表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/254

2-15

少し忙しくなるので

更新ペースが落ちるかもしれません。

なるべく頑張ります。

やっぱりブタが好き。

こんにちわアリスです。

最近はブタが美味しくて仕方がないのです。

焼くのも香ばしくて美味しいです。

煮たのもトロトロで美味しいです。

最近のお気に入りは大きな窯(洞窟)で蒸した奴ですね。

適度に火が入ってるのに肉の味は損なわれていません。

しかも大量にあります。

いつでも食べ放題です。

アリスはいつでも幸せです。









リースが最後に思い出せるのは

お母さんが私を抱いて走っている場面だった。


昨日の夜は普段と変わらずにお母さんとお父さんと一緒に寝たはずだ。

それなのに目を覚ますと森の中にいた。






「ゴメンね、目が覚めちゃった?」


「うん、どうして森にいるの?

 お父さんは?」


母親は笑顔を返す。

何かを諦めて何かを決意したような

そんな切ない笑みだ。


「お父さんとはちょっと離れちゃってね

 後から来るから大丈夫よ

 寒くない?」


「うん、寒くないよ」


リースは母親にしがみ付く。

いつもと変わらない暖かさと優しい匂い。

何処でも何時でも変わらない気持ちよさ。


母親は暗い森の中を風を切り裂いて走り続ける。

時折、後ろを確認するが足を止める事はない。


「なんで森にいるの?」


「ちょっと用事があってね

 お父さんとお母さんは村を出る事にしたの

 リースは村に残りたかった?」


「ううん、お母さんと一緒が良い」


「うん、一緒に居ようね」


リースと母親は他愛もない会話をしながら

夜の森を走り続ける。



どれくらい走っただろうか

リースを抱きながら森を走り続けるのは

相当な負担だったのだろう

母親の限界が近い。


ヒュッ。


耳元に夜の闇を引き裂く音が聞こえ

近くの木に矢が突き刺さる。


もうそんなに距離は離れていない。

足も長くは持ちそうも無い。

追い付かれるのも時間の限界だろう。


母親は覚悟を決め娘に話しかける。


「リースはお母さんの事信じてる?」


「うん!」


短い返事には幼いながらも

何かを感じている笑顔だった。


「ありがとうね

 今からちょっとだけ怖い思いするけど

 リースは寝てていいからね」


そういうと母親は娘に睡眠の魔法を掛ける。

娘が眠りに落ちた事を確認すると

母親は崖から身を投げ出した。



遥か下に見える大地に向かって。





その後に何があったかは分からない。

リースは気が付いたら箱に入れられていた。


母親も父親も見当たらなかった。

代わりにオークがいてジロジロと

視られる日々を送る事になる。


洞窟の奥の木の柵で区切られた牢屋に入れられ

1日1回の少ない食事を与えられた。


洞窟に居た日数がどれくらいか不明だが

ある時に少年が連れてこられ

次の日に一緒に木箱に入れられた。



そして今に至る。



「お姉ちゃん・・・・お母さんは・・・?」



正直に言って良いいのだろうか。

こんな時にどう答えればいいのかがわからない。

くそっ、こんな子供に何て言えば良いんだ。



リースは目を逸らさずに俺の事を見つめている。


そして俺は気が付く・・・・・。




多分、この子分っているんだ。

母親が無事じゃない事を。



俺はリースの目を見つめながら話しかける。



「俺も状況を理解してるわけじゃない

 だからリースの母親が無事かどうかは正直分らない」


 

正直に言って死んでるかなんてわからない。

生きてるかもしれない。

それでも・・・それでも・・・・俺は伝える事にした。

 

「リースの母親は亡くなったんだ」




「うん・・・・そうかなって思ってた・・・・」


必死に何かを耐えるように一言づつリースは話し出した。


オークに捉えられた日々。

近くに感じる母親の気配。

感じる気配は少しづつ弱っていった。

それが続いたある日、一切の気配が消えた。


信じたくはなかった。

それでも自分の感覚はそう告げていた。



そんな内容を話したリースを見ると

表情は無くなって泣いても笑ってもいない。



あっ、これは駄目だ。

このままじゃ心が死んでしまう。


そう思った俺は咄嗟にリースを抱きしめる。


「泣け、泣くんだリース

 自分の中に溜めこまないで出せ

 心を殺しちゃ駄目だ」


リースは何もせずにただ立ちすくむ。

それでも俺の言葉は心に届いたようだ。


「・・・・・おか・・・・あ・・・・さ・・・・ん

 おか・・・あ・・・さん・・・


 △▲△▲△▲△▲△▲△▲っ!」


最後の方はエルフ語だろうか

俺が分らない言葉を吐き出しながら

リースはボロボロと泣き出す。


俺のに力いっぱいしがみつきながら

顔を埋めて号泣する。


俺はリースが落ち着くまでずっと

抱きしめ続けた。






リースが泣き疲れて眠ると

優しく放し俺の膝に寝かせた。


「少しは心が軽くなると良いけどな」


「そうですね

 あのままじゃいつか壊れちゃいます

 最初に吐き出しておかないとです」


「だよな

 この後にどうするかはリースが

 起きてから考えよう」


「それにしてもこの少年は起きないですね」


「よし、放っておこう

 俺も少し寝るから見張り頼めるか?」


「はい、任せてください」



今日は色々とあった。

迷宮から出たばかりでこんなかよ・・・。


俺はアリスに見張りを頼み。

フードをかぶりマントでリース毎つつみ目を閉じる。


おやすみなさい。









「フンッ!ハッ!」


なんか暑苦しい声がするな。


「ハッ!ハッ!」


なんだよ、この声。

目を覚ますとアリスとリースが

俺の膝の上で仲良く寝ていた。


おい、アリスよ・・・・見張りはどうした?


「おはようございます!女神様!」


「メガミサマ?」


顔を上げると冒険者風の少年が

上半身を裸でトレーニングしていた。


「目が覚めたのですね!

 直ぐにご飯の用意をしますからお待ちを」


そう言って少年は服を着て走って行った。


「・・・・なんだアイツ?」


「・・・・ん・・・・ん~」



モゾモゾしてたらアリスとリースも起きてきた。


「おはよう」


「おはようございます」


「・・・・おはよう」


立ち上がり背伸びをして服を叩く。

体中からボキボキと音がするね。

服は叩くと汚れが無くなった。

どうやら汚れにくいようだ。

ありがとうラバリオ。



魔法で水を出し顔を洗っていると

少年が戻ってきた。


「お待たせしました

 あまり取れませんでしたが果実を見つけました」


両手に幾つかの果実と木の実を持っていた。


ふむ、丁度良いし朝食にしよう。



朝食はオークの煮込みにした。

黒鍋でオークと木の実を煮込み

仕上げに香草を散らす。

作業しながら少年と会話をする。


「俺はミノル、こっちの妖精がアリスだ

 んでそっちのエルフっ子がリース」


「女神様のお名前はミノル様と言うんですね

 自分はキリルと言います

 盾戦士の駆出しです」


「・・・・一ついいか?」


「なんでしょう女神様」


「それだ!女神様ってなんだ?」


「・・・?

 何ってミノル様の事ですよ」


「いやいやいや、俺は男だっ!

 しかも女神なんかじゃない

 人間・・・・ってわけでもないが・・・」


「うん・・・・お姉ちゃんは

 色々な匂いがする・・・・・

 エルフの匂いも・・・・なんで?」


「あ~~~~っ!

 これ説明するのめんどくさいな


 え~と、俺はミックスだ

 エルフの血も入ってるらしい

 正直な所、自分の出生はしらないから聞くな」


「そんな美貌でしかも危険なオークから助けて

 くれたミノル様が女神じゃないなんてありえないっ!」


こいつ電波か?!


「だからその女神様をやめろっ!」


物凄い剣幕で怒鳴りつける。


「は・・・はいっ!

 ・・・・・でわ、ミノル様で」


「お姉ちゃん」


「だ~か~ら~、俺は男

 男なの!わかる?」


「お姉ちゃん」


リースは有無を言わさぬ気概で

ずっと繰り返す。


はぁ、仕方がない少しの付き合いだ。

我慢すればいいだけだ。


「・・・・もうそれで良いよ」


「うん!お姉ちゃん!」


「はい!ミノル様!」


「よし!とりあえず食え!」


俺は作っておいた皿に煮込みを

どっさりと盛り付け二人に渡す。


「おいしい!」


「美味しいです!ミノル様!」


余程お腹がすいていたのか二人はガツガツと食べる。

横でアリスもじぃ~と俺を見つめる。


「アリスも食べな」


アリス用の皿を取り出し盛り付けてあげる。


「はいっ!」



競うように三人で食べる。

俺も味見をしてみたがシンプルで美味い。

昨日までの疲れを癒すような深い味だ。


こりゃ俺の分まで回ってこなそうだな。

アイテムボックスから昨日のローストポークを取り出し

ナイフで切りながら食べる。


うん、やっぱりこりゃ美味いな。

しばらくは楽しめそうだ。

モグモグと食べてるとふと視線を感じる。


三人とも手を止めて俺を見てた。



「もしかしてコレも食べたい?」


「「「食べたい」」」


三人の食欲は止まる事をしらなかった。

 


煮込みとローストポークを

満足するまで食べて笑みを浮かべている三人を見ながら

食器類を水で洗って収納しておく。

リースとキリルの分もしばらく使うだろうしな。



お腹も落ち着いた事だし

食後のデザートにキリルが取ってきた

果実を齧りながら話をする。



「んで、キリル

 お前は何で捕まってたんだ?」


「はい、自分は行商の護衛をしていたんですが

 森を抜ける街道でオークに襲われたんです

 それで護衛対象を守る為に殿を務めました」


「それで護衛対象は無事だったのか?」


「はい、自分が確認した限りでは逃げおおせたと思います」


「なるほどねぇ

 他の護衛はどうだったんだ?」


「自分は盾戦士なので殿を任せると言って

 行商の方を連れて行かれました」


「・・・・・それってさ・・・・騙されてね?」


「何を言うのですか!

 護衛対象を守り抜いてこその盾戦士ですよ!」


「いや、でも一人で置いていかれたんだろ?」


「残念ながら盾戦士は自分だけでしたので

 そうなってしまいましたが

 自分さえ居れば大丈夫と言う信頼の証です」


わかった・・・・こいつ・・・・・馬鹿だ。

何となくわかった。

悪い奴じゃない。

寧ろ良い奴だ・・・・熱血馬鹿だ。


「そ・・・そうか・・・・

 それでキリルはこれからどうするんだ?」


そう問うとキリルは姿勢を正し

真剣な表情となった。


「ミノル様に付いて行かせてください」


「は?俺に?」


「はい、ミノル様には命を助けられました

 これに応じるには自分も命を掛けてミノル様に

 仕えるしかありません

 是非ともお供をさせてください」


「いや、そうは言ってもなぁ

 俺は根無し草だぞ

 この世界の事も何も知らないし」


「なおの事っ!

 どうか!どうか!お供にしてください!

 自分が守ります!」


うっわー、暑苦しいー。


こっそりとアリスと相談する。


『どうするよアリス』


『悪い子じゃないんですけどね』


『それはそうなんだけどな』


『色々と知ってそうですし便利じゃないですか?』


う~ん、確かにこの森が何処なのかもわかってないしなぁ。

まぁ悪い奴なら何とか不意打ちでブチ殺せばいいか。

うん、そうだな。

そうしよう。



「わかった、じゃぁ俺に付いて来い

 コキ使ってやる」


「ありがとうございます!女神様!」


「だから女神は止めろっ!」


あぁ、失敗したかなぁ・・・コレ。


「私も一緒に行く」


「へっ?」


「私もお姉ちゃんと一緒に行く!」


「えぇ~」


なし崩し的に付いてくる事になった二人。




「とりあえずリースを村まで送り届けるか」


「うん」


「はい」




これからどうなっちまうんだろうな。

困ったようなでも嬉しいような

曖昧な笑顔を浮かべ実留は二人を見ていた。

















実留君の料理は評判ですね。

段々とお母さん的な立場になりつつあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ