部分に物凄く興味を示していたが

あくまでもロズは連絡人に過ぎず技術知識は持っていない

と口を酸っぱくして伝えておく。


それにロズ自体に技術は無いとしても

神の技術に繋がる細い紐をあえて手放したりはしないだろう。

こうして匂わせておけばロズの事もそんなに

悪い扱いはしないはずだ・・・。


この人は技術の事になると見境がなくなるしな。

ここは良い様に利用させて貰った方が得だな。



ある程度の事情を呑み込めたハレンさんは

報告書を作り熊石を持って何処かに行った。


まぁ、何処かも何もなく報告だろうな。

俺は破素魂さんに繋がれて状態チェックだ。


久々に実験台兼寝床に横たわる。

この天井も久しぶりだな。


俺はそのまま眠くなり意識を手放した。

きっとハレンさんの小言が精神的に来たんだろう。








「何よこれ?!何でこんなに変化が早いの?

 それにここの構造とかは何?

 魔力変換率や伝導率も全然違うじゃない」


ハレンさんの声で目が覚めると

破素魂さんを見つめて唸っていた。

報告が終わり俺の状態をチェックをしているようだ。


「魔力貯蔵部分に関しては効率化は

 進んでもそれほど扱える量は増えていないわね

 それにしたってここの構造が変化するはずは

 ないのだけど・・・・あら?起きたわね


 ミノル・・・今回の作戦中に何か変な行動はとった?」


「いえ、特には」


「それにしてはねぇ・・・・」


「色々な物を食べて魔力原としたので

 それの影響では?」


「う~ん、その可能性が高いのだけど

 ミノルに実装している魔道デバイスは魔力生成のみの

 限定機能だからそこまでの影響はないはず・・・」


「限定された機能の中に該当するようなのは無いので?」


「あぁ、そうだな・・・・本来は命を自然に返す魔道デバイスなんだ

 生物だろうと鉱石だろうと内包している力を自然に戻して

 大地を豊かにすると言ったものなんだ

 流石にそれはとても大きなシステムになってしまったそうだよ

 私も一族に残された知識でしか知らないがね

 何処かの森を守るために作られたと記してあったのを覚えているよ」


そ・・・・それってハイエルフの神殿なんじゃ・・・・・。

あの神殿自体が魔道デバイスって事?

ドパール卿はんぱねー!

何者なんだよ。


「それから派生した技術でね

 機能を限定し小型化した魔道デバイスが各種作られたって訳だ

 ミノルに組み込んだのは魔力生成するタイプを

 私なりにアレンジした奴だ」


ふ~ん、あのゴミ処理場にそんな縁があるとはね。

どうやら世界各地にドパール卿の発明品があるようだし

それらを探してみるのも楽しいかもしれないな。


なんにしたって自由な立場を手に入れないとなぁ。

実里は無事なのかね。

この研究所内にはそこら辺の情報は出回ってないんだよね。

どうも意図的に隠されていると言うかね。


そこいらの情報を得る為にもある程度の自由は必要だ。





「さて、前置きが長くなったがミノルの現状把握は出来た

 魔道デバイスの改良をするとしよう」


「はーい」


「よし、行くぞっ!」


おもむろに俺の腹を掻っ捌くハレンさん。

ちょ、準備は?いきなりそこから?!


掻っ捌いた腹から臓器をズルズルと取り出し

ブチブチと接合部を外していく。


「うおぉぉぉぉぉ!痛い!痛いから!

 待って!ちょっとまってぇぇぇぇ!」


「ん?どうした?

 破素魂から魔力は外部供給してるから大丈夫だぞ

 あっはっは、安心してるがよい」


「違うの!痛いの!気持ち悪いのぉぉぉぉぉぉぉ」






あまりに咄嗟の事でキュイに痛覚レベルを落としてもらうのを忘れ

少しの間、悶絶するゴーレムだった。


ハレンさんが使う実験道具は実留君の

防御機構は反応しません。

ある意味、一番の天敵と言えますね。

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