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次話更新が遅くなりそうです。
頑張りますのでよろしくお願いします。
盾戦士のキリルです。
命を掛けてミノル様を守り抜くことが自分の使命です。
それにしても最近のミノル様は何かが変わった気がします。
出会った当初は余りの美しさと妖艶さから女神様と思ったのですが
最近は本当に・・・・いや、止めておきましょう。
自分の主観が入り過ぎていますね。
ミノル様がどうあれ命尽きるまでお役に立ちましょう。
魔族、それは魔物や魔獣よりも更に上位に位置する者達。
大きく言えば魔族には魔物や魔獣等も含まれるが
一般的には魔族は別の者達と認識されている。
では魔族とは何か?
魔物や魔獣とは何が違うのか?
魔族とは魔力を糧とし食物的な物は殆ど必要としない種族を指す。
食事をする者もいるが趣味として食べる程度の認識で良いだろう。
彼らの食事と魔力を取り込む事を言うのだ。
純粋に魔力で体を構成しているようなもので
その内容は精神体に近い物がある。
魔族の中には完全な精神体も存在する。
人族に比べて膨大な魔力による
圧倒的な身体能力や魔法、そして特殊能力等も兼ね備えている。
肉体がある場合でも単純な物理攻撃は通り辛い。
魔法等も協力な結界や魔法抵抗により軽減や無効化されたりもする。
要するに総じて基本的な個体能力は人族に比べて遥かに高いという事だ。
次に魔物と魔獣の差は何かと言うと基本的な違いはあまりない。
魔力も必要とするが物理的な食事を取る事が特徴と言えるだろう。
一般的にはある程度の知性があるものが魔物。
本能的に生きているのが魔獣と区分けされる。
しかしながらスライムのような知性がない
原始的な種族でも魔物と称される。
よって獣に近ければ魔獣と呼び
獣から遠ければ魔物と呼ぶ。
そんな程度の認識で良いだろう。
簡単に言えば人族や亜人に害を成す者達だ。
それらを魔物や魔獣と呼んでいるわけだ。
魔族と言ってもピンキリで様々な種族がいる。
凶暴なのから大人しいの更には友好的な種族もいる。
そして絶対的に人族が勝てないか?となるとそれも違う。
人族は基本能力値は低いが成長率が高く
各種装備や技能で補っていく。
逆に言えば魔族は成長率は低いし出生率も低い。
人族は物量で魔族は質で拮抗してきたと言えるだろう。
しかし絶対的な能力差は中々覆らない為
単独や少数で遭遇した場合は非常に危険な存在だ。
それがすぐ近くに居る。
実際の姿は見ていないが
濃縮された巨大な魔力が近くにいる事を感じさせる。
「魔族だと?!」
「はい、姿から報告にあったブリンジと思われます
それに従者も居るようです」
「くそ・・・・・このタイミングで来るとはな
総員、戦闘態勢を取れ
対魔族結界を展開しろっ!」
「はっ!」
聖騎士達が慌てて駆出していく。
「おい、俺達はどうなる?
まさか巻き添えにするつもりか?」
「おい誰かこいつらを牢に戻しておけ」
指示を出し立ち去ろうとしているレイムールに向けて
俺は疑問を投げかける。
「おいおい、魔族が襲撃してきたってのに
牢に閉じ込めるなんて死ねってのか?
装備品もなけりゃ逃げれもしないんだぜ?
牢に結界でも張って守ってくれんのかよ」
「チッ・・・・・、モリスを呼べ
こいつらに防具を返して後方に下がらせろ
監視に3名程つけろ」
そう早口に支持を出すと部屋から走り出して行った。
騎士の1人に連れて行かれ広めの部屋に来ると
小ざっぱりした印象の騎士が一人いた。
「自分はモリス・パーシモン
当隊の副官を務めている
君たちの護衛をする事になった
防具は返すが武器はこちらで預からせてもらうよ」
俺は急いで防具を身に着けながら問う。
「他のメンバーはどうなった?」
「私の部下が先に退避させているはずだ
防具も同様に返している
よし、行くぞ」
準備が終わり建物から出と更に濃密な魔力を感じる。
ブリンジとか言う魔族が放出している魔力で
ここら一帯が迷宮のようになったような感じだ。
まぁ俺には都合が良いけどな。
≪魔力吸収≫でドンドン体に取り込む。
ふふふ、濃密な魔力が良い感じだぜ。
少し走るとリース達が見えたが
キリルが居ない。
「お姉ちゃんっ!」
リースが飛びついてくる。
「リース、大丈夫だったか?」
「うん」
「ブタ子、エレアスも無事か?」
「はい、大丈夫です」
「うんうん、何ともないよ」
「キリルはどうした?」
「それがね、まだ来てないんだよ」
俺より先に出たんじゃないのか?
「モリスさん、キリルは?
先に出たんじゃないのか?」
「あぁ、そうなんだけどな・・・・ちょっと待ってくれ」
部下に指示を出し状況の確認を行うと
どうも途中で襲撃にあったようで聖騎士と一緒に戦闘に巻き込まれているようだ。
「エレアス!リースとブタ子を頼むっ!」
「了解だよ」
咄嗟に指示を出し駆け出す。
「おい、勝手な真似をするな」
「黙れっ!俺の仲間に何かあったらお前らの責任だからな」
「待て・・・・・仕方がない、俺も行こう
おい、ここを頼むぞ」
モリスさんも俺の後を追い走り出す。
武器を取り出し更に加速する。
「何と言う速さだ・・・・」
「キリル」
「ミノル様っ!」
キリルが何者かと対峙しているのをを見つけ
更に勢いをあげる。
キリルを見るとやはり左盾しか装備していない。
クソっ、あれじゃ防御しか出来ないじゃないか。
距離もありシルエットしかわからないが人族か?
確認もせずに相手に向かい魔法を繰り出す。
「岩槍ッ」
対象物の足元から岩の槍が何本も発生し遅いかかる。
「炎球ッ」
岩槍の着弾を確認せずに更に畳み掛ける。
爆風が巻き起こり土煙が周囲を襲うが気にしない。
空気を操作しキリルと俺の周囲だけ衝撃と煙を避ける。
そのままキリルの隣に辿りつく。
「無事か?」
「はい、ミノル様
自分は大丈夫です
ただ・・・・相手は強いです」
「魔法は効いていると思うか?」
「いえ、多分ですが効いてないでしょう」
キリルもそう思うか。
煙の向こうから魔力を感じる。
しかも最初に確認した場所から一歩も動いていない。
こんなパターンってやたら相手が強いんじゃね?
モリスさんも遅れて走り寄ってくる。
「はぁはぁ、どんだけ速いんですか
それに魔法の衝撃で自分だけ守らないでください」
「知るかっ!聖騎士なら自分の身は自分で守れ
それに全然影響無いだろうがっ!」
周囲を囲む聖騎士達は俺の魔法なんてどこ吹く風で
動じずに包囲を崩さない。
話している内に煙が薄くなり1人の姿が見えてくる。
遠くからみると良くわからなかったのも無理はない。
全身が黒づくめで近くで見てもシルエットにしか見えないんだ。
顔も目が出ているだけで他は全て黒い布で覆われている。
「ふむ、何やら小細工をしてくる者がいるな・・・・」
・・・・彼奴だ?
・・・・あの黒づくめだ。
ヤバイ。
ヤバイヤバイヤバイヤバイ。
「キリル・・・・多分、こいつは危険だ」
「え?」
「あいつは・・・・ミリナリスって名前だ・・・
相当に強い・・・・」
「ほう?その名前を知っているか・・・・・
その匂い・・・・その中身・・・・何者だ?」
此方に近づいてくる。
それにつれて受ける圧力が跳ね上がる。
どうする・・・やれるか?
「対魔族結界を張れっ!」
「「ハッ」」
モリスさんの号令で取り囲んでいた聖騎士達が結界を展開する。
「グッ・・・・力が抜ける?!」
黒づくめが苦しそうな声を出し
受ける圧力が軽減された。
「今だっ」
キリルが盾を構えて突撃し勢いをそのままに体当たりを行う。
鈍い音がするもののその場から動かすことは出来ない。
俺が後ろに続き短槍を突きこむ。
キリルに動きを止められながらも短剣を器用に動かし穂先を避ける。
そこにモリスさんが参加し3対1の戦いになる。
キリルが足止めしモリスさんが切り掛る。
そこに俺が突きや横払いを駆使するも
全て逸らし受け止めて直撃をさせない。
なんて技量だ。
他の騎士達は結界維持の為に攻撃に参加出来ずにいる。
そうでなくても攻防に加わるのは並大抵の技量では無理だろう。
それでだけの速度で繰り広げられている。
俺らもキリルが居なかったら捉えきれない上に
攻撃を食らってしまっているだろう。
しかも結界で動きが鈍っている状態でこれだ。
・・・・やっぱり届かないか。
打つ手が無くジワジワと押され始める。
キリルの足止めも俺の手数もモリスさんの斬撃も
徐々に読まれてきだした。
攻防を繰り広げながらも次の1手を探す。
何か手はないのか?
使える物は何かないか?
焦りだす俺に転機が訪れる。
急に上空から強大な魔力が落ちてきた。
戦闘エリアの真横にだ。
ドッゴーン。
爆風に煽られながらも堪えて立ち止まる。
呆気に取れれる俺達に聞こえてきたのは声だった。
「クァーッハッハッハッ!
おいおい、ヴァースよ何を遊んでるんだ
楽しそうな事には我を混ぜて貰わなくては困るな」
そこには人族の形をした明らかに人族でない者が立っていた。
「おい、そこの奴よ
我とも遊ぼうじゃないか」
ヴァースと呼ばれた黒づくめよりも
更に凶悪な魔力の塊が現れた。
実留君、直接戦っても強いはずなんですけどね。
複数戦だとスキルと魔法が制限させるので厳しいですね。




