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お気に入りがジワジワと増えていくのは
ワクワクしますね。
ついつい見ちゃいます。
こちらがどんなに相手を望んでも
相手からは一方的に拒絶される事もありますね。
世の中は厳しいですね森山実留です。
まさかお天道様にあんなに拒絶されるとは・・・。
もう裏家業に進むしかないのでしょうか。
「驚いたわぁ・・・・」
「驚いたのはこっちですよ
急にアイスが溶けるみたいにトローっとしてきたんですもん」
「妙にね暑いなぁとは思ったのよ
まさか溶けるとはなぁ・・・・なぁ・・・」
「落ち込まないでください
所詮はアンデットなんですからねっ!」
「それ慰めてる?」
「もちろんですよ」
何故かドヤ顔をしてくる。
こいつは本当に・・・いや、何も言うまい。
「外に出れないってのは厳しいなぁ
夜になれば出れるのかな
アリスちょっとこの辺りを見てきてくれないか?」
「わっかりました
お任せを」
アリスの調査報告
「え~とですね
見渡す限り山ですね
それで結構寒いです
下の方に森が見えました」
から考えるに迷宮は山の中の奥深いところしかも結構な標高にあるらしい。
出入り口付近には木等の植物はあるが
まばらで背もそこまで高くないとの事。
「俺ら意外に生物って居た?」
「上空をおっきな鳥さんが沢山飛んでましたよ
危うく見つかるところでした」
「う~、何気に危険だなぁ
とりあえず色々と試してみよう」
まずは日光にどの程度抵抗出来るのかを試してみた。
結果としては殆ど抵抗できなかった。
日に当たった部分からトロッと溶けていく。
感覚としてはひたすら暑いだ。
汗がドバドバと噴出す感じに似ている。
魔力で補うと多少は抵抗できた。
強化に込めれば込めるほど抵抗できたので
ずっと強化しっぱなしで良いんじゃねとか考えて
迷宮の外に出たら外魔力が薄いらしく維持できなかった。
そして危うくまた死に掛けた。
現状で昼間に迷宮外にいく事は不可能と考えて良いかもしれない。
では夜中ではどうか?
夜中は周囲に凶悪な魔物が結構うろついてる。
隠れながら進めば大丈夫だろうが
日中をどうするかを解決しない事には
どこかで立ち往生して追い詰められるのが落ちだ。
ちなみに日光は直接当たらなければ大丈夫のようだ。
木で作った影の中であれば溶ける事はなかった。
少しでも当たればそこから溶けていくけど。
どうにも手詰まり感があるな。
腹いせに外の奴らに魔法でもぶっ放そうと思ったが
殺到されてボロボロにされそうなんで止めておいた。
さてどうするか。
今のところ選べる選択肢はそんなに多くない。
まずは迷宮に居るか出るかだ。
それは決まっている。
出る
だ。
そうは言っても夜中に様子を伺いながら進み
夜中は土中か何かで過ごす。
そうやって進めばいつかは人の居るところにも辿り着けるだろう。
そこまでやっても俺はスケルトンだ。
受け入れて貰うのは無理があるだろう。
活動が夜中に限定されているし
日中が行動可能になる可能性も無くはないだろうが
期待するだけ無駄だろう。
全身を服や防具で覆ったところで限界はある。
外に出るのは得策ではない。
でわ、どうするか・・・・。
死んで転生するか・・・・。
絶対にポイント貯まってないよなぁ。
人型限定も付けれるか不明だし。
次が恐ろしいぜ。
転生も無しだな。
あれは最後の手段だ。
う~ん、コレだけは面倒でやりたくなかったが仕方が無い。
「アリス行くぞ!」
「どうするんですか?
外に行くんですか?」
「違う、潜るぞ」
「え?部屋に戻るんですか?」
「いや・・・・・最下層まで行くんだ」
「えぇーーーーどうしたんですか?」
「他にやる事がないんだよ!!!」
「あーはい、行きましょう」
そう、まだ駄目と決まった訳じゃない。
何かのアイテムがあるかもしれないしな。
俺は迷宮の底に沈む事にした。
「実留さん右です」
「あいよっ!」
サイドステップで突撃を避け。
横っ腹にフルスイングする。
鈍い音と共に突起が突き刺さる音も聞こえ。
そのままの勢いで引き千切りながら振り切る。
「ギガガガガガ」
同じ事を何回か繰り返すと
あっけなくトカゲ型の魔物は倒れた。
アイテムを拾い探索を続ける。
今は登るときにはスルーしていた敵や
行ってない場所も全て探索しながら進んでいる。
その為、進みは遅いが出てくる魔物は簡単に倒せるレベルだ。
思ってたよりも魔力で補強は強いのかもしれない。
4階層までは特に何もなかった。
隅々まで歩き回ってみたが何も発見できずに
魔物が偶に出る程度。
それだって頻度はそう多くなかった。
「う~ん、こんなもんなのかな?」
「どうでしょうか
ポーラスでも5階まではこんな感じじゃなかったですか」
「そう言われるとそうかもしれないなぁ」
「それにしても
お腹が空きました」
「いつも急だねぇ・・・・
まぁ休憩にしようか」
そういってアイテムボックスから食材(魔物)を取り出す。
今回は先ほど倒したトカゲの奴だ。
最初の部屋で拾ったナイフで解体する。
切れ味も良くて重宝している。
調味料もないので焼いただけだが
アリサは喜んで食べている。
迷宮の魔物は外よりも美味しいらしい。
そういえばポーラスで食べたときはそんな感じがしたな。
くそ、試せないのが厳しいぜ。
いつか俺も喰ってやる。
休憩後に例の部屋に辿り着いた。
あの百足、クロワイアが居る部屋だ。
「きっとさ復活してて更に大扉から入ったら
強制的に戦う事になると思うんだ
だからあいつで色々と試してみようと思う」
「どうするんですか?」
「魔法と接近戦の訓練だな
ある程度まで来たらちょっと他に試したい事もある
まぁ、ちょっとな」
そういって俺はニヤリと笑う。
「・・・・・え?今笑いました?
全然、表情ないですよ」
さいですか・・・・。
初回は出方を伺うために下準備をしてから入室。
少し進むと扉が勝手に閉まる。
ふむ、定番だね。
部屋中央にいるクロワイアがこちらを認識。
「シュラララララッ」
流石にゲームにありがちなムービーシーン的なものは無いか。
認識と同時にこちらに襲い掛かってくる。
意外と速い!そして大きな足が目の前でワキワキして気持ち悪い!
えい。
前回よりもかなり威力を落とした炎球を投げつける。
爆発。
そして消え去る。
「ふぅ、危なかったぜ」
「・・・・どこがですか?
多分、相手の射程内にも入ってないですよ」
「いやいや、威力を落としつつも
一撃で倒せるかを試したんじゃないか
高すぎてもこっちにまで被害出たら意味無いだろ」
「それはそうなんですが・・・・はぁ・・・」
同じ事を何回か繰り返し状況確認をした。
部屋は倒すまで出れないようになっている。
大扉も小扉も敵認識されるとロックが掛かる様で開かない。
倒すとどちらでも大丈夫だ。
リポップは魔方陣から15分おきに行われる。
再出現までは扉の出入りは自由のようだ。
アイテムは釘バットと核がいくつか手に入った。
レアアイテムは無いのだろうか・・・。
状況が確認が確認出来たので接近戦の特訓だ。
毎回、魔力を十分に取り込んでから行った。
クロワイアは外皮が硬い、足も硬い。
それでも釘バットであれば少しづつ削れる。
相手の攻撃は避け、こちらの攻撃は当てる。
危なくなったら炎球を小刻みに当ててダメージを積み重ねていく。
クロワイアの攻撃が近距離のみで
種類もそう多くないので10体目位からは攻撃を食らわなくなった。
接近戦も大分マシになったな。
実感したところで魔法の特訓に入る。
今まで水と土が≪生活魔法≫レベルだったので
ここで上げておくことにする。
クロワイアの攻撃を避け、土魔法で突起を作ったり
水で目潰しをしたりを繰り返す。
集中力が切れるまで続けたら炎球で倒し休憩する。
ピローン
> スキル≪初級魔法(土)≫を手に入れました。
> スキル≪初級魔法(水)≫を手に入れました。
「よし、これで魔法は最低限整ったな」
「最初の目標は達成できましたが
これからどうするんですか?」
「ちょっとさ、試したい事があってね」
「試したい事?」
「あぁ、クロワイアを喰べようと思うんだ」
実留君、何かに気がついたようです。




