表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/254

2-35

システムが変わりましたね。

見やすくなりましたが微妙に使いにくい・・・

現場まで連れてこられたのに

何もするなと言われた森山実留です。

これはアレですかね?死ねって事ですかね?

抵抗すらするなと?

好きにしろって言われたので生きるも死ぬも自由ですけどね。

俺は自由だぁぁぁぁぁぁっ!










クソ騎士Dから好きにしろと言われてから

少しして周囲に結界が張られたのがわかった。


周囲の空間の質が一気に変わったからだ。


今回展開されている結界は3種類。

それぞれの効果を説明しておこう。


・滅魔族結界


魔族の存在に対して存在否定を行う。

存在を否定されるのは精神面に対する攻撃となり

精神体としての側面が強い魔族には効果が強い。

逆に言えば下級魔族のような物理面寄りの魔族には効果は弱い。

対魔族結界は物理面寄りの結界となる。


・浄化結界


不浄の物質を浄化し清い空間にする。

毒や麻痺等の害を成す物質を消滅させる。

これには魔族が発する瘴気なんかも含まれる。


・聖域化結界


結界内を擬似的に聖域化し聖魔法やそれに関連する効果を強化する。

また相成れないモノを弱体化させる。



まぁあれだ完全にブリンジ向けの対策だ。

逆に言えばヴァースにはあまり効果はないとも言える。

弱体化はさせる事が出来るが身動きを停止や存在消滅は無理だろう。

これはヴァースよりもブリンジの方が危険だと判断された結果だ。



その判断がどう転がるかは俺には分からないし関係がない事だ。

あの魔族共を抑えてくれなら何でも良い。

俺の目標は実里だけだからな。

建物との距離は300m位だ。

ここまで近寄っても実里の気配は感じられない。



結界展開と同時に魔力感知で建物を探っている。

あまり詳細に探ると逆探知される恐れがあるので

力の存在を探る程度だ。


建物の中心に漠然とだが大きな力を感じる。

しかしその存在は揺らいでいる。

大きく感じる事もあれば弱々しくもなる。

濃くなる事もあれば薄くなる事もある。

不安定な状態だ。

それが何かは分らないが色々な物が混ざっているようにも感じる。


その周辺に大きな力の塊が2個。

多分、魔族だろう。

ほかにも幾つか力を感じるが何と言うか薄い。

感じるのに存在が薄い。

これ以上の出力は気付かれるだろう。


自慢じゃないがこの距離でここまで出力を落として

探知出来るのはD隊でも俺位だろう。


他のメンバーは突撃後か更に近寄らなければ

探知できないハズだ・・・・・スタートダッシュ勝負だな。


すぐにB隊の攻撃が始まった。

正面に大きな力の流れが向かってくる。


流石にそれを感知したのか魔族が動く。

大きな塊は正面に向かって。

それよりも小さな塊は正面と建物の間位に。


正面で聖騎士とブリンジが衝突したのだろう

双方の出力が跳ね上がる。

直後に建物裏手から反応が立ち上がる。

C隊が突撃したのだろう。

それに向かって動いてくる塊が一つ。

多分、ヴァースだな。

裏手でも衝突し戦闘が始まる。


ここで感知出力を上げる。

詳細な情報が流れ込んでくる。


やはり正面では聖騎士とブリンジが戦っている。

ブリンジは相変わらずの馬鹿げた魔力だ。

この結界内でも存在感が凄い。

聖騎士の本気も凄い。

単体ではブリンジ程ではないものの凄い出力だ。

数の有利もあるしどうなるかはわかならい。


C隊もヴァースと戦っている。

こちらは良い感じに拮抗しているように見える。

やや聖騎士が押しているか。





「D隊、突入だっ!

 可能な限り戦闘は避け探査及び救出を優先しろ」


号令が出る。



俺はD隊からは少しだけ距離を取っていた。

後ろと言うよりは気持ち後方程度だ。


号令が出た瞬間に魔力探知を解除し身に着けた魔法具を起動させる。

外套、指輪、腕輪、首飾り等々だ。


いつもよりも過剰に装備しているが

全て気配遮断等の存在を隠蔽するような物ばかりだ。

出来うる限りの魔法具で身を包んだので

注意して凝視すれば認識出来るが戦闘中という事もあり

俺の存在を認識出来る者は殆ど居ないだろう。



事前に探っていた建物内の情報を頼りに駆け出す。

≪視力≫≪嗅覚≫≪聴力≫を≪感覚強化≫で全て底上げする。


裏手付近ではC隊とヴァースが戦闘している。

≪起動予測(簡易)≫を使い最短ルートを選び走り抜ける。


本来であれば裏手からの侵入を試みるが

まだC隊が確保しきれていない。


他のD隊メンバーも色々な場所から侵入を試みている。


俺が目に付けたのは崩れ落ちている2階部分だ。

2階部分は殆どが崩れているが

少しだけ無事な所もある。

俺はそこから侵入する。




よいしょよいしょ。




頑張って壁をよじ登って侵入に成功した。




えっ?華麗にジャンプで入らないのかって?

いやいや、魔力を押えてるって言ったでしょ。

身体能力強化してないから無理だからっ!


カッコよく無くても良いのだよ。




侵入した所は何も無かった。

壁が崩れて手入れもされて無いので雨ざらしで汚い。

≪嗅覚≫と≪聴力≫には何の反応もない。


廊下に出ると幾つかの部屋があるが

使用していないか崩れているかだ。

感覚を頼りに慎重に進んで行く。


2階部分は広くも無く半分以上が崩れていたため

すぐに探索は終わった。


階段を見つけたので下層の状況を確認してから降りる。

今の所は何も感じない。


嗅覚に薬品のような匂いがしているのが気になる。


外での戦闘音は激しくなってきている。

音で判断するに何人かは侵入に成功してるようだ。


階段を下ると扉があった。

もちろん開かない。

鍵穴があるので鍵が掛っているのか。

妙に頑丈な作りの扉を見ながら現在位置を考える。


多分、中心部の靄が掛ってるような場所の

裏手辺りだと思うだけど・・・。


押しても引いても開かないので鍵穴に

溶解唾を注ぎ込む。

口に溜めてペッてしただけだけどね。

何回か入れるると鍵が溶けたのか

扉がゆっくりと開く。


それと共に濃密な薬品臭が漂いだす。

アイテムボックスから布を取り出して口を塞ぐ。

なんだ?これ?

浄化結界内だってのに何だこの匂いは・・・。


静かに中に入ると薄暗い部屋だった。

それに妙に肌寒い。

後ろ手に扉を閉める。


そこは小さな小部屋だった。

机と本棚とベットがあるだけの部屋だ。


机の上には書類が乱雑に散らばっている。

読んでる時間は無いので片っ端から収納する。

本棚の本も数は多くなかったので収納する。


入ってきた扉と反対側にはもう一つの扉があった。

あの先が中心にあたる場所だろう。


ベットの横を通り過ぎるが

あまりの黄ばみと臭いに調べる気にならなかった。

この薬品臭の中でわかるレベルってどんなだよ。


次の扉は鍵が掛ってないのでゆっくりと開ける。


「ツッ」


今迄の比ではない程の薬品臭が俺を襲う。

咄嗟に風魔法を使おうと思ったが思いとどまり

≪嗅覚≫を解除する。

何とか耐えられる程度にはなった。

そして寒い。

肌寒いってレベルじゃない。


足元が見えない位に薄暗いが光源があるので

躓かない程度には部屋の中は見える。


光源は部屋の中に幾つかある光る柱のような物だ。

曇りガラスのようで中が良く見えない。

随分とまぁ変な雰囲気な部屋だ。


部屋の表側の方では何かが動く気配はするが

誰かいるのか?

まだ気が付かれていないので今のうちに部屋を探る。


入口方面には向かえないので奥川の壁しか調べていないが

光る柱以外には特段何も無い。


さて、どうしたモノかと考えていると遠くから物音が聞こえてきた。

柱の一本に隠れ様子を伺う。



ドバーン。



部屋の正面扉と思われる大きな入り口が内側に向かって勢いよく開いた。

そのままの勢いで聖騎士が流れ込んできた。

距離があるので顔が見えないがC隊とD隊だろう。

開けたと言うよりは破壊して入ったと言うのが正しいみたいだが。



入り口が開けられた事で外部から光が差し込み

部屋の入り口付近に居た者が見えた。



それは人型の何かだ。

ノッペリとした何か。

近いのはマネキンだろうか。

顔も何も無くシルエットが人型の何かが数体居た。

それらは聖騎士に向かって行った。

見た目から想像出来ないような俊敏さで。



それよりも。


聖騎士よりも。


人型のマネキンよりも。


気になった物がある。


部屋の中で戦闘が始まったと言うのに

全く注意が向かない。


俺の意識は目の前の柱に注がれている。


入り口からの光で照らされた柱は

中身が薄っすらと見えている。


柱は曇りガラスでは無く霜が降りていて

中が見えにくくなっているだけだった。



そう、柱には中があった。



俺は手で表面を擦る。


キュッキュッと言う音と共に表面がクリアになり

カキ氷のようになった霜は下に落ちた。


少し見えた中身が信じられずに

大きく更に大きく表面を擦っていく。

手と足元が冷たくなる事も構わずに。






柱の中には裸の人族が浮かんでいた。



さぁ、実留君どうする?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ