表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/254

3-2

お気に入り件数とアクセス数が伸びてますね・・・。

なんでだろ?

ゴーレムに生まれ変わった森山実留です。

皆、憧れのゴーレムですよっ!

力強く硬くて重い。

いやぁ、男の憧れ重機と同じですね。

つまりゴーレムは男の憧れって事で良いですよね。





しばらくすると動く事が出来るようになった。

強制接続とか言うから不安になったけど問題なく動ける。


各部の調整とやらのお陰か声も出るようになった。

そりゃサブシステム用の副系統に話す機能とかは要らんだろ。

よくわかんないけどね。


それにしても調整って系統が違うのをどう調整したのかが気にはなる。

何をどうやったら出来るんだよ。


繋がっていた色々なパイプやらコードを取り外し身を起す。

寝ていたのはどうやら実験台のような少し高めの台だ。


部屋はそこそこ広く様々な機材が転がっていて

乱雑さはあるが生活感はない。


室内には科学チックな物もあれば何かの臓腑のような

有機体みたいな物まである。

このミスマッチ感はなんだろうか?

このファンタジー世界に現代科学というか

・・・いやもっと進んだ世界のようなものを感じる。


そういえば神代の時も思ったんだが

培養槽は何で管理してたんだ?

電気なんかの概念はあるのか?

その辺りも今後、気にしておいた方が良いな。



指を握り開く。

手首から肩までを回す。

そうやって隅々まで動かしてみたが動作に違和感はない。

寧ろ今迄の肉体と全く感覚が同じだ。

体を動かすと内部で筋肉が動くのが分る。

多分、筋肉に似た何かだとは思うんだが。


普通に動く分には特段の問題は感じないな。

これ本当に作り物の体なんだろうか?


顔は見えないが胸から下は普通の人族のように見える。

手足もちゃんとしてる。

腰に布が一枚巻かれているだけなので恥ずかしい。


頭と顔以外には産毛すら一切無くてツルっとした感じだ。

ここいらには少し人工的なものを感じるかもしれないな。


全体的に細身で強そうには見えないが機敏なイメージはある。



そして気になる点を確認してみる。



ピラッとね。

布を捲る。



おおう、マイサン。

もといジュニアが其処に居た。

これはとても大事な事だよ。

とてもとても大事な事だよ。


大事な事なんで2回言ったよ。

必要なら何回でも言っちゃうよ。



そういやまともな体は久しぶりだな。

いやまぁ、今回の体も外見だけで

中身は相当なもんだとは思うけど。


ごっくん。

思わず唾を飲みこむ。

これ・・・使えるんだろうか・・・。


あ、ここもツルツルでした。




夢中になって動作確認をしていたが

こちらをジッと見つめる視線に気が付く。

やべ、忘れてた。

布を捲っていた事も一部始終見られていたのか。

かなり恥ずかしい。



「んっ・・・ん・・・んん・・・・あーあー」


よし、声はちゃんと出るな。

まず情報収集の基本は会話だしな。


「初めましてで良いのかな?」


「うん、今の所は動きに問題は無さそうで

 会話機能も大丈夫と

 今は≪アース語≫で話しているけど理解できる?」


「問題ない」


「そう、なら"★◆●■★◆●■★◆●■"は?」


「いや、わからないな」


「そう・・・・ちょっと背中を向けて立ちなさい」


言われた通りにするとカラカラとカートを引き寄せるような音がし

首筋にピリっと電気が走る。

また何かを接続されたようだ。

そしてカタカタと打ち込み音がする。



《外部より"魔天語"が入力されました

 辞書ファイルに登録を行います》



ピローン


> スキル≪言語(魔天語)≫を手に入れました。



えっ?!なにこれ。

ライン繋げてパソコンから情報を送ったら

スキル入手って・・・・・一昔前に流行ったあの映画的な?

仮想空間的なマトリー的な奴か?


あまりの驚きにと振り返ると

女性はパソコンをカタカタと叩いていた。



ぱ・・・そ・・・こ・・・・ん?



入力デバイスとしてキーボードらしき物はある。

本体とモニターとキーボードは一体型のようだ。

マウスは無いのかな。


それは確かにパソコンなのだろう。

しかし俺には今一つ確証が持てない。

何故ならパソコンらしき物の外見が一つ目小僧を

正座してるようにしか見えないからだ。


一つ目小僧が分らなければ髪の毛を飛ばして武器にしたりする

フライングちゃんちゃんこを装備した人のお父さんをイメージしてもらいたい。


巨大な目の部分がモニターで胴体が本体だ。

正座した太もも部分にキーボードらしき物がある。

もちろん裸だ、というより皮膚がなく粘膜のような組織が丸出しだ。

表面にはドクドクした血管のような物もある。


あれだ、うん、非常にグロい。


「あの・・・・それ・・・・なんです?」


「ん?これかね?

 これが我が一族に伝わる魔道デバイスと言われる者でな

 色々な事が出来る優れ者だ

 名を"破素魂"と言う」


「うす、俺は破素魂だ

 よろしくな」


「しゃべんのっ?!」


思わず突っ込んでしまったが悪くないだろう。

喋るパソコンかぁ、すげぇな。

特に見た目が・・・・。


まぁ何にせよその破素魂さんの後頭部から俺の首筋に

ドクドクと脈打った血管の様な線が繋がっている。

不安だ、何かが凄い不安だ。


破素魂さんはどうも無口のようでそれからは一言も話してくれなかった。


「よし、"魔天語"も話せるようになったな」


先程の破素魂さんの紹介は"魔天語"だったのでスキルは

ちゃんと取得できたのは確認出来ている。

魔天語は魔族で幅広く使われている言語だ。


「改めまして」


「あぁ、そうだな自己紹介をしておこうか

 私の名はハレンだ」


「俺の名は・・・・」


そこまで言って俺は自分の名前を言って良いのかが悩む。

まてまて、普通にわーい人口知性出来たよ~って時に

いきなり名前とか言い出したら明らかに人口じゃなくて

何かの存在が入ったとか考えるだろ?


じゃぁどうする?

無いって言うか?

どうする・・・・さて・・・・・。


「そういえば名前なんてあるハズがないか・・・

 はは、あまりにもしっかりとした反応だから

 生まれたばかりと言うのを忘れていたよ」


俺が悩んでいる間に先手を打たれてしまったようだ。

もう流れに身を任せるしかない。


「そうだな・・・・私の名から一文字取るか

 ハ・・・・

 レ・・・・

 ン・・・・


 う~ん、よし決めたぞ

 お前の名前はハー・・・・、ハーステ・・・


 ビクンッ!」


途中まで言いかけたハレンさんが急に体をビクっとして

一瞬、目が虚ろになったと思えば。


「お前の名前はそうミ・・・・ミノ・・・ミノル・・・・

 よし、お前は今日からミノルと名乗れ」



おおおおぉぉぉぉぉいいいいいぃぃぃぃぃぃっ!

今、絶対に何かの介入があったろ。


俺は上を見上げて天井の遥か彼方の高さに

想いを馳せる。


・・・・・うん、助かったよ。



「わかった、俺の名前は実留だ」


「よし、ミノル

 まずお前を作ったマスターである私を紹介しておこう」



やはりハレンさんは魔族の一員との事だ。

種族はジャパネス族と言うらしい。

特徴としては知能が非常に高く独自の知識や技術を数多く所持しているのだそうだ。


外見は髪の色が薄い緑で可愛らしい方だ。

神の色が微妙だが色白で日本人に通じる顔だちをしている。

額に小さな角がチョコンと生えているのが特徴と言える。


身長は150cm程度でスレンダーというよりは細い。

10代の肉体が成長してない女性のような感じと言えばわかるだろうか。


話す言葉と白衣により知的な感じを受けるが

実際には物凄く白衣が似合っていない。


そもそも白衣ってのはこちらの世界にもある物なんだろうか?

実際に目の前に着てる人がいるんだから存在するんだろうけど。


白衣の前を閉じずに着ているうえに中身がギリギリ肉体が隠れるかどうかの

ビキニのような布地だけっていうのは正しくない気がする。

しかも凄く・・・・・小さいんだ・・・もう山と言うより丘と言うか・・・。

これはまぁ、触れないでおこう。


白衣を着て中身がギリギリのビキニ。

足は実用性バリバリのゴツいブーツ。

それでいて髪はサラサラの緑ロング。


どんなコスプレだよっ!

そう突っ込んでしまいたくなるのは正常反応だろう。



「私の紹介はそんなところだろう

 あぁ、そうだな先に登録をしておかなければな」


登録?

ハレンさんはまたカタカタと破素魂さんを叩きだした。



《マスター登録を行います・・・・"ハレン"をマスター登録を行いました

 以後、全ての行動はマスター登録者が最優先とされます》


え?なにこれ?



「ふふ、万が一に私に危害を加えられたら不味いからな

 とりあえずはそうさせてもらった

 そうだな今後は私の事はマスターと呼びなさい」


むむ!あれかこれは良く聞く主従な奴か。

しかし俺にもプライドはある。

ふはは、マスター等と呼ぶわけがあるまい。



「分ったよ、マスター(ハレンさん)」


うぉぃ!勝手にマスターとか言いやがったぞ。

どういう事だ。

その後、何回言い直してもマスターとしか呼べなかった。

ハ・レ・ンと区切る分には大丈夫なんだけど。

これはきっと攻撃なんかも出来ないんだろうな。




「では次にミノルについて簡単に説明しておこうか」


俺はどうやら魔道兵器と言われるジャンルの

最新兵器として作られた実験的なモデルだ。

通常のゴーレムとは違いジャパネス族の技術を

惜しげも無く注ぎ込んで作られたそうだ。


驚異的な身体能力と強靭な肉体による物理防御力。

そして圧倒的な魔法防御力。

最大の特徴としては強くなるゴーレム。


俺の体は人工物なのに成長するらしい。

体の素材が全て魔法素材で作られているので

少しづつではあるものの日々構造が変化して行き

自己進化する事ができるんだそうだ。

残念ながら外見はあまり変化が無いそうだ。



ハレンさんが鏡を持ってきてくれたので

顔を見る事ができた。



やはりどこから見ても人族に見える。

年は若いようで青年にはなっていない。

かといって少年でもない絶妙な若さ。


体は隅々まで見たところ内部骨格の差だろうか

多少は違うところがある。

じっくりと見ないとわからない範囲だと思うが。


体の表面もほんのり暖かく柔らかい。

それでも人肌とは何かが違う。

温かみが無いと言うか・・・・。

奥に硬さがあると言うか・・・・。


ここまで聞くとゴーレムと言うよりは

ホムルンクルスに近いんじゃないかとは思う。


ここまで人族に似せるなら生体ベースでも良かったのではないかと思う。

既に人族を利用したゴーレムはあるんだし

既存技術を発展させて行けば更に高性能化も可能のハズだし。


まぁ、作られた側が言っても仕方がない事だけどね。





顔は・・・・あれだ・・・・ゴーレムと言えばアレと言うほどに

最初に想像される例の四角いゴーレムよりイケてると思う。


まず何と言っても目と鼻と口がある。

そして耳もある。

髪は黒いが光に晒すと不思議な透明感がある。

非常に綺麗な髪だ。


うんうん、正しく人の顔だね。

疑いようも無い位だ。



・・・・・・・うるせぇ、不細工だよっ!



パーツ単位で見れば悪くない。

パッチリ二重に整った鼻。

小ぶりで薄い唇。

シャープな輪郭に凛々しい眉。


それなのにどうしてかブサイクだ。

バランスの問題なのか何なのか。

パーツが良いだけに非常に残念な感じを受ける。


ランクで言えば下の中か下の上。

ものすっごい頑張って中の下が限界だ。


ギリギリで通常の範囲に入ってるって感じだろうか。


何故だ・・・・何故にパーツ単位では上手に作れるのに

配置と言うか整形で失敗するんだ・・・・。


こんな時は顔立ちは整ってるのがお約束だろうがっ!

行く先々で女性にキャッホーイってのがテンプレだろうがっ!

ブサイクな転生者って誰得なんだよっ!


俺は恨むっ!

美の神を恨むっ!





俺を悲しい気持ちにさせて外見の確認作業は終了した。

鏡なんて嫌いだ。




こちらの気持ちなんてちっとも気にしてないハレンさんは

声高々に俺の事を自慢げに話す。


俺に俺の事を自慢してどうしたいのかは不明だが・・・。




「それはもう素晴らしい性能よっ!」




その後、そう豪語したハレンさんは

意気好んで動作確認後の能力値を破素魂さんで確認した。



そして今、項垂れている。

いや、絶望に打ちひしがれていると言っても良い。




想定以上に能力値が低いのだ。




そりゃそうだ。




俺が≪自己ステータス隠蔽≫で誤魔化しているからな。




説明回が続いてしまって申し訳ないです。

実留君の活躍はもう少し後になりそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ