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来週は少し更新が遅れるかもしれません。
最新鋭モデルの体をGETした森山実留です。
無料でマッシーンのボディを手に入れました。
しかもパッと見は生身と全然区別が付かないんだぜ。
やったよお母さん。
BUSAIKUな上に寿命なんかは不明ですけどね。
物凄く落ち込んでるハレンを見ながら
少し罪悪感を感じる。
明確な調整が出来る訳ではないので
漠然と感じるモノをザックリと半分以下にしただけだから
現在、破素魂さんに表示されている値も半分以下になっているはずだ。
神の加護も付けているが相当低いランクになってると思う。
流石に有る物を無いとするのはバレた時に問題になりそうなんで
抑えれるだけ抑えるに留めといた。
何神になってるかは不明だがきっとスキルが
自動判定でもしてくれているのだろう。
ステータスって表示されないんじゃないかという疑問に思ったが
破素魂さんに繋がないと見れないし
そもそも他の人のステータスが確認出来ないので
比較出来るわけではないので問題なしとされたんだろうか。
相変わらずの神基準での判断なんだろう。
ちなみに隠蔽は概ねこんな感じって割合で誤魔化すので
正確に隠蔽できるわけじゃないのが微妙だ。
「マスター、落ち込んでるけど
俺って能力低いの?」
「あぁ、うん・・・そうだな
私が今まで作ってきたゴーレムの中では
特段目立った能力ではないな
全体的に高目ではあるがね
ゴーレムに神の加護も付いているのが珍しいが
ありえない話でもない上に
それもこのランクではな・・・」
半分以下の出力で高目なのかよ。
実際の能力がわかったら何されるかわからないから怖いな。
それにしたって全力出したら逆接続の回路がどうなるかはわからないけど。
「それにしてもミノルは
落ち着いていると言うか冷静と言うか
随分と精神が安定しているな
それに常識が備わっているようだが・・・・」
そりゃそうか。
人工知性と言うからには無からのスタートなのに
普通に会話できるわ何も驚かないわじゃ怪しむのは当然か。
しどろもどろになりつつ何とか言い訳を出す。
「私の中の力ある者に一般知識を共有して頂けたので
通常の会話程度や通常行動であれば問題ありません
流石はマスターです」
「ふふ、そうね
流石は我が一族に伝わる魔道デバイス"緋緒"ね」
緋諸?秘書?ひしょ?
「緋諸とは?」
「人工知性を作る際に副産物で作成された物ね
特殊な儀式で魔核水晶に精霊を封じ込めて力を引き出そうとしたの
但し、人格が安定しなく暴走する事もあるし
封じ込めた精霊の魔力が枯渇すると水晶毎砕けてしまうの
その為、主としては使えないけど貴方の補助として使ったのよ
今回のは一族に伝わる緋諸の中でも相当の上物だから
使用しないでも済むなら使いたくなかったのよね
それでも起動の助けになっているのなら使った甲斐はあったわ」
おお、この人すげーな。
それにこいつは緋諸って言うのか。
ひしょ・・・・秘書ねぇ・・・・うん響きは良いな。
こっそりと心の中で問い掛けてみる。
【お前って緋諸っていうの?】
《正確には魔道デバイス"緋諸"に宿る電子精霊です
製造番号No 091です》
【名前はないのか?】
《固有名称は登録されていません》
【そうか・・・・数字で呼ぶのもなんだしな
091・・・・・・キュイはどうだ?】
《固有名称を"キュイ"で登録します》
【よろしくな
それにしてもお前を作ったハレンさんは凄いな】
《否、私を作られたのはドパール卿です》
【ドパール卿?ハレンさんじゃないの?】
《私はドパール卿の手により約300年程前に作成されました》
キュイの説明ではドパール卿とはジャパネス族の中でも
かなりの有力者で更には優秀な科学者だ。
特に魔道デバイスの開発に狂気とも言える天才ぶりを発揮したんだそうだ。
200年前程に消息が掴めなくなり死んだとされている。
それらの情報を入手する際にキュイと色々話してみたが
基本的には質疑応答となり雑談の様なモノは発生しなかった。
むぅ、アリスとはまた違ったタイプだな。
もっと機械的な感じと言うかAIなのだろうか。
それにしても緋諸を作ったのはハレンさんじゃないのか。
ちょいとカマかけてみよう。
「マスターが作ったこの体や緋諸は素晴らしいですね」
「いや、私が作ったのではないよ
私がやった事はあくまでも一族が培ってきた技術と
魔道デバイスを纏め上げて一つの形にしたに過ぎない」
「なるほど、祖先の英知を理解し利用し発展させたと」
「いや、ある程度は理解したが
正直な所、半分以上は不明な点が多いな」
「ん?どういう事?」
「ミノルの体も緋諸も破素魂も使えはするが
仕組みを全て理解してるわけじゃないって事だよ」
「なっ、なんだってーーーー!」
結局の所、魔道デバイスの数々や俺の体なんかは
先達(主にドパール卿)の遺産らしい。
誰も理解できない上に先の大戦で資料も紛失してしまい
活用も出来ずに倉庫の肥しになっていた状態だった。
それをハレンが見つけ譲り受けて今に至るそうだ。
簡単に言おう。
俺が何故動いているかの詳細は不明ってこった。
・・・・・不安どころの話じゃねーぞ。
おいおい俺やっていけるのかよ。
このハレンさん。
きっと勉強は凄く出来る人なんだろう。
真面目だしプライドもあるんだろう。
ただ、アホだ。
いや、アホと言うよりかは
何かが抜けているのか足りないのか。
ピースが幾つか足りないように思える。
それが現在の俺の評価だな。
今後に期待しよう。
少なくとも俺の体についての一番の理解者だし
ずば抜けた知識を持っているのは間違いない。
その日は簡単な動作確認で修了した。
妙に精神的に疲れるのは何故なのだろうか。
肉体的な疲れも少しある。
ゴーレムってそんなもの?
翌日は各部の詳細な動作確認を行った。
そこで色々と分った事がある。
当たり前の事だが俺の体は魔力で駆動している。
魔力があれば元気に動けるし無くなれば疲れる。
どうやら昨日の疲れはそこらが原因だったようだ。
起動したばかりで魔力貯蔵量が低かったのも要因の一つだ。
ハレンさんの説明では普通のゴーレムは
外部から魔力補給をしないと動かない。
神核水晶のような物を使ったり魔力濃度が非常に濃い場所だったりだ。
長期間の行動には何かしらの補給方法が必要となる。
または強大な魔力を保存して低燃費で動かすかだ。
そもそもゴーレムの存在価値とはなんぞ?
この答えを考えればわかりやすいかもしれない。
攻撃や防御の要員。
荷物持ちなんかの小間使い。
要所の守護役。
そんな感じだろう。
一時的な使い捨てとしての使用。
魔力供給が容易な状況での使用。
魔力濃度が濃い場所等での使用。
ここらへんが一般的なゴーレムの運用方法だ。
それに比べて俺の開発目的が
"戦闘も出来て小間使いも出来て潜入捜査もお手の物"
というものらしい。
ハレンさん心の声に言い換えれば
"遺産を使って高性能ゴーレムを作る事自体が
目的だが組織に突っ込まれると
困るからとりあえず理由をデッチあげました
だから高性能じゃないと駄目なの"
との事だ。
いや、そんな事言われてもねぇ。
潜入捜査させるのにブサイクってどういう了見だ?!
よくこの外見で許可が出やがったな。
その為に俺は自律行動が求められていて
魔力供給方法には画期的な
システムが付いている。
それは食事だ。
これはとても凄い事なんだが俺は物が食べられる。
食べた物を魔力に変換する機能が備わっているんだ。
但し、貯蔵できる魔力量はそんなに多くない。
小まめな食事で蓄える事が大事だ。
正直、固形物なら何でも良いので最悪土でも石でも食えと言われた。
呼吸をしてても少しだが溜められる。
なんにせよこれで長期間の自律行動が可能となった。
これは物凄く画期的な事だ。
「凄いですね!どのような原理なんです?」
「あぁ、物質をだな細かくしてだな
それを魔力に変換し溜めておくんだ」
「つまりは?」
「ドパール卿の作品を組み込んだ」
ですよね~。
かなりアバウトな説明でしたもん。
貯蔵魔力以外にも自分の魔力も使用できる。
俺の魔力は神の制限解除と≪捕食者≫のおかげで
ちょっとした量になってるので
あまり目立ちたくないのでハレンさんには誤魔化した。
魔力とは魂から生み出される力。
つまり俺は人工知性と言われても魂がある事の証拠なので
これも無かった事には出来なかった。
まぁ実験としては成功の証なんだけどね。
スキルによる外魔力の使用も確認できた。
ただし魔力吸収の効率が著しく悪い。
それと言うのも俺の体の構造に起因しているようで
体の中と外で魔力のやり取りが出来ないんだ。
圧倒的な魔法防御力は己の魔力すら放出も出来ず
外からの吸収も出来ないって訳だ。
外部との接点は口からの呼吸のみだ。
そこでの取り込む事は可能となっている。
何故か鼻からは出来なかった・・・・嗅覚はあるのに・・・・適当だなぁ。
魔力混合を行いたいが内魔力以外が少なすぎて
あまり効率が見込めない。
これで爆発的な魔力強化は難しくなった。
むふぅ、スキルが微妙な感じになっちゃうなぁ。
スキル運用については少しづつ検証していくしかない。
俺の体は人体を模して作ってあるようで
稼動箇所も人体に近い作りをしている。
痛覚や触覚もある。
感度は変更できたので試しに一番過敏にすると物凄い衝撃を受けた。
トラウマになりそうなレベルだったので少し痛みには鈍い程度の設定とした。
痛覚は体の異常を示すサインだし全く無いのも困るからね。
これはキュイに言えば変更可能なのだが今後に操作する事は殆どないだろう。
詳細な動作確認をしていくと
これまた疲れが出てきたので終了となった。
やはり魔力量が少ないのがネックだ。
今は内魔力でカバーしているが明らかに回復が追いついていない。
食事もしてないので貯蔵魔力も少ないしな。
同じ部屋には絶えずハレンさんが居るのでアリスを呼べない。
この人、トイレや食事はどうしてるんだろうか?
魔族は食事をあまり必要としないので
特段問題はなさそうなんだけどな。
俺もそうして欲しかったなぁ。
翌日は戦闘確認となった。
組織の兵士との戦闘を命じられた。
「今回は戦闘能力を測る
実力ある若手の兵士が相手だ
訓練用の剣に変えてもらい手加減もしてもらうが
何せ最初だ、十分に注意しろよ」
「了解だ、マスター」
ハレンさんからの注意事項を聞きながら
各部の状態を確認する。
【キュイ、各部の状況はどうだ?】
《動作は問題ありません
魔力貯蔵量も90%を超えています》
よしよし、流石にご飯を食べた後は違うな。
まぁ、変なドロドロとしたやたらと酸っぱい緑の液体を
をご飯と言うかが謎だがね。
確認した魔力量も俺の感覚とズレは無い。
俺は数ある武器から短槍を選ぶ。
使い方はキュイに聞いたと伝えたら簡単に信用しやがった。
ハレンさん・・・・どんだけだよ。
舞台である少し広めの室内闘技場の中央に進む。
そこには既に1人の人物が待っていた。
若手の兵士と言っても体は明らかにデカイ。
縦にも横にもデカイ、そして太い。
腕なんか俺の胴回りよりも太い。
体は綺麗な青みが掛かった鱗で覆われ尻尾も生えている。
背中には飛べるかわからないが小さめの羽が
折り畳まれているのも見える。
顔は蜥蜴をより怖くした感じだ。
俗に居る竜人種と思われる。
「俺は人形と戦うために強くなったのではないのだがな
命令とあれば仕方が無い」
そう言って訓練用の剣を構える。
こちらも同じく短槍を構え挨拶をする。
双方共に防具は付けていない。
動きを阻害しない服だけだ。
「まだ生まれて数日ですが宜しくお願いします」
「はは、礼儀正しい人形だな
戦いは好きだからな
こんな余興もたまには良いもんさ
最初は譲ってやる
来なっ!」
ゴーレム体での初めての戦闘が開始される。
さて、実留君の実力は如何にっ!




