3-1
時間が開いてしまいましたが新章の開始です。
ここ数日でお気に入り件数がトトトっと増えました。
ありがとございます。
こんにちわっ!ゴーレムになった森山実留です。
骨の次は人工物ですよっ!
舐めてるんですかね神様って奴は。
調子乗ってるとマジでやっちゃうよっ!
腹パンくれちゃうよっ!
とりあえず体を動かせるようにして貰っていいですかね?
「おめでとう貴方は人工知性を備えた
初めてのゴーレムよっ!」
そう笑顔で告げてくる女性は
一通り俺の体を触ると何かを確認していたようだ。
それと言うのも体は動かないし手足があるかどうかの感覚もない。
顔部分は確かに認識出来るんだがそれ以外の感覚がない。
動かせるのは目だけだし視覚と聴覚はあるが他も一切感じない。
この状態はちょっと気持ち悪いぞ。
≪種族変更耐性≫がある状態で気持ち悪いって相当だな。
それにこの人、俺の事をゴーレムとか言ったよな。
まじかー。
ましかー。
いや・・・・・まじかー。
素材は何だろう?
泥とか土とかは嫌だなぁ。
出来れば強そうなのが良いな。
鉄とかさ。
魔銀鋼とかミスリルとかね。
あ~、水晶とか宝石ってのも良いかもな。
形は角ばってたり丸かったりするのかなぁ。
自分の姿を見たいけど怖い。
怖いけど見たい。
それに目をキョロキョロさせただけで
何故に人口知性があると思うのだろうか?
謎だ・・・・まぁ中身は人工でも何でもないんだけど。
「持続性はあるようね・・・・安定はしてるのかしら
私の言葉がわかる?」
確認作業が終わったのか女性は
再度確認してくる。
俺は目をパチパチさせて反応する。
「反応はちゃんとある
それに知性があるかどうかね・・・・
私が指を立てるからその本数を瞬きしなさい」
おいおい、さっき人口知性あるって言ってなかった?
あるかどうかね・・・・ってどういう事だ。
やっぱり勢いで言ってただけなんじゃないのか?!
不安になってきたそ。
女性が1本立てる。
パチ。
2本。
パチパチ。
4本。
パチパチパチパチ。
1本。
パチ。
3本。
パチパチパチ。
「やっぱり大丈夫そうね、継続性もあり安定してる
会話内容も理解しているようだし
数の概念もあると・・・・それにしても何でこのタイミングで・・・
まぁ良いわ完成を急ぎましょう」
この女性が俺を作ったのかな?
その割には何かこう不安を感じるんだが。
安心感が全くないぞ。
部屋にカタカタと何かを叩く音が響く。
反響音を聞くとそこまで広い部屋でもないようだ。
それにカタカタって何の音だ?
パソコン?そんなものあるわけないよな・・・・・。
くそ、体が動かない。
「各部・・・・接続を繋げて・・・・」
「補佐用の・・・・導入・・・・」
どうも独り言を言いながら作業する癖があるようだ。
天井しか見るべき物も無く暇だ。
こんな時はアリスと話したいが前回の
転生後の初回起動時は実体が出てしまったので
今回もそうだとしたらちょっとマズイよな。
・・・・それにしても暇だ。
俺はいつしか眠りに落ちていた。
「・・・・接続・・・は・・・完了・・・・
後は・・・・起動・・・・・確認・・・・・・
・・・・制御が・・・・これで・・・・」
「そうか・・・・でわ・・・・・今後・・・・」
「・・・・はい・・・・間違いなく・・・・」
うっすらとした意識の中で誰かの会話が聞こえた。
目が覚めると相変わらず女性がブツブツと言いながら
相変わらず作業中だった。
目しか動かない状況に変わりは無い為、色々と試してみる。
声・・・は出ない、と言うか口か動かない。
鼻・・・は利かない。
耳・・・は大丈夫。
やはり視覚と聴覚以外は何も反応が無い。
体も感覚がなくよくわからない。
≪種族変更耐性≫無かったら気が狂うだろこれ。
スキルの発動は確認出来ているが魔法は発動出来ない。
魔力は感じるが出力出来ないのだ。
スキルは確かに機能している。
神システムからの発動も試みた駄目だった。
そういえば魔力感知でも自分の魔力しか感じれないぞ。
む~、これはどういう事だ?
アリスに状況を聞いてみたいが部屋に誰かがいると不味い。
音と僅かな視野だけで人の気配を探るのは厳しい。
暇でやる事がない。
聴力を強化して情報を集めようにも思うようにいかない。
ますますもって意味がわからん。
≪聴力≫って耳無くても使えたんだぞ。
現に今は聞こえてるんだから≪感覚強化≫は使えるはずだろ?
何か今一つと言うか中途半端だ。
俺の体が原因なんだろうか?
次の日まで感覚を取り戻そうとしてみたが
復旧する事はなかった。
仕方が無いので自分の魔力を感知して深く操作したりして時間を潰した。
これは結構有意義な事だった。
自己の魔力の流れを感じたところ
魔力の塊から外部に流れていかない。
どうにも核と言うか魂の入れ物のような物を感じる。
そこから外に魔力を出せないようなイメージだ。
辛うじて視力と聴力のラインの様な物があり
細々と外部と繋がっているようだ。
そのラインが細いのでスキル効果や魔力が乗せれない状態かもしれない。
細いホースに大量に水が流れないようなものだろうか。
結論からすると魔力を外に出せないって事が
わかっただけだけどな。
その翌日、事態は進みを見せた。
それまでにも女性・・・ってこの人の名前を知らないなぁ。
から色々と話しかけられたものの全て感覚や体についてだけだった。
瞬きでしか返事が出来ないのがもどかしいとこだ。
それは良いとしてついに念願が叶いそうなのだ。
そう俺の体が出来る。
正確に言えば体が動かせるようになると言う事だ。
話は数時間前に遡る。
「ふぅ、少し時間が掛かったが
調整に手間取ってたけど何とか
体も準備が出来たよ」
そういって何かをパチパチと繋いでいく音がする。
「各部の接続は完了
うん、問題なさそうね
神経繋ぐよ」
胸の辺りから何か濡れた様なくぐもった音がする。
・・・・ビクン。
お?なんだ今の?
・・・ビクンッ!
・・・・・・・おぉ・・・・・おおおおぉ。
体の感覚が・・・・・・わかる。
わかるぞぉぉぉぉぉぉ。
次々と体の各部の存在が認識できるようになっていく。
首がわかり肩がわかる。
二の腕がわかり手先がわかる。
胸がわかり腰がわかる。
足がわかり足先がわかる。
ピクリとも動かす事は出来ないが
体があると言うのは何とも安心するものだ。
「どう?体は認識できてるかい?」
パチパチと返事をする。
「良かった
これで大丈夫か不安ではあったけど
問題なさそうね」
おいおい、サラっと凄い事を言うな。
お前が不安ならこっちはもっと不安なんじゃ。
カチっと何かが填まる音がし
首筋にピリっとした何かを感じる。
「各部の反応を確認・・・・と
体動かせる?」
え?もう動かせるの?
・・・・・・いや、全然動かないから。
ピクリとも動かない。
体内を感知する・・・・。
おぉ、核から各所にラインが引かれてるのが判る。
それでも反応が鈍いな。
細いっちゃ細いが視力や聴力程じゃない。
魔力の通りが鈍いと言うかスムーズじゃない感じだ。
何だろう?か整流されてないというか無駄が多いと言うか。
これで本当に動くのか?
とりあえず動かない旨を報告する。
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ。
全力で動かないとアピールする。
「やはり今の状態じゃ無理なのか
仕方が無いコイツを使うとしよう」
次の瞬間、お腹の中をかき回される感覚が襲う。
うおぉ、気持ち悪いっ!
痛いとかじゃないけど気持ちわるぃぃぃぃぃ。
なにこれ?これなに?
さっきまでこんな感覚なかったじゃんっ!
グリグリと弄られる感覚が収まると
核の隣に何かの存在を感じる。
不思議な力だ。
何だろう・・・・。
そこから延びるラインが俺のラインに絡まりつつ
全身に伸びているようだ・・・・・。
いや、寧ろそのラインが主流で俺が絡みついてるのか?
全然わからん。
「じゃぁ、今から起動してみるから
何かあったらすぐに教えて」
ブツン。
俺の意識は急に落ちた。
いや、外部感覚が遮断されただけのようだ。
意識はハッキリとしている。
ふむ?これは何だ?
さっきから分らない事ばかりで少々イライラする。
教えてって言われても何も反応出来ないんだけど・・・・
何も出来ない事が更にイライラを増加させる。
ふと何かの声が届く。
声?どこから?
《め・・・い・・・・に・・・・・し・・・・き・・・・》
何を言っている?
《めい・・じ・・・か・・・・ん・・し・・・・き・・・を・・・》
めいじかんしきを?
《メイ・・・・にん・・・・き・・・を・・・・まっ・・・ます》
メイにんきをまっます?
駄目だ、集中しろ?
《メイン・・・・じん・・・の・・・・しき・・・を・・・・ています》
メインじんのしきをています?
もう少しの気がする。
考えるなっ!感じるんだっ!
《メイン人格の・・・・識・・・を待っ・・・・ます》
メイン人格の識を待っます?
ふむ・・・・何となくわかった気がする。
《メイン人格の認識を待っています》
おお、やっとハッキリと聞き取れた。
繰り返しこの言葉を発している。
声は男性とも女性とも言えないし抑揚があまりない。
合成とは言えないが感情が抜け落ちた様な声だ。
《メイン人格の認識を待っています》
《メイン人格の認識を待っています》
《メイン人格の認識を待っています》
《メイン人格の認識を待っています》
うわ言の様にずっと同じ言葉を発している。
どうすりゃいいんだよこれ。
声を出そうにも出ないし
神システムのようにYes/Noがあるわけでもない。
そもそも声は何処から聞こえてくるんだ?
俺は更に意識を集中させる。
声は核の隣の存在から聞こえているようだ。
それを認識した。
すると。
《メイン人格の認識を確認しました
接続後に確立を行います・・・・・・・完了しました》
何かが完了したらしい。
接続がどうとかのお陰だろうか
俺にも確かに存在を感じれるようになった。
そしてその声は俺に恐ろしい事を告げる。
《自己診断モードを起動します
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
異常が検知されました
メインコントロールとサブコントロールの
接続位置が不正です
身体能力に影響が出る可能性があります
このまま強制接続を行いますか?》
おいおい、何言ってんのこいつ?
駄目に決まってるじゃねーか。
俺はNoと言える日本人。
断固、拒否するね。
《回答が入力されませんでした
強制接続を行います
各部調整後に接続を実行します》
まって!待ってよ!
回答が入力されませんでしたって!
俺はNoを選択したいんだ。
回答が無かったら先に進むっておかしいだろ。
俺の体は主系統と副系統を間違えて接続したまま。
起動を果した。
前回、前々回よりはかなり楽そうですが
実留君は相変わらずまともな種族に転生しませんね。




