3-11
ゴタゴタがあり帰省しておりました。
更新が遅れて申し訳ないです。
その時、カメラは幽霊を捉えたっ!
あっ、どうも森山実留です。
自分の目は人工物なのでカメラって言っても
良いかなと思いました。
普通の肉眼の方々も見えているようですけどね。
幽霊との初戦闘だっ。
そうワクワクしていた時期が確かにありました。
事前知識で物理攻撃が効かないとか
魔法じゃなきゃ駄目とか。
はたまた歌や聖水なんて話もありましたよね。
うん、魔力砲で1発でした。
しかも左手で更に低出力に調整してそれです。
調子に乗って色々と試してみたりしました。
武器が通じるかどうかや攻撃を食らってみるとかね。
確かに武器は通じ難いが攻撃も対した事無かった。
精神体の攻撃は魔法攻撃に近いようで
俺の体はレジストしちゃうっぽいんだよね。
囲まれて攻撃された時に
ちょっと寒気を感じるなぁとか
なんか怠さを感じるなぁ位だ。
それでもダメージが通るんだから
完全にレジストしてるのではないうぴだな
強い奴らからの攻撃は注意しておこう。
数々の実験と検証をした結果
物理攻撃は極端に効果が薄く魔力を使った攻撃が必要だ。
魔法や俺の魔力砲なんかがね。
それに武器に力を通わしても良いし魔法武器でも構わない。
最悪は肉体を使った格闘戦だ。
肉体には魔力が通っているのでそのままでも僅かに通じる。
魔力量が莫大であればそれだけでも効果は高まるし
肉体を強化出来ればなお上出来だ。
半透明で形は安定していなく生前の姿を保とうとするので
見た目が気持ち悪く精神衛生的には良くない。
下手したら状態異常になる事もありえるだろう。
そんな魔物なんだと割り切ってしまえば
どうという事はないけど
精神に干渉してくるのは精神体に良くある攻撃なんだそうだ。
これも格が上がればそれだけ強烈になるんだろう。
俺のスキルが通じるかも試したが
何と≪大声≫は少し効果があった。
大声って物理的な衝撃波だよな?
何で効くんだ?
・・・・まぁ効くなら良いか。
後は≪噛付き≫も効果がある。
ちゃんと噛みきれるんだ。
しかもそれは吸収できる。
謎だ・・・謎過ぎる。
なんにせよゴースト達が弱すぎるからなのかも
しれないので今後も検証は必要だという事だ。
ゴーストを齧る俺を見てザッカリアとサリーは引いてたけどな。
あっ、試作ナイフはサクサク切れました。
適当に振り回したらあっさりと霧散していきましたよ。
これがもう少し長さがあればなぁ。
「やつぱりこれは何かがあったようですね
可能性としては定着が一番高いかな」
「やっぱりそうだよな
ここにゴーストが出る話なんてなかったしな
居付きやがったか・・・・な」
「定着?居付く?」
「うん、ここみたいにボスと言うか
主が居ない迷宮っていうのは良くあるんだよ
そういう場合、大抵の迷宮は敵が弱かったり
階層が浅かったりするんだ」
「そうそう、そんな迷宮とかは
迷宮ギルドに登録はされるが
支部なんかは設置されたりはしねーんだ」
「でね、そこにある程度の強さを持った魔物がいた場合
迷宮に魅入られて更に強さを求めるようになるんだ
それを迷宮が主として認められると
ボスになったりするんだよね
そうなっちゃうと魔物の強さが上がったり
成長速度が速くなるんだよ」
「へぇ、迷宮が成長するのにボスが必要なんだ」
「迷宮が成長?」
「おっ、ミノルは迷宮についても何か知ってるのか?」
うお、普通に話したけどゴーレムが知ってる知識でもねーな。
今回の件で迷宮が近くにあるからと
事前にハレンさんに聞いたという事で誤魔化した。
その上で知ってる事を説明する。
重要そうな事はボカシしたが。
「なるほどなぁ、そんな区分けがあったのか」
「ではこの迷宮は自然発生して
成長するタイプという事でしょうかね」
「になるのかな?
成長するかはわからないけどね」
現時点では神の気配がするとは言わないでおこう。
多分、放置された迷宮なんだろうしな。
のちに神作成迷宮かの判断方法や
迷宮の成長条件等が判明し確立され
この迷宮分類方法は各国で標準となっていくが
それはまだまだ先の話となる。
ゴーストを蹴散らしながら進む一向。
ザッカリアも魔力を体に這わして殴る蹴るで倒していく。
あまり魔力の操作は得意ではない上に
殴った感触が無いのがイライラするとボヤいている。
サリーはホワイトと言う名の友達を召喚している。
種族は"カールヒュドラ"。
名前の通りに複数の頭を持つ蛇だ。
但し大きさはそれほどでもない。
サリーの首に巻き付き頭と肩にそれぞれの蛇頭を乗せ
その口からは魔法が連弾で吐き出される。
直接戦闘は駄目だが魔法戦闘専門だ。
ホワイトは愛情表現が深いのか絶えずどれかの頭がサリーの
顔をペロペロと舐めている。
うん、ちょっと気持ち悪いぞ。
話してみたら魔法知識が凄くて色々と話したら
俺の体に興味があるようでなんか好かれたようだ。
興味ってあくまでも構造的にですよ・・・・多分。
後半も残すところ最後の部屋を残すのみとなった。
そこまではゴーストが大量発生してた位で
他には何も無かった。
このゴースト達に追いやられたことにより
他の場所の魔物が多かったのだろう。
ではゴーストはなぜ発生したか?
それはこの部屋の中に答えがあるのだろう。
扉の中には魔物が居た。
他を威圧する威厳を持った巨大な魔物が。
ロックベアだ。
目的である魔物にやっと会えた。
「じゃぁ、ミノル君
後はよろしくね」
「おう、頑張れよ」
「へっ?」
「いやいや、本当にやらせんのかよ」
「うん、だって約束でしょ」
「おう、頑張れよ」
少しの間、押し問答した結果
結局は俺は1人で戦う事になった。
ふん、やってやるっつーの。
迷宮のボスと言っても3階如きに負けてらんねーっつうの。
俺は短槍を構え部屋中央に向かって走り込む。
相手は大幅強化されてると思って良いだろう。
走りながらも槍を肩に担ぎ投擲の準備をする。
一瞬、足を止め勢いを加味したまま
腕に力を籠めてロックベアの胴体に向け≪投擲≫を行う。
スキル補正も手伝って空気を切り裂きながら槍は飛んでいく。
それを追いかけるかのようにダッシュをする。
ロックベアは知性も向上しているのか
飛来する槍を認識し両腕をクロスし防御姿勢をとる。
ギャァイン
甲高い音がし派手に火花を散らしながら槍が弾かれる。
多分、穂先は駄目になっているだろう。
クロスした腕越しにロックベアの顔に嘲笑が浮かぶ。
明らかに此方を馬鹿にしてやがる。
間を置かずに左手の指先から魔力砲を連射する。
それを面倒だと言わんばかりに両手を使い弾いたり防御する。
相当に硬いな。
残り数歩で手が届く距離まで来た所で
右手から魔力砲を放つ。
出力は絞らずにロックベアを包み込まんばかりにだ。
体は耐えられても流石に眼や耳等の感覚器までは無理だろう。
先程よりも出力も高いし。
「グガァァァ」
見下していた奴に痛みを与えられ
ロックベアは腹の底から響くような咆哮を上げる。
両手を開き威嚇のポーズを取ろうとするが。
「もう遅い」
魔力砲の影響で十分に視力が戻っていなく
俺が更に接近していたのに気が付いてなかったのだろう
既に空中に躍り出てロックベアの目前まで迫っていた。
左手はアイテムボックスから取出した
試作ナイフを握りしめたまま突き出す。
サクっ。
殆ど何の抵抗も見せないままナイフは頭部に吸い込まれる。
念には念をという事で右の貫手で目玉を貫き魔力砲を連射する。
頭部を内部から破壊されたロックベアは体を痙攣させながら崩れ落ちる。
「ふぅ、終わった
さぁ剥ぎ取ろうぜ
こいつなら熊石もあるだろ」
俺は一仕事終えた笑顔で後ろを振り返る。
そこには呆れた顔をしたザッカリアとサリーが居た。
「だからそういう戦い方をすんなって
もうっとこうバチバチと正面からだなぁ
戦いをもっとこう楽しまないと」
「いやいや、戦いはシンプルに最短で終わらせないとね
ザッカリアじゃあるまいしボスになったロックベアと
正面からやりあえるほど俺は強くないよ」
「僕の見立てではミノル君は普通にやっても
倒せるレベルだと思うけどね」
「それは買いかぶりすぎだよ」
確かに装備が更に上等な物か
持てる手札を全部出せば正面からでも倒せるとは思うけどね。
「それよりもとっとと剥ごう
こいつなら他の素材も良さそうだしね」
3人掛かりで皮、爪、牙等をドンドンはぎ取って行く。
内蔵も使える部分は保存処理をした上で収納する。
その中にキラリとした塊を見つける。
拳位の大きさで不思議な光を放つ石だ。
「熊石ってこれの事かな?」
「あぁ、うん
それだね」
当初の予定を大幅に過ぎて迷宮攻略までして
見つけた熊石は何だか暖かみをもっていた。
・・・・・内蔵にあったんだから暖かいのは当然なんだけどさ。
あらかたの剥ぎ取りも終了し
魔物も出て来ないので肉を焼いて食べる事にする。
これがかなり美味い。
ロックベアの肉は地上でも食べたけど
やはり迷宮、しかもボスとなると味が段違いで違う。
濃厚な肉の味に油の甘み。
それなのにクドくはなく食べ飽きない。
久々に俺が料理した・・・・と言っても
単純に塩と香辛料を振って焼いただけだけど。
ザッカリアは分かるが食が細いサリーも
相当量を食べている事から
スキル効果は有効のようだ。
俺は軽く食事を取ると部屋を調べる事にした。
2人はまだモリモリと食事中だ。
あのままだとロツクベアを食べきりそうだな。
俺が作ると限界を超えて食べれるようになるんだろうか?
部屋は広いが装飾の類は何も無かった。
飾りも何もない室内だ。
部屋の中央には魔法陣らしきものがあるが今は起動していない。
ロックベアは迷宮のボスとして認められてものの
同化するまでには行っていなかったのだろう。
多分、復活はしない。
これが時間を掛ければ同化し倒されても時間で
復活するような存在になれたのにな。
今回のボスはゲームで言う所のイベントボスみたいもんか。
部屋の外周を注意深く探って行く。
ん~、やっぱり気になるな。
部屋の壁をぐるっと観察し終わり
2人に所に戻ると食事も終わりのんびりと茶を飲んでいた。
「ミノル君、何かありましたか?
僕が軽く調べた感じでは特段何も
見つけられなかったのだけど」
「サリーに分らないもんは
俺にはお手上げだ
出番はねーぜ」
お腹一杯で満足そうな2人はあまり興味が
なさそうな感じだ。
でも俺はそこに爆弾を投げかける。
「この迷宮はまだ先があるよ」
俺の感覚はこの先があると告げていた。
迷宮の隠されたエリア・・・・燃えますね。




