3-10
暑いですね~。
外気温が40℃を超えるって・・・・・。
またもや迷宮に潜っている森山実留です。
迷宮は良いですよ~、ヒンヤリしてて。
場所によっては暑かったり寒かったり臭かったりしますけどね。
この体って水没したらどうなるのでしょうか?
呼吸の代わりに水を永遠に飲み続ければ
魔力は維持できるはず・・・・まさか水陸両用なのかっ!
3階には魔力の他に微かに何かの余韻を感じる。
力の残滓と言うか香りと言うか。
迷宮に入ってから何となく感じていた事が
ここは多分、ラバリオの作った迷宮だ。
少なくとも関わっているとは思う。
微妙ながら俺の身体能力が向上してたのは
それらが理由なのかもしれない。
そうは言っても3階までしかなく
開かない扉等も確認されていないので
手を離れて久しいのだろう。
会えるかと思っていたのに残念だ。
それよりも今はロックベアだ。
この階に居てくれることを願おう。
3階からは作戦を変更しサリーが主力で進む事になった。
ハッキリ言えばザッカリアが飽きたんだ。
サリーの友達のレッド、ブルー、イエロー、ピンクを
呼び出してレッドとブルーを前衛に。
イエローとピンクを後衛にした。
どうみても魔物に囲まれてるとしか思えない図だ。
オークは剣をゴブリンは槍を使う。
イエローは弓でピンクはハンマーだ。
サリーは戦闘には参加せずに指示を出し
連携の取れた動きで敵を確実に追い込んで行く。
1人で小隊組めるんじゃねーか。
凄いな。
ザッカリアに聞くと同時に4体も召喚してる事は凄い事で
豊富な魔力と優れた制御力があって可能となる。
通常は2体程度だそうだ。
そうは言ってもサリーが直接戦闘する場合は
3匹が限度なのだとか。
4匹以上は戦闘指揮を執る事で制御を可能としている。
最大で6匹まで召喚可能だと言うから凄い。
召喚術使えるはサリーしか知らないから
凄いのかどうかは正直わからないのだけどね。
サリー食べたら召喚術が使えるようになるのかな・・・・。
ジュル。
3階は敵がグッと強くなり量も多い。
それでも俺達にとっては大した脅威にはならなかった。
2階よりも行進速度は落ちたものの危なげも無く進んで行く。
彼女達は・・・・・彼女?で・・・いいのかな?
まぁいいや。
彼女達はサリーの事を心から愛しているのか
指示通りに動くことを身上としているようだ。
ただ、サリーの指示は効率を求めていて
彼女たちの身を最優先に考えてるわけでもないようで
怪我をも厭わない指示を出してる。
指示通りに動いたら甘い言葉と態度で癒す。
こえぇ、サリーこえぇよ。
戦闘も見張りもサリーと彼女達が担当してくれるので
俺とザッカリアは非常に楽だ。
気を緩める事はしないが余裕は随分とある。
なんとなく今迄聞けなかった事を聞いてみる事にする。
「そう言えばさこの組織ってどんななの?」
「はっ?ミノル・・・・何言ってんだ?」
「いや、研究組織だとは思うんだけど
マスターからは何も聞いてないんだよ
ゴーレムとしては変かもしれないけど
知っておきたくてさ」
「はは、相変わらずだな
面白い人形だよ
まぁミノルにとっては褒め言葉じゃないかも
しんねーがな
いいぜ、俺が話せる範囲で良ければ教えてやる」
相変わらずザッカリアは気さくで良い奴だ。
サリーに言わせると昨日の敵は今日の友なんだそうだ。
仲良くなる前提がバトルって異常だろ。
ちなみにサリーも戦ったことがあるらしく
6対1でも引き分けがやっとだったらしい。
どんだけだって話だよ。
魔王領と言っても派閥が幾つかあるそうだ。
例えば以下のように分類される。
魔王派かそうじゃないか。
穏健派かそうじゃないか。
戦争派かそうじゃないか。
魔王領は世間で言われてるほど一枚岩じゃない。
むしろ派閥や種族毎で独自で行動しバラバラだ。
あくまでも最大派閥が魔王派と言うだけで
他にも勢力は沢山いるのだ。
その魔王派内でも色々と派があるそうだ。
総じて魔族と呼ばれる者達は強いかどうかが基準になり
強ければ従うし弱ければ何をされても仕方が無い。
そんな弱肉強食がまかり通る国だ。
全魔族がそうだとは限らないし
魔族以外にも沢山の種族がいるけどね。
うん、面倒だぞ。
そんな中で国の代表となる魔王ってどんだけ強いんだよ。
更にそれに対抗する派閥も相当強いって事だろ?
俺なんてゴミみたいな存在だろうな。
多分、正攻法だとヴァースどころかザッカリアにも勝てそうもないし。
ミリナリスは研究機関では無く魔王派の1組織だ。
その中でも"魔族とは強くあるべし"を掲げる武闘派で
戦争に対しては中立の立場だそうだ。
あくまでも強さを追い求めるだけと
言うのがなんとも中途半端な感じを受ける。
それでも戦争否定派ではないのでヤル時はヤル。
命令があれば出撃するし攻撃されたら迎撃する。
それでもあえて戦争を仕掛けたいとは考えない。
魔王派の中でも大き目の派閥らしい。
その中の研究機関の一つで俺が誕生したってわけだ。
そこに所属している戦闘要員がザッカリアとサリーとなる。
研究機関とは言っても素材集めや情報収集は必要だし
たまに襲撃等もあるので戦力は重要らしい。
研究成果の確認にも必要だしね。
この前の模擬戦もそれに当たる。
他にも何名かいるようだが名前は教えてくれなかった。
会える時が来ればわかると。
多分、諜報活動とかで名前を出せない奴らもいるんだろうなと
勝手に予想しておく。
研究は幾つかのチームに分かれており
それぞれのリーダーがハレンさんであり神代となる。
基本的にはリーダー任せだが
チームが複数あるので管理者として何名かいる。
ヴァースもその1人だ。
現在は更に上の幹部の1人が殺されたと言う事でゴタついている。
ザッカリアに聞けたのはコレくらいだ。
ここでも言えない。
その幹部を倒したのが俺だという事は・・・。
言っても信用しないと思うけどね。
そういや≪転生強制認識(任意)≫って
見知らぬ人に使ったらどうなるんだろ。
この2人に試してみようとは思わないけどさ。
この迷宮は各階も広さはあまり変わらない。
作りにおいては1階はシンプル、2階は部屋多めで
3階は前半分と後半分で作りが違う。
前半は部屋数が少なく基盤の様に規則正しい作り。
後半は通路が1本化する。
最後には部屋があるらしいがボスは不在。
構造から考えるに何かの意図があるのは間違いなく
最後の部屋にもボスが居るはずなのだが
何の仕掛けもボスも無く魔物の数も多いが弱い。
なんつうか本当に素材目当て位しか
来る必要のない迷宮だ。
しかも全ての階で出てくる魔物が一緒の為
素材なら1階で事足りる。
この程度の魔力濃度であれば1階でも3階でも
品質に変化はあまり無いからだ。
厳密に言えば確かに3階の方が高品質なのだが
手間と危険度を考えると割に合わないだろう。
魔物の数だけは居るので経験稼ぎにも良いかもしれない。
中級者以上だと旨味も薄れるし此処に来るなら
もっと別の迷宮に行く方が良いだろうが。
「それにしても数が多いですね
最近は誰も来ていなかったのでしょうか」
「そういやそうだな
資料を読む限りでは数は多かったはずだが
ここまで多くなかったハズだ
タゴ村での話もそこまでじゃなかったんだがな」
「何か変化があったのかな?
それとも長期間誰も来てないのか」
「一応、迷宮ギルドも管理してて定期的に
来てると思うから長期間放置はねぇ」
「となるとやっぱり何か変化が?」
「最後まで行ってみれば変化が
あるか無いかもわかるだろうさ」
「それもそうだね
そういや迷宮ギルドとか冒険者ギルドって
魔王領にもあるの?」
「おう、あるぞ
と言うかあそこらへんのギルドは大抵の国にある
俺らも登録済だな」
「随分な規模なんだね」
「まぁな、ギルドっつうのはよ
土地を持たない国みたいなもんよ
支部単位で色も結構違うから何処も同じとは
言えない部分もあるけどな
何にせよ登録しとけば他国でもある程度は身分証として
通じるから便利ではあるな
それに小金稼ぎも出来るしな
実は今回も魔物討伐依頼を受けてきてるんで
一石二鳥って奴だ」
豪快に笑うザッカリアとを見て苦笑してるサリーも
間違いなく同じことをやってるんだろう。
規律が緩い組織だなおい。
前半の終わりに近くなると違和感が強くなる。
魔物の数が半端ないのだ。
ひっきりなしに襲ってくると言っても良い。
サリーも一旦、彼女達を戻し
3人で進む事にした。
数は多いがそれだけなので
捌きながら進んで行く。
「そろそろ前半も終わりですかね」
「あぁ、そうだな
この分じゃ後半も面倒な気がするな」
「もう諦めて引き返す?」
「いやです」
「いやだな」
「だよね」
軽口を叩きながら剣を振りおろし
短剣で掻き切り槍で突いていく。
魔力補充の為に偶に魔物の切れ端を
食べて行くのも忘れない。
この体になって≪捕食者≫と≪魂吸収≫が
どれくらいの効果を及ぼしているのかは不明だが
体の動きがスムーズになって行くのはわかる。
イメージに動きが近くなってきている。
内部構造も変化しているんだろうか。
確認したいが解剖されるのは嫌だしなぁ。
待て・・・・自分で腹を割って見るのは可能か?
痛みも抑えてしまえば・・・・・・いやいや、この考えは危険だ。
何かこう色々と思いつく事はあるが実行するにはゾッとしないな。
前半を抜けるとバタっと魔物が出て来なくなった。
薄ら寒い感じがする位に何も出て来ない。
なんか嫌な予感がする・・・・よね。
《魔力感知に反応あり前方より2体が
こちらに向かって移動中》
キュイが反応する。
むむ?前方?俺にはまだ分らないが・・・・おっ、来た。
やっぱりキュイの方が反応範囲が上か。
俺の範囲だってそう狭くは無いから問題ないけどな。
それよりもこの反応はなんだ?
力の塊は感じるのに薄いとか言うか
ハッキリしないと言うか・・・・。
「前から来るよ・・・・面倒くさいのがね」
「マジかよ、俺じゃ出番無しの奴か?」
「多分ね、僕もホワイトを出すしかないね」
「あちゃー、こんなとこに出るとはなぁ」
「前から来る2匹?」
「そうそう、ミノル君も分るんだね
僕は数までは分らなかったのに凄いなぁ」
「流石は高性能って謳い文句だけはあるな
そんな訳で俺はあんまし戦力にならん
ちょいと今の武器じゃ役不足だ」
「ところで何が来るの?」
「うん、幽霊だね」
・・・・えっ?幽霊?
ふわぁ
前方からの肌寒い空気を感じると
フワフワと半透明の何かが此方に向かってくる。
マジかっ!幽霊だ!
「あれがそうだね
多分、ゴーストと言われる者達だよ」
人造生命 VS 幽霊の戦いの幕が切って落とされるっ!
実留君は少しづつですが強くなってます。
それ以上に強い奴がゴロゴロしてますけどね。




