2-27
次話更新は少し遅くなるかもしれません。
お久しぶりですブタ子です。
3年以上ぶりにミノルさんにお会いしました。
男子三日会わざれば刮目して見よと言いますが
凄い変わりようでした。
まさか犬から人になってるとは思いませんでした。
流石はミノルさんですね。
死んだ?
実里が死んだ?
「噂ですよ
あくまで噂です」
ブタ子に諭されて落ち着きを取り戻す。
「今日は此処までにしてひと眠りしましょう
明日の朝にお伺いします」
そう言い残してブタ子は帰って行った。
俺は落ち込みながらもブタ子が料理の残りを
持って帰るのを見逃さなかった。
とりあえず色々な事があったせいで
今日は疲れたな。
実里の事は心配だが焦った所で今はどうしようもない。
もう寝よう。
部屋に戻るとキリルは居ないが
リースはベットで寝ていた。
キリルは呑兵衛に捕まったようだな。
よし生贄になってもらおう。
俺は容赦無く寝る事にする。
来ていた服を脱ぎ下着類も変え
寝巻に着替える。
寝巻と言ってもシャツとパンツだけだが。
リースがくっつくと暑いんだよ。
着替えの際には軽く体を拭っておく。
脱いだ服をタライに入れて魔法で水と風を駆使し
洗濯から脱水まで手早く済まし部屋干しにする。
少し乾燥してるから丁度良いだろう。
リースが寝ているベットに入り込む
大き目の作りなので二人で寝ても余裕だ。
横になるとリースがくっついてくる。
キリルはまだ下だな。
微かに声が聞こえてくる。
「実里は無事かな・・・・・」
実里の心配とこれからの事を考えていると
意識が遠ざかっていった。
翌朝の朝食時にブタ子は来た。
丁度、支度していたのでついでに用意する。
「ミノルさんの料理は美味しいですね」
そういってパクパク食べていく。
もちろん3人も同じくだ。
俺が今日の朝に用意したのはポトフのようなスープだ。
結構な量を用意したので宿の朝メニューに加えてだしていたが
御代わりは出来ないので悔しがる人が続出した。
俺の前の4人は容赦なく御代わりしていたので
周りからの視線が痛かった。
君たち食う気、いや空気読もうよ。
前にもっと作れと絡んできた男がいた。
面倒になったのでその後しばらく提供をやめたら
周囲から物凄い抗議があったそうだ。
それ以降は他の客は俺が作ったメニューは運がよければ食べれるという
暗黙の了解のようなモノが出来ているので何も言ってこない。
あくまでも自分達用の料理を分けてもらってるイメージらしい。
それにしばらく待てば宿のメニューに追加される事も多いので
楽しみの一つになっているようだ。
食事もひと段落してから昨日の続きになった。
ブタ子の説明ではこうだ。
・成人の儀式で襲われたのは間違いないが
一部の革命派によるものだった
王族は全員無事の通達があった
・聖神教会が行う予定だった発表は中止
・その後、王子が公務に就くことが発表されたが
王女の発表は行われなく姿を合わす事は無くなった
・その後、聖神教会の動きが慌ただしくなり
本部付の聖騎士団の幾つかが遠征に出た
以上の事があり。
表に一切でなくなった王女、そして慌ただしくなった聖神教会
それ以前の情報と照らし合わせると
襲撃の際に何かがあった。
その後に聖神教会内部で何かあった。
そんな噂が流れだした。
そして王女が表に出て来なくなり
聖神教会からも情報が何も出て来なくなった。
そうして出てきた話は王女は死んだのではないか?
そんな噂だそうだ。
しかし俺は神に実里は無事だと言う保障は貰った。
その後までは不明だが少なくとも襲撃では無事だったはずだ。
となるとアイツら・・・・ミリナリスだっけか?
王女を狙ったんじゃなくて教会狙いだったのかもしれないな。
う~ん、情報が少なすぎるな。
現地に向かうしかないか。
「ありがとうブタ子、お陰で整理が出来たよ
俺はやっぱり現地に向かう事にする」
「いえいえ、私も情報が少なくて申し訳ないです
父の為にあまり滞在できずに詳しい情報を
集める事が出来なかったんです」
「そういえばお父さんは無事?」
「はい、教会の発表は無かったものの
薬の販売は行われたので無事に確保する事が出来ました
お陰様で父の病気も良くなりましたので
また行商として旅をする事ができました」
「そうかそうか
その後、フィラルドには?」
「警備が厳しくなり入国の際に持ち込む品物に
かなりの制限がかかってしまい
行商に行くにはメリットがあまり無いので・・・・」
「うんうん、責めてるわけじゃないから
そうか・・・やっぱり行ってみるしかないな」
「でもそうなるとやっぱりオックローンの問題があるよな」
「そうですね
通れない事はないと思いますが
戦時中はかなり厳しいと思います
せめてリードリスかシューリズのどちらか
1国だけなら良かったんですがね
海路も抑えられてしまってると思いますし」
「であれば北側のパーセラム王国を抜ければ良いいのでは?」
急に後ろから声が掛り振り返るとエレアスさんが
後ろの席で朝ご飯を食べていた。
「あぁ、ごめんなさい
聞き耳を立てるつもりは無かったのだけど
同じことを考えているなと思いまして」
「ではエレアスさんも?」
「私はフィラルドではないのですが
方向が同じなんです」
「海路も考えましたが
情勢が安定していないのにあの海域を通るのは
陸路よりもよっぽど怖いですからね」
何故、オックローンを狙って
リードリスとシューリズが戦争を起こしたか?
他にも海に面している国はある?
何故か?
それはオックローンが海路の主導権を握ると言うか
実際に国単位で交流できそうな海路を持っているのが
オックローンしかないのが実情だ。
外海は水棲魔物の巣で大規模な運行は難しく
内海はオックローン国内の為、他国の運行は厳しく管理される。
では陸路はどうか?となるが
オックローンを通らずとも海から離れて北側を回れば可能だ。
だがそこは未開の土地が広がるエリアだ。
国としてはパーセラム王国の管理となっているが
首都はかなり北に位置し南側はほぼ未開となっている。
パーセラムは亜人達の国でもあり国力と戦力は高い。
広大な土地を有しているが基本的には人族とは協調しない。
敵対するわけでもないが味方もしない。
国交と物流はあるがあくまでも馴れ合いはしない。
そして未開の土地については踏み入るのも構わない。
ただ整備するつもりもない。
来たければ自由に道を整備してくるがいい。
そしてこちらに被害がでるなら・・・・やんよ?
そんな国だ。
つまり首都に伸びる道はあるものの
未開部分を横断するような大きな道はない。
細い道なんかはあるが整備は最低限で
一般の街道に比べて危険度も高いので
通常であればオックローンの陸路か海路を選ぶのが
良いとされている。
上記の理由により両国は
オックローンの陸路も海路も凄く魅力的なのだろう。
「では、エレアスさんはパーセラムの南側を?」
「えぇ、現状ではそれが一番でしょう
三国の戦争もパーセラムまでには手を伸ばすことは無いでしょうし
未開の地と言っても街道もあれば村もありますしね
ただ、魔物や魔獣なんかもいるので安全ではありませんが」
話を聞く分には難儀な感じだ。
オックローンに近い南側を通れば戦争の影響を受けやすいし
首都に近づけば時間はかかり遠くなる上に
パーセラムの管理が厳しくなる。
結局は未開エリアのある程度入った辺りを進むしかないが
危険度で言えば一番高くなる。
「まぁ、それしか無いか」
「リースとキリルはどうする?
本当に付いてくるか?」
「うん」
「もちろんです」
即答する二人。
「出来れば私も連れて行って頂けないでしょうか?」
ブタ子がオズオズと手をあげる。
「俺は良いんだが・・・危ない旅になるぞ?
そこまでする理由は?」
「こちらでも行商も終わったので
国に戻りたいのですが帰る手段がそんなに多くないのであれば
ミノルさんに御一緒したいと思います
それに!亜人の村等であれば私は役に立ちますっ!
駄目でしょうか?」
「いや、構わない
安全は保障できないがそれでも良ければ一緒に行こう」
「ありがとうございます」
ブタ子は嬉しそうにペコペコと頭を下げる。
この子、やっぱり良い子だな。
「そういう事であれば私もご一緒させてください」
「エレアスさんも?」
「はい、私も同じルートを行く予定でしたので
出来ればご一緒させてください
戦力は1人でも多い方が良いと思いますよ
こう見えて私って結構強いんです」
そりゃまぁ装備品とかを見ればわかるんだけどさ
使い込んだ感じとかもあるし。
「そりゃ構わないですがエレアスさんにメリットあるんですか?」
「え?一緒に行けばミノルさんの料理が毎回食べれるんでしょ?」
「私も食べたいですっ!」
「自分も食べたいでうすっ!」
「お姉ちゃん、私もっ!」
「実留さん!私の分も!」
「・・・・・・結局、お前らはそれが目的かよ」
俺は盛大に溜息をつき今後の事に不安を覚える。
それでも旅の仲間が増えるのは良いものだ。
それから出発準備に2日間を使い準備をした。
食材、調味料、料理道具等を大量に購入した。
装備も最終調整と整備を終えた。
今迄作った料理レシピとサンプルは提供したので
今後は街の名物になっていくだろう。
蒸留所も順調だ。
ちなみに料理と酒の売り上げは利益の5%を俺が貰えることになった。
金額は微々たるものだが権利収入としては良いだろう。
もともと貰えるものだとは思ってなかったし。
お金はラルベさんとブタ子の紹介により商人ギルドで管理して貰える事になり
更にモロンさんの紹介で冒険者ギルドが保障してくれる運びとなった。
代わりに手数料として商人ギルドと冒険者ギルドに1%づつ支払うので
俺の取り分は3%だな。
この事で両ギルドに俺は特定顧客として登録されるので
ギルドでもある程度は融通か利くようになるらしい。
金を支払うとサービスが良くなる商売の基本だね
デンベルグにも結構滞在しちゃったな。
この街が発展するといいね。
主に俺の収入的になっ!
さてまた旅の始まりだ。
旅の仲間が増えました。
ここから進が早くなる・・・予定です・・・が
実留君次第なので優しく見守ってください。




