2-25
台風です。
湿気が凄いです。
髪がウネウネします。
こんにちわアリスです。
私はついに一人で狩りを成功させました。
相手は強敵でしたが何とか私の秘奥義で倒すことが出来ました。
もうドリュリュリュリュって感じです。
今日の敵は明日の友です。
まぁ死んじゃってるので友達にはなれませんが。
仕方ないので私の栄養になってもらいましょう。
「芋虫料理おねがいしゃーす」
俺が泊っている宿の名前は"新緑の稲穂亭"と言う。
あれ?前に話したよね?
話して無い?あれ?
まぁ・・・いいや、宿は1階が食堂スペースだったのだが
新しい酒と合う料理を求めて食事の客が増えた為、少し拡張した。
拡張と言っても少し大きめの部屋を追加しただけだけどね。
今はその追加した部屋を貸切にして宴会の準備をしている。
本当は旅立ちの挨拶を兼ねて行うはずだったが
状況が掴めるまでは延期する事にした。
よって今日のお題目は蒸留所と装備の完成だ。
キリル、リース、アリスは関係者を呼びに行くのと
買い出しを頼んだ。
シャイさんとダリアさんは宿の客に食事を用意している。
リムちゃんは俺と一緒に宴会の準備だ。
宿の方は事情を説明し宿泊客のみとしたので
2人は終わり次第、こちらに合流してくる。
今日の料理は好評だった唐揚げを作る事にしたので
ついでとばかりに揚げ物を色々と揃えてみる。
オークを使ったトンカツ。
シャイさんが作ったハムでのハムカツ。
魚を使った白身フライ。
各種野菜も用意した。
下味は塩胡椒で付けてはある。
唐揚げは前回と同じものを用意したが
大人向けにピリ辛の香辛料が強めのも仕込んだ。
フライにはソースがあった方が良いが
近い物はあるがどうにも揚げ物には合わない気がする。
ここは作ってみる事にしよう。
黒鍋もあるから何とななるだろ。
玉ねぎ、人参、トマト、ニンニク、セロリ等(に似てる)を
ベース野菜としてトロトロになるまで煮込む。
そこに味が深くなるように果実や乾燥させた魚、更には鶏がらなんかも入れる。
香辛料もナツメグ、シナモン、セージ等(に似てる)を粗くつぶして加える。
ある程度、煮たら網を通して不要な物を除く。
最後に砂糖、塩、酢で味を調える。
本来は煮込み時間や冷ます時間や熟成時間なんかが必要だが
黒鍋パワーで無理矢理に作る。
時短最高。
鍋一杯に作ったので相当量だ。
空瓶に移して魔法で酸素を抜き蝋で蓋をしていく。
全部で20本程作った。
次はタルタルソースだ。
白身フライと言ったらタルタルだ。
異存は認めるが俺の意見は一切曲げる気はない。
タルタルを作る際にはマヨネーズも作る事になるので
そこから始める事にする。
卵黄、砂糖、塩、胡椒を粘り気が出るまで混ぜる。
ある程度の粘り気が出てきたら酢、油を少しづつ足しながら混ぜる。
ひたすら混ぜる。
混ぜるったら混ぜる。
これでマヨネーズの完成だ。
半分を除いておく。
そこに茹で卵、玉ねぎ、酢漬けの野菜、を加えて混ぜる。
これでタルタルだ。
微妙に材料が足りて無いが黒鍋君が何とかしてくれる。
マヨネーズとタルタルは瓶で3本づつ作った。
後はそうだなサラダを作ろう。
彩と便利さを考えて野菜スティックにしよう。
生で食べれる野菜色々と切って用意する。
他にも軽く塩もみした野菜を混ぜてコールスローなんかも作った。
マヨネーズ、タルタルと一緒に野菜、エール、ウイスキーも冷す。
準備万端。
後はフライを揚げるのみ。
時間になったので順次揚げだす。
一発目が揚りだした頃にダンザムさんとラルベさんが
リースとアリスとやってくる。
「やぁ、ミノル君
今日はお招き悪いね」
「ラルベさん、どうもです
どうです?売りゆきの方は?」
「うん、あれは良い
冒険者が旅の共にって買ってく事が増えてきたな
まだ少しづつだけ手応えがある
あれは売れるぞ」
「それは良かった
販売お願いしますね」
「おう、任せとけ」
ラルベさんのウェルザ商店では
ウイスキーを販売してもらう事になった。
街で一番大きい商店で販売出来るのはありがたい。
ウェルザ商店でウイスキーを購入すれば
新緑の稲穂亭でサービスが受けれる。
新緑の稲穂亭でウイスキーを飲んだり購入すれば
ウェルザ商店でサービスが受けれる。
まさにWinWinの関係だ。
そしえ振り返るとダンザムさんが
既に揚げ物を食べている。
冷えたエールを勝手に取り出して飲みながらだ。
以前と違うのはリースに揚げ物を取ったりしてあげてる所だろうか。
指摘すると顔を真っ赤にして恥ずかしそうにするが
内心はリースを可愛くて仕方がないらしい。
ドワーフとエルフって仲良くなるものなんだな。
「おう、ミノル
装備はどうだ?良い感じだろ?」
「はい、使いやすさも良いですし
以前に比べても段違いに威力も上がってます」
「ガッハッハッハ
そうだろそうだろ
あんなに高級素材を沢山使って俺が
じっくりと時間をかけて手がけたんだ
ドワーフの本国に行ったって普通じゃ手に入らねーぞ」
「へぇ、ドワーフの国かぁ・・・興味ありますね」
「おう良い所だぞ
食い物も酒も美味いし好きな物を好きなだけ作れるからな
まぁ、才能が無きゃそれも出来んがな
唯一、ウイスキーと唐揚げが無いのが残念だな」
そう言いながら豪快に笑って
唐揚げを食べエールを飲み干す。
「そういえば、何で俺の装備だけ≪魔核水晶≫を
使ってないんですか?」
「あ?おめーの魔力があればそんなもん要らんだろうが」
「しかしリースで2個使うなら俺にも1個位・・・・」
「馬鹿野郎っ!リースが怪我したらどうすんだっ!!
キリルは魔力が少ないから仕方ないが
お前は違うだろう手前で何とかしやがれ」
「え~、そんな事言ったらリースだって魔力あるじゃん」
「うるせぇ!俺に任せるったのはお前だろうが!
俺の考えがあっての事だ」
「えぇ・・・・・それって依怙贔屓じゃ・・・・」
「お前とリースならリースだろっ!」
うわぁ・・・・認めちゃったよ・・・・。
確かに最近は魔力が増えてきて足りなくなる事も無いから
言ってる事もわかるんだけどねぇ。
魔力切れたらヤバイのはリースだし。
「はいはい、わかりましたよ
他のも揚げますか?
他の人も合流するまでは少しづつしか揚げませんよ」
「おう頼むぜ」
そういってハイエルフの子供に甲斐甲斐しく世話を焼きながら
豪快に料理と酒を飲み食いする髭もじゃドワーフと言う
なんとも言えない光景が広がる事になった。
そんな光景を苦笑しながらラルベさんも摘まんでいる。
冷えたエールと揚げ物の組合せは気に行ってくれたようだ。
「ただいま戻りました~」
そういってキリルがモロンさんを連れてきた。
「ふぉふぉふぉ、最近噂されている
酒と料理を御馳走してくれるというのでな
迷惑を顧みずにお邪魔させてもらうよ」
「モロンさん、どうぞどうぞ
お酒は強いんですか?」
「ふぉふぉ、若い者には負けます
嗜む程度ですじゃ」
「ハッ、モロンの爺さんが嗜む程度?
馬鹿言っちゃいけねぇ
化け物みたいに飲むぞ」
「ふぉふぉふぉ、ダンザム殿と
比べたら嗜む程度じゃ」
「だからドワーフ族と同じぐらい飲めるってだけで
人族の中では十分に化け物だっつうの」
「ふぉふぉふぉ、まぁのんびりと飲む事にするさ」
ラルベさん、ダンザムさん、モロンさんが乾杯し
酒を飲み始める。
「ミノル様、以前にお話ししたのですが
森で護衛対象の証人を逃がしたという事を覚えていますか?」
「あぁ、覚えてるぞ」
「冒険者ギルドで情報が入りまして
現在この街に滞在しているようで商人ギルドに居るそうなんです
顔を出してきて良いでしょうか?」
「あ~、そうだな
全員集まるには少し時間掛りそうだしな
良いよ行ってきな」
「はい!ありがとうございます!」
キリルは駆け足で出て行った。
そりゃまぁ護衛対象が無事に生きてた事を知ったら
気になるよな。
あいつは守るために盾騎士になったんだしな。
それから少し後にシャイさんとダリアさんも来た。
宿泊客が一人どうしても飛び込みできたので
一緒に参加したいそうだ。
昔からの常連で良い人なので混ぜても良いかとの事だ。
シャイさんの紹介なら問題ないとしてOKを出した。
料理は沢山用意してあるしな。
「どうも急に申し訳ありません
私はエレアスと言います」
エレアスさんは赤い髪を持つ可愛らしい顔の女性だ。
20代前半だろうか。
身長は160cm位だろうかそこまで大きくない。
横幅もスレンダーとまでは言わないが太くない。
ボディラインは防具であまりわからないが
胸はデカい。
そう胸がデカいんだ。
夢と希望が沢山詰まっているに違いない。
パッと見は可愛い御嬢さんな雰囲気だ。
実用性重視の防具が冒険者なんだという事をアピールしてる。
そして何より目立つのが。
背中にある大剣だ。
明らかにエレアスさんより重いんじゃないかと思われる剣。
大きくて分厚くて重くて例の鉄の塊なんじゃないかと思わしき剣だ。
綺麗な装飾が入っていたりするのが違うところか。
「いえ、沢山量はありますので大丈夫です
この宿の常連さんなら一緒にどうぞっ」
「はい、ありがとうございます
実は凄く良い匂いでお腹空いちゃって」
・・・・まさかの食いしん坊キャラの追加か?!
「いやー、ミノル君、大丈夫だよ
この人はそんなにガツガツ食べないからね」
シャイさんが俺の考えを読んだのか
的確な答えを返してくる。
シャイさん、ダリアさん、エレアスさんが加わり
宴会は本格的にスタートした。
揚げ物は全種類を満遍なく作る事にして
まずは乾杯だ。
全員に飲み物を配り
色々な決起人である自分が音頭をとる事に。
「え~、それでは蒸留所の完成と
ウイスキーのこれからが大きく盛り上がるように」
「俺の傑作の完成もあるだろ」
「ダンザムさんの素晴らしい仕事にも
感謝を送ります
それでは改めまして・・・・」
「すいませんっ!!遅くなりましたっ!!」
もの凄いタイミングでキリルが帰ってくる。
うんうん、良いぞキリル。
お約束を外さないのは偉いぞ。
但し空気は読もうな。
まぁ、乾杯する前に全員揃って良かったかな。
「あっ、すいませんミノル様
例の商人様が来たいと言うので連れて来てしまいました」
え~、それは駄目だろう。
完全に部外者じゃん。
しかもキリルがお世話になった商人と言えば邪険にも出来ないしさ。
「行商人のブタ子さんですっ!」
・・・・?
・・・・・ブタ子?
何処かで聞いた名だな?
「初めまして行商人を営んでおります
ブタ子と申します」
キリルの後ろから現れたのは・・・・。
何処かで見覚えのある体型をしたブタだ。
そう。
運動している中年の女性の体に
子豚の顔を乗せて等身大にしたような・・・・。
ブタ子じゃんっ!!!
俺は再びブタ子に遭遇した。
ブタ子が再びの登場です。
キリルさん引き半端ねー。




