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アクセス数がちょっとづつ増えてきました。
小さな喜びを感じます。
皆さん初めましてアリスです。
呼び出されてみたら相手は犬でした。
犬をどうナビゲートすれば良いのでしょうか?
妖精人生ハードモードです。
生まれ変わってから数日が経った。
最初はおぼろげだった視界も明確になり
よろよろながらも歩くことが出来るようになった。
やったね四足歩行だよ!
俺の周りには母犬と同時期に生まれた兄弟が2匹。
双子の妹だけの二人家族が
いきなり家族増えちゃたよ。
まてよ、この犬たちは俺の家族。
つまりは実里の家族でもあるのか・・・?
実里の転生先も同じぐらいの数だとしたら
もの凄い大家族だ。
いつの日か実里の御両親に会う事が出来たら
挨拶はちゃんとしようと心に決めた。
何事も最初が大事だからな。
あいつの両親は俺の両親でもあるからな!
父犬は見たことがないからシングルマザー犬のようだ。
ちなみに生まれた時は兄弟は3匹いたのだが
1匹が昨日から居なくなった。
寝て起きたらいつのまにか消えていたんだ。
まぁ、弱肉強食の世界だしね。
彼の身に何が起きたかは分からないが
とりあえずご冥福を祈ろう。
ナムナム。
悲しくないのは≪種族変更耐性≫のおかげなのかな。
さて、犬と言うのは序列を付ける生き物だと
聞いたことはないだろうか?
兄弟と言えども所詮は犬。
世知辛い世の中で生きていくには競争相手だ。
俺は手を抜かない!
まだまだ力が入らない前足を駆使し
犬パンチをお見舞いする。
時には母犬に甘えてみたりもする。
フフ、明確な意思を持つ俺(犬)には敵うまい。
母犬の一番チチポジションは俺が頂いた。
食事の質と量は生きてく上では大切な事なのだよ。
「実留さん、ちょっと恥ずかしくないんですか?
そんな子犬に全力だして」
「煩い、俺だって今は子犬だ
俺は犬社会で成り上がるんだ!
その為にも今のうちから体の資本である
ご飯(母乳)の獲得は最重要事項なのだ」
「そ・・・そうですか
まぁそれは良いんですが
なんか母犬さんがじっと見てくる事が多くないですか?」
「おう、俺も昨日ぐらいから視線を感じるんだよ」
「とりあえず話しかけてみてはどうでしょうか?」
「そうだな、まず会話は大切だな
見とけよ俺の磨き上げた会話技術を!」
「ワンワン、ワン、ワワワン」
「え?すいません何て言ったんですか?」
「母上このたびは貴方の子供として生を受けました
森山実留と言います
犬社会で成り上がるのが目標です
母乳ありがとうございます
大変おいしゅうございます
ってな感じだ」
「内容に比べてワンが少なくないですか?」
「いや、わからんが内容まんまを口に出したら
あんな感じだったんだよ」
「謎ですね」
「あぁ、謎だ
それにしても通じたのかな?」
話しかけてみたものの母犬は
じっとこちらを見てるだけだ。
しばらく待っていると
ゆっくりと口を開いた。
「ヴォンヴォン、ヴォンヴォン、ヴォン」
俺と違って声が太くて凛々しいぜ。
流石は大人だね。
「母犬さんは何と言っているんでしょう?」
「ん?いや、俺もわかんね
なんか吠えてるだけじゃね?」
「・・・・・実留さん会話できてます?」
「ふふふ、あーっはっはっはっは
全然わかんね」
その後も根気強く会話を試みる事、実に3日間。
吸って飲んで寝て話してを繰り返し
俺はついに勝利を収めた。
ふははは、俺に不可能なんて事はないのさ!
ピローン
> スキル≪言語(犬)≫を手に入れました。
≪言語(犬)≫
説明:犬と話せると楽しそうだね。
効果:犬語がわかるようになる。
日本語補完機能付き。
スキル取得後は普通に会話が出来た。
良かった本当に良かったよ。
何故かアリスも会話内容が
理解できるようになったのは不思議だ。
スキルって俺と共有なのかしら。
「母上、父上は何処にいったのでしょうか」
「お前の父は子が生まれたと同時に旅に出た
ワイルドドックという種族のオスはそういうものだ
愛を育み子を成すまで以外は1人で生きていくのだ
お前も少ししたら旅立つのだぞ」
ちなみにこれはスキルが会話を補完してるらしく
実際は「オマエノ チチ タビ デタ」みたいな感じだ。
便利だから助かるけどね。
色々と話したところ
今の種族であるワイルドドックは基本的には群れない種族らしい。
オスとメスが出会って愛が生まれると子供を作るまでの期間は
一緒に行動するが生まれると父犬は旅立ち母犬が子を育てる。
子供は早ければ半年位で巣立つとの事だ。
ピローン
> ヘルプ≪一般種族図鑑≫を手に入れました。
お、何か手に入れたみたいだ。
「アリス、この辞書って何?」
「少々お待ちを・・・・
これはアースランドの一般的な種族の
図鑑のようですね
簡単な説明とかが載っているようです」
「おぉ、そいつは便利だな
ワイルドドックはどうなってる?」
≪ワイルドドック≫
犬科に属する種族。
大昔に魔物の血が入っている為
普通の犬に比べて力も強く知性も高い、
また成長も早いのが特徴。
そうは言っても現在は血も薄まりそこまで違いはない。
一般人は犬と区別がつかない。
たまに先祖返りするとちょっぴり強いのが出てくるレベル
雑食。
「これカッコよく魔物の血とか言ってるけど
所詮は犬って事だよな?」
「そんな感じですね」
「二人で頑張ろうな」
「頑張るのは実留さんですけどね」
「うん、俺成り上がるよ」
歩行(4足歩行)が可能のなったので
情報収集を兼ねて周囲を探索する事にした。
よちよち歩きなので距離を稼げないが
頑張って歩いた中で分かった事はいくつかある。
どうやら俺が生まれた場所は森のようだ。
そこの大木の木洞の中が住処だ。
密集地帯が丁度いい隙間になってて
他の獣が入りにくいような作りになっているのは
なかなかに便利で安全な場所だ。
ママン、良い場所見つけたじゃないの。
俺が歩ける距離以上はアリスに調べて貰った。
今の住処は森の中でも端のほうで
近くには村があるらしい。
距離はそこそこ離れているので村の詳細まではわからなかった。
住処の周辺は虫やら小型の動物は居るものの
凶暴そうな生物は見つからなかった。
安心は出来ないが少し緊張が解ける。
アリスは仮想空間(俺の脳内)に居るが
外に出る事も出来る。
見た目は妖精なので
姿が似ている妖精を図鑑で検索すると
世間的には少し珍しい位らしい。
これは人の住む所に行ったら助かるだろう。
流石に犬と話してる場面は怪しすぎると思うので
二人きり以外の時は仮想空間に居る事にした。
親(母犬)に心配かけたくないじゃん。
本人は外に出ていたいようで
仮想空間に戻るのが嫌なんだそうだ。
どうも中は暇で刺激が欲しいらしい。
外に出る際には実体が必要となるが
そこは俺の魔力なんかを元に作るから
俺の能力がアリスの体の性能に影響する。
今は子犬程度しか力がないので
離れる事が出来る距離もわずかだ。
ここらへんも成長していく楽しみがあるわけだね。
なかなかやり込み要素高いな。
一回、実体を持てば空気中の魔力を吸ったり
普通に飲食で維持は出来るとの事。
アリス曰く
空気中の魔力でも良いんですが出来れば物を食べたいです。
との事だ。
余裕があるうちは一緒に食べるようにしよう。
1人の食事は寂しいよ。
ちなみに母乳吸ってみるか?と聞いたが
「その手の趣味はちょっと・・・・」
と断られた。
お、俺は趣味とかじゃないんだ!
生きる為の必要な儀式なんだ!
だってそもそも相手犬だし!母親だし!
じっと見つめてくるアリスの目に俺の
精神力はちょっぴりダメージを受けた。
吸って歩いて寝て吸っての日々が
2週間程経つと軽くなら走れる程度にもなってきた。
兄弟2匹に比べてどうやら俺の成長は早いらしい。
まだよちよち歩きができる程度だ。
これも一番チチを占領した結果なんだろうか?
それにしても体格も1回りも違うよな?
何にせよ健康なのは良い事だ。
今日も今日とて母乳にありつく為に
2匹が母犬に向かって一生懸命向かってくるのを
横目に走り寄り母親のお腹にダイブをかます。
フハハ今日も俺が一番乗りだぜ。
早速、堪能しようと突撃するが
急に母犬が立ち上がり真顔で話しかけてくる。
「もうお前に乳は必要ない
その体であれば狩りが出来るはずだ
食事は自分で用意しなさい」
「え・・・?なんで・・・?」
「お前は成長が早い
そして頭も良い
そういった者は早めに自立するものだ」
「狩りなんてした事ないです
母上が教えて頂けるのでしょうか?」
「私は他の子を守らなくてはいけない
一人で学びなさい
我々はそうやって成長して生きていくのです
この付近には凶暴な獣は居ない
寝床は此処を使っていいから
夜は帰ってきなさい
他の子の分も頑張るのですよ」
えー!えー!えーーーーーー!!
生後2週間で母親(犬)に育児放棄されました。
ネグレイドですよ!大変ですよ!
しかも夜以外は帰ってくるなとか言ってますよ。
しかもしかも軽く他の兄弟の分も頑張れとか言いやがりましたよ。
「アリス!アリス!
母犬に育児放棄された!
狩りだ!狩りをするんだ!
どうしよう・・・・
あっ、ヘルプで検索してよ
そういう情報あるでしょ」
「え~っと、狩りの情報ですか
あるわけないじゃないですか」
犬生活2週間目にして絶望が訪れる。