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ユニークアクセスが55000を超えました。
ありがとうございます。
ゴーレムに生まれて気が付いたことが幾つかあります。
まず御通じが無いのでトイレ休憩が不要です。
食べる事もまぁ必要ないので食事が不要です。
寝る事もあまり必要ないので睡眠が不要です。
これはオンラインゲーム向いている体なのではっ!
あっ、すいませんテンションが上がり過ぎてしまいました、
この話の主人公の森山実留です。
まぁ今の生活がオンラインゲームそのものっぽいですけどね。
奥地に入り込んでから2日が経過し
各種魔物の食材や素材は大量に集まってきた。
それでも肝心のロツクベアの宝石が出ない。
まぁ宝石と言っても食べた鉱石の成分が
集まって結晶化した物だ。
通称、熊石と呼ばれている。
既に15体以上倒したのに出ない。
当初の予定では2日程度で入手できるはずだったのだが
出なければ出るまで狩り続けるまでだ。
ザッカリアはそう笑っていた。
サリーも新しい友達を手に入れたからご機嫌だ。
種族はクラントロール。
緑色で大きい体をしている。
女性・・・メスなので胸と腰に革製のボロボロの防具を身に纏い
見た目は非常によろしくない。
もちろん比喩でも何でもなく本当に醜悪だ。
胸と尻はデカいが腹もデカい。
顔はギリギリ亜人なのか?と思える作り。
名前は"ピンク"になった。
せめてグリーンを譲ってやれよ!
それにしてもピンクを友達にした時のサリーは恐ろしかったなぁ・・・・。
「うらぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁっ!」
物凄い形相で体に魔力を纏わせながら
サリーの拳がクラントロールの腹にめり込む。
「ゴフゥ・・・・・ウゲェ」
ビチャビチャと胃液を吐き出すのを横目に
背中に回り更に拳を叩きこむ。
執拗に攻撃を繰り返し弱らしていく。
背中、腹、喉、後頭部と的確に拳を打ち込こむ。
それでも顔だけは狙わないのは何かのルールがあるんだろうか。
クラントロールの体力が切れ立つ事も出来なくなり
這いつくばるとサリーは笑顔で顔の側に膝を突く。
そこからは今迄と違い打って変わって甘い言葉を囁き続ける。
偶に背中に拳を見舞う事も忘れない。
続ける事、数時間。
最終的には甘い言葉と暴力に心が壊れたクラントロールは
サリーの手に落ちた。
最後に囁いた言葉は
"あぁ、君は何て美しいんだ
もう僕は君が居ないと生きて行けない
心から愛しているよ"
だった。
俺の知ってる召喚獣契約とは何か違うっ!
こえーよ。
ヤクザかよ。
その間、俺とザッカリアは獲物を取って食事をしたり
戦闘術を教わったりしていた。
うん有意義な時間だ。
「熊石でねーなぁ」
「うん、出ないねぇ
そんなにレアなの?」
「そうだね、レアと言えばそうなんだけど
そこまで珍しい物でもないからね
運が悪い・・・って事になるのかな」
ふ~む、場所を変えてみるか。
今の場所に野営地を設けてから2日間で
狩りまくったのでロックベアも見かけなくなってきた。
奴ら単独行動するから探すのが面倒なんだよな。
群れてくれるなら一掃出来るから楽なのに。
それから移動して狩り。
また2日経って移動、そして狩り。
ロックベアの狩猟数は既に50を超えた。
それでも熊石は出て来ない。
そもそも熊石とはなんぞ?
鉱石を食べたロックベアの体内で
魔力に反応する成分が徐々に集まってある程度の大きさになり
更に魔力を浴びた事により結晶化されると言うのだ。
魔力濃度が高い魔王領だからこそと言えるだろう。
他の国でも取れるらしいが小さいか滅多に見かけない。
そこで俺は1つの疑問を口に出す。
「魔力が濃い方が良いなら迷宮の方が濃いんじゃね?
何匹かは紛れ込んでるかもしれないし」
「ロックベアは鉱石も食べるけど雑食だからね
迷宮に入る前に熊石の原石でも出来てれば可能性はあるね」
「なに、このままじゃ出ない流れだ
気分転換に迷宮散歩と行こうじゃないか」
3人共気分が滅入っていたんだろう。
流れを変える為に迷宮に入る事にする。
そこから半日程移動し
翌日、3人は迷宮の入り口に立った。
そこは少し高くなっていた丘のような場所で
ストーンヘンジのような大石がある。
そこの陰になっている部分に迷宮の入り口はあった。
入口はなだらかな坂になっていて綺麗なものだ。
見た目とか雰囲気は良いな。
これで迷宮自体がもっと有益であれば名所にもなり
ここに村や町が出来たかもしれないのにね。
迷宮の中はやはり魔力が濃い。
これならば期待できるはずだ。
通路の横幅はそこそこあるが
全員が並べる程ではないので
先頭をザッカリアに真ん中をサリーで後ろが俺だ。
事前情報の通りで迷宮の難易度は高く無かった。
ここしばらく誰も訪れなかったのか魔物は多く
戦闘の連続ではあるものの魔物は強くない。
外よりも強化されているとは言え元々が
そこまで強くないので俺達にとっては雑魚だ。
ザッカリアが笑いながら突き進み
サリーと俺で使えそうな素材を集めて行くのが
基本的な進み方となった。
1階を隅々まで探索したがロックベアは発見できず
魔物素材だけが大量に溜まる事になった。
今迄の換金したら凄い事になるだろうけど
魔王領にもギルドとかあるのかね。
さて2階に降りるかと言う所で多少の疲れもあり
1階で野営をする事にする。
階段の前にあった小部屋に結界を張り安全を確保。
結界はサリーが張ってくれた。
この人は何でも出来るんだなぁ。
ピンクの件からちょっと怖いけど。
食事は簡単な保存食。
サリーは亜人だが魔族の血も入っているので
食事はそれほど多く必要としないそうだ。
ザッカリアは豪快に飲み食いするタイプだが
野営中に無理をいう訳ではなく
質素な食事でも良いらしい。
量は必要みたいだけど。
迷宮の中なので昼夜は関係が無く
体力回復が目的なのでさっさと寝る事にする。
「俺は寝なくても平気だから
2人は寝ちゃって良いよ」
「おう、悪いな」
「うん、ミノル君頼むね」
呆気ない程の気楽さでとっとと寝に入る。
食べれるときに食べ寝れるときに寝る。
経験からくるものなんだろうな。
2人が寝たのを確認しキュイと現状確認する。
やはり魔力吸収率が上がっているようだが
貯蔵魔力量も微々たるものだが増えている。
俺が現在使える魔力は
貯蔵魔力、内魔力、外魔力がある。
容量は 内 > 貯蔵 となる。
外魔力は吸い続けれるという点から
無制限と言えるかもしれない。
今は吸収率悪いけどね。
出力は 貯蔵 > 内 > 外 となる。
これは魔力を体の動力とする場合
馴染みやすいか如何かになる。
貯蔵魔力を作る際に何かしらの変化が
あるからだと予想される。
次点では内魔力だ。
これも体内から出ると考えると分かり易い。
外魔力は吸収したのを直に扱うので
効率が悪いようだ。
混合した場合の出力は
貯蔵 & 内 & 外 が一番高い。
三種混合ってやつだね。
貯蔵 & 外 の組合せだけは混合出来ないのは謎だ。
生命活動だけであればギリギリで
外魔力を吸えてれば問題はない。
俺の体から全ての魔力が無くなったらどうなるんだろうか?
死ぬのか仮死状態なのか・・・・ふむ。
キュイに熟練度アップの為にスキルの自動発動を任せた。
たとえ数時間でも積み重ねは大事だよね。
3時間程の休憩の後に探索を再度開始。
素材はかなりの量があるのでガンガン行こうぜに作戦を変更。
2階も1階と比べて大差は無い。
作りもシンプルだし敵の種類も変わらない。
少し強くなっているし数も多いが
影響が出る範囲ではない。
相変わらずザッカリアが笑いと共に突き進む。
倒した魔物は部位証明以外はそのままにしてあるので
通った後は血生臭い事になっている。
その内に迷宮に取り込まれて綺麗になるんだろうけどさ。
行進速度を上げたので2階の探索はそれほど掛らずに終了した。
3階に降りる前に小休憩を取る事にした。
「それにしても歯ごたえが無いな
数が多いから多数戦の訓練にはなるが
それにしたって弱すぎるだろ」
「まぁ、ここは敵も弱くて
地元の人か素材や食料を取りに来るか
駆出しの冒険者が経験稼ぎに
来るような迷宮ですからね」
「まだ3階もあるから居ないって
決まった訳でもないしさ」
「まぁ気分転換にはなるな」
「えぇ、素材も大量にありますから
迷宮を出たら食事は豪勢にしましょう」
「そう言えば今回は俺の性能試験も兼ねてるんじゃないの?
迷宮に入ってから主にザッカリアが戦ってるんだけど」
「ははは、ここの敵じゃミノルの相手にならんだろ
それに俺もスッキリしたいしな」
「3階にロックベアが居たらミノル君に頼みますよ」
「なんというか適当だねぇ」
「おうおう、褒めんなよ」
「褒めてないからね」
そんな下らない会話が出来るのも
余裕があるからなんだろう。
この2人が本気になったらどれだけなんだろうな。
怪我はしていないので
簡単な食事と武器の手入れ防具のチェックを行う。
小休憩後に3階に下るとまた少し魔力が濃密になる。
やはりそうか・・・・。
俺はこの階に来て確信を得る。
間違いない。
ここはラバリオの迷宮だ。
サリーが怖いよぉ




