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勢いで書いていたら何時の間にか20万文字を越えていました。

その割には物語が進んでないですね。

潜入捜査中の森山物留です。

戦いは他の者に任せてこっそり裏から侵入です。

そこで見てしまった物とは・・・・・・。

その時に後ろから肩を叩かれ振返るとまぶしい光がっ!


はっ!ここは何処だ?!俺は誰だ?!

・・・・きっ、記憶がない・・・・。


なんて事は一切ありませんでした。










光る柱に浮かんでいるのは確かに人だった。

他にも2つほど確認したが全て誰かが入っている。

光ってない柱には何も入って無かった。


この分だと部屋の中にある光ってる柱には

全て中身入りだという事だろう。

それに光りの強弱もあるようで中央部に行くほど光りが強い。

この光り方にも何か理由があるんだろうか。


中にはフワフワと人が浮いている。

柱の下は地面に直結している。

上は天上ギリギリだが隙間が空いている。


上部からパイプが伸びていて

ガスマスクの様に口を覆っている物に繋がっている。


体には何も身に着けておらず各所から電極のような物が貼られ

コードが幾重にも下部に伸びている。



これは観たことがある。

生前の世界でだ。


アレだよ生前と言っても犬の時じゃないよ。



まぁ、あれだ漫画とか映画とかでだ。

実際に目にしたことはないけど・・・・。


そう良くあるストーリーだ。

人体実験とかなんとか。

それらでは光る柱は培養槽とか実験槽とは言われている。


目の前にあるのは正しくそれだ。



ドクン。

心臓が跳ねる音がする。


ドクン。

キリキリと胸が痛む。



嫌な予感しかしない。

背中を冷えた汗が伝う。



事前に感知していた大きな揺らぎはこれの事だった。

不安定な状況と言うのは何かが行われているという事だ。



入口付近ではマネキンと聖騎士の戦いが勢いをましている。

聖騎士の人数も増えてきたがマネキンも数も増えているようだ。


まだ調べる事があるので隠密行動を解除するわけにはいかない。


『アリス出れるか?』


『はい、大丈夫です』


『天井ギリギリを浮遊して各柱を見て回ってくれ』


『了解です』


アリスはそう言ってフワっと飛び立って行った。

俺もマネキンに注意しながら調査を進める。






長方形の部屋はかなり広く小さな体育館程度はあるだろうか。


柱と柱の間はそこそこスペースが取られており

計画的に設計された間取りとなっている。


柱の表面をナイフで突いてみたが傷は付かなかった。

結構な強度があるようだ。

それでも本気で攻撃すれば壊せそうなのは確認出来た。


中の人物は生きているようだ。

目を閉じているが瞼がピクピクと動いたりしている。

生きているなら一安心。


「魔族が片付いたら外に出してあげるからな」


俺は小さな女の子が浮かぶ柱に小声で声をかけて

その場を後にした。



気になった場所が2点程ある。

≪嗅覚≫を一瞬だけ発動し場所を確認する。

場所は特定できたが一瞬なのに気が遠くなりかけるが

なんとか持ちし移動する。


向かったのは裏口よりも少し大きく

表口よりは小さい両開きの扉だ。


強化された上に暗さに慣れてきた視界には嫌な想像しか出来ない状況が映る。

それは扉に続く床に広がる黒い染みだ。

何かが引きずられた跡。

何かが垂れた跡。


少しだけ扉を開く。

部屋に明かりは無く暗い。


ただ、この部屋にある物は確信できている。

濃密に漂う死臭だ。

生物が朽ち果てた匂いが充満している。


俺はランプを取り出し火を灯す。

微かに油の匂いがするが仕方が無いだろう。

火力を最小限に抑えてギリギリの光量を確保し部屋を照らす。


そこにはかつて命があった者達が

無造作に積み上げれれていた。


殆どが朽ちていたが日が新しい体は

実験の所為なのかはわからないが

どれ一つとって見てもまともな形を維持していない。

部分的に溶けていたりしている。



酷いな・・・・これは・・・・。

気持ちが悪くなるが確認しなければいけない事がある。


実里がここに含まれているかだ。

数年前・・・もう4年位前になるのか。

そのときの面影を頼りに探す。

少しの間、探したが見つからなかった。

例の感覚も反応しなかったので居ないと思って良いのだろうか。


・・・・いや、思いたいだけだな。

物的証拠もないのに良いも悪いもない。

最悪の事を考えておこう。


広い倉庫のようだが

部屋の中は他に何も無かった。

後で供養しようと決め部屋を出ようとした時にアリスから連絡がくる。




『実留さんっ!』


『どうした?』


『柱の中に知ってい人物を見つけました』


『実里か?』


『違います男性です

 あの聖騎士です』


『場所は?』


『部屋の中央よりも少し奥寄りです』


『わかった

 すぐに行く』


『はい、マネキンは周囲に居ませんが

 戦闘が激しいので注意してください』



アリスに言われた場所に向かう。

中心に近い場所には確かにレイムールが居た。

他の柱よりも少し光が強いようだ。


時折、ピクピクと動くから生きてはいるようだ。

とりあえず助けるかどうかは後回しだな。

この中に居ればどちらからも攻撃される事はないだろうし。



戦闘は激しさを増しているようだ。

やや聖騎士団が押しているか。


アリスの報告によればマネキンは機敏で強固だが

武器を持っておらず肉弾戦のみだそうだ。

数が多いので苦労しているが倒せない相手ではないとの事だ。



一通りの柱を見てもらったが実里は居なかった。

ボチボチと聖騎士も柱の正体に気が付いたようなので

こっそりと動くのも限界が近い。


急いで次の目標に向かう。

中央に一際大きい柱だ。


他の物よりも短いが2回り程大きい。

培養槽タイプでは無いのか普通の柱に見える。

ただ他の柱に比べても何か異質だ。

見た目は光沢のある素材で出来ている柱だ。

石のようでもあり金属のようでもある。

触ると寒いこの部屋でほんのりと暖かい。

叩いてみると音も衝撃も一切しない。

全て吸収されているようなそんな気がする。


これは何だ?

理由はわからないが非常に危険な香りがする。

ナイフで刺しても他の柱よりも固い事がわかり

生半可な攻撃じゃ傷も付かないんじゃないかなと。



柱については何も出来る事がないので

その周囲にある物を調べた。

他にも気になる事があったからだ。


中央の柱から少し離れた壁に長さが2mで幅が1m程度の扉があった。

扉の奥にはは地下に続く階段があった。

地下からはこの部屋と同様の臭いがするが何か別の臭いも感じる。


アリスを体に戻し身を滑り込ませ静かに扉を閉める。

階段は薄暗いがうっすらと壁が発光しており何とか見える程度には明るい。

扉を閉めると音が聞こえなくなったので何かの魔法具なのかもしれない。


ゆっくりと階段を下りていく。

途中で折り返したので位置的には上の広間の真下になるか。

階段を下りるとまた扉だ。


耳を当ててみると中からは音がする。

何かがいるな。


両空きの扉からそっと中を窺うと上よりはかなり小さいがそれでも

結構な広さの部屋があった。

上層とは比べ物にならない位明かりに溢れた部屋だ。


天井からは幾つものパイプがぶら下がり部屋の真ん中にある黒い柱に繋がっている。

黒い柱は上の階にあった物と同様の作りだが少し細い。

そして色々なパイプやら管が付いている。


多分だけどあの柱の位置って上のと同じ場所にあるよな。

となると繋がってるって事か。


よく確認すると天井からパイプが出ている位置って

上の培養槽の位置だ。


これはまた王道って言うか何と言うか。

多分、予想は外れていないんだろうな。


扉から見て左手は何も無く棚や箱が置いてあり

どうも荷物置き場のようだ。

右手は上層の入り口方面になるが

そちらには1本の柱があった。

他の柱よりも少し大き目で光が強い。


手入れがされているのか霜があまり降りていないので

中に人が入っているのは分るが遠くてよくわからない。

≪視力≫で強化し見つめる。



実里だっ!

綺麗に成長して美しくなったが実里だ。

うんうん、数年前の面影がある。

例の感覚もそうだとハッキリと告げている。


やっと見つけた。


その柱の前に男がいる。

白衣っぽい服を着ているが酷く汚れている。

机に向かって何かを書き込みながら

ブツブツと何を言っている。

≪聴力≫を強化し声を拾ってみる。



「・・・・まだ足りないのか」


「吸収率を上げるか・・・いや・・・・」


「加護の・・・・それでも・・・」


「数が揃っても質の問題も・・・・」


「・・・時間と共に・・・」


「・・・他の・・・要因・・・・」


何だかよくわからん事を喋っている。



だがまぁ良い。

実里に危害を加えたことは万死に値する。


念の為、スキルを重複発動し全力で準備する。

隠蔽の魔法具は発動し続けているので

少しの時間なら問題あるまい。


俺は音を立てずに中に入る。

男は気が付いてない。






武器を構え一気に加速する。


僅かな音がしたものの集中している男は何も気が付いていない。

霊斬短槍に魔力を這わせ勢いをそのまま乗せて刺突で狙う。



シッ。



空気を突き抜けた槍が男の体を突き刺す。




ギャイン。




横合いから何時の間にか現れたマネキンが

穂先をずらし男を守っていた。



「ん?誰だい?君は?」


俺は返事をする事もなく立ち塞がるマネキンに連続で突きを入れる。

それを両手で捌き全て逸らされる。

防御の隙間をついて抜き手を繰り出してくるが

こちらも黒龍盾で逸らす。


受け止めるには威力が高すぎる。

こいつ強いじゃねーか。


こっち攻防を繰り広げているにも関わらず

男は椅子に座ったままこちらを見つめてくる。


「ほうほう、君はあれだな珍しいな」


盾で受け流した所に石突きで背中を狙うも躱される。


「中身が・・・ハハ、面白いな

 外見も中身も面白いなっ!」


手刀を受け流し短槍を振りかざす。

マネキンはダッシュで距離を奪い穂先の間合いよりも内側に入ってくる。


「なんだっ!君の存在はなんだっ!

 外と中が噛み合ってないじゃないかっ!」


繰り出してきた掌底を身をひねりサイドステップも行いギリギリで躱し

置き土産とばかりに盾をカウンターで叩きこむ。


「そうか・・・・そういう存在か・・・・ハハハッ」


吹き飛んだマネキンの様子を確認せずに一気に踏込み追撃する。

マネキンが壁に叩きつけられると同時に胸部分に短槍を突きこむ。

それでも動きを止めないので≪百足剛棒≫で頭を叩き潰した。




パチパチパチ。

男がじっとり気持ちの悪い笑顔を浮かべながら拍手している。


「いやぁ、凄いね

 そいつ結構強いんだけどねぇ

 上に居る奴よりも」



俺は無言で短槍を引き抜き男に踏み出す。


「おいおいおい

 随分と怖い顔するね

 綺麗な顔が台無しだよ

 


 それにさ君さ



 別の世界から来た人でしょ?」



「はっ?」



「あっはっはっは

 その反応は間違いないね


 そう、僕も君と同じ別世界から来たんだよ」





気持ち悪い笑顔の男はそう告げた。



ついに実留君は実里ちゃんを発見しました。


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